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2025年11月21日金曜日

(資料)ラフ・トラック:Laugh Track

このごろのラジオ番組に、お笑い芸人がスタジオに複数人出演して、平凡な話題でも笑いをとることがある。そんなとき、場を盛りあげようと誰かが合いの手のごとく <笑い声> をあげる。これがとても気になる。
自然な笑いなら、山の形のように膨らみ・おさまる。他方、追従のような笑いの場合、いってみれば「笑い屋」が発するの笑い声というか、一定の高さで続き・そのままで終わる・・・突然笑い、しばらく続けてぷつんと止むのだ。いつからそうなったのだろう。

むかしのラジオの演芸番組は、公開放送なら会場の自然な笑い声を収録した。スタジオの場合は、無理な笑い声は挿入しなかったと思う。ところが、テレビが登場して一変した。

アメリカのテレビのコメディ番組「ザ・ルーシー・ショー」*を見たとき、場面に存在しない観客の笑い声が聞こえてきたのだ。笑いに文化の違いがあることを、子どもながら気づいたものだ。
(*)ザ・ルーシー・ショーは、「アイ・ラブ・ルーシー(I Love Lucy)」から発展した番組。

そこで、Googleの生成AIの Gemini に、ザ・ルーシー・ショーの笑いの仕掛けについて次のようにQ&Aしてみた。(ザ・ルーシー・ショーの笑い声は録音(ラフ・トラック)による後付けだが、上記の若手芸人の合いの手のような笑い声は何という範疇になるのだろう)

Q.「ザ・ルーシー・ショー」のバックから聞こえる<笑い声>は、日本人には笑いを強要しているように聞こえましたが、アメリカではそんな<笑い声>のシステムは以前からあったのですか?
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A.ご指摘の通り、「ザ・ルーシー・ショー」のような昔のアメリカのシットコムで使われている ≪笑い声(ラフ・トラック:Laugh Track≫ のシステムは、日本人には違和感や「笑いを強要されている」と感じられることが多いようです。

このシステムは、アメリカのテレビにおける ≪シットコムシチュエーション・コメディ≫ というジャンルが成立した初期から、非常に一般的な手法でした。

1. 笑い声(ラフ・トラック)の歴史と背景

  • ラジオ時代の名残: テレビのシットコムが誕生する前、ラジオドラマのコメディ番組では、劇場での演劇のように生きた観客の笑い声が演出の一部として重要視されていました。

  • 「アイ・ラブ・ルーシー」の確立: 「ザ・ルーシー・ショー」の姉妹作品ともいえる、ルシル・ボール主演の先駆的な大ヒットシットコム ≪「アイ・ラブ・ルーシー」(1951年~)≫ で、この形式が確立されました。

    • この番組はライブのスタジオ観客の前で撮影され、その観客の実際の反応(笑い声や拍手)をそのまま番組に利用していました。

  • 「ラフ・トラック」の登場: すべての番組がライブ観客の前で撮影できるわけではないため、のちに録音された笑い声(ラフ・トラック)を効果音のように挿入する手法が普及しました。

2. アメリカでの役割と目的

制作者は、笑い声を入れることには以下のような目的があると考えています。

  • 笑いのタイミングの指示: 視聴者に「ここが笑いどころですよ」と知らせることで、ジョークのポイントを明確にする。

  • 一体感の醸成: 画面の向こうにいる「見えない観客」の反応を聞かせることで、視聴者もその場にいるような一体感や楽しさを感じさせる。

  • ユーモアの補強: ジョークが滑ってしまった場合や、ジョークが伝わりにくい場合に、笑い声で補強し、視聴者に「面白い」と感じさせる効果を狙う。

シットコムはもともと舞台劇に近い形式で作られていたため、この笑い声は、舞台で観客が笑うのと同じような「劇場的な要素」として受け入れられてきた経緯があります。

しかし、近年では、笑い声を使わない、あるいはドキュメンタリー風に撮影するシングルカメラ形式のシットコム(例:『ザ・オフィス』や『モダン・ファミリー』など)も主流になっており、ラフ・トラックの使用は少なくなってきています


日本のコメディ文化では、お笑い芸人などが観客と対話したり、≪「ボケ」に対して「ツッコミ」≫ を入れたりして笑いを完成させる形式が主流のため、ラフ・トラックのような直接的な「笑いの合図」は異質に感じられるのかもしれませんね。

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■Youtube(登録: Public Domain Videos)
「The Lucy Show S1EP1. Lucy Waits Up For Chris」
    ー https://www.youtube.com/watch?v=9G7CXE_9an8&t=647s