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2019年2月5日火曜日

(雑談)「芭蕉翁行脚怪談袋」

人の心には不思議があり、その代表が「夢」だ。あまりに奇妙で理解不能のため、他言するのは珍しい。ほかの者からしても、他人の夢に関心は少ない。その夢がうつつとの境界で語られると、現実の重みに引っ張られてか、ひとびとは俄然興味を持つ。不思議・奇談の話に共振する、お互い深層で絡んでいることを知っているからかもしれない。

「怪談おくのほそ道 現代語訳『芭蕉翁行脚怪談袋』」 (伊藤龍平 現代語訳、国書刊行会 発行、2016年5月)を地元の書店で見つけて手にした。俳聖「芭蕉」(寛永21年(1644年)~元禄7年(1694年))の有名な句に照らして、怪談を付け合せた仏教説話というか奇談を集めた感じだ。巻末の解題を見ると、原本は明確でなく、写本にあたるものがあって古くは弘化三年(1846年)に遡るよう。そうなると、ますますいつ頃に成立したのか知りたくなる。

国立国会図書館のデジタルコレクション
ちなみに、国立国会図書館のデジタルコレクション*所蔵の「芭蕉翁行脚怪談袋」(広野仲助 編、三好守雄 発行、明治19年(1886年)年7月)は、ネットで見られるものの中で、一番古い。ただし、この本の挿絵は、(上記本にも掲載していて)西洋画の技法を強く感じる(明治期の挿絵画家によるものだろうか?)。

(*)国立国会図書館デジタルコレクションhttp://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/881848

(第一話にあたる)この挿絵は、一般に仏道の姿にイメージされる芭蕉が、古戦場近くで武士の亡霊と出会うところを描いていて、武士の願いを聞き入れて成仏させる話だ。


(追記)
この「芭蕉翁行脚怪談袋」は、芭蕉と門下を含めて彼らを確かにたどる研究文献の範疇に入らぬそうだ。

(付記)
昨日の暖かさは一体何だったのかと思い返すほど今日は冷える。気象庁のカレンダーではまだ冬なのだ。旧暦の正月の今日、こちらは至って平穏、静かな一日だった。