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2016年3月31日木曜日

桜満開

木曜日の昼過ぎ、地元公園に桜の咲き具合を見に行く。驚いたことに、子どもたちと一緒の家族連れの姿が目立つ。公園中央の大きな広場の草原に、シートを敷いて食事をしたり、そのそばで遊んだりしている。普段、平日に見られない光景だ。どうやら、子どもたちの春休みを有効に使っているようだ。

例年、公園西側にある「たてもの園」前の広場は、桜の花に埋まる。桜花に誘われた大人たちも大勢集う。ここの桜も満開に近い見事な咲きぶりだった。4月2日(土)、3日(日)の「桜まつり」が楽しみだが、風が吹くと、わずかに花が舞い散るものまである。花見は、早ければ早いほどいいようだ。

今日、東京(都心)の桜が満開になった。日本経済新聞の記事、「東京都心で桜満開 平年より3日早く」(3/31)によれば、「気象庁は31日、東京都心で桜(ソメイヨシノ)が満開になったと発表した。同庁によると、平年より3日早く昨年より2日遅い。職員が靖国神社(千代田区)の標本木で8割以上の開花を確認した。」とのこと。ここ数日、都内は桜で浮かれることになる(きっと)。

公園から戻る途中、近所の桜並木道の様子をうかがう。ほとんど人影もない、全くの穴場だ。通りを両側から覆うように、背の高い桜が花のアーケードを作っていた(本当に)。

桜の美しさを感じるのは、花弁を通して空を見上げるときだ。白い花弁が重なって薄いピンク色に見え、それらがゆっくり風に揺れる。花の合間から背景の青空が顔をのぞかすとき、記憶に通じる桜になる。桜の花はいつまでも変わらない。

(本ブログ関連:””)

2016年3月30日水曜日

BANANA LATTE

バナナほど食べやすい果物はない。さらに、ミルクと砂糖少々まぜてミキサーにかけると、もっと食べやすく(飲みやすく)なり、美味さが増す。子ども時代、バナナは高級品だったからか、好きな色が黄色だった。今でも、スーパーやコンビニの食品コーナーに行けば、黄色の容器を探す。私のバナナ巡礼である。

(本ブログ関連:"バナナ")

一昨日、コンビニで見つけた、バナナ飲料「smooth & milky BANANA LATTE」(果汁1%、500ml)を飲む。乳飲料(牛乳30%)に類別されるだけあって、マイルドで甘みを抑えたアッサリしたバナナ風味がよい。爽快感がある。いわゆる、バナナ特有の飲んだ後に喉をイガイガさせることがないのもありがたい。ネットを参照すると、好評価のようだ。

製造元が、森乳業株式会社とあり、森永乳業と見誤ってしまった。パッケージは淡い黄色を地に、上面に「BANANA LATTE」の文字でアピールし、側面は驚くほど飾り気がない、バナナ一本で勝負。今まで探し求めてきたバナナ味の食品中、素人ながら最高におしゃれなパッケージデザインと思う。


(追記)
中央日報の記事、「【NOW!ソウル】『バナナ牛乳』のカフェが東大門にお目見え!」(3/29)は、ソウルの東大門近くに「バナナ牛乳(바나나맛우유)」の店が登場したと次のように報じている。近くに清渓川の小川が流れ、片岸沿いに中古書店が並ぶ。イ・ソンヒの雑誌記事を探したが見当たらなかったけれど・・・いつかバナナ牛乳も飲んで、古本探しする楽しみがありそう。

(本ブログ関連:"バナナ牛乳")
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・1974年の誕生以来韓国人に根強い人気を誇る飲料会社ピングレの「バナナウユ(バナナ牛乳)」の専門カフェ「YELLOW CAFE」が、今月東大門(トンデムン)エリアの「現代シティアウトレット東大門店」地下2階にオープンしました。
・「YELLOW CAFE」には、「バナナウユ」を主材料にしたラテ、シェイクなどの飲み物と、バナナソフトクリーム(3,500ウォン)、プリン、タルトなどデザート類があり、オリジナルキーホルダーやマグカップも販売されています。
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2016年3月29日火曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 絵

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(3/23)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、「絵」に関連した3曲を紹介した。

始めに、1866年、フランス艦隊の江華島占領(丙寅洋擾、병인양요)と当時の朝鮮文化について次のように紹介された。
・朝鮮時代末の大院君体制下、フランスの江華島侵攻(1866年)は、西欧による最初の侵入事件である。1ヵ月ほどで占領したフランス軍は、財宝などを略奪して撤退する。ときのフランスの将軍は、<貧しい家にも本があり、また、床暖房、寺院にかけられた肖像画、越冬用キムチ漬けの甕>など記録した。朝鮮文化を知り、3千冊にのぼる書籍も持ち帰ったという。

▼ パンソリ「春香歌(춘향가)」から春香の「部屋飾り(방치레)」を伽耶琴(カヤグム)演奏と歌で聴く。淡々と描写するよう。

次に、朝鮮時代に絵が広く好まれたことを、パンソリ「春香歌」(春香伝)や「歳画(세화)」を通じて、次のように紹介された。
・朝鮮時代、本に劣らず絵も好まれ、どの家にも絵が掛かった。パンソリ「春香歌」で、春香の部屋を飾る「部屋飾り」は、その様を詳しく描写する。南部にある全羅北道南原地域は、漢陽(現ソウル)から遠く離れた地だ。そこに引退した妓生の娘、春香は、四方の壁に数々の絵を飾った。
・昔、人々は正月に「歳画」を掛け、悪鬼払いした。虎や鷹の動物絵が多かった。学者ソンビは、詩を書いたり絵を描くことも基本的嗜みとした。有名な画家の逸話に、人々が彼らの絵を手に入れようとする物語がある。絵は日常生活の一部だった。

▼ 奚琴(ヘグム)の演奏「月下情人(월하정인)」を聴く。月明かりに照らされた二人の姿と心を今様に描く。

最後に、朝鮮後期の画家、申潤福(신윤복, 1758年~没年不詳)の絵「月下情人」などについて次のように紹介された。
・「月下情人」の絵は、朝鮮後期の画家、申潤福の代表作のひとつだ。月明りの下、ある家壁の角に、男女が立つ姿を描き、「月の光が照らす真夜中に、二人の心は二人だけが知っている」と残した。
     月沈沈夜三更
     両人心
     事両人知
後世の人々は、この言葉から二人の心がどうなのかを推し量った。申潤福や金弘道(김홍도、1745年~没年不詳)は、朝鮮時代の庶民生活を描いた風俗画で知られる。喜ぶ民を描いたからこそ、それら作品が後の世にも知られた。

▼ パンソリ「水宮歌(수궁가)」から「兎絵像のくだり(토끼 화상 대목)」を聴く。なんだかアニメ風な味わいがする・・・。

・亀は、兎を捕まえに陸地へ行く計画を立てるが、海の中で生きたため、兎を一度も見たことがない。そこで、絵師を呼び、兎の絵を描いてもらう、興味深い場面を歌った内容だ。

2016年3月28日月曜日

イ・ソンヒとキュヒョンの初対面

相変わらず、「スーパージュニア」のキュヒョンについて存じませんが、4月17日初放送するSBSの「ファンタスティック・デュオ」で、イ・ソンヒとデュエットということで、本ブログでもとりあげている次第。今日、その二人が本放送前に会ったという。

(本ブログ関連:”ファンタスティック・デュオ”)

アジアトゥデイの記事、「『ファンタスティック・デュオ』 イ・ソンヒ x キュヒョン、実際の出会い成功・・・びっくりデュエット舞台」(3/28、パク・スルギ記者)は、次のようにサプライズな初対面を報じている。
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・歌手イ・ソンヒとスーパージュニアのキュヒョンが、実際に会い、びっくりデュエットを結成した。

・イ・ソンヒとキュヒョンは、28日に進行されたネイバーVアプリ(V App)に電撃出演した。この日進行された放送は、当初キュヒョン独りで進行される状況だったが、イ・ソンヒが予告なしに録音室の現場にびっくり訪問し、デュエットが電撃実現した。

・先に、キュヒョンは、「イ・ソンヒと一緒に歌いたい曲を練習する」と明らかにし、イ・ソンヒの「縁(因縁、인연)」を挙げたが、折りよくイ・ソンヒが訪問し、キュヒョンは、とても驚き後ずさりしながら90度に曲げる挨拶で笑いを誘った。イ・ソンヒは、「目がとても澄んできれいだ」と、キュヒョンに挨拶のことばをかけて、キュヒョンも「とてもお美しくていらっしゃる」と応え、暖かい雰囲気を作り出した。

