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2017年5月17日水曜日

「韓国の俗信の世界」

韓国の若者の間で話題になるものに「血液型性格分類」がある。以前、日本でもマスコミが騒ぎ、家元争いに似た出版競争があった。これは学説を装った俗信(あるいは都市伝説)といえるだろう。占いなど含めたらきりがない。

何となくそう思わせる「俗信」は、一般に土着的な言い伝えもあるが、といって迷信のような深層の固陋さはない。それに、伝統文化へ昇華できるほどでもない。どちらかといえば、表層的でそれもそうだねと軽く受け流せるようなものだろう。

とはいえ、土地がらによる俗信もあるわけで、自分たちと対比しながら聞くのも楽しい。今晩、地下鉄の四谷三丁目駅の近くにある韓国文化院で開かれた、東海大学国際教育センター曺喜澈(チョ・ヒチョル)教授の「韓国の俗信の世界」の講演を聴講した。曺教授は、以前、NHKテレビのハングル講座の講師を担当された。

(俗信とは何かといった学問的な定義より、フールドワーク的情報に基づいた楽しい話題が中心)

事前に配布の講演レジメは、韓国の俗信(18個)について、それぞれ対応する事物を応えるよう選択肢クイズ形式になっていた。例えば、第1問に(他所の)「赤ちゃんを抱っこして言ってはいけないこと」は、次の「① かわいい、② 肌がきれい、③ 重い」のどれかという設問になっている。①の「かわいい」と、②の(栄養状態がよい)「重い」は、嫉妬から神が赤ちゃんをさらっていくので、言ってはいけない。

様々例示の俗信について、庶民生活も含めて解説いただいた。俗信は、当然ながら風土にもねざしているため、初めて聞くものばかりだったが、勘で選択したところ、当たらずとも遠からず半分ほど合った。庶民感覚で言えば、仮にドイツだろうとアメリカだろうと、それくらい互いに了解できるのかもしれない。俗信は、案外、庶民のプロトタイプかもしれない。

(おもしろビデオ : Weird Things Koreans Do

KBS WORLD「国楽の世界へ」 太平歌

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(5/10)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、「太平歌」など関連した曲について紹介した。

始めに、「風流房(풍류방)」で歌われた男女二重唱の「太平歌(태평가)」について次のように紹介された。
・昔、音楽好きが集まり鑑賞する「風流房」があった。風流を楽しむ空間の意で、経済的余裕のある家に設けられた。一、二曲で終わらず、様々な音楽を続けた。歌曲가곡)では、男女の歌い手が一曲ずつ繰り返し歌い、最後に(伝統的声楽曲中、唯一男女が一緒に歌う)男女二重唱で、世の泰平を祈る歌詞の「太平歌」を歌った。
・「太平歌」は、静かな前奏中、歌い手が急に高いトーンで大きな声、叫ぶかのように歌い始めて、観客の注目を一気に引く。平和な世を望む気持ちの意だろう。

▼ 歌曲「太平歌」を聴く。あまりにゆるりと流れる響きに別の世界の感がする。

次に、李銀珠(이은주)が「朝鮮戦争」の避難生活中に作った新民謡「太平歌」について次のように紹介された。
・ソウル近郊、京畿民謡にも「太平歌」がある。<腹を立てることなく、楽しんで休もう>という歌詞で始まる。世の中には心痛むことがたくさんあるからだ。歌詞は、京畿民謡で知られる、李銀珠が「朝鮮戦争(韓国戦争)」の避難生活中に作った。避難生活のあまりに大変さに、平和な世を祈願して作ったという。人々に大変親しまれ、京畿民謡を代表する曲の一つになった。広く知られる「扇の舞(부채춤)」(1954年、金白峰による創作)の伴奏にも演奏する。

▼ 京畿民謡の「太平歌」を聴く。リフレーンが楽しい(起源についてはnamu.wiki参照)、今様に。

最後に、パンソリ「水宮歌(수궁가)」の「皐皐天邊(고고천변)」の曲について次のように紹介された。
・パンソリ「水宮歌」は、竜王の病を治すため、カメがウサギの肝を求めて陸地に出てくるという物語りだ。「皐皐天邊」の曲は、カメが陸地に出ることを表現し、<高き空の太陽が、山の峰を照らす>場面を表す歌詞で始まる。早朝の水平線に太陽が昇る。海以外の世界を初めて目にしたカメはにとって別世界だった。美しい歌詞と平和なメロディーの「皐皐天邊」は、短歌(단가)やカヤグムの弾き語りでよく歌われる。

▼ カヤグムの弾き語りの「皐皐天邊」を聴く。五線譜で聞く演歌というか浪曲っぽさに驚く。