香娘閣氏速去千里(향랑각씨 속거천리)
「東国歳時記」(洪錫謨)の原文が、インターネット(九州大学松原研究室)に登録されていて、2月の項「香娘閣氏」を次のよう載せている。
・灑掃堂于 剪紙書 「香娘閣氏速去千里」八字 貼於椽上 「閣氏」者東語女子也 「香娘閣氏」 盖指<馬陸>也 惡而辟之之辭也
平凡社版「東国歳時記」(訳:姜在彦)は、これを次のように記している。
・堂宇をきれいに掃き清め、[切り紙細工の]剪(き)り紙に「香娘閣氏速去千里」の八字を書いて、椽(たるき)上に貼る。「閣氏」(カックシ각씨)は朝鮮語で女子の意味であり、「香娘閣氏」というのは、馬陸(やすで)という虫を指して茶化した表現である。つまり馬陸を忌みきらい、その発生を防ぐ意味の文辞である。
これを、もっと庶民感覚に照らしているのが「朝鮮歳時の旅」(韓丘庸著、東方出版)で、次のように紹介している。
・二月一日に各家庭では炒り豆を食べる習慣がある。・・・これを食べるとヤスデという虫がいなくなると言い伝えられた。(炒るときの煙が防虫効果があるようだ)
・また朝鮮紙や油紙に「香娘閣氏速去千里 如律令」と書いて、これを逆さにして表玄関や座敷廊、時には鶏小屋などに貼っておけば、ヤスデが逃げると言われてきた。
・若い娘に「虫がつく」と困る・・・あながち間違っていない教訓の一つだろう。
ところで、3月5日すなわち旧暦2月1日(朔日)に誕生したばかりの孫娘は、送られてくる写真を見ると最近とみに可愛らしさが増している。美人である。悪い虫が寄り付かぬように・・・。
(本ブログ関連:”東国歳時記”)
そうそう、今宵は旧暦2月16日、月齢15.3の満月である。月煌々として雲を照らす。
★★★★★ 孫娘が、母親の声が心地よいのだろう、探すように「うぐっ」と応える動画が届いた ★★★★★