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2026年7月21日火曜日

「こんにちは お母さん、こんにちは お父さん(キャンプからの手紙)」

先日(7/17)、ジリジリ暑い中を外出したとき、ランドセルを揺らしながら帰宅する小学生の一団とすれ違った。彼らは、両手に大きな荷物を持っていた。中には、更に透明のプラスティックの円筒に<長い穂>を伸ばした植物栽培(稲穂か?)の観察途中のようなものまで抱えた子もいた。なぜか、みなとても浮き浮き顔に見えた。

そうか、夏休みに入ったのだと! 家族との楽しい夏休みを思い描いているのだろう。

ところで、Youtubeに沼っていると、どこかで聞いたことのある曲と巡り合うことがある。たしかに、耳に残っているのだが、はたしてどこで、いつごろ聞いたやら・・・思い出せない。
そんな曲と、久し振りに巡り合い、懐かしく聴いた結果、タイトルとか歌詞情報を知って驚くことになる。合わせて、原典が由緒ある曲だったと知ることにもなるのだが。

それは、「ハロー・マダー、ハロー・ファダー(キャンプからの手紙)」(Hello Muddah, Hello Fadduh! (A Letter from Camp))*だ。そして、歌詞が何より傑作・・・そんな歌詞だったなんて知る由もなかった。それは、きっと、子どもの成長のため、両親からキャンプに放り込まれたのだろうけれど、苦痛でしょうがない少年の感想というか、ドタバタ劇のような展開をうまくまとめられないとぼけた表現で手紙文が構成されている。結局、男の子の、典型的な阿呆さを見事に描いている。
(*)Muddah、Fadduh: ニューヨークの特に東欧系ユダヤ人(イディッシュ語話者)の英語訛り(Google Labs)→ פאטער מוטער 

(本ブログ関連:”イディッシュ語”)

■ 歌詞(登録: For Ever Young  洋楽ロック(ロックて何だろう?))
「Hello Muddah, Hello Fadduh / Allan Sherman 和訳」(2025年01月26日)
    ー https://rockhistory.blog.jp/archives/26135053.html

■ Youtube(登録: The Allan Sherman Show)
「Hello Muddah, Hello Fadduh (Camp Granada Song) with Lyrics Sing-Along, Allan Sherman, 1963, updated」(2019/09/07)
    ー https://www.youtube.com/watch?v=4yFTOvO0utY



原曲

■ Youtube(登録:MARIEKANA 〜piano duo Lumiere〜)
「[ピアノ連弾] 時の踊り/ポンキエッリ/ピアノデュオ ルミエール/La Danza Delle Ore/Ponchielli/4hands piano」(2023/10/20)
    ー https://www.youtube.com/watch?v=UJzTzC5b8hs



付録
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歌詞は、Youtubeの「文字起こし機能」+ Chromeの「翻訳機能」を使ってください。

■ Youtube(登録: Melody Of Emem LoBus)
「YESTERDAY WHEN I WAS YOUNG - Shirley Bassey (Lyrics)」(2019/07/24)
    ー https://www.youtube.com/watch?v=xLcBNJnckHs

■ Youtube(登録: Café des Chansons by Velorith) ← AIで生成された仏語オールディーズ
「Je t’ai perdu dans la nuit — Emotional French Song | Night Vibes & Deep Feelings」(2026/04/11)
    ー https://www.youtube.com/watch?v=mGgltQTQpdU

2026年2月12日木曜日

マイム・マイム(2)

きょう、「体操教室」のために家を出たのが、いつもより15分ほど遅れていた。そのせいか、教室へ行く途中に聞こえる小学校の校庭からの、子どもたちの遊び声が微かになっていた。休み時間が終わったのだろうか。ちょっと寂しい思いをしながら、会場へ駆けつけた。

教室に入室したとき、決まってやることがある・・・血圧測定だ。体操開始ぎりぎりに到着したためか、随分と高い値になっていたのに驚く。冬場、寒い外気に触れてぎゅっと身が引き締まったせいかもしれない。

体操のメニューをこなした後、以前(2025.11.06)行なったフォークダンス「マイム・マイム」を、きょうは本格的なステップを伴い輪になって廻った。

(本ブログ関連:”マイム・マイム”)

歌詞について、Wikipediaに次のような解説がある。
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ちなみに "mayim"(מים)はヘブライ語で「水」を、また "be-sasson"(בששון)は「喜びのうちに」をそれぞれ意味しており、したがって有名な一節である "Mayim mayim be-sasson"(מים מים בששון)は、水源の乏しい乾燥地に入植した開拓者たちが、水を掘り当てて喜ぶさまを表したものと解釈できる。

“Hey hey hey hey”(הי הי הי הי)という掛け声は、英語からの借用語。
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フォークダンスで「Hey hey hey hey」という掛け声は、いかにもイディッシュを想起させるが、英語からの借用とは・・・。

ステップも難しく、どっと疲れて・・・汗が出そうになった。次のYoutubeは、そのステップについてガイドで、(ただでさえ足がもつれる)おじさんたちには、こうはいかない。もちろん教室でのステップは、これほど複雑ではなかったが。

■ Youtube(登録: Rokdim)
「Maim Maim - Teach | מים מים - לימוד」
    ー https://www.youtube.com/watch?v=kjrglS8xICs

2025年12月14日日曜日

「3I/ATLAS」を非自然的と推論したハーバード大学アヴィ・ローブ教授の名前

きのうの天気予報で、きょうは次の順だった。
    ⇒「湿雪(しっせつ) みぞれ 小雨 弱雨 雨 小雨 曇り 晴れ」
きょうの結果は、次の通りだった。思ったほどではなかった。
    ⇒「みぞれ 曇り みぞれ 弱雨 曇り 晴れ」

予報に出てきた、「湿雪」の言葉に慣れていない。検索AIの Labs によれば「水分を多く含んだ重たい雪のことで、地面に落ちるとすぐに水っぽくなるのが特徴」とのこと。タイミングがなかったのか、早朝見た限り外の様子は、雨上がりのように湿っているだけだった。


アヴィ・ローブ教授の名前

ところで、恒星間天体「オウムアムア」、「3I/ATLAS」を非自然的と推論したハーバード大学のアヴィ・ローブ(Avi Loeb)教授が、アメリカのYoutube*のインタビュー番組に登場した。その際、教授の風貌からユダヤ的な雰囲気を感じなかったけれど・・・、名前についてヘブライ語としてどんな意味がああるのか、生成AIの Gemini にたずねてみた。(難解な宇宙物理学への理解はありませんが!)
(*)Youtube: The Endless Void with Kristin Fisher
「ハーバード大学のアヴィ・ローブが3I/ATLASにすべてを賭ける理由」
    ー https://www.youtube.com/watch?v=3YIXobFV-jU&t=187s


