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2011年10月20日木曜日

韓国文学翻訳院「東京フォーラム」

新宿のフルート教室の後、地下鉄赤坂三丁目駅そばにある「韓国文化院」に、韓国文学普及のため設けられた「韓国文学翻訳院」主催の「東京フォーラム」(10/19-20)に行く。

今日は、申京淑신경숙)と津島佑子の対談「文学に見る家族」がある。文学論に深くないので、今回の一番の目的は、申京淑がどんな感じの人かを見るためだ。
彼女は、親しみやすく、穏やかに笑いをまじえながら話す。一言でいえば、気さくな感じがする。とはいえ、対談のなかでこたえる彼女の言葉は明晰で、現代人を、家族を、作品中の登場人物を語った。だから、時代のなかの喪失感であり、家族探しであり、家族の再構築が語り合われた。話題の中心に、彼女の最新の「母をお願い(엄마를 부탁해)」(日本語翻訳版:集英社)が置かれた。
そして、津島佑子の言葉には、申京淑に対する「お姉さん」の眼差しが感じられた。

(本ブログ関連:" J物語"、"浮石寺へ"、"離れ部屋"、"いま、私たちの隣りに誰がいるのか")

ところで、イ・ソンヒと申京淑(シン・ギョンスク)は同じ世代である。
申京淑は1963年に、イ・ソンヒは1964年に生まれている。
・イ・ソンヒは1984年に江辺歌謡祭で「Jへ」を歌い、申京淑は1985年に短編「冬の寓話(겨울우화)」でデビューした。
・2002年に、申京淑は、「J物語(J이야기)」を発表した。
・今年、申京淑の「母をお願い」がアメリカで出版され、イ・ソンヒはカーネギーホールでコンサートをおこなった。
そして、イ・ソンヒと申京淑は、ともに気さくな話し方をする。

(追記)
素人ながら気になるのは、集英社が、すでに「母-オモニ-」(姜尚中)を出版していたので、同社としては、申京淑の作品タイトルを「オンマをお願い」ではなく、「母をお願い」にしたのだろうか。それから、装丁(写真、レイアウト、色彩)について、初めて文庫本を見たとき思わず息が止まってしまった。

(付記)
フォーラムが始まる前に、赤坂三丁目駅近くにある「雲南米線」という中華料理店で、昼食に「マーラー米線」をとる。四川料理のマーボ豆腐に似た味付けで、真っ赤なヒリヒリしたスープに、半透明の柔らかい米線(米で作ったヌードル)が入っている。食べ初めて一時食がひるむが、やがて独特な香料にもなじんでくる。汗を出しながら、無事に!食べきる。癖になりそうだ。
テレビなどに見る、雲南の少数民族の人々の顔に、日本人に似た懐かしさを覚えることがある。なお、雲南省は四川省の南に隣接している。