広尾駅のそばにある大学ホールで演じられた、芝居「蟻の街のマリア」(Wiki)を観にいく。「蟻の街のマリア」という言葉を、むかし聞いたことがあるが、その実体は今日初めて理解した。
隅田川の言問(こととい)橋近縁にあったバタヤ集落を舞台に、そこに身を投じたある若き女性クリスチャンの物語だ。
(ストーリーは、「goo映画」が紹介の同名映画の<あらすじ>が参考になる)
外部から、ある土地に根ざした問題にかかわった者は、突き詰めていくと、その土地への同化、土着化に帰結することがある。以前に、土地収用や公害などの問題で、それに対する運動の結果、そうした例を見ることができる。このドラマの主人公も結果的に、そのことに29歳の命を費やしたのだろう。
時代背景が戦後に近いためか、モンテンルパにある刑務所に戦犯として収容されたひとびとと手紙による交流があったという。純粋に宗教的な自己犠牲のうえで活動することのできた、戦後の一時期だったのかもしれない。その後の高度経済成長の時代に発生した問題へのかかわり方は、このドラマとは随分と違うスタイルになった。
ところで、今の若者はこの芝居を見て、戦争の傷そのもののモンテンルパの戦犯から「ああモンテンルパの夜は更けて」(Wiki)を、傷跡をひきずるパンパンから「星の流れに」(Wiki)を思い浮かべることができるだろうか。生きたい、行き続けたいという時代が戦後もあったことを。
(注)(Wiki):Wikipediaの解説
(Youtubeに登録のsabusan678、akiraplastic3に感謝)