・以降、二人はすぐにその場で、デュエットとなる「縁(因縁)」を歌って、完璧な(互いの)気息を誇って、本放送での「デュエット」を期待させた。

・制作陣は、「イ・ソンヒ x キュヒョン、レッドベルベット x イム・チャンジョンに続く特急スターたちのコラボ・デュエットが待機中」と、期待感を持たせた。

・一方、「ファンタスティック・デュオ」は、現在、(ネットの)「エブリシング」アプリを介してデュエット志願者を受け付けており、誰でも大韓民国最高の歌手とのデュエットをすることができる。「日曜日が良い - Kポップスター5」の後続として、来る4月17日初放送される。
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2016年3月27日日曜日

公園の桜は何分咲きか

桜を目あてに、日曜日の公園は人であふれるかもしれない、そんな思いがして早朝(六時半頃)出かけた。外はとても冷えて、完全な冬仕度をする。襟首もかため、手袋までした。それほど寒かったのだ。途中、民家の「ハクモクレン」はすっかり花を落とし、小学校の垣根の「沈丁花」は香りを潜めていた。

公園は、人影がまばらだった。外周の遊歩道をランニングする大人くらい。さすがに、こんな朝早くに、この寒さのなか出かける家族の姿は見かけない。

桜の木々が集まって「桜祭り」を賑わす、「たてもの園」前広場に着くまで、いくつか花をながめたので次に記す。

・「コトラブシ辛夷)」:公園の端にあるテニスコートはがらんとして寂しい。その近くにコブシが一本、白い花を咲かせていた。細い白い花弁が何ともわびしく、盛りを過ぎたのだろうか風に揺れていた。

・「サンシュユ山茱萸)」:ちょっと前、黄色の花を咲かせた「ロウバイ臘梅)」の近くで、それより高木なサンシュユが黄色の花を飾っていた。近く寄ると、花の構造が全く違うのが分かる。黄色の小さな花を集めた塊りが、多数になって木を覆っている。

・「ミツマタ三椏)」:今日の一番の驚きだった。近寄ると濃密な香りがする。和紙原料の木から想像もできない。花は、小さな白色の筒状の先に四弁の花が咲き、その塊りが多数覆う。小さな花弁の表面は、橙色、黄色に染まっていた。

・「サクラ)」:満開時に空を隠すほどと比べれば、まだまだの咲き。何分咲きというのか基準を知らない。ネットの感想では、一から二分咲き、三分咲き、三分から五分咲きと様々書かれている。さて、三分咲きとでもいうのだろうか。(ちなみに、自宅近所の桜並木は五分咲きといった感じがするが・・・)

(本ブログ関連:「」)

公園にしばらくいたが、朝日に照らされたときだけ暖まる、まだそんな時間帯だった。

2016年3月26日土曜日

チョ・ジェヒョン「【コラム】不快な映画広告と集団主義」

中央日報(日本語版)の記事、「【コラム】不快な映画広告と集団主義」(3/26)は、日頃の同紙に珍しい論調だ。チョ・ジェヒョン(米ネバタ州立大経営大学院)という若者が記した、いわゆる国民鼓舞のムードや風潮に対する一種警世的なコラムになっている。

コラム中、イ・ソンヒの広告応援歌「頑張れコリア(힘내라 코리아)」について触れている部分がある。この曲は、彼女の歌ったアニメソング「走れハニー(달려라 하니)」をベースにしたものだ。映画館で(公共的)広告として使われているようで、「頑張れコリア」を載せたYoutubeに様々なコメントが寄せられている。

(本ブログ関連:”イ・ソンヒ「ひとしきり笑いで」”、”イ・ソンヒと政治”)

なお、このコラム投稿者の所属について、中央日報の日本語版は「ネバタ州立大経営大学院」=MBAとなっているが、韓国語版では「ネバダ州立大経営学部3年生」となっている。

어려울때
네 곁을 지켜주는
내가 있어
다시 일어나

힘내라
힘내라
힘내라 대한민국

행복의
날까지!
힘내라 코리아

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・映画館に行くたびに不都合な広告2つを見る。一つは、ある大型劇場が後援する「プレミアムコリア(프리미엄 코리아)」であり、もう一つは、歌手イ・ソンヒが歌う「頑張れコリア」だ。ともに趣旨はよい。「私たちは韓国が誇らしい国であることを忘れていました」、「厳しくても頑張れコリア!」という内容だからだ。それでも何か引っ掛かる。なぜだろうか。

・歌にもなった名演説で米国のオバマ大統領は「Yes. We can!」を10回以上も繰り返す。この文章の主語の「私たち(We)」は「私(I)」が自発的に集まって生じた集団だ。このためオバマ大統領の演説に多くの市民が共感して呼応した。これに対し、これらの広告は私が誇らしい人間であることを想起させるのではなく、私たちの国が誇らしい国であることを強調する。個人が幸せな日でなく大韓民国が幸せな日まで頑張ろうという。

・チャン・カンミョンの長編小説『韓国が嫌で』に登場する女主人公ケナは、なぜ豪州に移民をしたのかという質問に愛国歌(韓国の国歌)と豪州の国歌を例に挙げる。愛国歌では神が守るのも大韓民国であり、万歳を享受するのも大韓民国だ。豪州の国歌は、「豪州の人よ、喜ぼう。私たちは若くて自由だ」で始まる。こうした価値観の違いが、韓国を離れた理由だと彼女は話す。映画館の広告が不快である理由も同じだ。集団の栄光を称賛する歌を聴いて、私たちは「なぜ私が誇らしく、私が幸せではいけないのか」を無意識の中で問う。

・もちろん集団主義は必ずしも否定的なものではない。韓国が短い期間に先進国入りするのに共同体を優先視する文化が少なからず影響した。全世界を驚かせた「金集め」運動で通貨危機を克服した経験もある。しかし集団主義が過ぎると全体主義やファシズムになることもある。

・ペイパルの共同創立者ピーター・ティールは著書『ゼロ・トゥ・ワン』で、「不明瞭な悲観主義」に触れている。欧州の多くの若者は未来に悲観的だが、どれほど、そしてどんな方法でさらに悪くなるか知らないため、社会的な成功や物質的な豊かさよりも、自己充足的な小さな満足を追求する傾向があるという。多くの韓国人もこうした「不明瞭な悲観主義」の中で暮らしている。もう韓国社会も構成員に「頑張れ大韓民国(힘내라/대한민국)」のような常套句の代わり、「あなたが幸せになればよい」「あなただけの幸せを探せ」と励ます時ではないだろうか。
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(面接室前の廊下に並ぶ姿は? 屋上でバッティングしたボールはどこへ?)

(Youtubeに登録の도미정、Blue K、NH農協銀行に感謝)

2016年3月25日金曜日

イ・ソンヒ「あなたの香り」

春は、冬に隠れた色彩や香りを復活させる。心浮き立つに相応しい記憶を呼び覚ます。春風に想いを乗せて届けよと、イ・ソンヒは、14集所収の「あなたの香り(그대 향기)」を歌う。彼女の声は、ときに少女の顔をのぞかせる。

(本ブログ関連:”あなたの香り”)

春は不思議なもの、生命すべてに躍動を与える。赤ん坊は無垢にしてあらゆる可能性を手にする。青春もまさに字義の通り、うらやましい限りだ。大人だって、この春を折に心新たにしたいのに・・・。


*あなたはなつかしい愛でしょう
なつかしさは 愛と同じ

重さに耐え切れなかったなつかしさ
風に乗せてみます

聞こえますか 私の心の声
届くように差しあげる祈り

**陽射しあふれる ある春に
私たちのまた会える日を
忘れずに覚えます
あなたを待つでしょう

踊る春風に乗った
あなたの香り思い出します
なつかしさは愛になって
あなたに届くでしょう

(*以下すべて繰り返し)

(**以下繰り返し)

あなたに届くでしょう

(Youtubeに登録のjung kang yeolに感謝)

2016年3月24日木曜日

「祇園小唄」

昔、時代劇俳優に高田浩吉がいた。彼が登場すると、銀幕がぱっと活気づく華やかさ、艶があった。しかも画面の中で歌って聞かせるのだ。LPレコードの記憶だろうけど、「伊豆の佐太郎」の「はいた草鞋(わらじ)に」のフレーズがいつまでも残っている。役者のイメージは、股旅ものだったが、過去の映画出演リストを見ると意外な感じがした。「伊豆の佐太郎」の歌詞の印象が余りにも大きかったからだろうか。

