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2020年6月14日日曜日

(資料)都会に棲む「キツネ」の「自己家畜化」現象

ビジネスインサイダーの記事に、都会(ロンドン)に棲む「キツネ」が「自己家畜化」現象を起こしていると次のように紹介している。(抜粋)
新たな研究により、都会のキツネは田舎のキツネよりも、鼻が太くて短く、頭蓋骨が小さいことが明らかになった。
・このような変化は、他の野生動物が家畜化する過程で生じた変化と似ている。
・これらのキツネは都会の環境や人間との接触に合わせて「自己家畜化」しているのだろうと、研究者らは考えている。

「都会のキツネの頭が小さくなった…イヌやネコが家畜化したときと同じように」(Holly Secon、6/11:翻訳:仲田文子)
(https://www.businessinsider.jp/post-214241)
(原文 https://www.businessinsider.com/city-foxes-have-smaller-skulls-similar-to-dog-domestication-2020-6)

(本ブログ関連:”キツネと家畜化”、”キツネ ”)

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都会に住むキツネは、田舎に住むキツネと比べて明らかに違う特徴があることが、新たな研究でわかった。

6月3日、グラスゴー大学の研究者らがイギリス王立協会紀要(Proceedings of the Royal Society B:生物学関連)に発表した論文*により、ロンドンのキツネの鼻は田舎のキツネよりも、太くて短いことが示された。さらに、都会のキツネは、頭蓋骨の脳を収める部分が小さく、オスとメスの体格に極端な差は見られなかった

(*) https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rspb.2020.0763

このような変化は、これまでにも見られたことがある。イヌやネコが2万年から4万年前に家畜化されたときと似ているのだ。研究の結果、都会のキツネは人間活動との接触が増えたことで、「自己家畜化(self-domesticating)」している可能性があることが分かった。

ダーウィンの「家畜化症候群」

研究では、ロンドンと周辺の田園地帯からアカギツネのメス57体、オス54体分の頭蓋骨を採集し、分析した。

ロンドンのキツネは明らかに、短く太い鼻で、頭蓋骨の脳を収める部分が小さい。これは、都会で食べ物を探すことに適応したものだと研究者らは考えた。都会のキツネはほとんどが人間の残飯をあさっているため、骨をかみ砕く強力な咀嚼力は必要としないといった理由からだ一方、田舎のキツネは、獲物に素早くかみつくことができる顎が必要だ

このようなアカギツネに見られる都会への適応は、これまでにも人間との接触が多い動物の間で観察されてきたという。チャールズ・ダーウィンは、これを「家畜化症候群(domestication syndrome)」と名付けた

家畜化は、動物のさまざまな種に対し、同じような変化をもたらす。従順な態度毛の色の変化脳や歯のサイズの小型化幼少期の行動の長期化頭蓋骨が短くなるといった頭蓋顔面の変化などだ」と研究者は論文に記している。

このような変化は、ヤマネコなどの野生のネコとペットのイエネコオオカミとイヌの違いとして観察できる。

シベリアで現在も続いている実験でも、同じような変化が見られたこの実験では1959年からロシアの研究者が、攻撃性の低い個体を交配することで、イヌのように従順なギンギツネを作り出そうとしてきた実験の進行とともに、ギンギツネは攻撃的な行動が減少し、鼻は短く、太くなり耳は垂れ下がりイヌが吠えるような声を出すようになった

これらの類似点が示唆するのは、場所が違ったとしても、キツネは人間との接触によって同じような影響を受けるということだ。イヌにもそれが当てはまるという動物学者もいる。イヌはこれまでの歴史で、さまざまな文化圏において何度も家畜化されてきた。

だが別の説では人間が積極的にイヌを家畜化したわけではなく、イヌが自らを人懐っこいオオカミとして家畜化し、古代の人間と互いに有益な関係を築いたとしている

ロンドンのキツネも、このような「自己家畜化」のプロセスをたどり、人間の生活環境の中でよりよく暮らすために進化しているようだ都会のキツネが交配する集団は小さく孤立しているので、都会生活により適応した個体の方が、生き残り、繁殖する可能性が高まる。そうして進化のプロセスが比較的早く進むことになる。
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以下「都会のキツネのメスが、適応のカギを握る」といった、メスの行動(適応)から家畜化が進むといった仮説を紹介しているが省略する。

(追記)Wikipedia「Domesticated red fox」によると
シベリアでのキツネの家畜化実験の開始(1959年)に使われた個体群が、実はカナダで1800年代後半から捕らえられ、目的を持って飼育されていた(家畜化した)ものだったというレポートが「Cell Press」の次の記事にある。
(https://www.cell.com/trends/ecology-evolution/fulltext/S0169-5347(19)30302-7?_returnURL=https%3A%2F%2Flinkinghub.elsevier.com%2Fretrieve%2Fpii%2FS0169534719303027%3Fshowall%3Dtrue)

(追記)キツネの家畜化についての紹介番組(NHK「 オオカミはこうしてイヌになった」、2011年)
シベリアの家畜化実験場を訪れた生物学者の福岡伸一氏と本テーマの研究者リュドミラ・トルート氏との対談を通じて、「エピジェネティクス」へと展開する。
https://www.veoh.com/watch/v21231383XnzrX38D

2017年2月23日木曜日

キツネにかかわる伝承の分布

キツネは、日本人にとって身近な生き物で、昔話や「稲荷神社」などの伝承で知られた存在だが、欧米では狡猾な害獣として扱われているようだ。英国貴族にいたっては、スポーツ感覚でキツネ狩り(Fox hunting)を楽しんだ。

(本ブログ関連:”稲荷神社”)

欧米人にとって、てなづける対象でもないキツネたちを、日本で飼育している場所がある。東北、宮城県白石市の「宮城蔵王キツネ村」がそれだ。来日の欧米人観光客に、(キツネと親しむ)驚きと日本旅行の話題(思い出)となっている。(以前、同施設に興味・関心があって、私も一度行って見たいと思ったことがあるが・・・)

ロシアには、学術的な目的で、キツネの家畜化*を(オオカミからイヌが家畜化したのと対照して)研究している施設があるという。上記「キツネ村」は、放し飼いの観光施設といったところだろうけれど。
(*)家畜化:ナショナルジオグラフィック誌「特集:野生動物 ペットへの道」(2011年3月号)

ところで、中高年のおじさんたち中心に読まれている、<山にまつわる不思議な話や体験談を集めた>書籍「山怪(さんかい)」(田中康弘著、山と渓谷社)があり、ネットで書評をよく見かける。(図書館でも人気で、いつも貸し出し中である)