(雑談)
よくSF界隈で語られることだが、地球上の生物は炭素(C)で構成される有機化学物質で形作られている、4つの価電子を持つことから、同様な元素にケイ素(Si)があって、他の世界にケイ素生物がいるのではないかという想像がある。

上記の、インタビュー中、教授がこんなことを言っていた。(構造化学では、分子の立体構造で鏡合わせのように2つの異性体がある)地上に存在するのは、その一方の型が多い。他の世界から来た生命が、人類と反対側の構造(鏡像体)でできていたら、ウィルスも異なるだろうから、とても危険で握手なんかできないというのだ・・・。


■ Gemini
(ヘブライ文字は、右から左へ読む)

Q.ハーバード大学の教授、「ברהם (אבי) לייב」の名前に、ヘブライ語としてどんな意味がありますか?
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A.ハーバード大学の教授である「ברהם (אבי) לייב」氏のお名前をヘブライ語として解釈すると、各部分に以下のような意味があります。

ברהם (アブラハム / Abraham)
・旧約聖書に登場するイスラエル民族の祖の名前です。
・ヘブライ語で <多数の父>(多くの人々の父)という意味を持つとされています。元々は「高められた父」を意味する「アブラム」でしたが、神の命令で「アブラハム」に改名されました。

אבי (アヴィ / Avi)
・「アブラハム (Abraham)」の愛称として使われることがあります。
・また、ヘブライ語の <私の父>を意味する「アーヴィー」から来ており、人名の一部としても使われます。

לייב (レイブ / Loeb)
・この名前自体がヘブライ語の語彙というよりは、ヨーロッパ起源の姓で、特にアシュケナジム・ユダヤ人に多い姓です。
・ヘブライ語由来の「レヴ」(לב, Lev - 心臓を意味する)や、あるいはイディッシュ語で「ライオネル」や「ライオン」を意味する語に由来すると考えられることもあります。

したがって、フルネームの「ברהם (אבי) לייב」は、ヘブライ語で、<多数の父(アブラハム)>、または「私の父(アヴィ)」を名前の核に持つ、伝統的な名前であると言えます。
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(追記)reddit掲載の情報より    ー https://www.reddit.com/r/AskHistorians/comments/1uc1xc/how_did_berg_and_stein_become_jewish_last_name/?tl=ja

■ Google
「Namen der Juden: Eine geschichtliche Untersuchung」
    ー https://books.google.fr/books?id=4LssAAAAYAAJ&printsec=frontcover#v=onepage&q&f=false

■ SLATE
「[CORRECTED] Jewish Surnames Explained」(Jan 08, 20141:02 PM)・・・ 不確かさに注意
    ー https://slate.com/human-interest/2014/01/ashkenazi-names-the-etymology-of-the-most-common-jewish-surnames.html



その後、

■ Wikipedia(Avi Loeb > 3I/ATLAS)
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独立した評価は、3I/ATLASが彗星以外の何物でもないという考えを強く否定している。NASA科学ミッション局のニコラ・フォックス副局長は、「彗星以外の何物でもないと思わせるような技術的特徴や証拠は全く見ていない」と述べた。同様に、NASA副局長のアミット・クシャトリヤ氏は、「すべての証拠が彗星であることを示している」と述べた。

ローブ氏は、このように証拠が積み重なる中、3I/ATLASは「おそらく」彗星であると認めたものの、それでもその技術的な性質については推測を続けた。
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2025年11月6日木曜日

マイム・マイム

きょうは、薄曇りとはいえ明るく、北風はゆるく吹き、最高気温は 20.7℃(12:38)もあり、穏やかな一日だった。そんな昼下がりに、週一開催の健康体操教室に出かけた。
教室の時間帯にも 20.1℃ あり、体が自然と動く。きのう*と比べて、きょうはずっと楽だった。
(*)きのうの最高気温は 15.8℃(13:24)で、きょうより5℃ も低かった。

体操教室は、ひと通りメニューをこなした後、余興というか、コミュニケーションをはかるためにゲームやクイズをすることがある。きょうは、初めてのことだが <フォークダンス> をした。遠いむかし、中学校の校庭でした覚えのある「マイム・マイム」だ。

マイム・マイムは、Wikipediaによると、イスラエルで演じた劇のために作曲(1942年)されたものだそうだ。私にしたら、ユダヤ民謡としか理解していなかったが。

幹事さんの指導のもと、全員が手をつなぎ輪になって回転**すると、次第に記憶がよみがえったような気がした。踊りの際、足の動きを気にしてはダメだ・・・ただでさえバランスが悪いというに。(下記Youtubeで解説の全てのステップをしたわけではないが)
(**)輪のつながりの中で位置が決まると、定位置のまま、輪全体を回転させながら踊る。

「マイム マイム マイム マイム」の後につづく「ウ マイム ベッ サ ソン」の「ベッ サ ソン」が、まるで掛け声のような気がしてくる。

ところで、イスラエルのヘブライ語と違う、東欧を主体としたユダヤ人の言語であるイディッシュ語をかじったことがある。そのとき知ったイディッシュ文化の音楽「クレズマー」に合わせて踊るダンスを思い出した。実際、クレズマーのコンサート会場で列に引っ張り出されて仲間とほんの一瞬だが踊った経験がある。あの感じかな。

(本ブログ関連:”クレズマー”)

ダンスの題名「マイム」はヘブライ語の「水(מים:マイム)」であり、イディッシュ語の「水(װאַסער:ワッサー)」は、ドイツ語の「水(Wasser:バッサー)」に近い。とはいえ、いずれも普通の水を意味する。水を喜ぶ歌、踊りだ。

次の通り、ダンスの振り付けについてはYoutubeに、曲の由来については Wikipedia と「日本フォークダンス連盟の資料」に詳細な解説がある。

■ Youtube(登録: 日本コロムビア 公式YouTubeチャンネル) ← ダンス指導の映像
「マイム・マイム ~学校フォークダンス 小学校編 DVDより~(日本フォークダンス連盟)」(2020/04/24)
    ー https://www.youtube.com/watch?v=trMj65wx_C4

■ 解説資料(登録: 日本フォークダンス連盟)
「マイム・マイム」
    ー http://www.folk-dance.or.jp/06.06.マイム・マイム(イスラエル).pdf


(付記)
理髪店に行った帰り道、西の空に浮かぶ雲が赤く染まっていた。

2025年8月26日火曜日

(雑談)アルファベット

イディッシュ語で使用する文字は、ヘブライ文字で、最初の文字は、「א」(アレフ: 筆記体 「」)である。
(本ブロ府関連:”イディッシュ語”)

授業中、ホワイトボードに書かれるのは筆記体だ。当然ながら、ノートに記述する場合も筆記体になる。そのとき、「アレフ」の筆記体をアルファベットの「K」に似ているので代用したりした。