彼の娘に女優の高田美和がいる。彼女がカバーする、春に始まる歌、「祇園小唄」(昭和5年:1930年、作詞:長田幹彦、作曲:佐々紅華、歌唱:藤本二三吉)は、春夏秋冬に恋を歌う。今様にアレンジすることもなく、自流のイメージに合わせることもない、古風に歌い聴かせる。

春の京、霞に曇る東山、見上げれば登る月が見える。祇園の賑わい、過ぎ行く若者たちにも、「清水へ祇園をよぎる花月夜 こよひ逢ふ人みな美くしき」(与謝野晶子、歌集「みだれ髪」、1901年)。もしかしたら、京都の町に対する妄想かもしれない。(蛇足だが、朝日新書「京都ぎらい」(井上章一著)で、京都の町の別の一面が見えるような、見えないような・・・)

※ 「祇園小唄」(JASRAC No.024-0015-4 著作権消滅曲)


月はおぼろに 東山
霞む夜毎の かがり火に
夢もいざよう 紅桜
しのぶ思いを 振袖に
祇園恋しや だらりの帯よ

夏は河原の 夕涼み
白い襟あし ぼんぼりに
かくす涙の 口紅も
燃えて身を焼く 大文字
祇園恋しや だらりの帯よ

鴨の河原の 水やせて
咽(むせ)ぶ瀬音に 鐘の声
枯れた柳に 秋風が
泣くよ今宵も 夜もすがら
祇園恋しや だらりの帯よ

雪はしとしと まる窓に
つもる逢(お)うせの 差向(さしむか)い
火影(ほかげ)つめたく 小夜(さよ)ふけて
もやい枕に 川千鳥
祇園恋しや だらりの帯よ


 (Youtubeに登録の藤本二三代に感謝)

2016年3月23日水曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 甫吉島と尹善道

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(3/16)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、全羅南道南岸にある甫吉島(보길도)と、尹善道윤선도、1587年~1671年、号は孤山)に関連した3曲を紹介した。

(本ブログ関連:”尹善道”)

始めに、全羅南道南岸の小さな甫吉島と朝鮮中期の尹善道について次のように紹介された。
・全羅南道南岸の島「甫吉島」は、美しい景観で知られる。ソウルから木浦まで、最も速い列車でも4時間近くかかる。そこから半島最南端の海南に車で1~2時間近くかけて、さらに船に乗り1時間程の距離にある。交通が発達した今も遠い。徒歩で移動した朝鮮時代、もっと時間がかかったはず。でも、甫吉島は一度は行ってみたい自然の美しい所だ。また、朝鮮時代の代表的詩人、尹善道が詩作した場所でもある。

▼ (管)ソグム、(擦弦)ヘグム、カヤグム演奏「甫吉島の朝(보길도의 아침)」を聴く。長閑な朝の情景を今様に彷彿させる。

次に、尹善道が甫吉島に居たいきさつと、彼の作品「五友歌(오우가)」について次のように紹介された。
・尹善道は学者、政治家、そして優れた詩人でもあった。政治に空しくして世俗を去る決心し、済州島へ向かう。途中、暴風に遭い、寄ったのが甫吉島で、景色に魅せられここに変更する。芙蓉洞부용동)に池を作り、そばに東屋を建て、舟遊びと風流を楽しんだ。芙蓉洞の山麓に庭園を作り、茶を楽しみ書を読む。ここでの作品の「五友歌」は<わが友が何人かと聞かれれば、水と石、松と竹、そして月の明かりだ>という内容だ。自然を友として暮らす風流を表した作品だ。

▼ 「五友歌」から、「わが友の数は何人だろう(내 벗이 몇이냐)」を聴く。風流に自然に親しむ如く。

最後に、尹善道の子孫、尹偉(윤위、1725年~1756年)の「甫吉島識(보길도지)」と尹善道の「漁父四時詞(어부사시사)」について次のように紹介された。
・尹善道の子孫、朝鮮中期の文臣尹偉が甫吉島を訪ね、「甫吉島識(보길도지)」を書した。その内容に尹善道の風流が浮かぶ。<天気が良いと東屋に行き、池に舟遊びする。子弟に五色の服を着せ、尹善道の書「漁父四時詞」の詞を歌わせる。東屋では管弦の演奏を聴き、人々の踊りを観覧する。踊る姿が池に映るのを見た>と、華やかに遊んだようだ。その時歌われた「漁父四時詞」は、海辺に暮らす漁師=学者(ソンビ)の四季を歌ったものだ。

▼ 「漁父四時詞」から、「春の歌」を歌と演奏で聴く。春は東風(秋は西風だが)、帆は穏やかな風に押されるよう。今様。

・「漁父四時詞」は、春、夏、秋、冬の詞で構成され、尹善道65歳の作品で、言葉の美しい響きをよく表したものと評される。

2016年3月22日火曜日

ペタラギ「きみは春雨がとても好きですか」

中学生頃の男子は、好きな女子について、集まっては互いにその名を口にした。不思議なことにおおかた一致した。思い返すとその子は、つんとした目鼻立ちをして、華やかというよりスポーツタイプだったようだ。それが、高校生になると、男子は互いに話さなくなる。・・・

高校時代に気になった女学生を、卒業後、皆が白状したことがある。高校生どうし誰も口にしなかったある女学生だった。物静かでしとやかな、そっと見守りたいと思わせるひとだった。もしかしたら、私の仲間がそんな風(に奥手)だったのかもしれない。大学生になれば、共有する話でもなくなる。

ああ青春してるなと思う歌がある。ペタラギ(배따라기)の「きみは春雨がとても好きですか(그댄 봄비를 무척 좋아하나요)」(1984年、이혜민、양현경)はどうだろうか。イ・ソンヒがデビューした年にリリースされたものだ。私の青春は、それよりもっと昔のことだが。

(本ブログ関連:”きみは春雨がとても好きですか”、”春雨”)


きみは、春雨が とても好きですか
わたしね、雨が降れば 思い出浸(ひた)るわ

きみは、風音が とても好きですか
わたしね、風が吹けば 風に歩くわ

さびしい僕の胸に こっそりと近づき
愛を植えおいて 去ったその人を
ぼくは[わたしは]、本当に 憎みはしません

きみは、落ち葉散れば 何を考えるのですか
わたしね、二人歩いた 松並木独り歩くわ
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きみは、春雨が とても好きですか
わたしね、雨が降れば 思い出浸(ひた)るわ

さびしい僕の胸に こっそりと近づき
愛を植えおいて 去ったその人を
ぼくは[わたしは]、本当に 憎みはしません

きみは、落ち葉散れば 何を考えるのですか
わたしね、二人歩いた 松並木独り歩くわ
松並木独り歩くわ
松並木独り歩くわ


(Youtubeに登録のutopia43に感謝)

2016年3月21日月曜日

桜開花

都心の桜(ソメイヨシノ)が開花した。KYODO NEWS【共同通信社】は、千代田区にある靖国神社境内の桜の標準木が開花したと次のように報じた。(Youtubeのメモより)
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・気象庁は21日、東京都心で桜(ソメイヨシノ)が開花したと発表した。昨年より2日、­平年より5日いずれも早い。21日午前11時ごろ、気象庁の担当者が、千代田区の靖国­神社にある標本木で、8輪の花が開いたのを確認した。
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同ニュースのYoutube映像で、気象庁担当者が「お待たせしました」と桜の開花の観測結果を語ったところ、そこで待ちかまえていたマスコミ以外の一般客から拍手があった。ようやく訪れた春への安堵と期待の瞬間だ。

(本ブログ関連:””)

標本木から約21Km内陸にある、地元公園の桜も例年より早く見られるだろう。ちなみに、「桜祭り」が4月2日(土)~3日(日)に予定されている。楽しみだ。

「さくらさくら」の歌は、その起源が江戸期の子供用筝(琴)の手ほどき曲という(Wikipedia)、誰にも親しみ深い曲だ。ところが、歌詞の順番を知って驚いた。私の記憶にあるのは、二番の歌詞といわれる、「桜 桜 / 弥生の空は / 見渡す限り / 霞か雲か / 匂ひぞ 出づる / いざや いざや / 見に行かん 」だからだ。

