「夏日」があたりまえになると、「真夏日」を期待したりする。まるで高い吊り橋から深い谷底を覗き見る、危ういものへ引き寄せられるように。昨日、近在で「真夏日」に到達した。今日は夏日に戻ったが、それでも暑かった。
夏日 :日最高気温が25度以上の日。
真夏日:日最高気温が30度以上の日。
猛暑日:日最高気温が35度以上の日。
ところで、「夏がどうして暑いのか」。イディッシュ語作家、アイザック・バシェヴィス・シンガーの児童書「まぬけなワルシャワ旅行」(工藤幸雄訳)に所収の短編「ヘルムの長老とゲネンデルの鍵」にこんな明快な説明がある。
(本ブログ関連:”アイザック・バシェヴィス・シンガー”、”イディッシュ語”)
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(ヘルムの村の大長老グロナムが言った)
「ゆうべはまんじりともできなんだ - 夏がどうして暑いのか、そのわけを考えあぐんでな。やっと答えは出たが」
「して、どんな」と長老連が声をそろえた。
「つまり、冬のあいだ、村じゅうが暖炉をたく、するとその熱がヘルムぜんたいにたまる、おかげで夏は暑い、こういうわけじゃ」
長老連はうなずいた、ただぼんくらレキッシュだけは別で、こう聞きかえした。
「なら、冬が寒いわけは?」
「わかり切っとる」とグロナムは答えた。「夏場は暖炉に火をくべない、だからせっかくの暑さも冬まで残らん、ただそれだけのことよ」
長老連はグロナムのどえらい知恵をほめそやした。
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そう、夏が暑いわけは、探せば見つかる。むつかしく考えなければ答えは出る。あとはそれに同意するかどうかだ。日常はそれで充分だった。(今だって、そんなものかもしれない。それに、むつかしく考えれば正解というものでもないし・・・)