ラテン語の文字「アルファベット」の最初の文字は「A」である。ヘブライ文字のアレフをローマ字で表記(転記)すると、א  → A になる(相当する)。


さて、ローマ字の起源を訪ねると、ギリシャ文字につながる。ギリシャ文字の始まりは「A」(アルファ)である。


ギリシャ文字の先祖は、フェニキア文字といわれる。フェニキア文字の最初は、「𐤀」(アレフ)。王の棺に掘られた文字列(・・・𐤀𐤇𐤓𐤌)のアレフが(見かけ上)「K」と似て見えるが・・・。

フェニキア文字のアレフ「𐤀」を、右に90度回転すると、「A」とそっくりになる。すなわち、𐤀 → A である。



(付記)
深夜、NHKのテレビ番組で、アメリカ人の言語人類学者デボラ・オチ教授(宮崎国際大学)*が調査されている、(宮崎県に密着した)日本の言語文化研究が紹介された。
(*)教員紹介: https://www.miu.ac.jp/about/teacher/graduate_school/archives/804/

その中で、ちょっと面白い話があった、「日本の演歌で女性を花にたとえる」という。

■ NHKテレビ
「最深日本研究 ~外国人博士の目~ キャラクター文化を知りたい」(2025年08月26日 午後11:00 〜 午後11:30)
    ー https://plus.nhk.jp/watch/st/g1_2025082612183
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アメリカ人言語人類学者のデボラ・オチが研究するのは、日本にあふれるキャラクター文化  ▽なぜ日本では企業や行政のPRなど、子ども向け以外の場面でもかわいいキャラクターマスコットが活躍しているか!?  ▽世界的に見ても独特というこの現象にはネーミングにも秘密が?  ▽「音」の響きに着目したデボラが語る”サウンドシンボリズム”とは?  ▽ご当地ヒーローのアクションにも「音」の秘密が隠されていた!? 
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2025年3月27日木曜日

(資料)ジャンケンポンを続けて輪になる、まるでクレズマーダンスのよう

毎週木曜日に開催される体操教室に行った。いつもの体操メニューをこなした後、全員参加型の次のゲームを楽しんだ。

ゲームは、まず2人のジャンケン(3回先勝した人が勝ち)から始まり、負けた人は勝った人の後ろに回り(両手を勝った人の肩に添えて)つながる。勝った人は改めて別の勝者の列とジャンケンをする。それを繰り返すと、勝ち続けた人を先頭にした長い列ができあがる。最終的に、全員が一列になるというもの。

ゲームの結果、長い列を丸い輪にして、両隣りを手でつなぐ。足でステップを踏みながら、輪を回転させる。続けると、あら不思議、一体感が生じる。それは、どこかで経験したことがある、全員一緒に手をつなぎながらステップを踏むダンスなのだ。

以前、イディッシュ語を学んだとき、学習メンバーにいた音楽家の(ユダヤ音楽=クレズマー)コンサートで、観客の中から自然と飛び入りして、手をつなぎながら踊ったことを思い出した。もちろん即席なため、ほんのわずかな時間であったが。

(本ブログ関連:”イディッシュ語”、”クレズマー”)

ところで、来月4月に、これまで体操後に楽しいゲームを指導してくれた方が異動することになった。(4月を起点とする)年度が新しく変わるためとはいえ、いたし方ないのかもしれないが。体操後にユニークなゲームをいろいろと紹介していただいたことを感謝します。

2021年12月7日火曜日

大雪2021

きょうは、二十四節気の「大雪(たいせつ)」。大雪(おおゆき)のイメージがするが、それより「木枯らし」(風速8m以上の北風で、10月半ば~11月末までの間に限る)すら吹いてない。早朝の冷え込みに身が凍みるようになったものの、降雪の気配もまったくない。

(本ブログ関連:”大雪(たいせつ)”)

さて、冬はなぜ寒いのだろう。夏が暑いのに対して・・・。

以前、ブログ(2017年5月22日)に記したが、むかしの東欧にユダヤ人の村「ヘルム」があって、長老が <夏は暑く、冬が寒い分け> を講釈する滑稽話しがある。落語の粗忽長屋の話しと思って聞けばうなづける。
(イディッシュ語作家、アイザック・バシェヴィス・シンガーの児童書「まぬけなワルシャワ旅行」(工藤幸雄訳)に所収の短編「ヘルムの長老とゲネンデルの鍵」より)


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(ヘルムの村の大長老グロナムが言った)
「ゆうべはまんじりともできなんだ - 夏がどうして暑いのか、そのわけを考えあぐんでな。やっと答えは出たが」
「して、どんな」と長老連が声をそろえた。
「つまり、冬のあいだ、村じゅうが暖炉をたく、するとその熱がヘルムぜんたいにたまる、おかげで夏は暑い、こういうわけじゃ」
長老連はうなずいた、ただぼんくらレキッシュだけは別で、こう聞きかえした。
「なら、冬が寒いわけは?」
「わかり切っとる」とグロナムは答えた。「夏場は暖炉に火をくべない、だからせっかくの暑さも冬まで残らん、ただそれだけのことよ」
長老連はグロナムのどえらい知恵をほめそやした。
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ところで、シンガーの児童書・絵本に「ヘルムのあんぽん譚(たん)」(関憲治訳、篠崎書林)があって、上記ヘルム(ここでは町だが)の統治者としてグローナムが登場する。物語は長老と取り巻きたちのそそっかしくて滑稽な語りが展開するが、顛末がいささか生々しい。ヘルムと他所の争いごとに、政治風刺を効かせ過ぎて児童書の枠を超えているように感じられる。せっかくの挿絵(ユーリ・シュレビッツ画)が、ストーリーに引きずられてしまい、勿体ないことになっている。

やっぱり、ヘルムの場所は日々の生活で精いっぱいな住民が織りなす、ときに素っ頓狂でお間抜けな阿呆村でいつづけて欲しい。そこに私たちを見つけてしまうのだから。

2020年8月6日木曜日

おかしな主人公たちの住む町

世の中には色んな阿呆がいる。わたしもその一人で気持ちがよく通じる。もし阿呆たちがそろったらどうなるだろう。収拾の付かないことばかりかもしれないが、意外とよく事が済むかもしれない。

イディッシュ語を少しかじったとき、語学テキストに閑話休題として小話が用意されていた。ストーリーの舞台に「ヘルム」の町(村)が出てくる。当然ながら、架空の町(村)で、ポーランドにあるという。まさにイディッシュの息づかいを感じる気がする。以来、彼らの粗忽さに落語と似た親近感を感じている。

(本ブログ関連:”阿呆”、”ヘルム”)

