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2013年3月12日火曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 金一球

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(3/6)に、人物シリーズ70回目として、パンソリの赤壁歌(チョッピョッカ、적벽가)の芸能保有者である名唱、金一球(キム・イルグ、김일구、1940年~を紹介した。

まず、「広大(カンデ、광대)」の解説から始まった。
・広大は、パンソリの他に、綱渡り(ジュルタギ、줄타기)、軽業、仮面劇、人形劇などの伝統芸能を職業とする集団の意。李朝末期、パンソリを整理した申在孝(シン・ジェヒョ、신재효、1812年~1884年)は、次の4つを広大の条件としてあげた。
① 「人物」、見目形より、その役に合った姿であること。
② 「語り」、広大が基本的に話し歌うため、語りが上手であること。
③ 「完成された声」、自身の芸事が頂点に達すること。、
④ 「身振り手振り」、演じる際の体の動きに関する条件である。

 ▼金一球による短歌「広大歌(광대가)」を聴く。申在孝創作のパンソリで、彼が唱えた広大のあるべき姿が淡々とつづくよう・・・。

(参考)「短いバンソリにみられる人生観」(李文相、「東アジア研究」2009.3)・・・「広大歌」歌詞訳掲載

次のように金一球プロフィールが紹介された。
・1940年、全羅南道和順に生まれる。父は、西便制の「春香歌」の歌い手、金東文(キム・ドンムン、김동문)名唱。
・10歳になる前からパンソリの稽古を始めた。
・光州へ引越して、孔大一(コン・デイル、공대일)名唱に師事。また他分野を開くため、木浦の張月中仙(チャンウォルジュンソン、장월중선)名人を訪ねた。
・張月中仙は、パンソリ、コムンゴ、カヤグム、舞踊、ボムピなど伝統文化全般に渡る歌や楽器に優れ、唱劇団の伴奏をしていた際、韓一燮(ハン・イルソプ、한일섭)名人と共に「散調牙筝」(サンジョアジェン、산조아쟁)を考案し演奏した。その貴重なメロディーを金一球に伝授した。
・散調は、パンソリのメロディーをベースとしており、幼児からパンソリに親しんだ金一球はすぐに演奏するようになった。さらに上を目指して、「伽耶琴散調」(カヤグムサンジョ)の名人、元玉花(ウォン・オクファ、원옥화)に再び師事して、それをマスターした。

▼金一球による散调「ホトゥンカラッ(허튼 가락)」を聴く。散調の本来の名前が、この曲名("
でたらめな調子" )だそうだが・・・ちょっとチェロに似てモダンな感じがする。

・その後、ソウルに再上京し、国立劇場で唱劇伴奏者として活動。元来パンソリを専門としていたので、楽器よりも歌へと、パンソリに再入門し実力を伸ばした。
金一球の婦人(スグンガの芸能保有者候補)、息子(パンソリ歌い手)とともに国楽一家である。

▼金一球によるパンソリ「赤壁歌」中の「孔明東南風吹くを祈る場面(공명 동남풍 비는 대목)」を聴く。・・・三国志、火攻めの策を計る。ここも物語りがつづく。