(ネット未聴のため解説記事のみを記す)
始めに、「林芳蔚」が歌った「スクテモリ」について次のように紹介された。
・1925年、ソウルの景福宮で開かれた毎日新報社の歌い手大会に、小柄の男が舞台に立ち、みすぼらしいみなりに注目されぬも、彼が歌いだすと場内は静まり、歌い終わる頃には、涙する人も見られた。彼こそ伝説の歌い手「林芳蔚」だった。曲は、「春香(춘향)」の獄中歌を表現した「スクテモリ」で、レコードになり、20万枚とも100万枚以上が売れた。当時の状況を考えると、20万枚も決して少なくない。
▼ 「スクテモリ」の歌。⇒ Youtube(登録者に感謝)
次に、林芳蔚と妓生「珊瑚珠(산호주)」との物語について次のように紹介された。
・人々は、林芳蔚のパンソリに惹かれ心を慰めた。彼の葬儀に多くが訪れた中に、ホームレスもいた。歌を聴きたい彼らに、無償で観覧させてくれた恩返しだ。そんな林芳蔚は、妓生の珊瑚珠に夢中になり、歌を忘れ、声が出なくなったとき、何も言わず彼女も元を去った。珊瑚珠は、病になり亡くなる。その彼女を抱きかかえて、林芳蔚は「思い出(추억)」の曲を歌った。
▼ 「思い出」の歌と演奏。<切ない歌詞に、今も涙を流する人がいるという>⇒ Youtube(以上の登録者に感謝)
最後に、林芳蔚と金演洙(キム・ヨンス、김연수:1907年 ~1974年)の関係について次のように紹介された。
・英雄にライバルがあるように、林芳蔚に、「金演洙」がいた。林芳蔚は貧しい生まれで、学問とかけ離れ、歌一筋で生きた。喜びも悲しみも、人々と共感した歌い手として知られる。一方、金演洙は、豊かな家に生まれ、漢文も学んだ。パンソリに漢詩文表現が多数あるため、適当に歌う歌い手があった中、金演洙は、その意味を生かして歌った。林芳蔚の人気に対して、金演洙は、事の内容も知らぬとけなしたが、林芳蔚は、事の内容を求めては歌が台無しになると返した。また、林芳蔚には、きれいな音質のレコードがほとんど残っていないのに、金演洙には、本やレコードなど保存されて、二人の人生の違いが垣間見られる。
▼ パンソリ「水宮歌(수궁가)」から「皐皐天邊(고고천변)」。⇒ Youtube(登録者に感謝)