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2017年2月22日水曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 春香の歌

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(2/15)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、パンソリの主人公の「春香(춘향)」や「沈清(심청)」に関連した3曲を紹介した。

始めに、パンソリ「春香歌(춘향가)」の物語と、それと異なる逸話について次のように紹介された。
・民族芸能のパンソリは、「興夫歌(흥보가)」、「沈清歌(심청가)」、「春香歌」、「赤壁歌(적벽가)」、「水宮歌(수궁가)」の五つが伝わる。歴史を素材にした「赤壁歌」以外は、伝説をまとめたもので、「春香歌」は妓生の娘の春香と御曹司の李夢龍(이몽룡)の愛の物語。春香は美しい娘、李夢龍は科挙に合格の高官として登場する。ところで、従来と一風変わった説話では、春香を不細工、李夢龍も頭の芳しくない親の財で遊び歩く暇人という。ある日、李夢龍はブランコ그네)に乗った春香を見て、両親の反対を押して結婚する。いざ結婚をしてみると、見初めたときの春香でなく違いに驚く。李夢龍は家を出て戻らず、春香は自ら命を絶つ。村人が、そんな春香の霊を慰めるため作ったのが、パンソリ<春香の物語>という。


(Daumに登録の유박사に感謝)

▼ <アニメとパンソリが融合した>作品から「余りにも不細工な春香(너무도 못생긴 춘향)」を聴く。既視感が・・・。

次に、パンソリ「春香歌」の春香の悲恋の背景、現代に置き換える想像について次のように解説された。
・パンソリ「春香歌」では、春香は美しく学問にも素養のある意志の強い人物で、李夢龍が科挙試験に去った後、後任の地方官の誘いに応じなかった。その後、李夢龍が「民情を探るために密かに地方を巡り、民をいじめる者を罰する」勅命を奉じて、わざと乞食姿で現れる。春香の母は、春香の辛い境遇を嘆き李夢龍を諌める。そんな母を春香は引き留めたが、気持ちはいかばかりだったろう。自分が死ぬ羽目になっても、乞食姿の李夢龍のため節義を守りたかったのか。妓生の娘と両班の御曹司の結婚事体、当時の常識とは合わなかった。仮に物語りが現代としたら、春香はどうなったろうか。

▼  春香の物語りが現代としたらと歌った曲「李夢龍」(プロジェクトロック)を聴く。今様の元気良さ。

最後に、「沈清歌」の主人公「沈清」の想いについて次のように紹介された。
・「春香歌」は節義、「赤壁歌」と「水宮歌」は国への忠誠、「興夫歌」は兄弟愛、「沈清歌」は親孝行を強調する。パンソリに人々の情動が自然でないことがある。最近、そんなパンソリの主人公をモダンに斟酌した曲が多い。
・「沈清」は、盲の父の目を治すため、自らを犠牲にした物語だ。父のために船に乗って去った彼女の思いは複雑だったはず。親孝行な娘だったが、なぜこんな目に合わねばならなぬのかという、恨みもあったかもしれない。そんな想いを表現した。

▼ 沈清の複雑な想いを表現した「清、海になる(청 바다가 되다)」を聴く。悲しみの海は黒く、浪は深い・・・今様で。

2016年12月28日水曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 冬至

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(12/21)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、「冬至」に関連した3曲を紹介した。

始めに、「冬至」の意義と悪鬼払いの習慣について次のように紹介された。
・人は、過ぎ去ってその価値を悟る。人との関係だけでなく、時間や自然においても同じだ。暑い日が続く夏、太陽のありがたさを忘れることもあるが、冬になれば、昼間の日差しのありがたさに気付く。日当たりの良い日に、窓辺で陽光を浴びるのも心地よい。一年の中で昼が最も短い日が冬至だ。昔、冬至を正月のように思ったりした。悪鬼を追い払う意の習慣で、小豆粥を食べ、近所の人と一緒に分け合ったりした。小豆の色に悪鬼を追い払う効果があると信じたからだ。冬至が過ぎると、次の日から昼が長くなる。