イディッシュ語作家でもあるアイザック・バシェヴィス・シンガーの児童書「まぬけなワルシャワ旅行」(工藤幸雄訳)の訳者解説に、同書で話題にしたポーランドのユダヤ人が住む町「ヘルム」の他に、おかしな主人公たちのいる民話の町として次が紹介されていて、以前このブログの「おバカな村」にも記した。
・イギリス「ゴタム」
・オランダ「カンペン」
・イタリア「クネオ」
・ドイツ「シュリートブルク」など

ところで、ドイツにはシュリートブルクの他に「シルダ」というおバカな町があるという。

アンソロジー「日本の名随筆40 愚」(山田風太郎選)に収載の、北杜夫の「阿保について」(「マンボウ人間博物館」の第一話)に、児童文学者のケストナーが記した、<賢人が出張して阿保ばかりが残った*ドイツ中世の「シルダ」の町>について紹介している。
(*)阿保ばかりが残ったのか、賢い者が戻ってきて阿呆の振りをしているだけなのか諸説あるようだ。

■ まず、北杜夫の「阿保」の定義が面白い。精神科医の作家なればこその紹介だが、孫引きする。
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ドイツの誇る精神科医、故ホルスト・ガイヤー博士に、『愚鈍について』という著作がある。彼は白痴患者の専門家であった。その一説、
『勤勉は阿呆の埋め合わせにはならない。勤勉な阿呆ほど、はた迷惑なものはない。』
・・・・
そもそも世に名高きシルダ人の愚行を記さぬ法はなかろう。シルダ人は、ドイツ中世の伝説の一つで、『ティル・オイレンシュピーゲルのいたずら』と共に、双璧をなしている。いろんな作家がシルダ人の愚行について、童話や小説を書いているが、ケストナーのものがいちばん面白いようだ。
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というわけで、ケストナーの「シルダの町の人びと」が少し触れられている。一匹の海老(ザリガニ)が巻き起こす騒動が面白い。

■ ちくま文庫「ケストナーの『ほらふき男爵』」(池内紀、泉千穂子訳)に所収の「シルダの町の人びと、ザリガニを裁判にかける」は、次のように書かれている。
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ある日、町にやってきたザリガニが、はさみを持っていることから仕立て屋に違いないと町長が結論を出す。さっそく布を切らせてみるとズタズタになる。そこからドタバタが始まり、結果、ザリガニは裁判にかけられる。裁判長は「溺死させるのがよろしい」と死刑を宣告する。
シルダの町の人びとは刑の執行を見守った。「かわいそうだがしかたない。法は曲げられぬ」と。
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こんな具合で、ザリガニは溺死の刑に処せられた。

■ そういえば、上記のシンガーの児童書「まぬけなワルシャワ旅行」にもこんな話がある(「ヘルムのとんちきまぬけな鯉」)。
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ヘルムの長老から大とんまな男へ贈られた鯉が、ぴしゃりと跳ねて男のお顔を叩いた。罰を与えようといろいろ算段したあげく、結局、溺死の刑に処すことになった。
鯉を湖に投げ込む処刑を見ながら、ヘルムの市民は歓声を挙げた。「卑怯きわまる鯉はおぼれてくたばれ!」と。
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ちなみに、ユダヤ料理の一品に使われる「ゲフィルテ」は、鯉のすり身団子だ。瓶詰から取り出してそのまま食べればさっぱりした味わいだ。わたしは、うどんと一緒に煮こんだりした。少々甘みが出てくるが、ふうふういいながら食うのも美味いものだ。

(本ブログ関連:”ゲフィルテ”)


(参考1)
学問的なことは全く不案内だが、ヘルマン・バウジンガー「ドイツ人はどこまでドイツ的?(2)― 国民性をめぐるステレオタイプ・イメージの虚実と因由 ―」(河野眞訳、愛知大学 言語と文化 No. 21)の翻訳に「シルダ」の町について次のような<訳注>がある。
https://taweb.aichi-u.ac.jp/tgoken/bulletin/pdfs/NO21/04KonoS.pdf
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p.68  シルダ(Schilda):シルダは,架空の都市の名前で,民衆本に頻繁に現れ,その市民はいたずら好きな主人公や,また主人公にからかわれる馬鹿な民衆でもあった。シルダの元になった町としては,ザクセンの「シルダウ (Schildau)」 やブランデンブルクの「シルダ (Schilda)」 などが挙がられる。
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(参考2)
学問的なことは全く不案内だが、「論説 《世間》は日本社会の特異性か?  - 欧文の翻訳における《世間》の用例に即した検証 -」(河野眞)も参考に記す。
https://aichiu.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=9219&file_id=22&file_no=1

2019年12月9日月曜日

ユダヤの歴史を学ぶ(第2部)-8

先週(12/2)休講だった市民講座「ユダヤの歴史を学ぶ(第2部)」へ久し振りに出かけた。受講に遠出となるが、電車の心地よい <1/f> の揺れを体感できるよい機会でもある。

(本ブログ関連:”ユダヤの歴史を学ぶ”)

きょうの講座は、東京外国語大学特任助教の細田和江氏から「現在のイスラエル② ―文化、文学、パレスチナとの関係を中心にー」について、イスラエルの文化(特に文学者や映画作品など)の紹介をいただいた。特に興味をひいた話題について次に記したい。

古い聖書の言葉(典礼語)の「ヘブライ語」を、現代イスラエルの口語として再生
・アイスクリーム(グリダー:גלידה) ← g-l-d(frost)アラム語
・映画(コルノア:קולנוע)← 声(コル:קול)+動作(ノア:נוֹעַ‎)

イスラエルでヘブライ語定着のための文学潮流
・1920年代: 移民文学(ヨーロッパからパレスチナへの移民の寂しさ)
・(外国文学のヘブライ語翻訳出版も行なわれる)
・イスラエル建国(1948年)後、ヘブライ語の国語化のための政府助成
・1940-50年代: 社会派リアリズム、英雄譚(シオニズムでのユダヤ人の運命を誇る)
・1960年代以降: 私小説(中東戦争の恐怖から逃れて、私的な領域についての表現へ)
・1960年代以降: マアバラー文学(一時キャンプ文学)
                         ホロコーストを経験していない中東系出身のユダヤ人(ミズラヒーム)の文学
                         ヨーロッパ系ユダヤ人からの差別を受け、低い地位に置かれた
・1970年代: ホロコースト文学(ホロコースト経験者の子世代による文学)
                    イスラエルは教育に利用を始めた
・1980年代: パレスチナ人の文学、イスラエルへの移民2世の文学

イスラエル内の「アラブ」文学
・ミズラヒーム(Mizrahi_Jews、上掲)
・パレスチナ人: イスラエル人から見れば「スパイ」、アラブ人から見れば「裏切り者」
                        イスラエル建国時にパレスチナに移った人
・両者はともにヘブライ語、アラビア語の文学作品がある

