KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(6/17)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、今月20日にあたる陰暦5月5日の「端午(단오)の節句」に関わる3曲を紹介した。
始めに、「端午の節句」に、パンソリ「春香歌」(춘향가)で、李夢龍(이몽룡)と春香(춘향)の出会いを次のように紹介された。
・官職の息子、李夢龍は、部屋にこもって勉強していたが退屈になり、使いの者を連れて、広寒楼に出かけた。美しい景色の中、遠くにブランコ(그네)に乗る女性が目に入る。当時、家の外に出ない女性もこの「端午の節句」は子供の日で、おしゃれしてブランコに乗っても叱られぬ日だ。その女性こそ、パンソリ「春香歌」の主人公春香である。春香を見て、「白と赤の花が見事に咲いている」と言い、雪のように舞う花びらと杏子の花が落ちる中、ブランコの春香を、月のようで、また、太陽のような美しい女性がいると歌う。・・・この瞬間を境に、春香と李夢龍の恋がはじまる。
▼ パンソリ「春香歌」から「春香がブランコに乗る場面(춘향이 그네타는 대목)」を聴く。詩吟や語りのよう様々に歌う。
次に、「端午の節句」の行事、相撲「シルム(씨름)」や水辺で遊ぶ曲「ドンドルナリ(돈돌날이)」を次のように紹介された。
・「端午の節句」の陰暦5月5日(今年は6月20日)は、初夏の美しい季節だ。みずみずしい樹木と、太陽の陽射しが気持ち良い。田植えもある程度終わり一息つく。豊作を願う祭祀を済ませ、ご馳走と酒を楽しむ日で、男の子は韓国式相撲「シルム」を楽しみ、女の子はブランコに乗る。また、北方の咸鏡道地域では、女性が海や川で遊ぶ曲「ドンドルナリ」が伝わる。「回る(돌다)」という、ぐるっと回って元に戻る意で、新しい日が巡るの意もある。正月や盆の秋夕(추석)、端午の節句に女たちが集まり歌う。笛など楽器で演奏し、興がわくと、立ち上がりみな踊りはじめる。
▼ ぐるっと回って元の位置に戻るの意の民謡「ドンドルナリ」を聴く。同じフレーズを繰り返す、どこか巫俗(始原)的な気もする。
・洞簫(퉁소)の笛と太鼓の演奏と歌で演じられた。家族や弱い者にだけ怒鳴る人を「部屋の中の洞簫」という。洞簫演奏はするものの、人前では自信がなく、部屋に鍵をかけて一人で演奏する人を指す。昔、人気のあった楽器で、最近は、咸鏡道地域によく使われる。どこか懐かしい音色が特徴だ。
最後に、「端午の節句」の行事、「江陵端午祭」と祭祀曲「城隍堂参り祭祀(성황당맞이 굿)」を次のように紹介された。
・「端午の節句」の開かれる江原道江陵地域の「江陵端午祭」は、ユネスコ人類無形遺産に登録さた。端午祭は、江陵地域だけでなく、近くの村の住民も共に楽しむ。この日のため、酒を醸す過程から祭祀を捧げるまで、一ヵ月以上かかる。また、北の地方だけでなく、釜山に至るまで、東海岸の漁村で行われた祭祀曲「城隍堂参り祭祀」は、豊漁を願い、その他に豊作や家族の健康など幅広く祈る、村の人々の祭祀でもあった。
▼ 豊漁と豊作を願う祭祀曲「城隍堂参り祭祀」を聴く。いかにも精霊と通じ合う祭祀の響きがする。