一番の歌詞に当てられたものが、昔(1941年・昭和16年)からといわれると、見ず知らぬ人が座敷に笑いながら座っているような違和感を感じる。今まで気付かなかったことの方が問題だが。

(Youtubeに登録のFlügel Rüberzahlに感謝)

2016年3月20日日曜日

春分の日2016

今日は、昼夜の長さが同じという、二十四節気の「春分」。昼・夜を比べて、最大・最小・同じというのは、一年を区分する目安にしやすい。しかも昼の長さが温暖さに比例し、四季の区別に通じるなら、気分一新できる日でもある。

「春分の日」は、実際には昼の方が長くなっているそうだ。今日は朝から晴れて温く過ごしやすい。ここ数年の「春分の日」を振り返ってみると、晴れだった日が多く、寒い日は少しあったが、天気に恵まれている。

(本ブログ関連:「春分の日」)

こんな穏やかな日曜日は、桜の開花宣言が欲しい。東京の開花日を、Weathermapは3/19(土)、Weathernewsと気象協会は3/21(月)と予想している。その間をとって、今日なら按配よろしかったのではと願ったが、都内千代田区にある靖国神社の(桜の)標本木を、気象台職員が観察したところ、開花は明日に持ち越されたらしい。

温もりに誘われて、昼過ぎに地元公園に出かけた。都下、武蔵野台地(都心より1~2℃低い)ゆえ、桜の陽気に至っておらず、開花の気配もない。陽が陰り始めると、風に冷たさが増す。今年の「桜祭り」は、4月2日(土)~3日(日)、もう少し先とのこと。

ちなみに、公園内にある「江戸東京たても園」では、特別展「小金井の桜-春の江戸東京めぐり」を開催している。江戸東京の桜名所の賑わいを、浮世絵(主に歌川広重の作品)や、工芸品(手箱や印籠)などを使って紹介している。小金井桜については、徳川吉宗の代、武蔵野新田開発に伴い、小金井に桜を植えて名所にしたことを、江戸後期の「江戸名所図絵」や、明治末期の「風俗画報」など展示資料でうかがい知ることができる。

2016年3月19日土曜日

イ・ウンハ「春雨」

夕方までと予報された小雨が、昼過ぎ思いのほか早くあがった。気温も穏やかで、早春の厳しさはない。それでもストーブの温もりが、輻射が、赤外線が恋しくて、点けたり消したりする。本当にわがままなことだ。

春の雨には、濡れて寒いようで、それでも構わぬ、そんな気にさせるものがある。雨を忘れさせるものがある。イ・ウンハ(이은하)の「春雨(봄비)」(1979年、作詞:イ・ヒウ、作曲キム・ヒガプ)は、そんな春雨に再会を歌う。心を濡らす深くせつない旋律が、想いを手繰り寄せる、ハスキーボイスがたまりません。

(本ブログ関連:”イ・ウンハ”)


春雨に去ったひと、春雨に濡れて戻ったよ
あのときは、あの日には、笑って別れたが
今日このひととき、今日このひととき
あまりに惜しく
互いに涙で、窓を見るよ (あ~あ~あ)
春雨に戻ったひと、雨に胸濡らすよ

(以上繰り返し)


(Youtubeに登録のsoya iに感謝)

2016年3月18日金曜日

イ・ソンヒとイ・スンギの縁

イ・ソンヒとイ・スンギの師弟関係については何度も触れてきた。今回のイ・スンギの軍隊入隊(2/1)に際して、イ・ソンヒの反応を探しているが、今のところ、彼女の直接的な言葉は見つかっていない。

eスターの記事、「『特戦司令部』 イ・スンギ、どうしてイ・ソンヒの愛弟子となったのか?・・・『輝いて見えた青年』」(3/16、ハン・ウンス客員記者)は、イ・スンギの入隊に合わせて、イ・ソンヒがかつてMBCの「遊びにおいで」で語った師弟関係のいきさつを次のように紹介している。

いわゆる音楽プロダクション見られるアイドル育成システムとは違った、昔からの弟子と師匠の関係だったことがわかる。ちなみに、イ・ソンヒとイ・スンギの母親とは同年輩である。

(本ブログ関連:”イ・スンギ”)

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・歌手イ・スンギが、特戦司令部に自隊配置(自身の所属命令)を受けた中で、過去イ・ソンヒとの縁(인연)が再照明されている。

・イ・ソンヒは、過去放送されたMBC「遊びにおいで」に出演して、弟子イ・スンギとの初めての出会いについて伝えた。

・この日放送で、イ・ソンヒは、「大学路の(彼女が所有する)ライブ劇場で、高校生だったイ・スンギがバンド公演をしたいと訪ねてきた」と、「その当時も歌が上手かった。(劇場に)来た時から、輝いて見えた」と絶賛した。

・これに対し、イ・スンギは、「両親の反対のため、秘密にして行なった最後の公演だった」と、「リハーサル後所属事務所の社長の提案に基づいて行ったところ、隣室にイ・ソンヒ先生がおられた」と当時を説明した。

・続いて、イ・スンギは、「両親がイ・ソンヒ先生のファンで、歌を習うのを快諾した」と明らかにして笑いをさそった。

・以後、イ・ソンヒはイ・スンギを愛弟子として、一日3時間ずつ、1年6ヶ月の間一緒に歌を練習をしてきたことが分かった。

・一方、先月(2月)1日、忠南、論山訓練所に入所したイ・スンギは、6週間の訓練を終えて特戦司令部に自隊配置を受けた。

・特戦司令部は、大韓民国陸軍の特殊部隊で、陸軍のうちで最も訓練強度が高い所の中の一つと知られている。
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2016年3月17日木曜日

彼岸の入り2016

今日は、「彼岸」(3/20、「春分の日」)の3日前、「彼岸の入り」だ。寒さを感じさせない穏やかな一日で、近隣地の気温は何と、20.3℃(4月下旬並み、平年差+6.6℃、前日差+7.1℃)だった。通りで、過ごしやすく、ストーブもいらずに済んだ。

小学校の生垣に咲く、紫や白色の「沈丁花」の花は、日当たりによって違いはあるが、甘い香りを漂わせる。また、ある民家の通りに面した塀ぎわに立つ、「白木蓮」は、白く膨らんだ垂直の花を全身に、これ見よがしに青い空に飾り立てる。毎春、季節を楽しませてくれる花たちだ。

(本ブログ関連:”沈丁花”、”白木蓮”)

イ・ソンヒとキュヒョンの特急「ファンタスティック・デュオ」

中央日報の記事、「『ファンタスティック・デュオ』 イ・ソンヒ x キュヒョン、どこでも見られぬ歴代級デュオ誕生」(3/16、newsenファン・ヒェジン記者)は、SBS「ファンタスティック・デュオ」の初放送(4/17)前に、同番組スタイル(?)で行なわれた、イ・ソンヒとキュヒョン(규현)のデュエットを次のように紹介した。

(本ブログ関連:”ファンタスティック・デュオ”)

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・イ・ソンヒとキュヒョン(チョ・キュヒョン)が、息を合わせる。

・SBS側は、3月16日、「国民歌手イ・ソンヒとスーパージュニアのキュヒョンが、SBS『私の手に歌手 - ファンタスティック・デュオ」(以下ファンタスティック・デュオ/ファン・デュ)で会った」と明らかにした。

・先立って、イ・ソンヒは、最初のラインナップ歌手に確定され、大きな話題を呼んだ。これに対して、普段イ・ソンヒのファンを自任したスーパージュニアのキュヒョンが、(初放送より早く)「特急ファン・デュ」に登場して、「その中であなたに出会って」を一緒に歌った。

(本ブログ関連:”その中であなたに出会って”)

・キュヒョンは、この日公開されたデュエット映像で、「男性挑戦者のために男性バージョンを準備した」と、直接デュエットに挑戦し、特有の感性的なボーカルと繊細な表現力でイ・ソンヒと成功的デュエットコラボを成し遂げた。キュヒョンは、大先輩のイ・ソンヒの声を聞くやいなや感嘆したり、イ・ソンヒの励ましの(アナウンス)メントにはにかみながら、「今日、『ファンタスティック・デュオ』を通じて自分の生涯の願いを叶えた」と付け加えた。