イスラエル/パレスチナ映画
・ブレッカス映画: ミズラヒームの影響を受けたジャンクフード的(←ヨーロッパ目線だが)映画

ちなみに、
① ヨーロッパの啓蒙運動の時代(18C末~)に、イディッシュ語は一段低く見られていた。
② ホロコーストの生き残りに対して、戦前からイスラエル在住のユダヤ人は「それ見たことか」と言った冷淡さがあった。
一方、戦前のヨーロッパのユダヤ人は、イスラエル在住のユダヤ人を低く見ていた。
③ イスラエルの人口構成(2019.9発表)
                       人数            構成比
    -------------------------------------
    ユダヤ人   6,744,000人    74.2%  ← 内ミズラヒーム 2,655,800人(ユダヤ人の43.5%)
    アラブ人   1,907,000人    26.0%
        他           441,000人      4.8%
    (合計)   9,092,000人   100.0%
    -------------------------------------


(感想)
・ホロコースト文学の登場が時代を下ったこと、その執筆者がホロコースト経験者の子世代であったこと。
・イスラエルが国民国家として、多数の民族や多言語をどう調整していくのか興味深い。
・ブレッカス映画について、サイト「NOBODY」に次の記載がある。
  (出典) https://www.nobodymag.com/interview/hillamedalia/index1.html
   「ブレッカスというのは、チーズが入っている三角形のお菓子で、安くておいしいけれども身体に悪いものなんです。」

(ブレッカス映画として:コメディ映画「テルアビブ・オン・ファイア」予告編)

(Youtubeに登録のシネマトゥデイに感謝)

2019年11月25日月曜日

ユダヤの歴史を学ぶ(第2部)-7

快調に歩けるようになった。健康体操教室のトレーニングの成果だろう・・・負荷の少ない地味なストレッチ運動中心のおかげか、歩きに疲労感がなくなったのだ。遠くの街で開かれている市民講座「ユダヤの歴史を学ぶ(第2部)」へ通いながら実感した。
(ところで帰りの電車で、若者が席を譲ってくれた・・・最近、歳相応に感謝して座るようにしている)

(本ブログ関連:”ユダヤの歴史を学ぶ”)

今年前期の「ユダヤの歴史を学ぶ(第1部)」(7/8)で 、<アメリカへ渡ったユダヤ人>を解説をされた、東京大学准教授の鶴見太郎氏から「ソ連におけるユダヤ人の生き方」についてうかがった。

帝政ロシア・ソ連時代に、ユダヤ人がどのように生き抜いたかを次のように紹介された。

ポグロム: ロシア革命内戦期に発生したユダヤ人排斥の結果
・ユダヤ人はボリシェヴィキ支持へと傾倒していった
  - 1919年、キエフのチェーカー(秘密警察)の75%がユダヤ人だったという推計も
・一方、ユダヤ人に「シオニズム運動」を招くことになる

ソ連体制下: 民族政策の変転
・帝政時代の居住制限から、ソ連時代の当初、移動の自由があった
  - イディッシュ語(文化)の普及政策
    a.ボリシェヴィキのユダヤ人セクションにいた女性エステル・フルムキン(Esther Frumkin)は忠実に実施
      ⇒ 1940年、シベリアの収容所に送られ粛清される
    b.ユダヤ人自身は、ソ連社会との融和が難しいと判断して敬遠する傾向にあった
    c.ユダヤ自治州(州都ビロビジャン)に定着させる: 防衛上、農業定着
      ⇒ WWⅡ後、3万人に達したが、現在は2,000人程度
・WWⅡ
    a.「ホロコースト」(略)
    b.1942年、西側ユダヤ人に対し、ソ連支援のため「ユダヤ人反ファシスト委員会」を結成
・WWⅡ後
    a.スターリン時代
      ⇒ 上記ユダヤ人反ファシスト委員会関係者の暗殺・逮捕
      ⇒ 反ユダヤ主義の立場から、ユダヤ人の活動を「ブルジョワ民族主義」と呼んだ
    b.スターリン以降
      ⇒ イディッシュ語(文化)の名目上の復帰
・1967年「第3次中東戦争」、アラブ支持のソ連でイスラエル・シオニズム批判が起る
・海外(イスラエルおよび諸外国)への移住希望者が増大
    a.1989~98年、ソ連圏から120万人(内実質のユダヤ人は80万人)が出国
      ⇒ 1970~97年、ロシアから30万人が出国
      ⇒ 1970~97年、ウクライナから42万人が出国

(感想)
イスラエルにおける、ロシア語話者*のユダヤ人が多数いるという。
(*)Russia Beyond「さまざまな情報源によると、ソ連・ロシアからイスラエルに移住した人でロシア語を話すのは、25万〜50万人だ。米フォーブス誌の試算では、2017年時点でイスラエルのロシア語人口は150万だった(同国の総人口は約860万人)」(  https://jp.rbth.com/lifestyle/80162-sekai-no-roshiago-jinkou-wa-dono-kurai )
彼らがイスラヘル移住を決めた理由を知りたい。ソ連時代のロシア人だって大変な経験をしているのだから、ユダヤ人はもっと厳しい経験をしただろう。
東欧のポーランドの田舎町や村(シュテットル)にユダヤ人が多数いたことは、ポーランドやリトアニアの歴史から推察できるが、ロシアにどうして住むようになったのかも知りたい。

2019年10月28日月曜日

ユダヤの歴史を学ぶ(第2部)-4

毎週月曜日開催の市民講座「ユダヤの歴史を学ぶ(第2部)」へ通う。今日で4回目になる。私にとって少々長旅?で、ようやく体が慣れてきた感じがする。帰りの電車で転寝したことはいうまでもない・・・いい按配で心地よい。頭だけでなく、体も解きほぐしてくれる。

(本ブログ関連:”ユダヤの歴史を学ぶ”)

今回は、内容がヘビーさを増す中で、相当に厳しいテーマ <ホロコースト> について、学習院女子大学教授の武井彩佳氏から「ナチスの時代のユダヤ人」の講演があった。サブタイトルは「ホロコーストの展開と現在に残る『爪痕』」だった。
武井氏の専門分野は、<戦後のホロコーストの補償としての財産問題> とのこと。実は、来週も担当され、次回のテーマ(「ナチスの時代のユダヤ人」について」)にもつながる。

講演で個人的に関心のあったところに絞って記す。

言葉としての「ホロコースト」
・ギリシャ語を語源として、ユダヤ教の「燔祭(はんさい)」(宗教的捧げ物する)の意
・ナチスによる虐殺についてフランス語の「ショアー」が使われる
・イディッシュ語で「フルブン(khurbn‎、חורבן)」

ユダヤ人の犠牲について
・ナチスの人種的優位性の理解: アーリア人 > スラブ人 > ユダヤ人
・東欧:ドイツ軍侵攻とともに殺戮が開始される(ポーランド、リトアニア、ウクライナなどで)
   西欧:ドイツ支配下(民政移行=対独強力)の国(ユダヤ人が少数)では、比較的に緩やかに進行
・ドイツ国内:ドイツ在住のユダヤ人は金があって脱出可能だった
   - 戦前在住 56万人 ⇒ 30万人が移民(逃避)、死亡14万人
   - 戦後在住 3.7万人 ⇒ 戦後も移民が止まなかった