▼ 冬至にふさわしい曲、「ひまわり(해바라기)」を聴く。観光宣伝映画のメロディで聞いたかな、今様に軽快。

次に、妓生の娘「春香(춘향)」と官吏の息子「李夢龍(이몽룡)」の愛を語るパンソリ「春香歌」について次のように紹介された。
・パンソリ「春香歌」は、春香と李夢龍の身分を乗り越えた愛の物語だ。春香歌に、太陽の消息(落陽を待つ)の意の曲、「ヘソシク(해소식)」がある。李夢龍(イ・モンリョン)は、楼閣でブランコに乗る春香を見て、一目惚れする。春香の家へ訪問が許され、デートをすることになる。李夢龍が、勉強せず、妓生の家に出入りするという噂が立たぬため、夜の方が良かった。初デートの日、李夢龍も胸をわくわくさせ、早く起きて夜になるのを待ち望んだ。使用人に、いつになったら日が沈むのかと確認したという。普段は昼が短く感じるのに、今日に限って昼がなんと長く退屈なのかと嘆いた。李夢龍が16歳の頃、その気持ちも理解できそうだ。

(本ブログ関連:”春香伝”)

▼ 「春香歌」から、「ヘソシク」を聴く。会いたさに、早く落陽(日が落ちる)の知らせを待ったのだろう。

最後に、冬至の小豆粥から慈善について次のように紹介された。
・悪霊は赤色を嫌う。ために、小豆粥を食べると悪鬼を追い払うと信じた。冬至に小豆粥を作って、部屋や庭の片隅を置き場とする醬油や味噌の甕(かめ)付近にも置いた。悪鬼を追い払うためのものだが、冷ました味も一品。近隣に小豆粥を配り、困っている人があれば助けるのも、冬至にすべきこと。現代も慈善活動を冬に行うのは、冬至の影響だという。

管楽器テピョンソ太平簫태평소)演奏による 「一千の太陽(천 개의 태양)」を聴く。中東の響きする、今様。

キム・ボエさんのことば。「まだ寒い冬ではありますが、これからもっと明るく、温かい太陽が昇ることを期待します。また、寒い天気の中でも、心だけはいつに増して温かい季節であればと思います。」 いつも、おだやかで優しい声に和みます。

2016年9月28日水曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 手紙

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(9/21)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、<手紙>に関連する3曲を紹介した。

始めに、【柳致環(유치환、1908年~1967年)の詩と】手紙では満足しない女性の詩について次のように紹介された。
・高く澄み渡った秋空に、涼しい風まで吹くと心がそわそわする。【愛することは、愛を受けるより幸せという、柳致環の「幸せ(행복)」の詩が浮かぶ。】 誰かに手筆の文を書きたくなる季節。手紙や葉書を受け取ってくれる人がいるのも、幸せなことだろう。
・ところで歴史に、手紙でなく直接訪ねて来てと、詩に書いた女性がいる。手紙だけでは、その心が分からないという内容だ。

▼ 上記女性詩を歌った「手紙-他者に手紙を任せないで(편지-남하여 편지 전치말고)」を聴く。女性的で柔らかく今風に。

・今は、会いたい人がいれば海外でも制約がない。テレビ電話もある。昔は、手紙しかなく、どんなに遠くても誰かが直接届けた。手紙も嬉しいが、やはり直接来てくれた方が嬉しかったはず。そんな気持ちと寂しさが入り交じって、詩を作ったのだろう。

次に、パンソリ「春香歌(춘향가)」で、春香が李夢龍(이몽룡)への手紙を使いに託す話について次のように紹介された。
・行きたくても行けない人の心は、どんなに切なかったろうか。パンソリ、「春香歌」にも、そんな内容がある。獄中の春香は、李夢龍が来るのを待ち望みながら手紙を書く。それを使いに渡すと、使いは漢陽(現ソウル)に向かう。途中、官職(御史)についた李夢龍とばったり会うが、彼に気付かない。李夢龍がみすぼらしい姿をしていたからだ。春香が心配な李夢龍に対し、使いは無駄な冗談ばかり言い、李夢龍はどんなに気を苛立たせたろうか。

