先日(5/15)のイディッシュ語の勉強会で、ユダヤ料理を食べながら会話練習をするという洒落た機会を得た。考えてみれば、イディッシュ語に関心を持ちながら、ユダヤ料理を一度も食したことがないというのが不思議。今回それを一挙?に解決できたと思う。
(本ブログ関連:”イディッシュ語クラブ”)
メニューに「ゲフィルテ・フィッシュ(Gefilte fish)」(魚肉のつみれ風だが柔らかくて穏やかな・淡白な味)があって気に入り、授業後その瓶詰めを売店で購入した。「Manischewitz」製の「Premium Gold Gefilte fish」(ニンジンが少々入った)で、6個入りのもの。Manischewitzは、コーシャ(食物規定)にのっとった、米国では知られた食品会社のようだ。瓶ラベルに食材について、「アメリカの五大湖で漁った」ものから選りすぐったとあり、材料として「コイ」の表示がある。(淡水魚とは意外だった)
売店で購入したとき、(日本の)家庭料理に使うなら「わさび」と一緒に食するとよいとアドバイスを受けたが、今回はちょっと違う使い方をしてみた。そして、今日食べ終わった。
結論からいえば、最近「うどん」(冷凍うどんの場合実に食味がよい)に凝っていて、その際の「つゆ」作りに(千切りした塩昆布と合わせて)、ゲフィルテ・フィッシュを粗く刻んで味出しに使った。
いってみれば、「つみれ入りのうどん」であったり、「肉うどん」といったジャンルに入る。熱いうどんと一緒に食べると、ゲフィルテ・フィッシュから常温では気付かない独特な甘みが出るのを感じた。今まで経験したことのない、新種のうどん料理ができたことになる。
2019年5月22日水曜日
2020年8月6日木曜日
おかしな主人公たちの住む町
世の中には色んな阿呆がいる。わたしもその一人で気持ちがよく通じる。もし阿呆たちがそろったらどうなるだろう。収拾の付かないことばかりかもしれないが、意外とよく事が済むかもしれない。
イディッシュ語を少しかじったとき、語学テキストに閑話休題として小話が用意されていた。ストーリーの舞台に「ヘルム」の町(村)が出てくる。当然ながら、架空の町(村)で、ポーランドにあるという。まさにイディッシュの息づかいを感じる気がする。以来、彼らの粗忽さに落語と似た親近感を感じている。
(本ブログ関連:”阿呆”、”ヘルム”)
イディッシュ語作家でもあるアイザック・バシェヴィス・シンガーの児童書「まぬけなワルシャワ旅行」(工藤幸雄訳)の訳者解説に、同書で話題にしたポーランドのユダヤ人が住む町「ヘルム」の他に、おかしな主人公たちのいる民話の町として次が紹介されていて、以前このブログの「おバカな村」にも記した。
・イギリス「ゴタム」
・オランダ「カンペン」
・イタリア「クネオ」
・ドイツ「シュリートブルク」など
ところで、ドイツにはシュリートブルクの他に「シルダ」というおバカな町があるという。
アンソロジー「日本の名随筆40 愚」(山田風太郎選)に収載の、北杜夫の「阿保について」(「マンボウ人間博物館」の第一話)に、児童文学者のケストナーが記した、<賢人が出張して阿保ばかりが残った*ドイツ中世の「シルダ」の町>について紹介している。
(*)阿保ばかりが残ったのか、賢い者が戻ってきて阿呆の振りをしているだけなのか諸説あるようだ。
■ まず、北杜夫の「阿保」の定義が面白い。精神科医の作家なればこその紹介だが、孫引きする。
----------------------------
ドイツの誇る精神科医、故ホルスト・ガイヤー博士に、『愚鈍について』という著作がある。彼は白痴患者の専門家であった。その一説、
『勤勉は阿呆の埋め合わせにはならない。勤勉な阿呆ほど、はた迷惑なものはない。』
・・・・
そもそも世に名高きシルダ人の愚行を記さぬ法はなかろう。シルダ人は、ドイツ中世の伝説の一つで、『ティル・オイレンシュピーゲルのいたずら』と共に、双璧をなしている。いろんな作家がシルダ人の愚行について、童話や小説を書いているが、ケストナーのものがいちばん面白いようだ。
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というわけで、ケストナーの「シルダの町の人びと」が少し触れられている。一匹の海老(ザリガニ)が巻き起こす騒動が面白い。
■ ちくま文庫「ケストナーの『ほらふき男爵』」(池内紀、泉千穂子訳)に所収の「シルダの町の人びと、ザリガニを裁判にかける」は、次のように書かれている。