・制作陣は、「これからキュヒョンをはじめ、数多くのスターたちが『ファン・デュ』に登場する」と、「視聴者の方にも、いつでも『ファン・デュ』になることができる」と、多くの期待と参加を呼びかけた。「日曜日が良い-Kポップスター5」の後続として、4月17日初放送される
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(Youtubeに登録のSMTOWNに感謝)

2016年3月16日水曜日

油井亀美也宇宙飛行士報告会

今晩、水道橋の東京ドームシティホールで、油井 亀美也(ゆい きみや)宇宙飛行士の報告会(「油井亀美也宇宙飛行士 国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在ミッション報告会 ~チームジャパンで挑んだ142日間の軌跡~」が開催された。久し振りに、後楽園(東京ドーム)に出かけた。

(本ブログ関連:”油井亀美也宇宙飛行士”、”ISS(国際宇宙ステーション)”)

昨年(2015年)7月23日~12月11日の142日間、ISS調査44次/45次に参加した、油井亀美也宇宙飛行士の話しを聞くことができた。会場は、2,000名を越える聴衆でいっぱいだった。トークセッションの場で、司会役(モデレーター)が、会場に世代をたずねたところ、20~30代が中心で、次が10代だった。念のために、10代以下もいますか問えば、ハ~イという可愛い声も反応した。また、クロージングで、JAXAの方から、来場者は女性が多かった(60%ほど)こと、インタネットライブ中継の視聴者が13,000名を越えることが紹介された。

さて、油井亀美也宇宙飛行士について。農家に生まれ、のんびりたした家風に育ったようで、普段から慌てることはなかったが、ISSに接近した「こうのとり」5号の把持の際に緊張したそうだ。冷静な宇宙飛行士でも。また、ISS内での生活で、毛細管現象を利用したコーヒーを飲んだことから、味わうことの他に香りの大切さに気付いたという。そのほか、いろいろな経験(地上とのTwitterl交換、写真撮影=台風の目など)を語られた。

(本ブログ関連:”「こうのとり」5号”、”こうのとり”)

ところで、油井氏は宙飛行士を受験する以前、航空自衛隊でテストパイロットをしていたときも、宇宙の夢を忘れがたかったところ、奥さんがそれを察して、肩を押してくれたという。そのことも含めて、言葉を飾ることなく、奥さんへの感謝が語られた。また女性の人気をあげたと思ったりした。

会場に、親に連れられた子どもたちが多数目についた。この子たちの頭上に、未来のランプが点いている。未来は明るい。


(追記)
・日米政府間で、ISS(国際宇宙ステーション)の2024年まで運用延長が決定されている。
・油井亀美也宇宙飛行士に続いて、① 航空会社(ANA)出身の大西卓哉(おおにしたくや)宇宙飛行士が、2013年11月の第48/49次の、② 海上自衛隊医官出身の金井宣茂(かないのりしげ)宇宙飛行士が、2015年8月の第54次/55次のISS長期滞在搭乗員に決定されている。

(追記)
上記「油井亀美也宇宙飛行士報告会」のもようがYoutubeに登録された。
(Youtubeに登録のelectに感謝)

2016年3月15日火曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 柳

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(3/9)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、別れを象徴する「柳」に関連した3曲を紹介した。

(本ブログ関連:””)

始めに、春に相応しい、緑美しく映える柳と飛び交う鶯が織り成す光景を次のように紹介された。
・春、緑陰芳草の季節。別れを象徴する柳について、韓国でも「柳を折る」といい、旅立つ人を見送ることを意味する。柳は、川辺に育つ生命力の強い木で、年中見られ、特に春に目立つ。枝が伸びて、緑の葉が生え、柳に春が来たことが分かる。昔の詩に、<柳の枝と、そのそばを飛び交う鶯の様子>を描いたものがある。柳を糸に、鶯を機織りの金具に、布を織る姿に例える。美しい緑の葉が、花より美しいという内容だ。

▼ 柳と鶯の詩を歌にした、女性歌曲「柳は(버들은)」の歌を聴く。厳かに洗練された歌い方。

次に、別れと留まる想いを象徴する、柳の枝にまつわる妓生洪娘(ホンラン、홍랑)の話しを次のように紹介された。
・凍った川の氷が溶けると、船が通れるようになる。それを待った人々も、遠く旅立つことができる。残る人々は川辺で見送るが、そこにも柳が目立つ。漢字の「柳(りゅう)」は、留まる意の「留(りゅう)」と、韓国語でも同じ発音だ。昔、旅立たずに留まって欲しいの意で、柳の枝を折って渡した。また、柳の枝は、何処にでも根をおろす。朝鮮時代の妓生洪娘は、恋人の崔慶昌(최경창)との別れに、柳の詩を作った。<柳の枝を、窓の近くに植えて欲しい、新しい葉が生えたら、自分だと思ってくれ>という。南への交通の要地だった忠清道天安地域には、別れを象徴する柳が多かった。民謡「天安三叉路(천안삼거리)」までできたほどだ。

▼ 民謡「天安三叉路」を聴く。様々な色彩を帯びた楽しくアレンジした今様の歌(アカペラ)。

最後に、中国河南省の都市の「洛陽の春(낙양춘)」を奏する宮中音楽について次のように紹介された。
・中国の洛陽は、古代から様々な王朝の首都として知られる。何と三千年以上の歴史を誇り、有名な遺跡地も多い。毎年4月に開かれる、牡丹祭りも有名だ。宮中音楽に、「洛陽の春」がある。高麗時代に中国から伝わった詩を歌にしたもの(詞楽)で、柳が登場する。<柳を見つめながら、旅立った人を想う>。中国の詩に、柳は別れを象徴するものだったようだ。

▼ KBS国楽管弦楽団の演奏「洛陽の春」を聴く。春の風のように穏やかに、軽やかに響く。

キム・ボエさんの可愛らしい言葉、「別れを象徴する柳ですが、昔の音楽にも色んな形で表れています。誰かを恋しく思うことは、時には辛いことです。でも、恋しい人がいるということは、幸せなことでもあると思います。」

2016年3月14日月曜日

寒い雨が続く

一日中小雨、とても寒い。桜の開花は来週、満開は月末という予想だが、そんな先行きを思いもできない。連日、ストーブをつけっぱなしでいる。

テレビで気象予報士が言った。この時期の雨を、花咲きを促す「催花雨(さいかう)」という。しかし、余りの寒さに詩情も湧かない。ところで、花が咲き冷えるのを「花冷え」というが、もう少し後のこと。

気温10℃以下が続く東京(都心)は、先週木曜日以来、今日を含めて5日目になる。気象協会によれば、「1985年4月7日まで(気温10℃以下)の8日連続以来、31年ぶりのブルブル続きです。」とのこと。道理で寒さが沁みる。

ついつい独り言して、この寒さにいらつく。

イ・ソンヒ「ひとしきり笑いで」

イ・ソンヒのコンサートで、彼女の代表曲「美しい江山」や「あぁ!昔よ」になると、客全員が立ち上がりペンライトを振って唱和するのに驚く。彼女が「国民歌手」といわれる由縁である。この曲には、彼の地のひとびとの感情を揺さぶるものがあるようだ。

同様であるが、歴史的背景をうかがわせる曲がある。「五月の陽射し(오월의 햇살)」と同じ、5集(1989年)に所収の「ひとしきり笑いで(한바탕 웃음으로)」(作詞作曲ソン・シヒョン)のときもそうだ。舞台に圧倒的に響き渡る軽快な彼女の声から、直ぐにその理由を推し量るのは(日本人の耳に)難しかった。

「ひとしきり笑いで」という曲名に暗喩すら気づかない。同じアルバム曲と合わせて、かつ歌詞から類推できないわけではないが、後付けの理解である。ただし、ひとつ気になることがある。彼女が常に(振幅のある)政治の本流と関わりを持ち続けることだ。他の歴史的な歌手と違った立ち位置にあることについてだ。国民歌手の地位を確立した現在、超越していて、杞憂だろうけど。

(本ブログ関連:”五月の陽射し”、”ひとしきり笑いで”)


ひとしきり笑いして、知らないふりをするには
この世界の若いため息が、あまりにも深くて
ひとしきり涙して、忘れてしまうには
この世界の若い傷跡が、あまりにも大きい

私は再び眠りたいだけ、子どもの頃のように夢の中で
私は再び夢を見たいだけ、ひたすら笑っていた子供の頃のように

若いため息、ため息が薄れる日、世界は本当に美しいよ
若い傷跡、傷跡が薄れる日、世界は本当に美しいよ

ひとしきり笑いして、知らないふりをするには
この世界の若いため息が、あまりにも深くて
ひとしきり涙して、忘れてしまうには
この世界の若い傷跡が、あまりにも大きい


(Youtubeに登録のAlejandro Kimに感謝)

