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2017年8月18日金曜日

イソップ「狐と山羊」

イソップ童話の寓意はおもしろい。特に狐が登場する話しは、童話の滑稽さがあるものの、人間の欲と狡猾を彷彿させる。ときに、狐の悪知恵は人生の教訓になる。自分がその餌食になるか、あるいは危機の回避に使うか。

国立国会図書館デジタルコレクションから「イソップ童話」(春秋社訳編、大正13年)にある「狐と山羊」を見る。大きな危機をすり抜けるずるい話しであるが、歴史の裏の小さな場面にあったかもしれない。時代を泳ぎ、時代の変化を嗅ぎ取った知恵あるものは、愚鈍な民を足台にして巧みに危機を脱した。私は山羊だ。だから狐の動きに注意しよう。

(本ブログ関連:”イソップ”)

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ある時、狐が深い井戸の中へおっこちて、どうしても這ひ出ることが出来ませんでした。まもなく山羊が通りかかったので
「おい、君、君、山羊君」
と、狐は呼びかけました。「君はまだ聞かないかね。大変な旱魃(ひでり)になるんだよ。だから僕はここへ飛び込んだのだ。井戸の中にゐさへすれば水に心配はないからね。どうだ、君も飛び込んで来ない?」
山羊はこの注意(ちゅうこく)を尤(もっと)もだと思って井戸の中に飛びこみました。すると、狐はすぐその背の上に乗り、長い角を足台にして、うまうまと井戸の外へ飛び出しました。
「あばよ、山羊君。これからは偽(だま)されないやうに用心し給へよ。」

        窮迫せる者の注意に耳を傾くなかれ。
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