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2024年10月27日日曜日

海賊版、リプリント版

海賊版
昔(著作権など無視のころ)、超円安の時代、大学の研究室に海外の高価な原書(専門書)を複製した「海賊版」という違法な書籍を販売する業者が訪ねてくることがあった。年配のスーツ姿の男性が、革鞄と風呂敷に包んだ海賊版書籍を両手に持って研究室に入ってくるののだ。

海賊版の本は、黒の単色で滲んだ印刷仕上がり*をしていた。需要が限られた小部数販売というビジネスが成立したのだろう。詳しい事情は分からぬが、研究者が専門分野の論文の参考文献をもとに(あるいは仲間内の言い伝えで知って)、業者に指定したのかもしれない。
(*)滲んだ印刷仕上がり: どんな技術で製作したのかよく知らない。

ところで、子どものころ(テレビ時代の初期のころ)、アメリカの植民地を経験したアジアの国の警察官が、まるでアメリカのテレビドラマ「ハイウェイ・パトロール」に出てくる警察官とそっくりな制服スタイルをした画面を見て、その国の方がよほど進んでいると錯覚(勘違い)したことがある。

(本ブログ関連:”ハイウェイ・パトロール”)

高校生のとき、欧米以外の開発途上国(昔は、”後進国”といった)の大学では、授業を英語ですすめているのを知り、最初から英語で学ぶのだと単純に感心した。アメリカが基準の価値観だったからだ。

リプリント版
大学生になってしばらくして、書店の洋書売り場で大学生向けの(基礎的・教科書的な)専門書が並んでいるのを見て驚いた。それは、シンガポールで印刷された「リプリント版」**と記したもので、原本と同じと思われる体裁内容に仕上がっていた。ただしハードカバーではなく、ソフトカバーの装丁だったが。
(**)「リプリント版」の印刷: 記憶が不確かだが、印刷技術で知られる日本と欧米の合弁会社が印刷していた。

考えてみれば、日本で英語書籍(教科書)で学ぶ必要はない。もっといえば翻訳版も重要でない。日本語で著すことができる優れた日本人研究者の層が厚くいて、結果、学生たちは日本語書籍で学べる環境にいる。それが当たり前になっている。

(付記)
以前、韓国のソウルの地下街にある、最大規模といわれる書店内を巡ったとき、技術系の書棚に日本書籍の翻訳書があったのを見たことがある。