YOMIURI ONLINE(読売新聞)の記事、「日本の山には『何か』がいる! ・・・ 続く『山怪』ブーム」(2/17、伊藤譲治)は、著者とのインタビューを通じて、山での怪異を演じるキツネとタヌキの地理的分布(特性)を次のよう紹介している。
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・(著者が)日本各地を回って分かったのは、北に行けば行くほど、狐に関する話が多くなるということ。西に行くほど狐の影響が薄れる。なぜか四国はほとんどが狸の話で、狐は出てこないのだという。「山怪は、姿は確認できないが、音のみ、気配のみという場合が多い。目に見えないもの、何だか分からないものは身近なもののせいにしてきた。狐や狸は山では身近な存在だから、狐や狸のせいにしてきたのではないか」と推測。「山の怪異は、現象ではなく心象だと思う。脳内に浮かび上がる風景だと思うが、その風景を浮かび上がらせる何かが、間違いなく山にはある」と語る。
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「日本動物民俗誌」(中村禎理著、海鳴社、1987年)は、キツネの信仰の代表である「稲荷神社」の分布が東北日本に偏在していることを次のように解説している。
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・山の神に関連していえば、キツネは同じく山の神に帰属するサルと対抗するもので、稲荷神社は東北日本に多く、後者(サル)につながる日吉(日枝)神社は西南日本に多いという。
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2018年11月20日火曜日

狐(キツネ)と人と北海道

北海道のキツネといえば「キタキツネ」を思い出す。私の若いころ、フィールドに入ってキタキツネを観察した獣医師がおり、結果としてキタキツネの写真家となった竹田津実氏の写真集がなつかしい。当時、キタキツネはブームになり、親子のふれあい、幼い子キツネの成長など原野をバックに美しい写真におさまっていた。

(本ブログ関連:”キツネ”)

そのころからキタキツネに一種ロマンのようなものがあった。「キツネ」は、ヨーロッパや日本の民話に見られるような、ずるくて人をだますといった生き物ではなく、いってみれば、自然保護の指標として、動物愛護の先鞭となったのかも知れない。

インバウンドで、欧米人の観光客が増えて訪れるという「キツネ村」が東北にあって、今の時代だからだろう、やたら愛情いっぱい接して自撮りする様子をテレビなどで目にする。本来野生の動物であり、人間と敵対していた関係なのに不思議な光景だ。ロシアの実験で、キツネの飼育(家畜化)を繰り返すと、中にイヌのような毛並みに変わり、色違いの模様をするものが出現して、人になつくという。飼育者に、愛されることを無上の喜びにするという。

(本ブログ関連:”キツネにかかわる伝承の分布”、”(雑談) 狼 ⇒ 犬、狐 ⇒ ?”)

ところで、山の神信仰について、東北へ行くほど「稲荷信仰(稲荷神)」が多いという。書籍「山怪」(田中康弘)によれば、北(=東北)へ行くほどキツネの話題(怪異譚)が同様に多いそうだ。その「山怪」シリーズの「参」に、北海道の場合を次のように説明している。
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北海道では狐に類する話はほとんど聞くことが出来ないようだ。キタキツネは悪さをしないのだろうか。
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(本ブログ関連:”稲荷信仰”)

北海道とお稲荷さんの関係について、朝日新聞に、米作普及の歴史的観点から説明した記事「神仏編 狐とお稲荷さん」(2017年2月24日、文と写真・塚田敏信)がある。同社らしい表現もあるが、時代経過からそうだろという感がする。(抜粋)
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稲荷を追っていたら気になることが出てきた。道内で稲荷神社の名が多いのは、道南から日本海を北上するラインと胆振日高などの沿岸部。つまり海沿いの町なのだ。稲荷の原点は“田”。なのに現在稲作が盛んな空知や上川にはむしろ少ない。どうしてだろう

水田が北に広まったのは開拓からしばらくしてのこと。それらの土地では別の神がまつられ、稲荷が根づいたのは、比較的早い時期に和人が入った海沿いの地域だった。思わぬところからも見えてくる北海道の姿。だからまち歩きは面白い。
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2025年3月29日土曜日

(資料)キツネに化かされる話(怪異・妖怪伝承データベース)

むかし、お天気キャスターとして知られた、倉嶋厚氏が新聞に記した随筆*の切り抜きを、「奇談の時代」(百目鬼恭三郎著、朝日新聞)の間に見つけて読み返した。茶に変色して擦(かす)れ、しかも今と違い文字数が多く読むのに苦心する。
(*)新聞不明。「お茶の間歳時記」の囲みに「お天気怪談」のタイトルで小文を記してある。

江戸の天気にかかわるはなしを、寛政の随筆(奇談集)である「梅翁随筆(ばいおうずいひつ)」から紹介している。人が強風に吹き飛ばされ空を飛ぶこと、突然商店を襲った雷の正体などだ。

この梅翁随筆をネットで検索したら、国際日本文化センターの「怪異・妖怪伝承データベース」に行きついた。キツネ(狐)をキーにした検索結果の中にあった。

■ 国際日本文化センター「怪異・妖怪伝承データベース」
「キツネ」
    ー https://www.nichibun.ac.jp/cgi-bin/YoukaiDB3/simsearch.cgi?ID=3610020

ところで、本ブログは<狐>につながる、動物としてのキツネだけでなく、歌や、伝説・信仰に登場する狐たちも含めていろいろな情報を趣味的に載せている。特に、化かすキツネ、化かされる人間との関係に、何か根源的なものがあるような気がしてならない。

(本ブログ関連:”キツネ ”、”山怪”)

上記のデータベースは、キツネについての民間の怪異・妖怪伝承を一覧でき、資料の頭にある、「キツネ」、「キツネツキ」などからリンク先に飛んで、出典を知ることができる。

2017年2月23日木曜日

山怪

ブログに先ほど記した「キツネにかかわる伝承の分布」の続き。

イ・ソンヒの「狐の嫁入り」(OST)をきっかけに、キツネの話をしたらきりがない。稲荷神社から童話まで、キツネにまつわる奇談、伝承がたくさんある。それに、キツネは化けるとき、タヌキがちょっと間抜けで要領が悪いのに比べて、悪賢く、エロチックであったりする。キツネの化かしには、人間を上から目線でこけにしている節がある。その分、後で痛い目に会うが。

(本ブログ関連:”狐の嫁入り”、””)