ホロコーストの構造
・加害者: ドイツ、オーストリアの20万人
・傍観者(対独協力者): ポーランド、ウクライナ、ラトヴィア、その他(ユダヤ人不在により利益を得た者)
・犠牲者: ユダヤ人の600万人

ホロコーストの実行
・ヒトラーから直接命令の資料はないが、1941年夏ころ口頭指示があったといわれる
・行動部隊: 1941年設立、親衛隊(SS)+ 通常(普通)の警察官

強制収容所
・ラインハルト計画: ユダヤ人絶滅だけを目的にした絶滅収容所、トレブリンカなど
・強制労働+絶滅: アウシュビッツなど

戦後の東欧の収容所跡地の扱い
・共産党政権下: ユダヤ人を捨象して、収容民を被害者大衆として扱ったが
   自由主義化後: ユダヤ人に注視した再定義が行なわれている
・研究手法: ホロコーストの分析だけでなく、<法>考古学的な発掘調査


(感想)
なにより、ドイツ在住のユダヤ人の行動に注目した。
・ドイツを脱出したユダヤ人はどこへ行ったのだろう? アメリカではなかったのか?
   - 情勢の変化を事前にどのように察知(階層ごと情報収集)したのだろう?
・他方で、多数の犠牲者を占めた東欧のユダヤ人こそ、ユダヤ社会から置き去りにされた人びとだったのではないか?

2019年8月29日木曜日

ユダヤ教の現代がわかる 2019-3

3日連続の一般公開講座「ユダヤ教の現代がわかる - 宗教と言語の観点から -」の第3回目の最終日に出かけた。街中は真夏に戻ったように陽差しが照りかえり・・・まさに汗だらけになった。途中、涼を求めて喫茶店に飛び込んだほど。

(本ブログ関連:”ユダヤ教の現代がわかる 2019”)

今日の東京都心の最高気温は、34.6℃(12:38)だった。久し振りに高温だったことが分かる。ちなみに、先週土曜日から今日までの都心の最高気温は次の通り。
-----------------------
24日(土) 31.4℃
25日(日) 31.1℃
26日(月) 28.5℃
27日(火) 29.4℃
28日(水) 28.1℃
29日(木) 34.6℃
-----------------------

最終回は、日本学術振興会特別研究員(東京大学)鴨志田聡子氏から、「現代ユダヤ人とユダヤの言語」というタイトルで、ユダヤ人の母語としての「イディッシュ語」と「ラディノ語」、および各種の「ユダヤ諸語」の存在について紹介された。

・ユダヤ人の母語と母国語
  - 母語: 母親が内輪で話す言語(例.イディッシュ語の場合、「マメ・ロシュン」)
  - 母国語: 母国(国家)の言語(例.イスラエルの公用語としての「ヘブライ語」)

・「イディッシュ語」と「ラディノ語」
  - イディッシュ語: 1000年前にドイツのフランクフルトを起点に東欧へ展開した言語
  - ラディノ語: 1492年に「スペイン追放」された後、トルコなどへ移動した言語
  - 当然ながら、イディッシュ語はドイツ語を、ラディノ語はスペイン語を基底にする

・ユダヤ人の気質を知る
  - 絵入りイディッシュ語のジョーク・サイト(YiddishWit.com)*の紹介
    (*)サイト: https://www.yiddishwit.com/index.html
      例:「大きな河で大物が釣れる」(でかいことをしたければ大舞台でやれ)
「Yiddish Wit」に掲載より
・イディッシュ語(ヘブライ文字:右から左へ読む).אין אַ גרויסן טײַך כאַפּט מען גרויסע פֿיש
・イディッシュ語(ラテン文字転記:左から右へ読む)In a groysn taykh khapt men groyse fish.
・英語訳  In a big river you(men) catch big fish.

2019年7月8日月曜日

ユダヤの歴史を学ぶ-12

連日、あやしい天候が続いていたので、心配しながら市民講座「ユダヤの歴史を学ぶ」へ出かけた。この連続講座、今日で最終回となる。第12回の今回、「ユダヤ人、アメリカに渡る:アメリカ移民の20世紀」について、東京大学准教授 鶴見太郎氏から解説いただいた。(幸い帰りもよい天気だった)

20世紀前後に、アメリカへ渡ったユダヤ人移民の大半(7割近く)は、ロシア・東欧地域から来た人びとだった。彼らが、移民後どのような生活を送ったのかを紹介された。

・アメリカのユダヤ人(現在)
  - 人口:約600万人(総人口の2%)・・・ その内「(超)正統派(ハレーディーム)」(黒服)は12%程度
・ロシア・東欧地域からの移民となった要因
  - 貧困:従来の経済活動(商業・手工業・運輸業)では、工業化・資本主義化に乗れなかった
・移民として迎え入れる要因
  - 先発の親類・友人(イディッシュ語話者)の迎え要れ: 非合法(斡旋業者)による移民
・移民後の労働運動
  - ドイツ移民の支援もあった
・ユダヤ人の階級上昇: 高い教育水準
  - 1937年のニューヨーク市: 弁護士・判事の64%、歯科医の64%、医師の55%がユダヤ人
・ユダヤ人の教育環境(正統派など)
  - アメリカの教育法に従いながら宗教教育を行う
  - 男子: タルムードを読みこなせるまで、女子: 世俗科目に重点を置く(世間との親和性あり)
  - 早婚、子だくさん
・(超)正統派コミュニティの問題点
  - 若者に見られるコミュニティからの離脱: 支援組織(ex. Footsteps)がある
・ユダヤ・コミュニティ: 自律的に活動する

連続講座を聴講したことで、何か整理されたかというより、正直ますます混迷を深めたといってもよいかもしれない。ユダヤ人が、どのように各地に定着したか、どのように移動したか、そしてどのような階層だったのかがよく分からない。時代を先行した階層もあれば、とり残された階層もあったはず。そこが知りたい。

2019年7月1日月曜日

ユダヤの歴史を学ぶ-11

九州を昨夜来、大雨が襲った。雨雲レーダーで一般に視覚的に知るようになった「線状降水帯」という同一場所で大雨が降り続く気象現象によるもの。その局地的な被害に対して、一方、東京は霧雨の一日だった。

傘をさすべきか迷う程度の中、市民講座「ユダヤの歴史を学ぶ」へ出かけた。第11回の今日は、東京外国語大学講師 鴨志田聡子氏から「近代東欧のユダヤ人:『屋根の上のバイオリン弾き』にみるイディッシュ文学の世界」について情熱たっぷりに語っていただいた。

