きょう封切りの映画「フライ・ミー・トウー・ザ・ムーン(Fly me to the moon)」を、近隣街の映画館で、しかも最初の上映時刻 9:00 に合わせて見てきた。都市伝説的な関心も含めて興味津々に観劇した。
(本ブログ関連:”フライ・ミー・トウー・ザ・ムーン (Fly me to the moon)”、”スプートニック・ショック”)
(Youtube:ソニー・ピクチャーズ 映画 予告編)
ストーリー展開には、極秘プロジェクトが裏で進行するといった、見えない力が暗躍する面に重きはほとんどない。1969年当初の月着陸に猜疑心を渦巻かせた懐疑派が完全に消滅してしまった現在、月着陸シーンは、「ロマンチック ・コメディ・ドラマ」のための背景でしかなくなった。
朝鮮戦争でパイロットを経験した男性主人公「コール」(アポロ11号 発射管理責任者の堅物)と、謎の使命を帯びさせられて突如送り込まれた女性主人公「ケリー」(型破りなNASAのマーケティング・プロデューサー)の男女が、仕事上の衝突から、それを契機にロマンスへと展開する。だから、1960年代の雰囲気をいかに感じるかが、観客の一つの楽しみとなる。
飛行機好きには、NASAといえば、すぐにノースロップのT-38「タロン」の真っ白な機影を想い浮かべるが、今回の映画では、ロッキードのF-104「スターファイター」が一瞬出てきたりした。圧巻は、コールがケリーを、愛機のノースアメリカンのP-51「ムスタング」に乗せて、星々が雲間に輝く空を飛翔する場面である。男女が一緒に空を飛ぶ光景はロマンチックだ。
そういえば、むかし見た映画に、「スーパーマン」が、デイリー・プラネット社の女性記者「ロイス」を連れて夜空を飛ぶシーンがあったのを思い出した。七夕には「織姫(おりひめ)」と「彦星(ひこぼし)」が、天の川の星々を見渡し逢瀬する美しい伝説もある。
というわけで、この映画は全編、色調・ファッションを通じて1960年代の「ロマンチック ・コメディ・ドラマ」である。登場人物すべてが善人になるわけで、結局、月着陸(が前提)で、陰謀論は吹っ飛んでしまった・・・だから、これでいいのだ。映画を見終わった後、どんな雰囲気で観客が映画館を出て来るかが勝負なのだから。わたしも善人顔して駅に向かった。
■ SPACE.com
「スカーレット・ヨハンソン*が『フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン』でアポロ時代の懐かしさを披露(レビュー)」(寄稿者 ジェフ・スプリー)
https://www.space.com/fly-me-to-the-moon-review
(*)NASAのマーケティング プロデューサー役を演じる。他に映画「ルーシー」(2014年)の主役など。
(余聞)
帰り道、「マクドナルド」店が、システム障害で店を閉じているのを見た。近ごろのシステムはとても危うい。先日も、東京ガス利用の個人情報が大量に漏洩したばかり。
アポロ時代は平和だった。その後のメインフレームの時代も。後に普及したインターネット時代になると、自分の財布を開けたまま歩いているようなもの。「ロマンチック ・コメディ・ドラマ」の舞台になることはないだろう。