イディッシュ語を少しかじったとき、語学テキストに閑話休題として小話が用意されていた。ストーリーの舞台に「ヘルム」の町(村)が出てくる。当然ながら、架空の町(村)で、ポーランドにあるという。まさにイディッシュの息づかいを感じる気がする。以来、彼らの粗忽さに落語と似た親近感を感じている。
(本ブログ関連:”阿呆”、”ヘルム”)
イディッシュ語作家でもあるアイザック・バシェヴィス・シンガーの児童書「まぬけなワルシャワ旅行」(工藤幸雄訳)の訳者解説に、同書で話題にしたポーランドのユダヤ人が住む町「ヘルム」の他に、おかしな主人公たちのいる民話の町として次が紹介されていて、以前このブログの「おバカな村」にも記した。
・イギリス「ゴタム」
・オランダ「カンペン」
・イタリア「クネオ」
・ドイツ「シュリートブルク」など
ところで、ドイツにはシュリートブルクの他に「シルダ」というおバカな町があるという。
アンソロジー「日本の名随筆40 愚」(山田風太郎選)に収載の、北杜夫の「阿保について」(「マンボウ人間博物館」の第一話)に、児童文学者のケストナーが記した、<賢人が出張して阿保ばかりが残った*ドイツ中世の「シルダ」の町>について紹介している。
(*)阿保ばかりが残ったのか、賢い者が戻ってきて阿呆の振りをしているだけなのか諸説あるようだ。
■ まず、北杜夫の「阿保」の定義が面白い。精神科医の作家なればこその紹介だが、孫引きする。
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ドイツの誇る精神科医、故ホルスト・ガイヤー博士に、『愚鈍について』という著作がある。彼は白痴患者の専門家であった。その一説、
『勤勉は阿呆の埋め合わせにはならない。勤勉な阿呆ほど、はた迷惑なものはない。』
・・・・
そもそも世に名高きシルダ人の愚行を記さぬ法はなかろう。シルダ人は、ドイツ中世の伝説の一つで、『ティル・オイレンシュピーゲルのいたずら』と共に、双璧をなしている。いろんな作家がシルダ人の愚行について、童話や小説を書いているが、ケストナーのものがいちばん面白いようだ。
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というわけで、ケストナーの「シルダの町の人びと」が少し触れられている。一匹の海老(ザリガニ)が巻き起こす騒動が面白い。
■ ちくま文庫「ケストナーの『ほらふき男爵』」(池内紀、泉千穂子訳)に所収の「シルダの町の人びと、ザリガニを裁判にかける」は、次のように書かれている。
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ある日、町にやってきたザリガニが、はさみを持っていることから仕立て屋に違いないと町長が結論を出す。さっそく布を切らせてみるとズタズタになる。そこからドタバタが始まり、結果、ザリガニは裁判にかけられる。裁判長は「溺死させるのがよろしい」と死刑を宣告する。
シルダの町の人びとは刑の執行を見守った。「かわいそうだがしかたない。法は曲げられぬ」と。
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ある日、町にやってきたザリガニが、はさみを持っていることから仕立て屋に違いないと町長が結論を出す。さっそく布を切らせてみるとズタズタになる。そこからドタバタが始まり、結果、ザリガニは裁判にかけられる。裁判長は「溺死させるのがよろしい」と死刑を宣告する。
シルダの町の人びとは刑の執行を見守った。「かわいそうだがしかたない。法は曲げられぬ」と。
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こんな具合で、ザリガニは溺死の刑に処せられた。
■ そういえば、上記のシンガーの児童書「まぬけなワルシャワ旅行」にもこんな話がある(「ヘルムのとんちきまぬけな鯉」)。
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ヘルムの長老から大とんまな男へ贈られた鯉が、ぴしゃりと跳ねて男のお顔を叩いた。罰を与えようといろいろ算段したあげく、結局、溺死の刑に処すことになった。
鯉を湖に投げ込む処刑を見ながら、ヘルムの市民は歓声を挙げた。「卑怯きわまる鯉はおぼれてくたばれ!」と。
ヘルムの長老から大とんまな男へ贈られた鯉が、ぴしゃりと跳ねて男のお顔を叩いた。罰を与えようといろいろ算段したあげく、結局、溺死の刑に処すことになった。
鯉を湖に投げ込む処刑を見ながら、ヘルムの市民は歓声を挙げた。「卑怯きわまる鯉はおぼれてくたばれ!」と。