▼ パンソリ「春香歌」から、「御史(李夢龍)が春香の手紙を読む場面(어사또 방자 만나 춘향이 편지 읽는 대목)」を聴く。

最後に、パンソリ「沈清歌(심청가)」で、皇后になった沈淸が父を想う場面について次のように紹介された。
・パンソリ、「沈清歌」にも、手紙にまつわる悲しい場面がある。秋の月明かりが庭に満ちる「秋月満庭(추월만정)」の場だ。親孝行な娘沈清は、父の目を治すために印塘水(인당수)の海に身を投じる。彼女は生き返り皇后となったものの、故郷の父が、娘は死んだものと思い、どんなに心を痛めていることだろと心配で仕方ない。また、目が不自由で食事も心配だ。皇室にいても気が楽でない。月が明るい秋の夜、一人庭にいると渡り鳥の群れが見えた。沈清は鳥に手ぶりをして、自分の手紙を父に渡してくれと言う。でも、涙が溢れ、手紙を書き終えることができず嘆く場面だ。

▼ パンソリ「沈清歌」から「皇后の沈淸が父を想う場面(심황후 부친생각 대목)」を聴く。

・この場面は「沈清歌」中、最も悲しい場面とされる。手紙を書き終えて窓を開けると、渡り鳥は既に去っていた。そんな切ない場面が浮かぶ。

2017年5月31日水曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 ブランコ(鞦韆)

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(5/24)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、「端午節句」の楽しみ「ブランコ(그네:鞦韆しゅうせん)」に関連した曲を紹介した。

始めに、端午節句の楽しみブランコと、パンソリ「春香歌(춘향가)」について次のように紹介された。
・田植えが終わる頃、5月5日は端午節句だ。旧暦の場合、今年は5月30日となる。この時期、各地に様々な風習がある。仮面をつけて踊る「仮面踊り(탈춤)」や、江原道の江陵では、シャーマニズムの山神への祭儀(굿)がある。男は市場に設けた舞台で、民族競技「相撲(씨름)」をする。女性はブランコを楽しむ。パンソリ「春香歌」は、鮮やかな春の日、地方官の息子「李夢龍(이몽룡)」(=李道令이도령)が、ブランコに乗る妓生の娘、美しい「春香」に一目惚れする愛の物語だ。

▼ 「李夢龍(道令)が、春香がブランコに乗る姿を見る場面( 이도령이 춘향이 그네 타는 모습을 보는 대목)」を聴く。余程に元気にブランコをゆらしたのだろう。

次に、詩人「徐廷柱서정주)」(1915年~2000年)の「鞦韆詩(추천사)」について次のように紹介された。
・詩人徐廷柱は、春香がブランコ(鞦韆)に乗る場面を「鞦韆詩」にしたためた。副題に「春香の言葉」がつく。小間使いの香丹(향단)に、ブランコを空に向かって力強く押して欲しいと歌っている。届かぬ夢への渇望を、ブランコに託したのだろう。

▼ 「鞦韆詩」を歌にした曲「鞦韆の詩(추천사)」を聴く。空を切る、風を切る、海の彼方へ今様に。

最後に、春香と李夢龍初めて出会った、端午の時候について次のように紹介された。
・民は生活のため、朝早くから畑や干潟で働いた。一方、豊かな家の女性は閉じこもるように生活した。最近、端午の頃は夏のようだが、昔はのどかな春の侯だった。山緑の美しい端午の季節に、ひさびさに外出した女性たちがブランコに乗る解放感は、想像を超えはず。春香と李夢龍がすぐ恋に落ちた背景に、端午の時期に初めて出会ったからという理由もあるだろう。

▼ しだれ柳の合間、空を切って自由を感じる女性たちを描いた南道民謡「しだれ柳(휘여능청)」を聴く。まさに溌剌。

・端午節句に、韓国では相撲やブランコ、日本では鯉のぼりを立て祝うなど、各々違った風習が興味深い・・・とのこと。

2015年6月25日木曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 端午の節句

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(6/17)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、今月20日にあたる陰暦5月5日の「端午단오)の節句」に関わる3曲を紹介した。