2016年3月13日日曜日

イ・ソンヒ、SBS「ファンタスティック・デュオ」の事前収録

4月17日初放送のSBS「ファンタスティック・デュオ(판타스틱 듀오)」で、なんと一般聴取者がイ・ソンヒとデュエットできる。そんな幸運な機会にプレゼントされるのが、彼女のヒット曲「その中であなたに出会って(그 중에 그대를 만나)」だ。課題曲は、(スマホ)アプリ「エブリシング」で公開されている。

(本ブログ関連:”SBS「ファンタスティック・デュオ」”、”その中であなたに出会って”)

イ・ソンヒのパート部分を、事前に収録したYoutube映像で見ることができる。参加者を想定した、暖かく誉めて楽しませる様子がうかがえる。4月17日の番組を見たいものだ。

<「限定公開」の表示があったが・・・>
(Youtubeに登録のeverysingに感謝)

2016年3月12日土曜日

行ってみたかった、東大寺二月堂のお水取り

五行の要素でも、とりわけ「火」に強く反応する。日常、当り前のように火を操るが、火山の噴火、落雷や山火事で延焼する炎に超越した力を感じる。火は当たり前の、当たり前でない存在なのだ。

火は信仰につながる。護摩に火を焚いたり、山伏の火渡りがあったりする。宗教行事であり、習俗として身近に接するものがある。火は、神事であれ、仏事であれ、燃え継ぐことで永遠性を想わせる。

大晦日の夜、京都「八坂神社」の「をけら参り」で、火のついた縄をもらいうけ、消えぬよう縄を廻しながら帰宅する。学生時代、京都の知人の下宿を足場にして正月前後の行事を見て廻った。そういえば、火縄をぐるぐる廻す光景が記憶にないな。

今晩も行なわれる、天平勝宝4年(752年)以来の奈良「東大寺二月堂」の「お水取り」行事、「修二会」の大松明を見に3度出かけたことがある。二月堂の高い舞台から延びた大松明の火の粉が舞い散るのを人々は歓声をあげて見守る。かすかに火の粉が流れてきてもいとわない。春が来る喜びでもある。帰り道、甘酒売りがあって、冷えた体を温めたりする。行ってみたかった。

お水取りの行事に「達陀(だったん)の行法」があるが、この「達陀」の音に「韃靼」がイメージしてならない。

(素晴らしいお水取りのYoutube映像・音声、感謝)

(Youtubeに登録のsharakucorpに感謝)

2016年3月11日金曜日

(雑談) 時間に押される

時間は子どもにない。若いとき、それは遠くからやって来る、まるで向かい風のように。歳をとると、今度は後ろから追うように吹く。ネズミに似た小動物のレミングの群れは、隊列に押されて海になだれ落ちる。後戻りできない、そんな感じだ。

古典を読めというのは人生の鉄則。刹那を求める若者にはなかなか受け入れられないことだが。時間に熟してこそ、普遍性があるということに気付くのは、時間が足りなくなってのこと、遅すぎる。多摩川の川原で石ひろいする無能さも悪くない。

朝、夢を見てあわてた。午前8時に会議があるというのに、会議場のレストランでゆったりとモーニングコーヒーを飲んでいた。見知らぬ人に、時間だよといわれて、店の壁の掛け時計を見上げた。わが家のものと同じ時計だった。目が覚めて見た掛け時計は8時を指していた。

懐中時計を片手に持って、「なんてこと、時間がない」といいながら穴倉に走り込む。時間がトランプ一枚一枚のつながりでしかなく、手品師がカードを空にばら撒くようなことだってあるだろう。

なんだか今日は、変な一日だった。

2016年3月10日木曜日

イ・ソンヒ、SBS「ファンタスティック・デュオ」最初のラインナップ歌手確定!


SBS芸能>フォトスケッチ
SBSの4月17日初放送「ファンタスティック・デュオ판타스틱 듀오に、イ・ソンヒが最初のラインナップ歌手に確定したと、同番組のフォトスケッチ(3/10)に写真が紹介されている。・・・「歌手とファンが一緒に歌う幻のコラボレーション!」だ。

ネットの情報によると、一般の素人が歌手とデュエットできる!音楽番組のようだ。

電子新聞(전자신문)の記事、「イ・ソンヒ 【ファンタスティック・デュオ】合流、『ファン 歌手の配慮、国民歌手らしかった』」(3/10、ハン・ウンスク記者)は、演出(PD)者の口を借りて次のように報じている。

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・イ・ソンヒが「ファンタスティック・デュオ」に初めて合流した。

・来る4月17日初放送されるSBS「私の手に歌手 - ファンタスティック・デュオ」(以下、「ファンタスティック・デュオ」)の一番目のラインナップ歌手として歌手イ・ソンヒが合流した。最近、イ・ソンヒはヒット曲「その中であなたに出会って(그 중에 그대를 만나)」をデュエット・バージョンにして録音した。

(本ブログ関連:”その中であなたに出会って”)

・キム・ヨンウクPDは、録画後、「少女のような容貌も、実力も相変わらずだったが、ファンたちのために配慮する姿まで国民歌手イ・ソンヒらしかった」と同時に、「特に、録音をNG無しに一度に終えたが、音源を(そのまま)流したかと思った(ほど)」と感嘆したという。

・イ・ソンヒは、最近のヒット曲「その中であなたに出会って」をデュエット・バージョンで録音しており、来る11日の「ファンタスティック・デュオ」参加者応募の公式指定(スマホ)アプリ「エブリシング(everysing)」を通じて公開される。

・一方、「ファンタスティック・ デュオ」は去る元旦の特集パイロット(版)放送された。誰でも参加できる、国民との参加音楽ショーだ。去る元旦特集では、チャン・ユンジョン、パク・ミョンスなどが出演した。
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KBS WORLD「国楽の世界へ」 春

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(3/2)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、春が感じられる3曲を紹介した。

始めに、黄秉冀(황병기, 1936年5月31日~)の、1963年初演の伽椰琴独奏曲「森(숲)」について次のように紹介された。
・韓国の新学期は3月2日から。正月と旧正月を過ぎ、ようやく新しい年の始まる感がする。寒い中、春を期待する曲に、黄秉冀作曲・演奏の伽椰琴独奏曲「森」がある。初めて伽椰琴を奏した「于勒(우륵)」の記念音楽会(1963年)で初演した。宮中音楽と民族音楽を結合した曲と評される。第一楽章「緑陰(녹음)」、第二楽章「郭公(뻐꾸기)」、第三楽章「雨(비)」、最後「月光(달빛)」。緑陰の森を水彩画のように描く。

▼ 伽椰琴演奏で第二楽章「郭公」、第三楽章「雨」を聴く。遠く長閑に鳴く郭公と、雨走る様子を描写する。

次に、中国唐代の詩人李白の詩を引用したという短歌(단가)「竹杖芒鞋(죽장망혜)」について次のように紹介された。
・春風吹き始める頃、心が踊り旅に出たい思いがする。気持ちだけ先走り、現実は厳しく、仕事や経済的にも余裕ない。昔、「竹杖芒鞋、単瓢子(단표자)」の表現を使った。竹の杖と草鞋、水や酒を持ち運ぶヒョウタンの意だ。簡単な装いで旅を象徴し、すぐにでも出かけられる気がしたかも知れない。短歌、「竹杖芒鞋」は、パンソリを始める前に、歌い手が声を整えるために軽く歌う曲だ。中国唐代の詩人李白(李太白、이태백)の詩を引用して、美しい景色を歌っている。

▼ 伽椰琴演奏と歌の「竹杖芒鞋」を聴く。声をならす短歌か、千里江山の長い旅路なのか、ゆるり進む感じする。

最後に、京畿地域の十二雑歌中、最も美しい歌と挙げられる「遊山歌(유산가)」について次のように紹介された。
・昔、農村で、春と秋に村単位で旅した。春と秋は過ごしやすく、自然が最も美しい。一方、農作業に最も忙しい時期でもある。繁忙期前や、稲刈りなど終えて後、旅に出る。遠方でなくても、普段の生活を少し離れる楽しさがあった。雑歌の「遊山歌」は、春、山に遊ぶ風習を歌う。花がきれいに咲き、城も春らしくなったの意の詞から始まる。全てが眠りから覚める季節、みなで山や川へと遊びに出かけようという歌だ。

▼ 京畿地域の雑歌「遊山歌」を聴く。大らかに喉を鳴らすリフレインが何とも大陸の香りがする。

2016年3月9日水曜日

今日のWindows Updateは時間がかかった

朝一番、PCを起動したら「Windows Update」メッセージが表示された。「スタート」ボタン経由で「Windows Update」を実行したが、これがまた時間がかかって・・・途中キャンセルしたものだから大変なことになった。一日中、PCの動作が遅くなったのだ。

「タスクマネージャー」で、CPU使用率100%が続く。放って置き、シャットダウンしたところ、Windows Update更新中なので電源を落とさないよう表示があった。ようやく電源が落ちて、再度電源を入れたところ、正常に動作するようになった・・・。

ムムム、これだけじゃなかった。まだあったよ。一体どれだけ時間をかければいいのか?

