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2019年4月19日金曜日

脱穀「棒打ち唄(麦打ち唄)」

歯科治療を済ませて外に出れば、あまりの天気の良さに誘われて公園散歩に足が向く。途中、「ソメイヨシノ(染井吉野)」が咲き誇った歩道を、今は代わりに「ヤエザクラ(八重桜)」が満開。今年、ソメイヨシノは咲き始めてすぐに寒さが続いたせいか長持ちした。おかげで、小学校の卒業式にも入学式にも間に合ったのは幸いだ。

公園の明るい原っぱで、大勢の幼稚園児か保育園児か、親と一緒に手をつないでアーチをつくり、そこを次々に親子が輪くぐり抜ける、まるで入れ子のような遊びをしていた。
(駐車場に、彼らを乗せて来たのだろう大型バスが数台並んでいた)

「ハナモモ」や「ベニバナ」の木が、白色、桃色、紅色に花を咲かせ、まるで春を手に取ることができるよう目の前で繚乱していた。

園内の施設「たてもの園」で、郷土の歴史と民俗について展示があったので覗いて見ることにした。気を引いたものは、小麦の脱穀農機具の陳列だ。もちろん、現在、この地域で麦作を見ることはない。それでも伝統として、「棒打ち唄(麦打ち唄)」の民謡が保存されていて、次に記す詞で歌う労働作業の映像が紹介されていた。(「むしろ(筵)」の上に置かれた)麦穂を打って実を取り出す脱穀作業のとき使う、「くるり棒(唐棹)」を降りおろしながら歌う様子がわかる。歌には次の特徴がある。
・野外での脱穀(棒打ち)のためか空模様が気にかかる
・民謡の定番といえる、年頃の娘を語る。

(本ブログ関連:”麦打唄 ”)

「棒打ち唄」(立川市砂川地区伝承民謡保存会)
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ホイホイホイ
大岳山の黒雲が
ホイホイホイ
あの雲がかかれば雨かあられか
ホイホイホイホイホイ

砂川の宿は長い宿
ホイホイホイ
長いとて物干し竿にゃなるまい
ホイホイホイホイホイ

お前さんはいくつなんの年
ホイホイホイ
十と六ささぎの年でまり頃
ホイホイホイホイホイ

十七つれて瓜山へ
ホイホイホイ
瓜の葉を寝ござに瓜を枕に
ホイホイホイホイホイ

十時のお茶にゃ何が良い
ホイホイホイ
芋で良しさつまで良し焼き餅ならなお良し
ホイホイホイホイホイ

あの山影で鳴く鳥は
ホイホイホイ
声も良し音も良し山の響きで
ホイホイホイホイホイ
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(参考1) Youtubeに多摩地域(清瀬、谷保)の「棒打ち唄」が登録されている。

(参考2) 岩波文庫の「日本の民謡集」に所収の「武蔵野麦打唄」
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[甲]〽十七八の 麦打は(ホイ ホイ ホイ)
[乙]〽くるり棒が 折れるか芒(のげ)が 折れるか(ホイ ホイ ホイ)
お天道さまの申し子は 百日の 日照りに笠もかぶらず
目出度やこれの麦打ちは 日和よく 風出て芒を立てたや
牡丹餅はやる世の中に 俺(おら)がでは 碾割花(かきわりばな)の焼餅
大嶽山の黒雲 あの雲が かかれば雨か嵐か
十七八はねむいもの 朝おきて 米とぎ桶を枕に
皆若い衆 江戸々々と 江戸だとて 枯れ木に花は咲くまい
お江戸に三日居て見たい 上様の 御用の水を汲みたい
今日の麦はこれ限り 明日は又 どなたの麦を打つやら
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