先に記した「キツネにかかわる伝承の分布」の中で、「山怪(さんかい)」(田中康弘著)について触れた。同書は、山に住む人々の<山にまつわる不思議な話や体験>が語られている。図書館で借りられるまで待とうと思っていたが、本屋で立ち読みしたらすぐに読みたくなって求めた。

(本ブログ関連:”山怪”)

「山怪」の一番最初の話「狐火があふれる地」(秋田県北部の村、マタギ発祥の地)に、なんとキツネが尻尾を振りながら光を発したのを目撃する体験が語られている。フィンランドの伝承、<キツネの尾には、雪原に触れたことから、火花を巻き上げてオーロラの明かりにする>を思わせる。

「狐火があふれる地」から(抜粋)
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ある日の夕方・・・庭先を抜けると家の裏山に向かう・・・(狐を、母親と一緒に見つける)・・・
狐は山の斜面に差しかかると、その尻尾を大きく振り出した。
「狐がぴょんと跳ぶのが凄いものなあ。そして尻尾をくるくる、くるくるって回すんだぁ。そしたらそのたびにペロペロペロペロって光るんだ。あれは見たもんでねえと分かんねぇ、見事なもんだったよ」
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2017年2月21日火曜日

オーロラとキツネ

このブログでは、イ・ソンヒの歌に関わるテーマを選んでいる。九尾狐と人との縁をドラマにした劇中歌「狐の嫁入り(여우비)」を彼女が歌ったことから、キツネに関連する話題について記載している。

この寒い時期だからか、「フィンランド政府観光局公式ホームページ」の「気になる話題(人気記事)」に、「オーロラ  キツネが飛び散らせる火花?」がある。

フィンランドの北部(ラップランドなど)に住むサーミ(Sápmi)の人々の伝説に、オーロラ(極光)は「キツネが北極圏の丘を走るとき、尻尾が雪原に触れ、それが火花となって巻き上がり、夜空に光となって現れる」という。洋の東西を問わず、キツネと光(あるいは火)は馴染みやすい民間伝承のようだ(例えば、日本では「狐火」があるように・・・、そういえばブラウザに”Firefox”があったりして)。

(本ブログ関連:”狐の嫁入り”、”稲荷”)不思議な力がある。

キツネの尾が雪原に触れて、火花を巻き上げ、オーロラの明かりになるには、自然の条件も必要のようだ。余りに寒い極北の地ラップランドでは、雪は乾いてパウダー状になるという。雪を巻き上げながら、夜行性のキツネがオーロラの夜を走り回るのも合点が行く。
ところで、日本の場合は、雪に湿気があって積もることが多い。

2013年6月27日木曜日

キタキツネ

北海道のキタキツネの観察者であり写真家として知られる竹田津実獣医師がいる。キタキツネが話題になり、写真でこまかく生態が知られたのも同氏のおかげだ。(花のそばで、首を傾げるキタキツネの子どもの可愛い写真にはまったものだ・・・どうやら、次に記す雑誌の表紙写真だったようだ)

昔、平凡社から出版された「アニマ」という雑誌があった。良心的な出版社らしく、雑誌「太陽」につながるエコの風情も加味した動物専門誌で、何度か購読した記憶がある。その別冊として「季刊アニマ」が登場して、いわば雑誌「アニマ」のムック版にあたるもので、狐好きのわたしは、今も「狐」をとりあげた「季刊アニマ」を手元に残している。それは、1975年冬季発行のものだ。

その中に、「キタキツネと農民と私」(竹田津実)の文があり、狐に対する恐れが伝染していく体験が書かれていた。「キツネが農夫をからかっている」という電話に呼ばれ駆けつけると、巣穴を壊され中にいた子キツネの命を奪った農夫の家に母キツネが、何度追い払っても近づいてくるというのだ。物を投げても動じない、じりじりと迫る母キツネの執拗さに、「得体の知れない恐怖」を竹田津獣医までが感じ怖気づきそうになる。

実は、死んだ子キツネを農夫が馬小屋に放り込んだことを嗅ぎ取り、母キツネが取り戻そうとしたのだ。狐に対する言い伝えや、巣穴の破壊行為、子キツネ殺しが重なり、その場に居合わせた人たちの心を揺さぶって、泣き出す老婆、焼酎をあおる農夫とさまざまな反応が起こったという。
原因が分かったとしても、この経験は不思議な心的な共有を通じて言葉に残されることになる。

わたしたちは伝承の虜である。今もその輪から逃れることはできない。狐に対する恐怖や畏怖はある意味深層に達し、わたしたちの自然観であると同時に、固有の価値観を見せてくれる貴重な民俗資料でもあるようだ。

2020年1月10日金曜日

(資料)おおかみと きつねの さいばん

大岡裁きに、赤ん坊をわが子と主張し合う訴えに対し、実の母ならばこそ示すであろう愛情を証左に、人情味ある政談をくだす話しがある。

しかし、誰もが正直とは限らない。両者の日ごろの諍(いさか)いを見極める必要がある。真実がどこにもないかもしれないからだ。

「かえるの王様 : ラフォンテーヌ童話集」(ラ・フォンテーヌ著、山川篤訳、創芸社、昭和23年:1948年)に所収の「おおかみと きつねの さいばん」*は、皮肉な目を養う結果につながるだけかもしれない・・・。(抜粋)
(*)https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1168482/35

(登場の動物をカタカナ書きに変更)
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一ぴきのオオカミが どろぼうに入られましたと言って さいばん官のサルのところに うったえ出ました。
オオカミは となりにすんでいる キツネが 大へんびんぼうだったので このキツネがとったのではないかと うたがって そのことを さいばん官に うったえました。
サルのさいばん官は そのあらそいを じっと聞いているうちに 両方とも心のよくないことが わかりました。
しずかにしなさい。お前たち二人とも 昔から よく知っているどっちに ひいきする と言うこともできぬだから 二人とも ばっきんを はらわねばならぬ
オオカミよ お前は 何もとられなかったのに とられたと うそをついたばつだ
キツネよ お前は オオカミのものをぬすんだばつだ
心のよこしまな者は たとえ悪いことをしなっくても 悪いことをしたと思われるものです。いまのキツネのようにです。さいばん官のサルから 両方がばっせられたのも しかたが ありません」
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オオカミは嘘をいったので罰金、キツネは日ごろの行ないから罰金。読者をキツネに寄せて、日常に身をただしておくことを諭しているのかもしれない。