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ちなみに、ユダヤ料理の一品に使われる「ゲフィルテ」は、鯉のすり身団子だ。瓶詰から取り出してそのまま食べればさっぱりした味わいだ。わたしは、うどんと一緒に煮こんだりした。少々甘みが出てくるが、ふうふういいながら食うのも美味いものだ。
(本ブログ関連:”ゲフィルテ”)
(参考1)
学問的なことは全く不案内だが、ヘルマン・バウジンガー「ドイツ人はどこまでドイツ的?(2)― 国民性をめぐるステレオタイプ・イメージの虚実と因由 ―」(河野眞訳、愛知大学 言語と文化 No. 21)の翻訳に「シルダ」の町について次のような<訳注>がある。
https://taweb.aichi-u.ac.jp/tgoken/bulletin/pdfs/NO21/04KonoS.pdf
----------------------------
p.68 シルダ(Schilda):シルダは,架空の都市の名前で,民衆本に頻繁に現れ,その市民はいたずら好きな主人公や,また主人公にからかわれる馬鹿な民衆でもあった。シルダの元になった町としては,ザクセンの「シルダウ (Schildau)」 やブランデンブルクの「シルダ (Schilda)」 などが挙がられる。
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(参考2)
学問的なことは全く不案内だが、「論説 《世間》は日本社会の特異性か? - 欧文の翻訳における《世間》の用例に即した検証 -」(河野眞)も参考に記す。
https://aichiu.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=9219&file_id=22&file_no=1
ちなみに、ユダヤ料理の一品に使われる「ゲフィルテ」は、鯉のすり身団子だ。瓶詰から取り出してそのまま食べればさっぱりした味わいだ。わたしは、うどんと一緒に煮こんだりした。少々甘みが出てくるが、ふうふういいながら食うのも美味いものだ。
(本ブログ関連:”ゲフィルテ”)
(参考1)
学問的なことは全く不案内だが、ヘルマン・バウジンガー「ドイツ人はどこまでドイツ的?(2)― 国民性をめぐるステレオタイプ・イメージの虚実と因由 ―」(河野眞訳、愛知大学 言語と文化 No. 21)の翻訳に「シルダ」の町について次のような<訳注>がある。
https://taweb.aichi-u.ac.jp/tgoken/bulletin/pdfs/NO21/04KonoS.pdf
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p.68 シルダ(Schilda):シルダは,架空の都市の名前で,民衆本に頻繁に現れ,その市民はいたずら好きな主人公や,また主人公にからかわれる馬鹿な民衆でもあった。シルダの元になった町としては,ザクセンの「シルダウ (Schildau)」 やブランデンブルクの「シルダ (Schilda)」 などが挙がられる。
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(参考2)
学問的なことは全く不案内だが、「論説 《世間》は日本社会の特異性か? - 欧文の翻訳における《世間》の用例に即した検証 -」(河野眞)も参考に記す。
https://aichiu.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=9219&file_id=22&file_no=1
2019年5月15日水曜日
イディッシュ語クラブ-2
先月(4/18)から月1回の割合で始まった「イディッシュ語クラブ」の第2回目の今日、一人で会場を訪れた。初回時、駅から会場までの道筋が複雑なため、クラスメイトに同行をお願いしたが、今回は遠慮して、(右足「ふくらはぎ」が少々つり気味にも関わらず)良く頑張ったと思う。
(本ブログ関連:”イディッシュ語クラブ”、”イディッシュ語”)
先生は、ネイティブであり多言語話者でもあるため、言語習得についていろいろなヒントをいただいた。今回新たに(といっても以前、先生の指導を受けたことのある)参加したクラスメイトの・・・これまた多言語振りに接して、流暢に喋れるのではないかと錯覚してしまいそう。
ユダヤ料理を囲みながら会話練習、食後にはイディッシュソングを歌うといった、ちょっと贅沢な時間を過ごした。
