梅雨によく似合う花は、「紫陽花(アジサイ)」をおいて他にないだろう。花色の多様さ、緑の葉の海原に浮かぶように咲き、梅雨のしとしと雨に静か耐える。まさに日本原産のゆかしき花である。
この時期に、紫陽花にふさわしい端唄はないものかと、いつも参考にする「江戸端唄集」(倉田喜弘 編、岩波文庫)を探したがよいものが見つからない。Gemini に相談すると、小唄「あじさいの」を紹介された。
(本ブログ関連:”小唄”)← 端唄・小唄の奏法:三味線の糸を指で弾くか、撥(ばち)で弾くか。
室内で静かに楽しむ小唄の世界に、紫陽花と夏の着物姿の女性を重ねた「あじさいの」(作詞 久保田万太郎*、作曲 田村法一**)がある。紫陽花の花の色から、女性を追想する洒落た歌であり、長襦袢の衿(えり)に目をやった記憶に男ごころをくすがらせる・・・深読みか。
(*)久保田万太郎(明治22年[1889年]~昭和38年[1963年]): 大衆作家と思っていたが、演劇・俳句・小唄とマルチな文化人。
(**)田村法一: 次の「小六月探求簿」に紹介がある。
次のサイト「小六月探求簿」で、詳しい解説をうかがった。
■ 小六月探求簿(登録: 太田 明紗日)
「あじさいの」
ー https://blog.ko6gatsu.net/the-quest-for-music/【作品探求】あじさいの/
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あじさいの 彼(か)の浅黄色 ← 彼の:あの、浅黄色:微かに緑がかった薄青色
彼(か)の人の 紺の明石***の雨がすり**** ← 彼の人:あの女性の着物姿
その時かけていた えり*****の色 ← えりの色:まさしくあの女性が衿にかけた浅黄色
えゝえゝえ しょんがえ ← しょんがえ:詮無い(仕方がない)昔のことよ
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(***)明石(明石縮 あかしちぢみ): 着物の生地、薄手絹織物「最高級の夏物」
(****)雨がすり(雨絣): 縦に細い不規則な直線が織り込んだ模様で、その直線が「しとしとと降る雨」につながる。
(*****)えり: 着物の下の長襦袢の衿に縫い付けて使用する半衿(はんえり)。
浅黄色
「浅黄」は、古来「淡い黄色」だったが、現在は「やや薄目の青色」として定着している。
(参考)
■ 伝統色のいろは
「浅葱色(あさぎいろ)」
ー https://irocore.com/asagi-iro/
ー 「『葱』と『黄』の字を混同されて『浅黄』と表記されている古実書もありますが、これは完全に誤用です。」
■ Youtube(登録: Release - Topic)
「紫陽花」演者: 田村彌笑(たむら やえみ)
ー https://www.youtube.com/watch?v=QWyRIWz7BAs
ー 田村彌笑は、田村流に師事、東京芸大卒の実力者とのこと