でも、オオカミが痴呆で勘違いしたかもしれない。そうなるとキツネはとんだとばっちりを受けたことになり、裁判官のサルの裁定は最低!となってしまう。

2011年6月26日日曜日

キツネの信仰

「日本動物民俗誌」(中村禎理著:海鳴社、1987年)は、日本の諸動物について信仰や伝説などを紹介している。
キツネの項に、狐信仰の経緯が、山の神の使い⇒田の神の使い⇒商業神信仰、へと変遷していると次のように説明している。
・山の神に関連していえば、キツネは同じく山の神に帰属するサルと対抗するもので、稲荷神社は東北日本に多く、後者につながる日吉(日枝)神社は西南日本に多いという。(⇒北日本≒縄文的な見方をすれば古い信仰につながるようだ。)
山という場所がらイヌ(オオカミ)と関連して、例えばキツネの嫁入りとオオカミの産見舞いというひとつの信仰の範疇でとらえられるようだ。
・田の神に関連していえば、田の神の祭場(未開地)に棲むからとか、毛と穀物の色の関連などと諸説あるそうだが。(⇒稲荷の字義のごとく、田の神に直結するようだ。)
・商業神信仰、すなわち稲荷信仰は、キツネの変幻自在に通じる流通過程で利潤を追う職業に近づいたという説がある。(⇒商家の庭先に稲荷信仰の祠が鎮座しているのを多く見られるが、勧請の容易さがあったのではないだろうか。)

キツネの嫁入りは山の神の使者の信仰につながるようで、キツネの不思議な存在を受け入れる余地をわたしたちは古来持ち合わせているのだろう。

(本ブログ関連:”お稲荷さん”、”狐の嫁入り”)

ところで、上記書の著者は、わたしが若いころ、日本の科学者運動について著述していたことを覚えている。生物学史の研究者だった。

2024年11月7日木曜日

立冬 2024、木枯らし、富士山の初冠雪、オーロラとキツネ

二十四節気「立冬」
きょうは二十四節気の「立冬(りっとう)」。冬の気が立ち始めて、いよいよ冷気が沁みるころ。今週いっぱい寒気が南下して、最高気温は 14℃ と冷え込むようだ。天気予報では、来週に 21℃ に復活すると予想している。

(本ブログ関連:”立冬”)


七十二候
二十四節気の「立冬」の間を、三つに分けた「七十二候」は次の通り。
●初候:「山茶*始開(つばき はじめて ひらく)」  山茶花(さざんか)が咲き始める
    (*)山茶: 「ツバキ(椿)」の意。ここでは、ツバキ科の「サザンカ」を指す
●次候:「地始凍(ち はじめて こおる)」  大地が凍り始める
●末候:「金盞**香(きんせん こうばし)」  水仙の花が咲く 
    (**)金盞: 金色の杯、「スイセン(水仙)」の別名

(本ブログ関連:”スイセン”)


木枯らし
きょう、東京に「木枯らし1号」が吹いた。きのうから予想されたものだが、確かに昼過ぎ体操教室に出かけたとき、寒風に身が染みた。

■ 日経新聞
「東京・近畿で木枯らし1号 各地で今季一番の冷え込み」(2024年11月7日 12:18)より抜粋
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE073IE0X01C24A1000000/
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・気象庁によると、7日午前10時54分、東京都心で最大瞬間風速13.7メートル北西の風を記録した。
・木枯らし1号は例年、東京近畿で発表される。〔共同〕
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■ 気象庁 お天気相談所 (2020年の資料)
https://www.data.jma.go.jp/tokyo/shosai/news/pdf/2020/20201104kogarasi_oshirase.pdf
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東京地方における「木枯らし 1 号」は、下記の事項を基本として総合的に判断して発表しています。
1 期間は10月半ばから11月末までの間に限る。
2 気圧配置が西高東低の冬型となって、季節風が吹くこと。
東京における風向が西北西~北である。
東京における最大風速が、おおむね風力 5(風速 8m/s)以上である。(ただし、お知らせには最大瞬間風速を記入する)
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■ 木枯らし紋次郎
昔のテレビ番組に「木枯らし紋次郎」(中村敦夫主演、1970年代)という股旅ものがあった。主人公が口にする「あっしにはかかわりのねえことでござんす」という決め台詞が流行った。竹楊枝をくわえた姿に、いっそうニヒル味が加わった。


富士山の初冠雪
きのう、静岡側で富士山に冠雪が確認されたが、歴史的に甲府地方気象台による観測が必要とされているとのこと。

■ 日本気象協会 tenki.jp
「富士山で「初冠雪」 統計開始以来 最も遅い観測」(日本気象協会日直主任、2024年11月07日07:17)
https://tenki.jp/forecaster/deskpart/2024/11/07/30890.html
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今日7日(立冬)、富士山の初冠雪の便りが届きました。甲府地方気象台の観測で、統計開始以来、最も遅い初冠雪となりました。
富士山の初冠雪は山梨県の甲府地方気象台が観測しており、「一日の平均気温が、その年の最も高い日」の後に、山頂付近が雪などによって白く見える様子が、麓の気象台から見えたことが、観測の条件です。
・これまでの最も早い記録は、2008年の8月9日でした。
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オーロラとキツネ
以前に触れたことだが、寒い夜、雪原を走るキツネの尾が雪を巻き上げて、火となる伝説がフィンランドにある。寒さがしみるとき、舞い上がった粉雪が、やがて上空のオーロラへつながるのを幻視したのかもしれない。

フィンランド政府観光局:「オーロラ  キツネが飛び散らせる火花?」より。
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フィンランドの北部(ラップランドなど)に住むサーミ(Sápmi)の人々の伝説に、オーロラ(極光)は「キツネが北極圏の丘を走るとき、尻尾が雪原に触れ、それが火花となって巻き上がり、夜空に光となって現れる」という。
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(本ブログ関連:”オーロラとキツネ”、”キツネ 狐”)

■ Youtube (登録: VisitFinland)
アニメーション「Revontulet (狐火) - FINLAND」
https://www.youtube.com/watch?v=UILnfI3dcAc

2022年12月12日月曜日

狐は冬の季語

キツネ(狐)」が、冬の季語という。寒い北国に生きるキツネたちの生態が浮かんでくる。北海道に棲息する「キタキツネ」の写真集(竹田津実氏が撮影したキタキツネの親子の情愛を撮った写真)が、以前、話題になったことがある。竹田津氏は、獣医師の仕事の傍ら、北の原野でキタキツネの行動を撮影した。ちなみに鳥でいえば、愛らしい目をしたまるで白い菓子姿のような、「エナガ」の北方系亜種「シマエナガ」の写真集(小原玲氏などによる撮影)だろうか。

