以前、映画は都心の大型館で封切りして、2番館、3番館へと映画館のランクを下げて上映された。中学生の小遣いで見るには、せいぜい地元の映画館に来るのを待つしかない。
(ローカルな映画館は互いに上映時間を調整して、フィルムを使いまわしていた。電車の中で、フイルムケースを運んでいる人を見かけたことがある・・・多分そうだと思うが)
当時、友だちと一緒に利用した映画館は、阿佐ヶ谷駅北口に面した狭い路地にあって、館内は随分と煤けていた。エルヴィス・プレスリーのハワイシリーズ、ミュージカルの「南太平洋」、歴史劇の「ベンハー」など、とりわけミュージカルの「ウェストサイド物語」(1961年)は忘れられない。
世間では、映画にどれほど感激したかを示すのに、繰り返し見た回数を誇ったものだ。そのなかでも「ウェストサイド物語」の回数は、突き抜けていたが、身近な友だちの間で、その回数を自慢するものはいなかった。そんな余裕があるはずもない。
「ウェストサイド物語」が、シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」を翻案したものであることは承知していたが、その戯曲を読もうとすることはなかったな・・・。
さて、ミュージカル中、マリアとトニーによるバルコニーでの「トゥナイト」のデュエットに、その旋律の美しさ、流麗さに感激した。掛け合うように、ときにたたみかけるように織り成す男女のデュエットの素晴らしさに、ようやく気づき始めた頃だった。
ところでYoutubeに、ミュージカル歌手ソーニャ(Ssonya;쏘냐)とテノール歌手のキム・ナムドゥ(김남두)による、「トゥナイト」の韓国語版デュエットが登録されている。(お二人について存じあげておりませんが)
(Youtubeに登録のbravenewworld711、SuperTheseusに感謝)