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2019年7月1日月曜日

ユダヤの歴史を学ぶ-11

九州を昨夜来、大雨が襲った。雨雲レーダーで一般に視覚的に知るようになった「線状降水帯」という同一場所で大雨が降り続く気象現象によるもの。その局地的な被害に対して、一方、東京は霧雨の一日だった。

傘をさすべきか迷う程度の中、市民講座「ユダヤの歴史を学ぶ」へ出かけた。第11回の今日は、東京外国語大学講師 鴨志田聡子氏から「近代東欧のユダヤ人:『屋根の上のバイオリン弾き』にみるイディッシュ文学の世界」について情熱たっぷりに語っていただいた。

(本ブログ関連:”イディッシュ語”)

中欧・東欧地域に多く居住したユダヤ人たちの言語「イディッシュ語」を通じて、言葉を持つ(語る)意味を解説された。イディッシュ語とは何か、そして(イディッシュ語と縁のある)現代のユダヤ人になぜ見直されているのか。

① イディッシュ語文学の代表的作家「ショーレム・アレイヘム」(1859年~1916年)
 ・バイオグラフィー: ウクライナに生まれ、欧州を転々としてニューヨークに没す
 ・代表作「牛乳屋テヴィエ」(ミュージカル「屋根の上のバイオリン弾き」の原作)
  - 読者の「共感」: 家族・庶民の日常と変化、(時代)社会の変化を描く
  - 日常イディッシュ語 < 周辺とはウクライナ語・ロシア語 < 宗教上はヘブライ語

(本ブログ関連:”屋根の上のバイオリン弾き”)

② イディッシュ語
 ・言語の特性: ドイツ語要素80%、スラブ諸語要素15%、ヘブライ語8%
 ・表記の仕方: ヘブライ文字、文章は「左←右」に記述する

③ イディッシュ語の復興
 ・イスラエル建国時に公用語化されず一時廃れる
 ・現在、イスラエルのテルアヴィブなどでサマースクールが開催される
 ・習得動機に「母が喋っていた言葉」がある ⇒ まさに「mame-loshen(マメ・ロシェン)」

④ (イディッシュ語という)言語と集合的記憶
 ・イディッシュ語を通して、自分たちが何者であるのかを求める
 ・イディッシュ語は、世代を超えた連続性のある「共有」


今回紹介の参考書籍、岩波文庫「世界イディッシュ短編選」(西成彦編訳)の巻末に編者の解説があって、イディッシュ文学者たちが時代の中で移動(遁走)していたかを紹介している。

(本ブログ関連:”西成彦”)

またイディッシュ語文学の作品が成立した時代の視点として、ロシア革命以前・以後、第二次大戦以前・以後かどうかも気になるところだ。