(本ブログ関連:”キツネ”)

さっそく「合本 俳句歳時記」(第三版、角川書店)の「狐」の項を見ると、次のように記してある。
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・・・ 十二月下旬から一月ごろに交尾し、四月ごろ三-五頭の子を産む。北海道には北狐が生息する。「きつ」は狐の古名で「ね」は美称ともいわれる。
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(参考)「日本の文化における狐」Wikipedia

他方、狐の読みについて、「来つ寝(きつね)」を源にしているという語りがある。以前のブログにも記したことだが、「日本霊異記」上巻第二話に、狐を妻として子を産ませた・・・、次に再掲する。
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古代の欽明天皇の時代に、嫁探しに出かけた男が女と巡り合い結婚する。一男をもうけたが、実は女は狐の化身であり、飼い犬に気付かれその身をあらわにしたのを見て男は、「汝と我との中に子を相生めるが故に、我は忘れじ。毎(つね)に来りて相寝よ」という。ゆえに、また来て寝ることから、妻に「来つ寝(きつね)」の名がつく。
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(本ブログ関連:”来つ寝(きつね)”)

キツネと人との関係は、人をだましたり、農業神の使いとしての稲荷信仰だけでなく、異類婚姻譚といった男と(異類としての)女との関係まで幅広い。異類婚姻には断絶といった越えられぬ悲しみさえ感じる(上記の日本霊異記にはそれを越えるものがあるが、人目を忍ぶ二人だけの秘匿した契りかもしれない)。

このブログでは素人テーマであるが、狐について、歌手イ・ソンヒの歌「狐の嫁入り(여우비)」からキツネにまつわる奇譚とかキツネの家畜化まで広く話題を渉猟している。一点深く追求するには息がないため、あちらこちらへと関心が飛んでいく。

2019年12月21日土曜日

イソップ 迂闊(うかつ)と狡猾(こうかつ)

誰もが知っているイソップ話しに、ときどき目を通せば、なるほどとうなづけるものに巡り合う。巌谷小波の「イソップお伽噺」(三立社、明44年:1911年)に、代表的な寓話の「キツネ(狐)とヤギ(山羊)」がある。次に概要を記す。
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あるとき、喉の乾いたキツネが井戸へやってきてあやまって落ちた。深井戸のため出るに出られぬと難儀していたとき、そこへヤギが水を飲もうと通りかかった。
「そこにいるのはキツネさんかい。ぼくは水を飲みたいと思っているのだが、この井戸の水は好いかね」とヤギがたずねた。
「ヤギさん、この井戸の水は旨いよ。さっきから飲みつづけているんだが、ちっとも飽きやしない」とキツネは応えた。
ヤギはだまされたと知らず井戸に飛び込んだ。キツネはそのとき、ヤギを踏みつけ沈めたはずみで井戸を飛び出して、さっさと逃げ出してしまった。

狡猾という文字は、君子に対しては全くの無用です。悪かしこい者は、多く小人にあるようです。しかし、自分がいくら清らかな心を持っていても、身近に狡猾な者がいるかもしれまん。平生の注意が何より大切です。」
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飼いイヌが、飼い主に絶対的な信頼(忠誠心)を持っているのは、太古からの家畜化で培ったもの。飼い主以外に、当然忠誠心はないわけで。決してひとが好いわけではなさそう。でも、もしかしたら、忠誠心を取り除いた、本来オオカミが持つ順位すら失った <ひとが好いだけのイヌ> を作り出すことも可能かもしれない。

2020年1月2日木曜日

ねずみさんの失敗

今年の干支が「」なので、ネズミの登場する話をネットに探したら、青空文庫に村山籌子(むらやまかずこ)の「ねずみさんの失敗」があった。童話の一口ばなしというべきものだが、「油揚げ(あぶらあげ)」の臭いに誘われて、ネズミ夫婦が出かけてみたものの、結局口にできなかったという内容だ。

正月早々になんだが、稲荷信仰の「キツネ」はネズミを油で揚げをたものを食べるという。稲荷は米作に通じ、ネズミは米を盗み喰う害獣にあたる。そんなネズミから米作を守るキツネは「稲荷神」の使いとなる。キツネがどうしてネズミの油揚げを好むのかよくわからない。油っぽいものがキツネの嗜好に合っているのだろうか。

(本ブログ関連;”お稲荷さんと油揚げ”)

稲荷ずし」は、油揚げを醤油で甘辛く煮て、すし飯を詰めたもの。稲荷と油揚げはつながりが深い。(「キツネうどん」は、温かい「かけうどん」に稲荷ずしの包みをそのまま載せたようなものだし)

上記童話のネズミ夫婦が油揚げに相伴できなかったのは、もしかしたら幸いだったかもしれない。

2015年7月26日日曜日

(雑談) 狼 ⇒ 犬、狐 ⇒ ?

思いきり暑い一日だった。近在の街で、最高気温が36.2℃に達したようだ。猛暑日が続いている。そんな今日、隣り町の公共施設に出かけた。図書館やスタディールームが充実しているせいか、子どもたちで溢れていた。考えてみれば、もう夏休が始まっているのだ。それに日曜日せいか、社会人も押しかけていた。
安楽な館内から外に出て驚いた。太陽光の圧に負けて、すぐに喫茶店に飛び込んだ。

(本ブログ関連:”猛暑日”)

帰り道、垣根越しに咲く、百日紅(さるすべり)の薄紅や白色の小さな花の塊りが気になった。このブログで百日紅の花について記したのは、例年8月頃のこと。今年は少し早い気がする。

(本ブログ関連:”百日紅”)

ところで、また狐の話しについてだ。ネットに、狐を家畜化する話題が様々ある。その中に、ロシア滞在経験のある方のサイトに、「動物好きな研究者の夢 -- 40年の研究からペットギツネが誕生」という大変分かりやすい記事がある。感謝。
40年かけて研究した動物学者(リュドミラ・ニコラエブナ・トルット氏)を紹介している。果たしてキツネは人間のペットになれるだろうか。次のような興味深いポイントがある。
 - 野生のキツネで、人懐っこいものを代を重ねて(ケージ飼育のまま)選別したら、イヌのような従順な行動をとるようになったという。イヌがオオカミから枝分かれしたように、キツネにもその可能性がある。
 - 家畜化したキツネは、体臭も少なく、トイレなどのしつけもこなすけれど、人間のペットにはなれないという。家畜化した彼らには、夜行性のままという最大の難点があるからだそうだ。

