ラジオからテレビの移り変わりを知っている。子どもの頃はラジオ中心の生活だった。
何代目かのラジオだったか、緑色に発光するマジックランプでチューニングするときの楽しさを忘れられない。ランプがすべて緑色に全開したとき、選局ができたわけで、子どもにとっては何ともいえない充実感があった。
マジックランプは、マジックアイともいう。チューニング時に緑色に発光するランプが、まるで瞳孔の開閉を想わせて、なぜかSF的な妖しさを感じたものだ。
随分と幼い頃、部屋の奥から流れてくるNHKラジオ「ひるのいこい」の長閑なテーマ曲を聞きながら、日向の庭で蟻(アリ)と格闘していた記憶がある。日本各地の農事放送通信員と呼ばれる方からの、地方の穏やかな日々の便りのようなものが紹介されていた。
驚いたことに、Wikipediaの解説によれば、いまもつづいているとは知らなかった。
(Youtubeに登録のakiraplastic3に感謝)
それと同時に、同じNHKラジオ「尋ね人の時間」を耳にしていた。戦地や外地にいた人々の消息を尋ねる番組だった。子どもながら、普通のひとびとの心がいまだに癒えずにいることを感じていた。
ニコニコ動画に、仮名を使って音声合成音によるサンプルがある。
幼い頃に聞いたラジオのテーマ曲や言葉は不思議と鮮明に、頭というよりも心の中に、いつでも呼び覚まされるように残っている。
そうそう、NHKラジオ「お父さんはお人好し」は楽しみだった。季節によってアイスキャンデーを売ったり、焼き芋を売ったりする気のよいお父さん役の花菱アチャコと、それを暖かく見守る女房役の浪花千栄子の関西弁が心地よかったなあ。