きのう(1/13)の「成人の日」について記したブログの末尾に、江戸の美人として有名だった「笠森お仙」(1751年:宝暦元年~1827年2月24日:文政10年1月29日)について触れた。お仙は、現代風の成人にあたる20歳近くに嫁いだことになると記した。むかしの「嫁入り時」の16~17歳より少し歳を経てのことかな。
そこで、彼女が働いた水茶屋が笠森稲荷社のそばだったことから、稲荷に関連して触れてみたい。以前から、キツネと関わりのある「九尾の狐」から「稲荷信仰」へと興味が広がり、かつ近在の稲荷神社が「笠森稲荷」系であることを知り、興味が尽きない。
江戸の時代、谷中の福泉院境内に笠森稲荷社があった。門前に水茶屋「鍵屋」があり、「明和三美人」の一人として知られる美貌で話題になった <看板娘> の「お仙(笠森お仙)」がいた。当時のブロマイドにあたる「錦絵」(浮世絵の中で多色刷りの絵)に、鈴木晴信作の「お仙茶屋」がある。すっきりして柔らかな眼差しと、細身の着物の裳裾から足袋を履いた足先をのぞかせている。
鈴木春信「お仙茶屋」(Wikipedia) |
ネットに、お仙の賛歌ともいえる「小唄」があり、Youtube映像もあるので見てみよう。
■ 東京小唄・清元・三味線教室
歌詞集「笠森おせん」
https://kiyuumi.com/archives/2014/10/post_833.php
----------------------------------------------------------
鐘一つ売れぬ日もなし* 江戸の春 花の噂の高さより
土の団子の願事(ねぎごと)を かけた渋茶の おせん茶屋
あたしゃ見られて恥ずかしい 掛行燈(かけあんどん)に灯を入れる
入相(いりあい)桜ほんのりと 白きうなじの立ち姿
春信**描く一枚絵
朧(おぼろ)夜や 木の間にゆらぐ ぼんぼりの 灯影(ほかげ)まばゆき櫻花
手拍子打てば ちらちらと 散るを惜しまん 春の宵
----------------------------------------------------------(*)鐘: 滅多に売れないものでもあるが、それも毎日売れる
(**)春信: 鈴木春信
■ Youtube(登録:春日とよ栄芝(栄芝)- トピック)
舞踏小唄「笠森おせん」(春日とよ栄芝)
https://www.youtube.com/watch?v=gXKq8WS3C6c