狐の嫁入り」伝説(伝承)には、嫁入り行列に提灯が灯され、狐火が輝くという。まさに、キツネの夜行性から伝説がうまれたようで、狐はやっぱり夜に戻って行ってしまうようだ。

(本ブログ関連:”狐の嫁入り”、”稲荷”)

2022年10月16日日曜日

自然観察(13)

薄曇りとはいえ明かりも十分、きょう久しぶりの「自然観察会」参加となった。前回、7月に参加したものの、以降、8月は朝に2度寝して遅れてしまい、9月は集合場所に到着したところ雨天となり中止になった。今回は心して家を出た。

(本ブログ関連:”自然観察会”)

好天に誘われて、いつもながら多数の方が参加されたのは、一週間ほど前、会長が催された玉川上水の自然観察会によって認知度アップされたこともあるだろう。会を運営される皆さんに感謝。わたしときたら膝と相談の結果、今回も途中で同行を断念してしまったが。

例によって、解説いただいた内容を記憶保持のため小型ノートに書き込み、カメラに残した。(聞き間違いがあるかもしれないが、その場合はご容赦を)
集中的に(聞ける範囲で)話題をいただいたのは次の通り。
・キク科の植物: 舌状花(コスモス:花びらが1枚)、管状花(アザミ:花びらが筒状)
・ドングリのおいしさ: シイ >マテバシイ > ・・・ > アカガシ(水にさらす)
・クリのイガ(毬)の形状: 一つのイガが、実は枝状に分枝しているのに驚く

最初に説明されたのは、公園の原っぱらにヒョッコリ顔を出した「キツネノタイマツ」(Google写真)だ。人だかりして、毒があるかどうか話題になったが、ネット情報によれば不明との記述が多い。
キツネには「狐火」もあり、火との関連が興味深い。フィンランドでは、「キツネが北極圏の丘を走るとき、尻尾が雪原に触れ、それが火花となって巻き上がり、夜空に光となって現れる」という言い伝えがある。

(本ブログ関連:”キツネ 光”)


春と秋、年に二度咲くという「コブクザクラ」の樹の白い花を数輪見た。何種かのサクラの雑種で、雌しべが2,3本あってヒョウタン形のサクランボができると紹介された。


今はまだ緑色の実だが、やがて(ネズミの糞のように)黒くなるという「トウネズミモチ」の樹を見た。葉脈が透けて見えるのが特徴と解説いただいた。次の写真は木の下側から撮ったもので・・・葉脈が透けて見えるだろうか。


遠くから赤い実がはっきり見える「イイギリ」の樹を観察した。葉の柄(葉柄)に蜜腺があり、それをエサにするアリと共生(害虫防除)関係にあると紹介された。実を割ると中から黒い種が多数出てきた。


野鳥
・「エゾビタキ」: 遠くの樹上で、飛んではとまりを繰り返していた。
・「ヤマガラ」: 「エゴ」?の実をつまんでいた。

2023年3月26日日曜日

ブドウは酸っぱいか甘いか

先日、スーパーで「ファンタグレープ」の1.5リットル入りを買った。いま飲んでいるオーソドックスな無添加ワインが物足りなかったからだ。いまどきの葡萄酒(ワイン)は渋くて馴染めない。私にとっての葡萄酒は、赤くて甘~い、「赤玉ポートワイン」あるいは「蜂葡萄酒」なのだ。(ベーコンも、白身に赤いふちのあるクジラのものでなければならない)

で、どうやったかといえば、ファンタグレープと普通の葡萄酒を混ぜ合わせて飲んだのだ。甘い葡萄酒にかぎる。だって果物の葡萄の実は甘いのがよいというのに、酒は甘美のない渋い方がよいというのは合点がいかない(「アイスワイン」や「貴腐ワイン」があるではないか)。ともあれ、むかし普及した葡萄酒は甘かったのだ。

(本ブログ関連:”甘口の酒”)

ところで、教訓好きな童話に「イソップ童話」がある。以前にも触れたが、キツネ(ずるくて狡猾、悪知恵が働く役回り)が、歩き疲れて喉が渇いたとき、ブドウの実がたわわに実っているのを見つけて取ろうとするが届かず、悪態を吐いてその場を去る話がある。「フン」とか言ってる分にはいいのだが、性分が露わになる暴言はいただけない・・・という話だ。

(本ブログ関連:”イソップ キツネ”)

修身というか道徳につながる寓話を、教育の現場でどう扱われているか知らない。イソップ童話の寓意は早めに気づけば気付くほどよい。子どものころに習得しておけば、恥をさらすこともない。不幸なのは、口から吐いた言葉に何も気付かないことだ。
(老後についてタワマンの高層から発信を続けた老社会学者の弟子として、伝道の役割りをつづけた若者が、最近は作家になろうと方向転換している。でも性分は変わらないらしく、テレビのニュースショー(ワイドショー)で、WBCについて関心がないと公言していた)

イソップの寓意から、キツネの言葉をいってはいけないではなく、キツネにはなるなということを知るべきかもしれない。葉っぱを頭にのせてクルリと回転しても、尻尾を隠すことはできない。


国立国会図書館デジタルコレクション

①「ししの王国 : イソップ物語篇 (世界おとぎ文庫 ; 5)」(アイソポス 原作, 楠山正雄 編、小峰書店、昭和24(1949)年)
- 「21 ぶどうを たべそなった きつね」より抜粋
https://milestone-milestone.blogspot.com/2016/10/blog-post_12.html
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(略)
「あの ぶどうは、もう、じゅくしていることだとおもったら。なあに、とても すっぱくて、たべられたものではない。ありゃあ、ぶたの たべものさ。」と、まけおしみをいいいい、またひょろひょろと、出て行きました。

じぶんの力がたりなくて、ものごとがうまく行かないときに、そのわるくちをいいたがるのは、つまらないひとのくせです。
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② 「イソップお伽噺」(三立社、1911年、明44年9月、訳述者 巌谷季雄=小波)
ー 「一三三 正しき望み 狐と葡萄」より抜粋
https://dl.ndl.go.jp/pid/1169898/1/1
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(略)
   それで幾度(いくど)も跳(は)ねて居(ゐ)る中(うち)に、體(からだ)は段々(だんだん)疲(つか)れるのに、葡萄(ぶだう)は一粒(ひとつぶ)も食(た)べられませんから、狐(きつね)はとう~自棄(やけ)を起(おこ)し、
   「何(なん)だ! こんな青(あお)い葡萄(ぶだう)が食(た)べられるもんか。食(く)ったら酸(すっ)ぱくて仕様(しやう)がないだらう。」
と、毒(どく)づいて、其(その)まゝ行(い)ってしまひました。
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2019年4月24日水曜日

