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2018年4月15日日曜日

(資料)韓国歌謡100年、一番使われたキーワード

久し振りに「孝行ラジオ」で、キム・ジョンホ(김정호、1952年~1985年)の代表曲「見知らぬ少女(이름모를 소녀)」(1973年)を楽しんだ。

(本ブログ関連:”孝行ラジオ”、”見知らぬ少女”)

「孝行ラジオ」といっても放送番組ではない。5000曲近くの歌謡曲を収録したマイクロSDカードを差し込んだ(ラジオにもなる)携帯音楽再生プレイヤーである。中高年が山歩きや散策の途中、ながらで次々聞き流すそうだ。ところが、マイクロSDカードの歌謡曲は海賊版で問題となった。現在の流通はどうなっているだろうか。

歌謡曲に対する支持は底堅く、圧倒的な伝統を作っている。そんな数々の歌謡曲の歌詞を基に、語彙分析などすることで、大衆がどのような言葉に関心を持つか(感応するか)がうかがえるだろう。今まで、メディアに語られたそんな情報をブログに記してきた。

(本ブログ関連:”韓国歌謡曲の語彙”、”韓国歌謡曲”)

今回、朝鮮日報(日本語版)に掲載の記事「韓国歌謡100年、一番使われたキーワードは『愛』」(4/15、ユ・ソクジェ記者)は、< 韓国歌謡曲100年間の約2万曲 > について、「語彙」調査した結果を次のように報じている。勝手ながら、資料として全文掲載させていただく。(感謝)
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(1)
1926年にユン・シムドクは「お金も名誉も愛も全て嫌だ」と歌い、2009年にバービー・キムは「愛というやつ、そいつの前でいつも私は空虚な存在だった」と歌った。「韓国歌謡100年」を貫いたキーワードは「恨」ではなく「愛」だった

 最近著書『歌の言語(노래의 언어)』(アクロス 어크로스刊)を出版した仁荷大学韓国語文学科のハン・ソンウ教授(50)は「韓国の約2万曲に至る歌謡のうち『愛』は曲名に1608回、歌詞に4万3583回それぞれ登場しており、名詞の中でも圧倒的首位を占めた」と説明する。「日常言語における登場回数では104位にとどまっている『愛』という単語が、実は歌謡で脚光を浴びていたのです」

 国語学者であるハン教授は「希望的な歌」から防弾少年団のKポップに至るまで、1世紀にわたって発表された韓国の大衆歌謡の歌詞に対する人文学的な分析を試みた。「一般大衆が好んで使う言葉の中で、生きている言語について研究しようと思いました。人の感情と時代の流れをそっくりそのまま盛り込んでいるという点で、ヒット曲をしのぐものがあるでしょうか」

 資料集めから始めた。「国民が実際に歌っている歌」という基準を立てて、カラオケの歌詞を全てダウンロードし、『韓国歌謡全集』という本に掲載されていない歌謡を補った後、分かち書きなどの校正を行った。その結果、2万6250曲、原稿用紙にして7万5000枚分の資料が集まった。当代のヒット曲の歌詞を集大成したという点で、まるで新羅郷歌集『三代目』*の編さんをほうふつさせる作業と言える。

(*)三代目: この郷歌集は後世に伝わっていない。

 その結果、歌詞は時代の変化を盛り込んでいた。「愛」という言葉が使われた歌は、1950年代までは全体の2.19%にすぎなかったが、2000年代以降は「ラブ」までを含めると実に65.22%に急増する。「素直に心を開いて自分のことを表現する世代が登場した証拠です」。女性が愛する対象を表現する際の二人称は、以前はほとんどが「先生」だったが、今では「お兄さん」に変わった。海外旅行が禁止されていた時代には「マドロス」という職業が歌詞に数多く登場していたが、今ではほぼ消え去った。1968年のパールシスターズ(펄시스터즈)の歌に登場する「喫茶店のコーヒー(커피한잔)」は、2010年に10㎝の歌を通じて「アメリカーノ」という単語に変身するものの、酒は時代を超えて常に人々の喜怒哀楽を表現してきた。

(2)
 意外な結果も見受けられた。歌詞に最も多く登場する季節は秋ではないかと思われがちだが、実は春(1572回)冬(1281回)夏(1001回)に次いで最下位(秋、541回)だった。「『秋の手紙(가을 편지)』『落ち葉とともに去っていった愛(낙엽 따라 가버린 사랑)』のように感情の響きの大きい歌が人々の記憶により多く刻まれただけのこと」との分析だ。「愛することの痛みや流れ行く歳月に対する恨が韓国歌謡の中に多いのは、悲しみに浸り、痛みを感じる過程を通じて妙な快感を覚えるからです。辛い食べ物を食べるときと同じですね」

 草稿に1980-90年代の歌謡が非常に多く登場することから、編集者とよく言い争いになったというハン教授は「『若い時は最近の歌が、年を取ってからは昔の歌が好きになる』という通念を破る必要性がある」と話す。「どんな時代でも、歌の『標準語』は青年たちの言語です。だからどの年齢層でも自分が若かった頃の歌が好きになるんです」。そんなハン教授も、防弾少年団の「八道江山」*を初めて聞いた時は、大きなひらめきがあったという。「地域ごとに存在する独特の方言が全て通じるのが韓国語なんだ、という悟りが背後に見え隠れしています。方言を研究する私が常に学生たちに話していることです」

(*)Youtube「八道江山」: 韓国方言を全く存じませんが登録者(JPN sub)の日本語訳に感謝

 数多くの歌謡の中で、ハン教授を最も感動させた歌詞は何だろうか。「カン・サンエ(강산에)の『…ですね(…라구요)』です。過去と現在、歴史と情緒を全て網羅している珍しい歌謡です。カラオケで歌ってみたいのはチェ・ペクホ(최백호)の『浪漫について(낭만에 대하여)』です。あ、ただ私は音痴なので、なんとなく口をパクパクさせるだけですが」
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(チェ・ペクホ「浪漫について」1995年:いろいろと凝縮された詞、歌にエネルギーも要るよう・・・おじさんには)

(Youtubeに登録のwit008007に感謝)