① 食事(全般に淡白だがユダヤ家庭料理を楽しめた気がする)
・ピタ: カレーのナン風だが、もっとパン寄り
・サラプ:賽の目に切ったトマトで飾ったコールスロー風サラダ
・ポテトフライ
・フムス: ひよこ豆を擂り潰してペースト状にしたもの
・ゲフィルテ・フィッシュ: 魚肉のつみれ風だが柔らかい穏やかな味(授業後、瓶詰めを売店で購入した)
② イディッシュ語会話練習(事前に教材がメール配信された)
・食事をしながらの会話練習のため、ついつい食材や味覚表現のメモもが残った
・出身地の紹介の表現
③ イディッシュソング「暖炉の上で」をみなで歌う
・19世紀末にイディッシュに人気のあった曲を歌い、歌詞について解説いただいた 。
(Youtubeに登録のThe Soul of Jewish Musicに感謝)
④ 初級イディッシュ語学習のコツ
・名詞: 単数形と複数形(語形が単数と違うことある)を合わせて覚えること。
・活用: 格変化を一覧表にして覚えようとせず、会話練習の中で習得すること。
(本ブログ関連:”イディッシュ語クラブ”、”イディッシュ語”)
先生は、ネイティブであり多言語話者でもあるため、言語習得についていろいろなヒントをいただいた。今回新たに(といっても以前、先生の指導を受けたことのある)参加したクラスメイトの・・・これまた多言語振りに接して、流暢に喋れるのではないかと錯覚してしまいそう。
ユダヤ料理を囲みながら会話練習、食後にはイディッシュソングを歌うといった、ちょっと贅沢な時間を過ごした。
① 食事(全般に淡白だがユダヤ家庭料理を楽しめた気がする)
・ピタ: カレーのナン風だが、もっとパン寄り
・サラプ:賽の目に切ったトマトで飾ったコールスロー風サラダ
・ポテトフライ
・フムス: ひよこ豆を擂り潰してペースト状にしたもの
・ゲフィルテ・フィッシュ: 魚肉のつみれ風だが柔らかい穏やかな味(授業後、瓶詰めを売店で購入した)
② イディッシュ語会話練習(事前に教材がメール配信された)
・食事をしながらの会話練習のため、ついつい食材や味覚表現のメモもが残った
・出身地の紹介の表現
③ イディッシュソング「暖炉の上で」をみなで歌う
・19世紀末にイディッシュに人気のあった曲を歌い、歌詞について解説いただいた 。
(Youtubeに登録のThe Soul of Jewish Musicに感謝)
④ 初級イディッシュ語学習のコツ
・名詞: 単数形と複数形(語形が単数と違うことある)を合わせて覚えること。
・活用: 格変化を一覧表にして覚えようとせず、会話練習の中で習得すること。
2018年8月18日土曜日
(資料)イディッシュの料理
イディッシュ語教室で使用のテキストに「東欧ユダヤ人の料理」があって、いくつか料理名が手短に紹介されている。食べ物について、言葉で理解するには限りがある。本当は食事してこそだが、まずはネット上で検索してみた。中には結婚式にも出されるものもあるようだが、総じて家庭料理の香りがしてくる。「母の言葉」があるように、どの民族も「母の味」を忘れない。
「クーゲル(קוגל)」:オーブンで蒸し焼きにした料理
・ヌードル・クーゲル(Youtube)
・ポテト・クーゲル(Youtube)
・(Wikipedia)
「ヨイフ(יױך)」:澄んだチキン・スープ
・(ブログ「Mouse Cafe」)
「ツィメス(צימעס)」:ニンジンやレーズンを使った甘い料理
・(Youtube)
・(Wikipedia)
「ゲフィルテ・フィッシュ(געפילטע פיש)」:魚肉をすり身にして団子状にした料理
・(Youtube)
・(Wikipedia)
(付記)
「ラトケス(לטקעס)」:ポテトのパンケーキ
・(Wikipedia)
・(本ブログ)
「クーゲル(קוגל)」:オーブンで蒸し焼きにした料理
・ヌードル・クーゲル(Youtube)
・ポテト・クーゲル(Youtube)
・(Wikipedia)
「ヨイフ(יױך)」:澄んだチキン・スープ
・(ブログ「Mouse Cafe」)
「ツィメス(צימעס)」:ニンジンやレーズンを使った甘い料理
・(Youtube)
・(Wikipedia)
「ゲフィルテ・フィッシュ(געפילטע פיש)」:魚肉をすり身にして団子状にした料理
・(Youtube)
・(Wikipedia)
(付記)
「ラトケス(לטקעס)」:ポテトのパンケーキ
・(Wikipedia)
・(本ブログ)
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