(本ブログ関連:”イディッシュ語”)

中欧・東欧地域に多く居住したユダヤ人たちの言語「イディッシュ語」を通じて、言葉を持つ(語る)意味を解説された。イディッシュ語とは何か、そして(イディッシュ語と縁のある)現代のユダヤ人になぜ見直されているのか。

① イディッシュ語文学の代表的作家「ショーレム・アレイヘム」(1859年~1916年)
 ・バイオグラフィー: ウクライナに生まれ、欧州を転々としてニューヨークに没す
 ・代表作「牛乳屋テヴィエ」(ミュージカル「屋根の上のバイオリン弾き」の原作)
  - 読者の「共感」: 家族・庶民の日常と変化、(時代)社会の変化を描く
  - 日常イディッシュ語 < 周辺とはウクライナ語・ロシア語 < 宗教上はヘブライ語

(本ブログ関連:”屋根の上のバイオリン弾き”)

② イディッシュ語
 ・言語の特性: ドイツ語要素80%、スラブ諸語要素15%、ヘブライ語8%
 ・表記の仕方: ヘブライ文字、文章は「左←右」に記述する

③ イディッシュ語の復興
 ・イスラエル建国時に公用語化されず一時廃れる
 ・現在、イスラエルのテルアヴィブなどでサマースクールが開催される
 ・習得動機に「母が喋っていた言葉」がある ⇒ まさに「mame-loshen(マメ・ロシェン)」

④ (イディッシュ語という)言語と集合的記憶
 ・イディッシュ語を通して、自分たちが何者であるのかを求める
 ・イディッシュ語は、世代を超えた連続性のある「共有」


今回紹介の参考書籍、岩波文庫「世界イディッシュ短編選」(西成彦編訳)の巻末に編者の解説があって、イディッシュ文学者たちが時代の中で移動(遁走)していたかを紹介している。

(本ブログ関連:”西成彦”)

またイディッシュ語文学の作品が成立した時代の視点として、ロシア革命以前・以後、第二次大戦以前・以後かどうかも気になるところだ。

2019年5月22日水曜日

ゲフィルテ・フィッシュの食べ方

先日(5/15)のイディッシュ語の勉強会で、ユダヤ料理を食べながら会話練習をするという洒落た機会を得た。考えてみれば、イディッシュ語に関心を持ちながら、ユダヤ料理を一度も食したことがないというのが不思議。今回それを一挙?に解決できたと思う。

(本ブログ関連:”イディッシュ語クラブ”)

メニューに「ゲフィルテ・フィッシュ(Gefilte fish)」(魚肉のつみれ風だが柔らかくて穏やかな・淡白な味)があって気に入り、授業後その瓶詰めを売店で購入した。「Manischewitz」製の「Premium Gold  Gefilte fish」(ニンジンが少々入った)で、6個入りのもの。Manischewitzは、コーシャ(食物規定)にのっとった、米国では知られた食品会社のようだ。瓶ラベルに食材について、「アメリカの五大湖で漁った」ものから選りすぐったとあり、材料として「コイ」の表示がある。(淡水魚とは意外だった)

売店で購入したとき、(日本の)家庭料理に使うなら「わさび」と一緒に食するとよいとアドバイスを受けたが、今回はちょっと違う使い方をしてみた。そして、今日食べ終わった。

結論からいえば、最近「うどん」(冷凍うどんの場合実に食味がよい)に凝っていて、その際の「つゆ」作りに(千切りした塩昆布と合わせて)、ゲフィルテ・フィッシュを粗く刻んで味出しに使った。
いってみれば、「つみれ入りのうどん」であったり、「肉うどん」といったジャンルに入る。熱いうどんと一緒に食べると、ゲフィルテ・フィッシュから常温では気付かない独特な甘みが出るのを感じた。今まで経験したことのない、新種のうどん料理ができたことになる。

2019年5月15日水曜日

イディッシュ語クラブ-2

先月(4/18)から月1回の割合で始まった「イディッシュ語クラブ」の第2回目の今日、一人で会場を訪れた。初回時、駅から会場までの道筋が複雑なため、クラスメイトに同行をお願いしたが、今回は遠慮して、(右足「ふくらはぎ」が少々つり気味にも関わらず)良く頑張ったと思う。

(本ブログ関連:”イディッシュ語クラブ”、”イディッシュ語”)

先生は、ネイティブであり多言語話者でもあるため、言語習得についていろいろなヒントをいただいた。今回新たに(といっても以前、先生の指導を受けたことのある)参加したクラスメイトの・・・これまた多言語振りに接して、流暢に喋れるのではないかと錯覚してしまいそう。

ユダヤ料理を囲みながら会話練習、食後にはイディッシュソングを歌うといった、ちょっと贅沢な時間を過ごした。
① 食事(全般に淡白だがユダヤ家庭料理を楽しめた気がする)
  ・ピタ: カレーのナン風だが、もっとパン寄り
  ・サラプ:賽の目に切ったトマトで飾ったコールスロー風サラダ
  ・ポテトフライ
  ・フムス: ひよこ豆を擂り潰してペースト状にしたもの
  ・ゲフィルテ・フィッシュ: 魚肉のつみれ風だが柔らかい穏やかな味(授業後、瓶詰めを売店で購入した)

② イディッシュ語会話練習(事前に教材がメール配信された)
  ・食事をしながらの会話練習のため、ついつい食材や味覚表現のメモもが残った
  ・出身地の紹介の表現

③ イディッシュソング「暖炉の上で」をみなで歌う
  ・19世紀末にイディッシュに人気のあった曲を歌い、歌詞について解説いただいた 。


(Youtubeに登録のThe Soul of Jewish Musicに感謝)

④ 初級イディッシュ語学習のコツ
  ・名詞: 単数形と複数形(語形が単数と違うことある)を合わせて覚えること。
  ・活用: 格変化を一覧表にして覚えようとせず、会話練習の中で習得すること。

2019年4月17日水曜日

イディッシュ語クラブ-1

今日から「イディッシュ語クラブ」が始まった。実は、昨年まで続いた「イディッシュ語教室」が、今年は休講となり、志が危うくなりかけたところ、クラスメイトから今回の集いを紹介いただき参加した次第。

(本ブログ関連:”イディッシュ語”)

15カ国語を習得されたネイティブの先生のもとに、イディッシュ語大好き人間が集まり、会話練習を中心に、(ミュージシャンも参加されているので)イデッシュの歌を楽しんだり貴重な時間を過ごした。ひとえに、先生の情熱のお陰と感謝している。

イディッシュ語は「母の言葉」すなわち「mame-loshen(マメ・ロシェン)」で母から伝わること、イデッシュ語らしい言葉など教えていただいた。特に、次のような面白い表現を紹介いただいた。
・?נו: それじゃ?、何いってんの?
・אוי וויי: 困ったな、何てこった

