先日、KBS WORLD放送「国楽の世界へ」(6/3)で、「春香伝」にまつわる話しがあり、次のように紹介された。「地方官の息子李夢龍は、妓生の娘春香との待ち合わせの間、本(詩傳、大学、周易・・・)を読んでも落ち着かず、使用人とおしゃべりを始めた。それが(パンソリ)『春香歌』の中で歌われる『千字注解』の場面」である。(参考:「春香伝」(許南麒訳))
(常々思うに、パンソリは漢語が張り巡らされていて、いってみれば、カタカナにあふれたファッション誌のごとく、漢文素養が無いよりは在った方が良いということになりそう。パンソリは、大衆自身の手によるというより、ストーリーを借りて、趣味人が衒学風に味付けした手遊びに見えることがある)
上記にある、「千字文」(小川環樹、木田章義注解)を見ると、砂金と玉に触れているところがある。この書は漢詩で、異なる千文字の漢字から作られていて、江戸の寺小屋の教材にも使われた(子ども向け)漢字学習書だ。
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金生麗水/玉出「・昆」崗 「・昆」=「山」偏+昆
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(砂金は(今の浙江省にある川)麗水より採れ/玉は「・昆」崗 (崑崙山)の峰より採れる)
この「千字文」(小川環樹、木田章義注解)に、北魏の李暹の注があって、次にような話しが載っている。(抜粋)
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・麗水は川の名で、砂金を産出し、他のものより勝るので「金生麗水」という。
・南楚の荊山の崑崗谷から美玉が産出する。楚の卞和(べんわ)は、巧みに玉を見分けることができた。あるとき、谷で玉の原石(玉璞)を見つけ、楚の文王に献上したが、文王は見分けられず怒り、卞和の左足を切らせた。文王が亡くなって武王となり、卞和は再び原石を献上したが、再び疑心にかかり右足を切られた。卞和は、二つの玉が見分けられないことを知り血涙した。
・武王が崩じ、成王となり、卞和は今度も原石を献上した。成王は、これを磨かせると美しい玉となった。値の付けられぬ、まさに城に金を満たせるほど価値のあることから、王は「連城の玉」と名づけた。
・成王は、北方の趙の国王の娘と結婚したく、納得しない趙王に卞和の美玉を与えて認めさせた。両国はこの玉を賞めたたえて、「連城の珍」と名づけた。
・西方の秦国の昭王は、趙王の美玉を知り、十五の城を割いてこれと交換した。
(以下略)
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石好きの欲には底知れぬものがある。特に、権力者の場合、石の持つ永遠性に魅力を感じているのかもしれない。市井においては、他から影響を受けてない堅牢な独自性や自律性に惹かれたのかもしれない。
(本ブログ関連:”石”)
暑い8月、ひんやりした沢の水にひたって、砂金採りに行く計画をしている。私の場合、もっと即物的で、単なる物欲でしかないけれど。