ちょっと生意気になった子ども時代に見た、記憶に残る忘れられない映画がある。それは、「僕の村は戦場だった」と「シャイアン」だ。
「僕の村は戦場だった(Иваново детство)」(1962年):アンドレイ・タルコフスキー監督
・日本公開は1963年で、新宿伊勢丹のそばにあった「アートシアター新宿文化(ATG)」に、子どもながら一大決心をして一人で見に行った。独ソ戦に消えた主人公の少年イワンが、将校からもらった捕獲品のデューラーの版画(黙示録の4人の騎士<ヨハネの黙示録から>)がなぜか記憶に残っている。それは暗示的な絵画である。
・主人公の少年がとても無垢に見えた。痛ましい結末のはずなのに、彼の夢や幻想を他の登場人物ではなく、映画の観客のわたしが共有できる不思議な感覚がした。映画とはそういうものであるが。
「シャイアン(Cheyenne Autumn)」(1964年):ジョン・フォード監督
・テアトル東京だっただろうか、大スクリーンに見たストーリーは厳しかった。吹雪の荒れ野に追いやられるシャイアン族の姿が記憶に残っている。歴史から葬られ映画の生贄にされた彼らを、西部劇が見直す大きな転換点の時代のものだった。
・インディアンからネイティブ・アメリカンと呼びかえられた時代を、わたしは正直に受け入れていたが、結局、この映画と同じ視点でしかなかった。悪意や不正をただすことこと以上に、善意や正義の根にあるものを見抜くのはむつかしい。
(Youtubeに登録のcinematicalart、shivabel、IgorRuslandに感謝)
以上は、イ・ソンヒが誕生(1964年)したころに上映され見たものだ。