道迷い遭難

朝から小雨がぱらつき、昼には小休止状態になった。ようやく「穀雨」になった気分。TVのニュースは、都心の駅前や交差点で雨傘をさす通行人の姿を報じた。出かけるタイミングがむつかしい。

(本ブログ関連:"穀雨”)

そうこうしている内に外に出るのを忘れ、ヤマケイ文庫の「ドキュメント 道迷い遭難」(羽根田治著)のページをめくった。スポーツとしての(日本アルプスから丹沢領域)登山で、登山者が体験した遭難のドキュメンタリーだ。(ヤマケイ=山渓)
読もうと思ったのは、登山への興味というより、遭難者の心理や意識について知りたかったからだ。もしかしたら、不思議な体験が語られてないか好奇心もあった。

元来、山についてそこに棲息するキツネやオオカミ(山神)の伝説だけでなく、猟師たちが経験した「山怪」という奇談、すなわち人智を超える不思議な体験に興味がある。

(本ブログ関連:”山怪”)

「山怪」の範疇でいえば、山に入って神隠しにあったり、キツネにだまされて行方不明になる話がある。大方、子どもより老人の方が多いようだが。結果として、① 意外にも村の近くや、② 想定外の山奥で偶然発見されたりする。特に大人の場合、本人はいつもの道を歩いていたと断言し、キツネにだまされたに違いないといったりする。周りの者は、彼らをボケてたのじゃないか、キツネにだまされたというのは言い訳に過ぎないと冷ややかだそうだ。山の生活圏とその近辺でも起りうるミニ遭難だ。

ところで、上記のスポーツ登山の場合、遭難者は勝手な思い込みでずるずると深みにはまり込み、みずから窮地へ突き進んでいく。最悪の場合、凍傷で指をことごとく切断することになる。生還したのが救いだが、その事例の場合、読みながら正直吐き気がするほど絶望的だった。
ルートマップに従わずショートカットしたり、標識を都合のよい方に解釈したりすることで始まる。結局は、何度も繰り返される鉄則、「おかしいなと思ったら引き返せ」とか、「道に迷ったら沢を下るな、尾根に上がれ」を無視してしまうことにある。もちろん遭難とは万事休すの状態をさすのだが。

最近、高齢者による自動車運転事故が繰り返されているが、この本の「あとがき(追記)」にも、高齢登山者による遭難の多さについて統計的紹介がされている。年寄りは、お互いによしみとしていうのだが、人に迷惑にならぬよう身の程をわきまえるべきだろう。

2025年7月23日水曜日

(資料)神社の神に従う生き物/ 仏教寺院についても

神社に祀られる、神に従う生き物*がいる。彼らの石像(あるいは実際の生き物)を参道に置いたり、境内・建築物に配置したりする。古来のひとびとが野生動物とどのように付き合い、神に従う(お使い)の「眷属(けんぞく)」とどう対応してきたのか興味深い。神社のケースについて、生成AIの Gemini に問うてみた。
(*)鳥類: 八幡神社のハト、熊野大社のカラスが見られる。

仏教寺院についても後段に記す・・・ただし仏教の場合、インドや中国由来の動物があるので参考としたい。

Googleの生成AIの Gemini

<神社関連>

Q-1.神社の神は、何かしらの動物(キツネ、コマイヌなど)を連れているといわれていますが、代表的な例を教えてください。
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A-1.神社の神様が動物を連れているという話は、神使(しんし)という考え方に基づいています。神使とは、神様の使いとして神意を代行し、人々と神様の間を取り持つと考えられている動物のことです。

代表的な例としては、以下のものがあります。

1.稲荷神社キツネ
・稲荷大神の神使とされ、五穀豊穣、商売繁盛の神様として信仰されています。神社の境内には、鍵や宝珠などをくわえたキツネの像が置かれていることが多くあります。

     (本ブログ関連:”日本 キツネ”)

2.八幡神社ハト:  
・八幡大神の神使とされ、平和の象徴としても知られています。

3.春日大社シカ:  
・春日大神の神使とされ、神聖な動物として大切にされています。奈良公園には多くの鹿が生息しており、春日大社の神鹿として保護されています。

4.日吉大社日枝神社サル:  
・大山咋神(おおやまくいのかみ)の神使とされ、「魔去る(まさる)」に通じるとして縁起が良いとされています。

5.熊野大社カラス:  
・熊野大神の神使とされ、神武天皇を導いたとされる八咫烏(やたがらす)が有名です。

6.北野天満宮ウシ:  
・菅原道真公の神使とされ、道真公が丑年生まれであったことや、牛に乗り都へ向かったという伝説に由来するとされています。

また、神社の入り口などで見かける「狛犬(こまいぬ)」も、神を守る役割を持つとされています。狛犬は一対で置かれ、口を開けた像と閉じた像があるのが一般的です。その起源は、ライオンなどの想像上の動物であるという説があります。

このように、神社と動物の関係は深く、それぞれの動物神様の使いとして、あるいは神域を守る存在として大切にされています。神社を訪れた際には、これらの動物たちの像にも注目してみると、より深く神社について理解することができるでしょう。
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<仏教関連>

Q-2.仏教寺院の参道・建物などに、何かしらの「動物(含む:架空の生き物)」が存在しますが、代表的なものを教えてください。
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A-2.仏教寺院の参道や建物に存在する動物や架空の生き物は多岐にわたりますが、代表的なものをいくつかご紹介します。これらは、単なる装飾としてだけでなく、仏教の教えや信仰、歴史、文化的な意味合いを強く持つものが多いです。

1. 狛犬(こまいぬ) / 獅子(しし)
・存在場所:  主に参道の入口や本堂の前に一対で置かれています。
・意味合い:   神社にも見られますが、もともとは古代インド中国における獅子像が起源とされ、魔除けや聖域の守護者としての役割を担っています。仏教伝来とともに日本にも伝わり、寺院にも広まりました。

2. 龍(りゅう)
・存在場所:   天井画(特に本堂の天井)、彫刻(柱、軒下、欄間など)、手水舎の吐水口、鐘楼など。
・意味合い:   水神雨乞いの神として古くから信仰され、仏教においては仏法を守護する八部衆の一つとしても位置づけられます。力強さ、威厳、そして慈悲の象徴でもあります。雲と一体となって描かれることが多く、その雄大な姿は見る者を圧倒します。