今回のUpdateはヘビーだ。

2016年3月8日火曜日

新曲はいつ頃?

イ・ソンヒの最近のアルバム・リリース間隔を見ると、4年ないし5年ある。
・2001年3月26日 12集「My life +Best」
・2005年4月14日 13集「四春期」
・2009年2月25日 14集「愛よ...」
・2014年3月26日 15集「セレンディピティ」

また、最近のコンサート間隔を見ると、2年ないし3年ある。
・2004年 20周年記念、
・2006年 22周年記念、
・2009年 14集記念<招待>、
・2011年 <五月の陽射し>、
・2014年 30周年記念<歌うイ・ソンヒ>

そこで、アルバム・リリースとコンサート開催が同年だった2009年を例にすると、その次のアルバムは5年後、コンサートは2年後だった。同様に時期が重なった2014年を起点として想定すると、今年当たり、何かが期待できないだろうか・・・多分、本年末頃に、来年の計画が発表されることになるのだろうけど

もしかして、来日はないだろうか。

(本ブログ関連:”イ・ソンヒの日本公演”)

2016年3月7日月曜日

(雑談) 過去10年間で韓国人に最も人気のあった小説家

東亜日報の記事、「ベルナール・ウェルベル、10年間韓国で最も愛された小説家」(3/3)は、ソウル大手書店の教保文庫が発表した「私たちが愛した小説家」(2/19)のレポートを次のように要約して報じた。(抜粋・加工)

上位をフランスと日本の作家が占めているのが特徴。フランス作家のB.ウェルベル、G.ミュッソともに日本での人気はいかがだろうか。ジャンルに(日韓読者の)好みの違いがあるのかもしれないが、専門家の評論を聞きたいところだ。
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・フランス作家「ベルナール・ウェルベル」(베르나르 베르베르、Bernard Werber)が、この10年間韓国で最も愛された小説家であることが分かった。

・<教保(キョッポ)文庫>は、2日、2006年から昨年(2015年)まで小説分野の累積販売量を分析した結果、
① 「蟻」、「脳」、「木」などの「ウェルベル」(仏)の本が最も多く売れたと明らかにした。
② 「村上春樹」(日)
③ 「東野圭吾」(日)
④ 「7年後」、「セントラル・パーク」などを書いたフランス作家「ギヨーム・ミュッソ(Guillaume Musso)」(仏)は4位だった。

⑤ 「申京淑(シン・ギョンスク)」(韓)が5位になり、
⑥ 「金辰明(김진명、キム・ジンミョン)」(韓)6位、
⑦ 「孔枝泳(공지영、コン・ジヨン)」(韓)7位が後に続いた。
⑧ 「パウロ・コエーリョ」(ブラジル)、
⑨ 「趙廷來(조정래、チョ・ジョンレ)」(韓)、
⑩ 「ジョアン・ローリング」(英)

・1981年から35年間、年間小説ベストセラー20位を分析した結果、計700の作品がリストに上った。
① 最も多いベストセラーを出した作家は、「李文烈(イ・ムンヨル)」だった。「若き日の肖像」、「ひとの子」、「墜落するのは羽がある」など13作品が23回ベストセラーになった。
② 2位は「村上春樹」で、「ノルウェイの森」、「1Q84」など7作品が21回ベストセラーリストに入った。
③ 3位は「コエーリョ」だった。
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教保文庫発表 <10 年間の累積販売作家の順位/作家名/国籍>


(付記)
ネットで、B.ウェルベルの「蟻」三部作を求めたが、揃うと随分と厚い・・・時間もあることだし。

(追記)
朝鮮日報、「【社説】一冊でも本を読んだ人(成人19歳以上)が65%にしかならないなんて」(3/8
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・文化体育観光部が発表した「2015年国民読書実態調査」で、昨年一冊でも一般的な書籍を読んだ人の割合である成人読書率が65.3%に過ぎなかった。
・現在28.2%に過ぎない大人の公共図書館の利用率・・・
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なお、「2015年国民読書実態調査」に付表の、2013年OECDの「平均読書率」調査(21カ国、15歳以上の国民のうち1年に1冊以上の本を読んだ人の割合<電子書籍と漫画を含む>)では、74.4%となっている。

2016年3月6日日曜日

イ・ソンヒの「ライラックが散るとき」

ライラックは、主に紫色した厚い花弁の群集する、春に咲く花だ。紫色といえば、紫水晶の濃紫色は宝石に使われる。ややもすると、そんな感じがするが、その分情熱的ともいえる。どちらかといえば、洋風の雰囲気がする。

イ・ソンヒに、シンガーソングライターとして初めて発表できた曲と語った、10集所収の「ライラックが散るとき(라일락이 질때)」(1996年)がある。この曲を本ブログで何度も取り上げたが、先日の新年会の席で歌詞について、一部助言をいただいたので次に記す。(主人公=女性の本音の表現が難しい)

(本ブログ関連:”ライラックが散るとき”)


さよならという言葉は
私にただ一度も語らなくても
私は気付いていた
もう再び会えないことを

*変わっていくあなたの心が
私に鋭い跡を残しても、会いたいのは
未練が残っているのよ
もう 私の胸から逃れているね

振り返えらないで、わたし切なくて
何にしても、見つめないで
思い返さないで、もうあなたの人生で
私と一緒だったその記憶を
二度と触れられないでしょう
暖かいあなたの体温を

(*以下繰り返し)

二度と触れられないでしょう
暖かいあなたの体温を

(Youtubeに登録のKim Dong-Hoに感謝)

(付記)
群集の中の花ひとつだけ見れば、なんとなく沈丁花にも似ている気がする。ネットに確認すると、そんな感想もちらほらあって納得。沈丁花の香りは記憶にあるが、はて、ライラックの方はどうだったか?

(付記)
イ・ソンヒの詩に、「マックス・ミュラーの『ドイツ人の愛』を読んで」があって、ドイツ文学に興味を持っていたと推測したい。空想を膨らませて、ライラック頼りに探すと、W.ラーベ(1831年~1910年)の「ライラックの花」(谷口,泰)がある。「石さまざま」のA.シュティフター(Adalbert Stifter, 1805年~1868年)に連なる作家だ。

2016年3月5日土曜日

啓蟄2016

今日は二十四節気の「啓蟄」。人間はとっくに春の装いをしているが、冬にこもった虫が這い出る候だ。昼間、陽気に任せて、身軽に出かけたが、結局夕方は厚手に着がえる。それも、15℃前後に過ぎないというに、わがままなこと。まるで、虫が顔を出したり引っ込めたりしているよう。

(本ブログ関連:”啓蟄”)

今夕、昔の仲間たちと新年会(3月5日であるが)に集う。宴は、いつもの場所、いつものメンバーで会話を楽しむ。二次会?にも、おじさんの立場を省みず参加する。話しも尽きず、あっというまに時は過ぎた。皆さんに感謝。

2016年3月4日金曜日

(雑談)ランドセル人気

韓国の小学校の年度は、3月1日から翌年2月末までだそうだ。ピカピカの一年生は、どんな姿で登校したのだろうか。一般にリュックのような、キッズバッグと呼ばれたりする、子供用背負いカバン(책가방)が主流のようだ。そこに、日本製ランドセルも人気が出始めていて、しかも高級品、高価格という。