ちなみに、参加者たちに愛称?(例えば、יצחק(イツホク)とか משה(モイシェ)とか)が付けられ、わたしには「מרדכי (mordkhe:モルドゥヘ)」が与えられた。これから、月一、ニ回の割合で開催されるので、次回から先生の了解を得て詳細を記したいと思っている。

2019年4月15日月曜日

ユダヤの歴史を学ぶ-2

先週から、市民カルチャーセンター(生涯学習)の「かわさき市民アカデミー」で開催の「ユダヤ人、ユダヤ教、イスラエル」講座に通っている。イディッシュ語の関心の延長ということで、ユダヤ文化や歴史について整理できればと願っての次第。それと、電車を乗り継いで通うのは、体に結構いい運動になっている。

(本ブログ関連:”ユダヤの歴史を学ぶ”)

第2回目の今日は、立教大学准教授長谷川修一氏から「旧約聖書の世界(1)-『旧約聖書』とはどのような書物か - 」について説明された。
1) いわゆる「旧約聖書」には、① ヘブライ語聖書、② プロテスタントの聖書、③ ローマ・カトリックの聖書がある。これらの3つの聖書について、構成する正典(記、書、編など)の整合性(過不足・順序の入れ替えなど)を、歴史背景と合わせて紹介された。
2)「死海文書」(1/3がヘブライ語記述)は、現在最古のフルセット写本聖書といわれるレニングラード版(1008年)をさらに1000年遡るといわれ、かつ現在の聖書との食い違いもほとんどない(筆写が正確に行なわれた証でもある)とされた。
3) ヘブライ語聖書に書かれた聖書内の出来事を、(暦制度の高い)アッシリアの資料をもとに考証したところ、王国出現以降については受容できるようだ。

以上、内容が多岐にわたるため、受講する側にとって少々オーバーヒート気味。例えれば、日本に不案内の欧米人に対して、「古事記」をもとに文献の解題される感じで、若ければ再度いろいろな書籍を読み直すだろうけど・・・(こんな言い訳に根性がないのが残念)。

ところで以前、「イディッシュ語」の夏休み教室で同席させていただいた、ユダヤ宗教史の研究者がいらしたので、講演が始まるまで、素人にも分かる話を聞かせいただいた。

2019年4月8日月曜日

ユダヤの歴史を学ぶ-1

イディッシュ語の教室が、今年は休講になった。素人学習ゆえ、休止は即=揮発に通じる(忘れてしまう)。そこでユダヤの歴史や文化の理解とからめて、イディッシュ語への意欲を維持できればと願っている。

元々は、ユダヤ人の日常で育まれた庶民らしさに興味がある。作家の描く庶民像はあっても、庶民が口にする素朴な言葉を知る機会が少ないような気がする。あえていえば、少々刺激の強い「ユダヤジョーク」くらいで、そこから大衆らしさを感じたり、その諧謔さの源泉を想像するくらい。風習、因習を詰め込んだ濃縮な共同体について、それもロシア革命以前の古いシュテットルに遡って知れたらどんなに楽しいだろう。

今回、市民カルチャーセンター(生涯学習)の「かわさき市民アカデミー」で、「ユダヤ人、ユダヤ教、イスラエル」の連続講演が開かれるという。講演では、ユダヤとイスラム世界との関係まで含めて歴史をたどることができるようだ。しっかりしたものを知りたく参加した。

(本ブログ関連:”ユダヤ”)

講演会の第1回目は「序論 -『ユダヤ人』とは誰のことか - 」で、ユダヤ宗教史学者の市川裕氏(今年3月に東京大学宗教学研究室の教授を退官されたばかり)が語られた。ちょうど今年の1月22日に出された、岩波新書の「ユダヤ人とユダヤ教」が参考になる。

(本ブログ関連:”ユダヤの歴史を学ぶ”)

・ユダヤ人の規準   ユダヤ人は母親から生まれた者
・ユダヤ人らしさ   ユダヤ教は幼子にとって母の手
・ラビ(律法の解釈者)により律法(国境を超えてユダヤ人に共通する)が定まる
・ユダヤ人の移動の経路
   イスラエル → 地中海(スペイン)→ アルプス越え(西欧)→ 東欧 → 西欧/ロシア/アメリカ/イスラエル
           ‖                  ‖                                                     ‖
   ミズラヒーム    スファラディーム                                アシュケナジーム
 
ユダヤ人にとって、母と子の関係は密接で、言語もそうだ(⇒ マメ・ロシェン)。
(人間の先祖をアフリカまで遡れるのは、母親の卵子中のミトコンドリア遺伝子のおかげだ。父親はどこの馬の骨かも分からぬ。ユダヤ教の系統であるキリスト教でも、キリストの父親は役割が低い気がする。)


講演会場へ行く途中、小さな水路「二ヵ領用水」があって、その岸に桜が咲いていた。街の賑わいを横切る用水路で地味なため、その先がどうなっているのか・・・気になる。

今日は寒の戻りになってしまったが、春の遠出ができたのは幸い。しかし、知らないところの街歩きは、気持だけでなく足腰も疲れる。おかげで帰りの電車で、1/f の揺らぎにすっかり寝込んでしまった。

これから暖かさが増してくれば、元気に動き回ることだろう。

2019年4月6日土曜日

(雑談)大地

ユダヤ人(アシュケナージ)にとって「母語」が「イディッシュ語」である意味を知り、一昨日(4/4)のブログで、母なるものの例えに「母なる大地」があることも記した。「大地」は生命を育む場所であり、命を継続する場所である。

(本ブログ関連:”母なる大地”)

大地を保つために、国家や宗族などさまざまな集団のスタイルがあるだろうけれど、一度保有してしまうと、そこで暮らす仲間や身内(国民・親族)の中に、脱落する者が発生することもあるだろうし、彼らを守りきらねばならない。大変なことだ。そのための知恵として、神話や宗教、掟、あるいは道徳を総動員することになる。

流浪の民の場合、その道筋で、脱落者をどのように救済したのだろうか。また、行き着いた(たどり着いた)究極の土地で発生するであろう、新たな脱落者を守らねばならない。流浪で共有した価値観と、新天地での価値観とを、どのように整合するのだろうか。
(行き着いた究極の大地で発生する脱落者も永遠に土着する・・・どのように折り合いをつけるのだろうか)

日本人は島国に住み、そのなかで行動するため、大地とは海で囲まれた固有の場所、列島でしかない。比較して、大陸や国々を渡り歩いた人びとにとっての大地と、意味合いがだいぶ違うだろうと思う。

お喋り過ぎのようで、ここで気分を変えて美しい音楽を聴いてみましょう。

(映画「Once Upon a Time in America」から「Deborahのテーマ」)

(Youtubeに登録のSelfDistribuzioneに感謝)