先週(12/2)休講だった市民講座「ユダヤの歴史を学ぶ(第2部)」へ久し振りに出かけた。受講に遠出となるが、電車の心地よい <1/f> の揺れを体感できるよい機会でもある。
(本ブログ関連:”ユダヤの歴史を学ぶ”)
きょうの講座は、東京外国語大学特任助教の細田和江氏から「現在のイスラエル② ―文化、文学、パレスチナとの関係を中心にー」について、イスラエルの文化(特に文学者や映画作品など)の紹介をいただいた。特に興味をひいた話題について次に記したい。
古い聖書の言葉(典礼語)の「ヘブライ語」を、現代イスラエルの口語として再生
・アイスクリーム(グリダー:גלידה) ← g-l-d(frost)アラム語
・映画(コルノア:קולנוע)← 声(コル:קול)+動作(ノア:נוֹעַ)
イスラエルでヘブライ語定着のための文学潮流
・1920年代: 移民文学(ヨーロッパからパレスチナへの移民の寂しさ)
・(外国文学のヘブライ語翻訳出版も行なわれる)
・イスラエル建国(1948年)後、ヘブライ語の国語化のための政府助成
・1940-50年代: 社会派リアリズム、英雄譚(シオニズムでのユダヤ人の運命を誇る)
・1960年代以降: 私小説(中東戦争の恐怖から逃れて、私的な領域についての表現へ)
・1960年代以降: マアバラー文学(一時キャンプ文学)
ホロコーストを経験していない中東系出身のユダヤ人(ミズラヒーム)の文学
ヨーロッパ系ユダヤ人からの差別を受け、低い地位に置かれた
・1970年代: ホロコースト文学(ホロコースト経験者の子世代による文学)
イスラエルは教育に利用を始めた
・1980年代: パレスチナ人の文学、イスラエルへの移民2世の文学
イスラエル内の「アラブ」文学
・ミズラヒーム(Mizrahi_Jews、上掲)
・パレスチナ人: イスラエル人から見れば「スパイ」、アラブ人から見れば「裏切り者」
イスラエル建国時にパレスチナに移った人
・両者はともにヘブライ語、アラビア語の文学作品がある
イスラエル/パレスチナ映画
・ブレッカス映画: ミズラヒームの影響を受けたジャンクフード的(←ヨーロッパ目線だが)映画
ちなみに、
① ヨーロッパの啓蒙運動の時代(18C末~)に、イディッシュ語は一段低く見られていた。
② ホロコーストの生き残りに対して、戦前からイスラエル在住のユダヤ人は「それ見たことか」と言った冷淡さがあった。
一方、戦前のヨーロッパのユダヤ人は、イスラエル在住のユダヤ人を低く見ていた。
③ イスラエルの人口構成(2019.9発表)
人数 構成比
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ユダヤ人 6,744,000人 74.2% ← 内ミズラヒーム 2,655,800人(ユダヤ人の43.5%)
アラブ人 1,907,000人 26.0%
他 441,000人 4.8%
(合計) 9,092,000人 100.0%
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(感想)
・ホロコースト文学の登場が時代を下ったこと、その執筆者がホロコースト経験者の子世代であったこと。
・イスラエルが国民国家として、多数の民族や多言語をどう調整していくのか興味深い。
・ブレッカス映画について、サイト「NOBODY」に次の記載がある。
(出典) https://www.nobodymag.com/interview/hillamedalia/index1.html
「ブレッカスというのは、チーズが入っている三角形のお菓子で、安くておいしいけれども身体に悪いものなんです。」
(ブレッカス映画として:コメディ映画「テルアビブ・オン・ファイア」予告編)
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