イ・ソンヒの歌「Jへ」のタイトルにある、イニシャルの<J>について調べたことがある。(本ブログ関連:6/7、6/8)
そのとき、作家シン・ギョンスク(申京淑)が著した「J物語」という小説があることを知りインターネットで探したが、彼女のその作品は日本語訳はないようだ。図書館で、いくつかの短編集に彼女の作品が入っているのを見つけた。短編集「秘密の花園」(素人社)におさめられている「浮石寺へ」と、「現代韓国短篇選 上」(岩波書店)にある「よりそう灯り」を読んだ。
それぞれが裏切られた想い出のある男女が出会い、慶尚北道の浮石寺までドライブする短編「浮石寺へ」を読みつつ、物語の展開に沿ってソウル南山の1号トンネルから浮石寺(小白山麓)までの国道や地方道の道筋を「韓國道路地圖」にトレースした。物語の展開がメインルーチンなら、その上に様々な心象を織り交ぜた異なる時制を持つサブルーチンが、いつのまにか泡のように湧き出る。このサブルーチンひとつひとつの必然と内容の理解が文学理解の醍醐味なのだろうけれど・・・。
「現代韓国短篇選」の「解説」で、編者が彼女の表現(文体)について意見を述べられているが、素人に埒外のことますます難儀する。
(付記)
韓国ギャラップが7/21リリースした「韓国人の好きな小説家」の第8位にシン・ギョンスクが入っている。