KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(3/2)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、春が感じられる3曲を紹介した。
始めに、黄秉冀(황병기, 1936年5月31日~)の、1963年初演の伽椰琴独奏曲「森(숲)」について次のように紹介された。
・韓国の新学期は3月2日から。正月と旧正月を過ぎ、ようやく新しい年の始まる感がする。寒い中、春を期待する曲に、黄秉冀作曲・演奏の伽椰琴独奏曲「森」がある。初めて伽椰琴を奏した「于勒(우륵)」の記念音楽会(1963年)で初演した。宮中音楽と民族音楽を結合した曲と評される。第一楽章「緑陰(녹음)」、第二楽章「郭公(뻐꾸기)」、第三楽章「雨(비)」、最後「月光(달빛)」。緑陰の森を水彩画のように描く。
▼ 伽椰琴演奏で第二楽章「郭公」、第三楽章「雨」を聴く。遠く長閑に鳴く郭公と、雨走る様子を描写する。
次に、中国唐代の詩人李白の詩を引用したという短歌(단가)「竹杖芒鞋(죽장망혜)」について次のように紹介された。
・春風吹き始める頃、心が踊り旅に出たい思いがする。気持ちだけ先走り、現実は厳しく、仕事や経済的にも余裕ない。昔、「竹杖芒鞋、単瓢子(단표자)」の表現を使った。竹の杖と草鞋、水や酒を持ち運ぶヒョウタンの意だ。簡単な装いで旅を象徴し、すぐにでも出かけられる気がしたかも知れない。短歌、「竹杖芒鞋」は、パンソリを始める前に、歌い手が声を整えるために軽く歌う曲だ。中国唐代の詩人李白(李太白、이태백)の詩を引用して、美しい景色を歌っている。
▼ 伽椰琴演奏と歌の「竹杖芒鞋」を聴く。声をならす短歌か、千里江山の長い旅路なのか、ゆるり進む感じする。
最後に、京畿地域の十二雑歌中、最も美しい歌と挙げられる「遊山歌(유산가)」について次のように紹介された。
・昔、農村で、春と秋に村単位で旅した。春と秋は過ごしやすく、自然が最も美しい。一方、農作業に最も忙しい時期でもある。繁忙期前や、稲刈りなど終えて後、旅に出る。遠方でなくても、普段の生活を少し離れる楽しさがあった。雑歌の「遊山歌」は、春、山に遊ぶ風習を歌う。花がきれいに咲き、城も春らしくなったの意の詞から始まる。全てが眠りから覚める季節、みなで山や川へと遊びに出かけようという歌だ。
▼ 京畿地域の雑歌「遊山歌」を聴く。大らかに喉を鳴らすリフレインが何とも大陸の香りがする。