始めに、「端午の節句」に、パンソリ「春香歌」(춘향가)で、李夢龍(이몽룡)と春香(춘향)の出会いを次のように紹介された。
・官職の息子、李夢龍は、部屋にこもって勉強していたが退屈になり、使いの者を連れて、広寒楼に出かけた。美しい景色の中、遠くにブランコ그네)に乗る女性が目に入る。当時、家の外に出ない女性もこの「端午の節句」は子供の日で、おしゃれしてブランコに乗っても叱られぬ日だ。その女性こそ、パンソリ「春香歌」の主人公春香である。春香を見て、「白と赤の花が見事に咲いている」と言い、雪のように舞う花びらと杏子の花が落ちる中、ブランコの春香を、月のようで、また、太陽のような美しい女性がいると歌う。・・・この瞬間を境に、春香と李夢龍の恋がはじまる。

▼ パンソリ「春香歌」から「春香がブランコに乗る場面(춘향이 그네타는 대목)」を聴く。詩吟や語りのよう様々に歌う。

次に、「端午の節句」の行事、相撲「シルム씨름)」や水辺で遊ぶ曲「ドンドルナリ(돈돌날이)」を次のように紹介された。
・「端午の節句」の陰暦5月5日(今年は6月20日)は、初夏の美しい季節だ。みずみずしい樹木と、太陽の陽射しが気持ち良い。田植えもある程度終わり一息つく。豊作を願う祭祀を済ませ、ご馳走と酒を楽しむ日で、男の子は韓国式相撲「シルム」を楽しみ、女の子はブランコに乗る。また、北方の咸鏡道地域では、女性が海や川で遊ぶ曲「ドンドルナリ」が伝わる。「回る(돌다)」という、ぐるっと回って元に戻る意で、新しい日が巡るの意もある。正月や盆の秋夕(추석)、端午の節句に女たちが集まり歌う。笛など楽器で演奏し、興がわくと、立ち上がりみな踊りはじめる。

▼ ぐるっと回って元の位置に戻るの意の民謡「ドンドルナリ」を聴く。同じフレーズを繰り返す、どこか巫俗(始原)的な気もする。

洞簫퉁소)の笛と太鼓の演奏と歌で演じられた。家族や弱い者にだけ怒鳴る人を「部屋の中の洞簫」という。洞簫演奏はするものの、人前では自信がなく、部屋に鍵をかけて一人で演奏する人を指す。昔、人気のあった楽器で、最近は、咸鏡道地域によく使われる。どこか懐かしい音色が特徴だ。

最後に、「端午の節句」の行事、「江陵端午祭」と祭祀曲「城隍堂参り祭祀(성황당맞이 굿)」を次のように紹介された。
・「端午の節句」の開かれる江原道江陵地域の「江陵端午祭」は、ユネスコ人類無形遺産に登録さた。端午祭は、江陵地域だけでなく、近くの村の住民も共に楽しむ。この日のため、酒を醸す過程から祭祀を捧げるまで、一ヵ月以上かかる。また、北の地方だけでなく、釜山に至るまで、東海岸の漁村で行われた祭祀曲「城隍堂参り祭祀」は、豊漁を願い、その他に豊作や家族の健康など幅広く祈る、村の人々の祭祀でもあった。

▼ 豊漁と豊作を願う祭祀曲「城隍堂参り祭祀」を聴く。いかにも精霊と通じ合う祭祀の響きがする。

2018年6月6日水曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 「瀟灑園」ほか

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(5/30)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、自然を楽しむ建物「瀟灑園(しょうしゃえん、소쇄원)」ほかの話を紹介した。

