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2019年9月2日月曜日

秋の日のヴィオロンの

秋となれば、少しメランコリックな気分になって、詩的な雰囲気にひたってみたくなるものだ。まさに気分だけ秋を味わう。上田敏の訳詩集「海潮音」にある「落葉」(仏詩人ポール・ヴェルレーヌの「秋の歌」)が浮かんでくる。

映画館で、モノクローム*画面の「史上最大の作戦(The Longest Day)」(1962年)を見たのはいつの日だったか。仏レジスタンスへの作戦開始の暗号に、ヴェルレーヌの「秋の歌」の詩が語られていた。今も印象強く覚えている。これから始まる戦いに、なんという詩的な言葉が選ばれたのだろうと思った。しかし、ノルマンディーの海岸は、すぐさま血の海に変わった。
(*)モノクローム: 戦争経験者が多数存命した時代の作品。ぼくらは世代が重なりながら時を経ることを忘れがちだ。

海岸を制圧展開する場面では、戦場の「非情」さが描かれていた。それに戦慄した。後に制作された映画「プライベートライアン」(1998年)で表現された「悲惨」さとは別種のものだ。

Youtubeに、D-dayのために送信された、ヴェルレーヌの「秋の歌」の音声(フランス語)を英語字幕したものがある。(上田敏訳「秋の日のヴィオロンのためいきの 身にしみてひたぶるにうら悲し」)


(Youtubeに登録のNickyJIlanに感謝)