KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(2/6)に、人物シリーズ66回目としてパンソリの物語を歌い表現する伝説のソリックン(소리꾼)、金玉心(キム・オクシム、김옥심、1925年~1987年)を紹介した。
(参考)「"不運な名唱"金玉心を覚えてますか」(ハンギョレニュース、2006年10月25日)
金玉心の歌声に魅せられた、名唱たちの言葉の紹介から始まった。
・パンソリ保有者候補の趙通達(조통달)は、「私の師匠である朴初月(박초월)先生は、歌の稽古の合間に彼女の歌声が聞こえてくると、プク(太鼓、북)の撥(バチ)を置き、その声に聞き入っていました。そして、聞き終わるといつも、どうしたらあのような哀愁ある歌が歌えるのだろうと感嘆していたものです」と当時を振り返った。
・さらに、京畿民謡の金英妊(김영임)も、金玉心の歌声について、「彼女の声は誰にも真似できない、天からの授かり物だ」と表現した。
・また、李殷官(이은관)も「京畿民謡、西道民謡の歌い手の中でも一番だ。彼女以上の声を持った歌い手はもう二度と現れることはないだろう」と絶賛した。
・長い間、歌い手として空白期間があったため、一般に記憶があまり残っていないが、歌い手の間で高い評価を受けた。
▼金玉心による「旌善アリラン(정선아리랑)」を聴く。暖かい庭先で聞くような・・・ほんのりした歌声だ。
・彼女は、京畿民謡の女性スター(李銀珠(イ・ウンジュ、이은주)、黙桂月(ムク・ケウォル、묵계월)、安翡翠(アン・ビチィ、안비취))たちが人間文化財の脚光を浴びるその影(選定からはずされる)に置かれることになる。
次のように金玉心のプロフィールが紹介された。
・1925年、ソウルに生まれる(本名、愛姫)。子供の頃から歌が上手かった。
・12歳 幼くして家計のため咸鏡道へ奉公に出て3年ほど下働きして、同地方の歌を覚えたという。
・その後ソウルに戻り、広く知られた朱壽奉(주수봉)に師事。シジョ(時調、시조)、カサ(歌詞、가사)、雑歌などを学び、正式に歌の道へ進む。 逍遥山(소요산)の山裾にある滝の下で3年余り修練したという。
▼金玉心による西道(半島北部地域の黄海道と平安道地方)民謡の「キンアリ(긴아리)」を聴く。開けた窓を通じてどこからか聞こえてくるような、素朴な感じがしてとてもよい。
・朝鮮戦争(1950年6月25日~1953年7月27日)勃発後、陸軍軍芸隊に加入し、慰問公演なども行い、民謡「恨五百年」、「旌善アリラン」など広める役割も果たした。
・1960年代末、広く活躍したそんな矢先、突然、高血圧で倒れて音楽活動を全て休止した。
・1987年 悲運の名唱はこの世を去った。
▼金玉心による「回心曲(フェシムゴク、회심곡)」を聴く。他の歌い手に共通する独特な節回しとは違った、日常の物音に溶け込むような自然な響きがする。