始めに、全羅南道の潭陽地域にある、景色の美しい「東屋」の「瀟灑園」について次のように紹介された。
・暑く感じる日が多くなった。そんな昼、景色の良い東屋が浮かぶ。そこに座り、小川の流れる音を聴けば、どんなに心安らぐだろうか。山水のあるところ、多く東屋がある。有名な園に「瀟灑園」がある。全羅南道の潭陽地域にある同園は、最高の園林と評される。瀟灑園は、美しい自然を最大限残し、東屋などいくつもの建物がある。所々に風景を楽しむ小さな東屋を配置している。中でも、「光風閣(광풍각)」、「霽月堂(せいげつどう、제월당)」が有名。

▼ 管楽器の大笒(テグム:대금)の演奏で、園林の趣きを表現した「瀟灑園」を聴く。空気が流れるように、今様に。-

次に、江陵地域にある、五つの月が見られるという楼閣「鏡浦臺(경포대)」について次のように紹介された。
・自然を楽しむ所に建てた小さい建物が東屋。少し規模が大きいものが「楼閣」。韓国東岸の江陵地域に、楼閣で有名な「鏡浦臺」がある。海と湖があるこの地は、五つの月が見られるという。「空の月」、「海に照らされた月」、「湖に沈んだ月」、「杯の中の月」、そして「愛する人の瞳の中の月」だ。そんな鏡浦臺の趣きを表現した歌があるんです。十二の欄干が設置された楼閣に上がると、と始まり、鏡浦臺とその周辺の美しい自然を歌う曲です。

▼ 漢詩にリズムをつけた詩唱(시창)、「十二の欄干(십이난간)」の歌を聴く。文字毎に対応なので詩吟に似る。

最後に、パンソリ「春香歌(춘향가)」の、若い春香(춘향)と李夢龍(이몽룡)について次のように紹介された。
・東屋や楼閣は一人でも楽しめるが、愛する人と一緒なら、より幸せなはず。妓生の娘「春香」と、両班の御曹司「李夢龍」の身分を越えた恋物語、パンソリ「春香歌」にも、温かい春の日の楼閣が登場する。ある朝、遠く山霧がかかる中、木と花で囲まれた美しい楼閣が描かれる。その楼閣の前には、カササギ(烏鵲)が「牽牛」と「織女」に橋を作ったという「烏鵲橋(오작교)」がある。若い李夢龍は、牽牛と織女の物語を思い浮かべる---  もし自分が牽牛であれば、織女は誰れなのかと。そのとき、遠くでブランコに乗った春香を見つける。美しい女性との出会いを夢想した彼の前に、美しい春香が現れたのだ。

▼ パンソリ「春香歌」から、(李夢龍が「広寒楼」で歌った)「赤城歌(적성가)」を聴く。朗々と張りのある声。

2018年2月21日水曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 御馳走

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(2/14)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、パンソリ「興甫歌(흥보가)」、「春香歌(춘향가)」にまつわる馳走の話を紹介した。

始めに、韓国の正月は旧正月「ソルナル(설날、元日)」を採用していることについて次のように紹介された。
・韓国の日常生活はほとんど陽暦基準だが、正月は旧正月(陰暦)の「ソルナル」を採用している。ソルナルは一年の始めであり、民族精神を継承する日でもあるが、最近は、遠くにいる家族が集まる日の意味合いが強いようだ。正月を控えるころ、祭祀やもてなし料理を作る家庭も多い。パンソリ「興甫歌」にも馳走を準備する場面がある。

▼ 「興甫歌」から「ノルボが興甫の家を訪ねる場面(놀보가 흥보집 찾아가는 대목)」。(兄弟もままならず)

次に、パンソリ「興甫歌」で、善人の弟「興甫」の妻への、兄「ノルボ」が嫌がらせについて次のように紹介された。
・パンソリ「興甫歌」で、意地悪な兄「ノルボ」は、寒い真冬に、善人な弟「興甫」家族を追い出し、食糧が尽き訪ねて来た興甫を、殴って追い返す。そんな兄が、弟が金持ちになった噂を聞き駆け付ける。興甫の妻はノルボを招くが不満だが、家族なので馳走の準備をした。それも溢れるほど豪勢に・・・見返したかったのだろう。ノルボもそれに気づき嫌がらせして、興甫の妻に、酒を勧める妓生が歌う「勧酒歌(권주가)」を歌わせようとした。興甫の妻の怒りはいかばかりだったか。

