きょう(旧暦 9/21)は、二十四節気の「霜降(そうこう)」。朝夕冷え込んで、露が霜になるころをいう。きのうよりきょうは冷えるが、例年と比べればまだ穏やかである。
(本ブログ関連:”霜降”)
寒さが増すとダラリとした気分があらたまり、心情に遠近が定まるよう。「端唄」の先に「短歌」があり、さらにその奥に「俳句」がある。「江戸端唄集」(倉田喜弘辺、岩波文庫)を片手に眺め、もう片方で「折々のうた」(大岡信、岩波新書)に掲載の短歌や俳句を見比べて気付く。端唄より短歌はズ~ッと真面目である。
旧暦九月の端唄から。紅黄葉の景色を歎美するのもよいけれど、世間で人の心は中だるみして、便りのない相手に焦がれることもなく、ちょいと軽い文(ふみ)でも送ってよと溜息をつく。もしかしたら、相手は紅葉に染まって浮名を流しているかもしれないのに・・・。
■「江戸端唄集」(倉田喜弘辺、岩波文庫)
「とっちりとん」の「十二ヶ月」の(旧暦)「九月」より
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ぬしのたよりを わしや菊月(きくづき)の 月より心は うはのそら とんとこのごろ 蘭菊(らんぎく)の おまえはわたしを 捨菊(すてぎく)や そふいふき菊と しら菊の ほかのつまをば かさねぎく まだ秋はてる ころでなし 月にばつかり うかれずと 雁(かり)にもたよりを しやしやんせ
〇 秋はてる 秋が果てる。九月は旧暦で秋最後の月。飽きてしまう意をかける。
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(付記)
霜降の期間を三つに分けた、七十二候は次の通り。
・初候: 霜始降(しも はじめて ふる) 霜が降り始める
・次候: 霎時施(こさめ ときどき ほどこす) 時雨(しぐれ)がしとしと降る
・末候: 楓蔦黄(もみじ つた きなり) もみじや蔦(つた)が黄葉する