3. 象(ぞう)
・存在場所:   門の彫刻、本堂の装飾、普賢菩薩(ふげんぼさつ)の乗り物として描かれることもあります。
・意味合い:   仏教において非常に重要な動物で、悟りや智慧の象徴とされます。特に白い象は、釈迦の母マーヤー夫人が白い象が胎内に入る夢を見て釈迦を身ごもったという伝説があり、吉祥の印とされています。普賢菩薩が白い象に乗っている姿は有名です。

4. 鳳凰(ほうおう)
・存在場所:   堂宇の屋根、彫刻、絵画など。
・意味合い:   中国の伝説上の瑞鳥(ずいちょう)であり、平和と繁栄、そして不死や再生の象徴とされます。仏教では、仏の慈悲や智慧が及ぶところに現れるとされ、極楽浄土の鳥としても描かれます。

5. 迦陵頻伽(かりょうびんが) / 緊那羅きんなら)
・存在場所:   天井画、壁画、彫刻、仏具など。
・意味合い:   どちらも仏教における想像上の鳥または半人半鳥の生物で、極楽浄土に住むとされます。美しい声で歌い、人々を魅了すると言われています。仏の教えの素晴らしさを表現するために用いられます。

6. 亀(かめ)
・存在場所:   石碑の台座(亀趺:きふ)、手水舎、庭園の池など。
・意味合い:   長寿、不老不死の象徴とされます。仏教においては、古くから霊獣として尊ばれ、特に大きな石碑の台座に用いられる亀趺は、その重みに耐え、永続性を願う意味合いがあります。

7. 魚(特に鯉:こい)
・存在場所:   庭園の池、絵画(特に禅画)、彫刻など。
・意味合い:   鯉は生命力、立身出世(登竜門の故事から)の象徴とされます。また、仏教においては、解脱や悟りへの道を意味することもあります。

8. 猿(さる)
・存在場所:   庚申堂(こうしんどう)に関連する場所、あるいは単なる飾り。
・意味合い:  「見ざる・言わざる・聞かざる」の三猿は特に有名で、これは仏教の教えである「非礼勿視、非礼勿聴、非礼勿言」(礼にあらざるは見るなかれ、聞くなかれ、言うなかれ)に通じるものがあります。

その他:
(うさぎ):   月との関連で、豊穣や再生の象徴として描かれることがあります。
鹿(しか):   奈良の寺院などで見られるように、神の使い聖獣として扱われることがあります。

これらの動物や架空の生き物は、それぞれが独自の意味を持ち、寺院の歴史や信仰、建築様式と深く結びついています。寺院を訪れる際には、これらの存在にも注目してみると、より深くその魅力を感じることができるでしょう。
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2019年6月22日土曜日

夏至 2019

近ごろ夕方になって西の空を見上げると、太陽がまだそれなりの高度にあって、まぶしくギラギラ照っているのに驚く。思わず腕時計を確認してさらに驚く。午後7時だというに、辺りは西日に明るく照らされているのだ。

それもそのはず、6月16日から二十四節気の「夏至」の今日(6/22)まで、東京都心の「日の入り」は19:01だった。今日は、一日雨が降ったり止んだりしたが、晴れていれば、同時刻になっても明かりが十分残っているはず。

(本ブログ関連:”夏至”)

夏至の今日は、一年で「昼の時間」が一番長いが、今まで何度かブログに記した通り、実際の「日の入り時刻」は、明日の6月23日から7月4日まで、一年で一番遅い19:02となる。体感でいえば、まだまだ昼の時間を長く感じることができる。まさに、夏らしい夕方だ。

夏至が曇天に終わったのは残念だったが、朝のTVクイズ番組で「稲妻」とか「キツネの嫁入り」の語源について薀蓄が語られた。稲妻は、イネの生育に落雷がよい方向に影響するといい、そして、農業の仏神の使いとされるキツネは、稲田を荒らすネズミの害を絶やすという。「稲妻」や「キツネの嫁入り」の語源が、ともにイネつながりで、農業国だった時代に遡れるというのはもっともなことだと思う。

(本ブログ関連:”キツネ”)

2022年3月6日日曜日

殺生石が割れた

本ブログは、歌手イ・ソンヒの歌(「僕のガールフレンドは九尾狐」)にちなんで、曲の題材になったキツネに関連する「九尾の狐伝説」、「稲荷神社」、「キツネの家畜化」などの話題をネットや書籍などから情報を収集している。

(本ブログ関連:”僕のガールフレンドは九尾狐”、”九尾の狐”、”稲荷神社”、”キツネの家畜化”)

栃木県 那須町 那須湯本温泉近くにある、「九尾の狐」伝説(美女に化けた九尾の狐が追い詰められて石に変じた)で知られる国指定の名勝「殺生石(せっしょうせき)」が <真っ二つに割れている> のが(昨日)見つかったと、次のように報じられた。

(本ブログ関連:”殺生石”)

■「とちぎテレビ - 県内ニュース」
・「九尾の狐伝説 那須町の『殺生石』割れる」(2022年03月06日) 抜粋
    https://www.tochigi-tv.jp/news2/page.php?id=73060
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・「九尾の狐」伝説で知られ、松尾芭蕉の「おくのほそ道」にも記された国指定の名勝、栃木県那須町の「殺生石」が割れていることが分かりました。
殺生石は真ん中付近から真っ二つに割れ周りを囲んでいたしめ縄も切れていました
・地元のガイドや隣接する那須温泉神社の関係者によりますと、石はここ数日の間に自然に割れたとみられています
・那須湯本温泉の近くにある殺生石は平安時代、美女に化けた九尾の狐が退治されて石になったという伝説で知られ、2014年に国の名勝に登録されて観光名所となっています。
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殺生石の後日談として、悔い改めた九尾の狐の化身(玉藻前、たまおのまえ)の願いをうけた玄翁(げんのう)和尚の読経と呪文の力により、殺生石は <霜柱がくずれるように、ぐさぐさといくつかに小さくわれていきました>という。この和尚の名にちなんで、石や岩を割る(頭部両端が平らな)金槌を「玄翁」という。

今回の殺生石が割れたのは、玄翁和尚のとき以来のこととして不吉でなく、むしろ(窮地からの解放として)前向きに捉えた方がよいかもしれない。