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2023年1月24日火曜日

シカ(クマ)、マムシ、ヒグマ

それは昔のこと、まだ健脚だったころの話。

<凍った冬の道>

冬の朝、中央線の「立川駅」で「青梅線」に乗り換え、終点の「奥多摩駅」を降りた。
駅前から(日原)「鍾乳洞行」のバスに乗り、終点のバス停から「日原川」に沿って
道路を1時間ほどかけて登ると「滝上橋」に着く。
橋の右手にある「滝上谷」の奥に「簾川(きよかわ)鉱山」がある。

マンガン鉱物をいくつか採集してリュックに詰込んで谷をくだる。
標本の重さを背にずしりと感じて歩くうち、道路が凍っていたのに気付く。
足が滑らないよう用心したが、結局転倒してしまった。
そのとき、凍った路上におぼろに見えるものがあった。
シカの足首が一つだけが転がっていたのだ。

何に食われてそうなったのか想像した途端、急に恐ろしくなった。
もしかしてクマが・・・、そう思った瞬間、怖気づいた私は
慌てて立ちあがり、坂道をくだった。
足がもつれそうになるたび、必死に姿勢を整え歩を早めた。
やがて鍾乳洞のバス停に戻った。

あれは一体何だったのか、クマはまだ冬眠していたはずなのに。


<かんかん照りの駅>

青梅線「奥多摩駅」の一つ手前に「白丸駅」があって
駅の南側斜面下に、多摩川の水を大きくせき止めた人湖「白丸湖」がある。
タイミングよければ、ダムの放水時に水位がさがり
露出した赤壁から、めずらしい鉱物(キュムリ石)が採集できるという。

ある夏の日、日射しのまぶしい白丸駅のベンチに座って
湖岸を周る準備をしていたとき、老人がやってきて駅ホームの掃除を始めた。
地元の駅を、社会奉仕で清掃しているという。
「白丸鉱山」の話をうかがったとき、こんな注意をされた。
岩場を登るとき、何も考えずに頭上の岩の上に手を掛けるなと。
そこにマムシがいるかもしれないというのだ。

採集のために岩かべを登ったのは、それまで一度しかなかったけれど・・・。


<夏も終わる山道>

北海道の「知床硫黄山」へ、硫黄の塊りを採集に行ったとき
地元の人から、ヒグマが出没するかもしれないと聞かされたが
採集の方に気が行って、わけもなく登山道へ向かった。
気になって、空になったジュースの缶をハンマーで叩きながら進んだが
正直、そのとき恐さはなかった。

結果、硫黄の塊りをいくつか採集して、空き缶を叩きながら来た道を戻った。
登山口を出て、広い道路(北海道道93号知床公園線)に戻り
路ばたの岩から滲み出る冷たい湧き水を飲んだとき、息をつくことができた。

東京に帰って、あれで本当に大丈夫だったのだろうかと、いつも思い返す。