KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(4/15)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、死に関連する3曲を紹介した。
始めに、亡くなった人の魂を呼び込む「ペベンイ・グッ(배뱅이 굿)」について次のように紹介された。
・「ペベンイ・グッ」で有名な李殷官(이은관、1917年~2014年)名唱がいる。節句に、テレビから「ベベンイが来ました(배뱅이가 왔소이다)」の歌詞がよく聞こえてきた。ベベンイ(배뱅이)が何か分からなくても、「ベベンイ・グッ」の歌舞は広く知られた。巫堂(무당、巫女)が神にお告げする祭儀(クッ、굿)ではなく、これを素材にした伝統芸能(民俗劇)だ。パンソリと似るが、パンソリは南の地方中心である反面、ペベンイ・グッは北側の黄海道中心だ。
・ある名門の一人娘ペベンイが18歳の若さで亡くなる。老いた両親は、娘の魂に会いたく、国中の有名な巫堂を探してクッを行う。魂を呼び込むのは簡単でない。それを聞いた旅人が両親を騙し、魂が訪れきたように振る舞い、金を取って逃げてしまう。
▼ 「ペベンイ・グッ」から、「国中の巫堂がクッを行う場面(팔도 무당 굿하는데)」を聴く。随分賑やかな祭儀に聞こえる。
次に、「恨(ハン、한)」とクッの祭儀の関係について次のように説明された。
・人が死ぬとどうなるのか、昔から人が悩んだ問題だ。韓国では、死後、人の魂はあの世に行くと信じた。時々、子孫に会いに戻ってくるともいわれる。この世に名残惜しい人は、あの世に渡れず留まるとされ、「恨」と言う、一種の恨みがある。人を恨み、残念に思う気持、悔しさや悲しさ、これらが入れ混じった感情を指す。恨を持つ人は、自分も知らぬ内に人に害を与えることもあるため、クッを行って、恨を晴らすように誘導した。亡くなった人のための儀式だが、実は生きている人のためでもある。互いに憎しみや恨みを晴らすための装置ともいえる。
▼ 恨み、恨を歌った曲「バリアラリ(바리아라리)」を聴く。不思議な味がする演奏に載せて・・・味わい深い今様。
最後に、あの世の神「バリテギ(바리데기)」の話と「コプリ(고풀이)」の意味について次のように説明された。
・バリテギは、娘として生まれたため、王に捨てられてしまったが、王が重病にかかったとき、命がけで薬を見つけたのは、バリテギだった。薬を探しにあの世まで行ったのだ。そして、あの世を治める神となる。
・全羅道地域の「シッキム・グッ(씻김굿)」儀式では、亡くなった人の恨を晴らす過程を「コプリ」という。白の長い布に、七つまたは十二の結び目をつくり、柱に固定させる。結び目は恨を意味するようで、巫女が歌を歌いながらゆっりと布を引っ張り、結び目を一つずつ解く。その様子を見ながら、その場にいる人々も恨を晴らす。
▼ 珍島の「コプリ」を聴く。始原的な響きがする・・・地元の人々の現地録音だろうか。
キム・ボエさんの言葉。明日(4/16)は、旅客船セウォル号が沈没して一年になる。「コプリ」が、わずかでも慰めになればと願う気持ちです・・・とのこと。