アクション映画には雨の夜が似合う。漆黒の闇に紛れた追う者と追われる者は、ずぶ濡れになって対峙する。背景は雨しずくの向こうに暗い影を浮べる。雨音と荒い息遣いそして叫び声が臨場感、緊張度を増す。見るものに一層の集中を要求する。映画「殺人の追憶」では雨の夜のシーンを効果的に使っていた。
レンタルDVD「ビッグ・スウィンドル!」(犯罪の再構成 범죄의 재구성)を借りた。こちらは、クライムコメディーといったところだろうか。物語は、中央銀行の韓国銀行を手玉に取る詐欺集団の失敗と成功を、登場人物のカードを一枚ずつ抜くことで語られる。最後のカードには裏表(どんでん返し)が用意されている。この映画にも雨の夜のシーンがある。
映画はいかにもB級イメージで作られているが、見るうちに吸い込まれる。2004年に 第41回大鐘賞の「新人監督賞」、「脚本賞」を受賞している。(主役のパク・シニャンは、紆余曲折の末、活動再開とのこと)