鉱物の会に行く。今回の大震災の影響で会場が四谷から新宿に急遽変更された。
年度始めであり、例会兼総会の内容だったが、会員の関心はどちらかといえば、新鉱物「千葉石(チバセキ)」の講演だった。講演者門馬綱一氏は、新鉱物発表時に独立行政法人物質・材料研究機構の研究員だったが、4月から国立科学博物館の地学研究部鉱物科学研究グループに所属している。ちなみに同氏は、中学時代に本会の会員であった。
・千葉石は当初、石英として珍しい、八面体の等軸晶系ということから分析が始まった。
・千葉石の写真から、鉱物の内部に白く霞んでいる部分にガスが溜まっていると思われるかもしれないが、実際は鉱物の透き通った《面》にある。
・結晶構造はメタンハイドレートに相似で、酸素原子をケイ素原子に、水素原子を酸素原子に置き換えたものが千葉石の構造である。このケイ素原子と酸素原子で構成された《かご》状の結晶構造は強い構造でできているので、内部のガス(メタンの他に、エタンやプロパンなど)は容易に抜けない。
・産地は、保田層群の付加体の上部にある。一般的に、プレートが落ち込んだ堆積岩中の石英脈を探せば見つかるかもしれない。
次に会場を移して、本日の重要なイベントがおこなわれた。会長の喜寿のお祝いである。
会長は、鉱物関連の著書を多数著して、数多くの鉱物ファンを生み出した。また会員の中から、上記のように優秀な鉱物学研究者を育てられている。
お祝いは、立錐の余地もない会場で、感謝をまじえて盛況に催された。
(本ブログ関連:”千葉石”)