明け方、階段を3段、踏み外してズルズルと落下。右足の親指と人差し指を捻挫したようだ。せっかくの鉱物採集日だというに、なんということ。
でも、石採りの妄想は既に始まっていた。止めるわけにはいかない。行かないわけにはいかない。
早朝、石仲間のS氏とJR駅前で待ち合わせして、迎えに来ていただいたH氏の車に同乗し、全員集合場所のPAで指導者Y氏と合流。長野県茅野市にある向谷(むかいだに)鉱山へと向かう。
今回の目的は、都茂鉱(Tsumoite、BiTe)だ。噛み付く(bite)わけではない。組成が、Bi(ビスマス)とTe(テルル)という、島根県の都茂鉱山で発見された珍しい鉱物なのだ。それが、何と長野県の向谷鉱山でも発見されて話題になった・・・。
そんなわけで、都茂鉱山目指して、山中を車が走る、走る。まさに(春最終の)、夏日和だ。
なだらかなズリ跡には、すでに、訪れた採集者が砕いたらしく、岩が散乱していた。斜面はやがて急勾配になるが、冒険はしない。ゆるりとした場所で、石割りを始めた。ガイドブックなど資料によれば、似た鉱物を含めて、多くが<石英>の中にあるという・・・。
しかし、見当たらない、石英の片鱗すらないのだ。
結局、目指す都茂鉱と、誰も出会うことができなかった。現地で、朝はオニギリ一個だけ、昼は食を忘れてまで探したのに、見つからなかったけれども、久し振りにリフレッシュできるよい機会に恵まれた。感謝。
強いて、採集物を列挙すれば、次の通り。
・毒鉄鉱、水晶(群晶)+雲母、黄鉄鉱、硫砒鉄鉱
鉱山につながる山道の入り口に戻って帰り仕度をしている時、地元の方だろうか、車が止まった。気のいい親父さんから、「ずいぶんと沢山の人が来たよ」と話しかけられた。やっぱり、採集し尽くされたのかもしれない、皆で納得した。