では、日本製ランドセル人気の実態はどんなものだろうか。朝鮮日報の記事、「【NOW】 小学生のカバンが70万ウォン…それもなくて売ることができず」(3/1、シン・スジ記者他)は、次のように紹介している。(抜粋)
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・20万ウォン~100万ウォンする高級品化「プレミアム背負いカバン」が飛ぶように売れ、「一部の店舗展示用在庫以外に品物がない」という。
・国産(韓国)の子供用背負いカバンだけでなく、高価な外国製のものも一部で人気を集めている。代表的なのが日本製「ランドセル(randsel)」である。革製の箱形であるこのカバンは、一つ30万ウォンから100万ウォンまである。
・ある小学校教師は、「1クラスに、2~3人程度は日本製ランドセルを持つ・・・」。
・このような現象は、「一人っ子家庭」が多くなって、両親の間に「私の子供にだけは良いものを与えたい」という認識が広がったためという指摘だ。
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ところで上記記事で、高価格な背負いカバンのブランドとして、「ビーンポール(BEAN POLE)」が挙げられている。このブランドについて、その由来を調べてみた。

KONESTは、「韓国を代表する英国風ファッションブランド」である「ビーンポール」ブランドについて、日韓の大手企業が絡んでいることを次のように紹介している。(抜粋)
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・自転車に乗った紳士がトレードマークの「BEAN POLE(ビーンポール)」は、サムスン・グループの素材・衣類部門「第一毛織」が1989年の誕生以来展開する、韓国のトラッドカジュアルブランド。

・「BEAN POLE」の名づけ親は、何と日本の大手広告会社「電通」!
・「BEAN POLE」は、「豆のつる」。豆の特産地である米国・ボストンの古風で伝統的なイメージが、ブランドコンセプトである「トラディショナル」とマッチすることから決まったそう。
・一方、トレードマークは、当時のデザイン長が悩みに悩んだ末、英国紳士のライフスタイルからヒントを得て、「紳士と自転車」を組み合わせた現在のマークが誕生した。
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(付記)電通発表 「2015年 日本の広告費

2016年3月3日木曜日

桃の節句

今日は「(桃の)節句」で、「雛祭り」の日である。節句の、3月3日は女の子の日、5月5日は男の子の日、そして7月7日は主に子どもが星に願う日だった。子どもたちの健康と平安を祈る日でもある。

雛祭りに、桃の花は欠かせない。室内で飾る桃は、桜よりも薄紅がまさって愛でたさも増し、幼い女の子によく似合うようだ。その桃の花が一面に咲いているのを、甲州の盆地に眺めたことがある。まさに、「桃源郷」を想わせるものだった。明るい陽射しに照らされた桃の花弁は、白く照り輝きもあって、ひな壇に飾られたものとはちがう趣があった、圧巻だった。

(本ブログ関連:”雛祭り”、”桃源郷”)

先日、招き猫像の並ぶ豪徳寺に行った。この寺が、彦根藩主の井伊家菩提寺であったことから思い出した。その昔、桃の節句、雛祭りの日に、江戸城へ登城する井伊直弼の一行が襲撃された。安政7年3月3日(旧暦)のことだ。このとき、牡丹雪が降っていたことは、映画などでもよく知られる光景だ。考えてみれば、雪景色の真っ白な江戸城下と、雛壇の赤い毛氈が対比する桃の節句であった。

桜田門外の変は、西暦では1860年3月24日になる。(今日から)20日近く後に降雪したことになる。ところで、桜については、今年の開花時期は、3月25日ころと予想されている(ウェザーマップ「桜開花予想」)。

こんなめでたい時期に発生した、桜田門外の変は、歴史の裏話で語られるように、その惨劇は凄まじいものだったという。

2016年3月2日水曜日

イ・ソンヒの「見知らぬ海辺で」

冬も今日までのようだ。昼下がり、通りに吹く風に春を気付いた。これからは、夜道に漂う香りに驚き、沈丁花の花を探すことになるだろう。気象でいう春は今月からだ。

昔、風が頬をなでる春に、海辺にタイドプール(潮溜まり)を探した。そこに取り残された生き物たちがいる。水底をじっとながめて離れようとしない子どもたち。空高く浮かぶ鳶の姿がまぶしい。やっぱり、温いのはいいな。春になれば行動範囲も広がる。

ところで、海辺は切ない想いを慰めるところでもある。イ・ソンヒの11集所収の「見知らぬ海辺で(낯선 바닷가에서)」(1998年、作詞イ・ジェギョン、作曲バク・セジュン)は、実らぬ想いを海に投げる。波音は癒し、潮風は抱擁してくれる。子どもとおじさんには無縁かもしれない、若者だけの海辺があるようだ。

(本ブログ関連:”見知らぬ海辺で”)


あなたを全て忘れるため、ここまで来たのよ
空が、青い海と出会う場所に

一つずつ思い出を取り出して、もう二度と私の心に込められぬよう
そう、あなたを私も捨てたくて、私のこころから去ってよ (ha~)

たとえ、こんなに、あなたを押しやってみても、戻ってくる
白い波のように、もう一度探しに来て

あなたもまた心に、まだ私がいるのなら、私に帰ってきて
昔のように、私を愛してよ
           _______

一人残った時間は、恐ろしい沈黙になってしまって
たとえ私がいやだといっても、別れのときだったの (ha~)

この世の全ては、あなたから始まって、あなたがいない
私の現実という、深い悪夢だけよ

帰ってきて、私のそばに、私の手を握って
私の息が尽きるその日まで、あなたを待っているわ (ha~)

(Youtubeに登録のlys2187に感謝)

2016年3月1日火曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 済州島

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(2/24)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、最も早く春が訪れる馬の島「済州島(제주도)」に関連した3曲を紹介した。

(本ブログ関連:”済州島”、済州島の歌手”キム・ヒジン”)

始めに、鮮後期の実学者、朴趾源(박지원、1737年~1805年)の小説「許生伝(허생전)」について次のように紹介された。
・昔、学者ソンビ(선비)は、髪を「サントゥ(상투)」の髪型に結い、馬毛(たてがみや尾)で作った、網状の「網巾(망건)」で乱れ毛をまとめ、冠の「カッ()」をかぶった。馬といえば済州島だ。朝鮮後期の朴趾源の小説「許生伝」に馬毛の話がある。主人公の許生が金を借り、奇抜な商法で10倍にして返す。彼は、馬毛不足で値上がりを見越し、済州島で買いあさる。数年後に誰もまげを結い上げられなくなるだろうと言う。やがて、網巾の値段は10倍の高値になる。済州島の女性は比較的暇な冬に、陸地の女性が機織りするように、網巾を編んだ。そのとき、身上の愚痴をこぼしたり、姑の話などの内容のうたを歌った。

▼ 済州島の「網巾の歌(망건 소리)」を聴く。労働の歌らしく、先に歌い後に唱和し繰り返す素朴さが素晴らしい。

次に、済州島の春を歌う「あなたと私と(너영나영)」について次のように紹介された。
・済州島では、冬もミカンの木に葉が付き、ツバキや様々な花が咲く。暖かくエキゾチックな雰囲気が漂う所だ。今、二十四節気の「雨水」や「啓蟄」と春めく。済州島は最も早く春が訪れる。そろそろアブラナの咲く時期だ。でも春は、自然よりも、若い男女の心に先に訪れる。済州島民謡に、「ノヨンナヨン」がある。済州島方言で、「あなたと私と」の意だ。朝には腹を空かせた鳥がさえずり、夜には恋人を恋しく思いながらさえずるという歌詞。多くの国楽の歌い手にリメイクして歌われる。

▼ 歌とカヤグム演奏による、「あなたと私と」を聴く。軽快で爽やかに今様のリズムして歌う。

最後に、「龍天剣(용천검)」を持った男性に恋心を抱くという済州島独特な愛の歌について次のように紹介された。
・済州島は陸と遠く離れたため、長く冷遇を受けた。済州島の人々は、国の許可なしに陸地に入れなかった。政治家が罪を犯したとき、島流しになる場所でもあった。そのため、済州島の人々は近代に至るまで、彼ら固有の生活を維持してきた。その独特な文化は、一方で傷を、もう一方で豊かな文化を表す。また、済州島には「龍天剣」という、天下一の刀にまつわる独特な愛の歌がある。みすぼらしい出で立ちの男が登場するが、龍天剣を持ち普通の人でない。その剣を見た女性が、密かに恋心を抱く内容だ。

▼ 「龍天剣」の歌を聴く。済州島の特異な地理的位置を感じさせる独特な響きと大らかさを、今様にして感じさせる。