▼ 「勧酒歌」として「萬壽山(만수산)」の曲を聞く。(王の長寿を願うか)

最後に、パンソリ「春香歌」で「李夢龍(이몽룡)」への勅命と春香との別れについて次のように紹介された。
・パンソリ「春香歌」にも「勧酒歌」の場がある。王の勅命で地方に遣わされた「李夢龍」は、物乞いの姿をして地方官の宴を訪ね、飲食で、妓生の勧酒歌がないと飲めぬと言う。妓生は仕方なく酒を注ぐが、彼が王の勅命を受けてのこととは知らず、<一生物乞いをするように> と歌い呪った。李夢龍が科挙の準備に都漢陽へ向かうとき、春香は彼のため食事を用意した。その中身が、京畿雑歌「出引歌(출인가)」で歌われる。青唐辛子、塩漬けのキムチ、たこ、アワビなど、心を込めた数々の膳だ。愛する春香を置いて、漢陽へ向かう李夢龍の足も重かったろう。

▼ 京畿地域の雑歌「出引歌」を聴く。(心を込めて料理が次々と並ぶ)

2016年11月4日金曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 人の本分を悟らせる曲

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(10/26)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、<人の本分を悟らせる曲>に関連した3曲を紹介した。

始めに、パンソリ「春香歌(춘향가)」で、朝鮮後期、「暗行御史(암행어사)」として働く李夢龍(이몽룡)を次のように紹介された。
・パンソリ「春香歌」は、妓生の娘春香と李夢龍の愛を歌う。李夢龍は、国王直属の「暗行御史」という官吏となり、密かに地方の民情や、行政の不備を探った。暗行御史となった彼は、一番先に春香を訪ねた。南原(全羅北道の南東)の地方官は、仕事せず、むやみに宴会を開き、民を苦しめていたし、罪のない春香をいじめた。李夢龍は、貧しい姿で地方官の宴会に行き、上流の両斑をからかったが、追い出されそうになって詩を歌う。<高級な器と美味い酒は民の血と涙>という内容だ。

▼ 「春香歌」から「官吏が現れる場面(어사출도 대목)」を聴く。怨嗟吐き出すような力強さみなぎる。
            金樽美酒千人血
            玉盤佳肴万姓膏
            燭漏落時民漏落
            歌声高処怨声高

次に、ソンビの申光洙신광수、1712年~1775年)の詩唱(시창)、「關山戎馬(관산융마)」について次のように紹介された。
パンソリは、詞を漢詩文にして権威づけて歌う。朝鮮時代の学識者ソンビらは、自ら心を詩で表現した。彼らには、詩作が日常だった。役人任用試験の「科挙」でも、与えられたテーマに合わせて詩作したものだ。中には、人々に広く伝わり、今では歌として歌われているものもある。代表的な歌に、漢詩にリズムをつけた詩唱の「關山戎馬」の曲がある。ソンビの申光洙が科挙試験で作った詩で、秋のわびしい情緒のリズムが今でも親しまれている。楼閣に上って、關山の戦いが終わらないことを嘆く意の題名で、国中が騒がしく、民が安らかでない様子を表した歌だ。
・ところで、申光洙は、後日平壌で妓生の牧丹(모란)と舟遊びを楽しんだ。牧丹がこの歌を歌うと、空の雲も止まってしまったという。川の上で聞いた曲が、なんと美しかったことか。

▼ <秋の川はわびしく、魚も寒さを感じるだろうに、人は西風に当たって楼閣にいる>で始まる詩唱「關山戎馬」を聴く。余韻深く。
            秋江寂寞魚竜冷
            人在西風仲宣楼
            梅花万国聴暮笛
            桃竹残年随白鴎

最後に、科挙試験で作詩されたものを基にした「竹枝詞(죽지사)」について次のように紹介された。
・ソンビが科挙試験で作詩したのを基にした歌「竹枝詞」がある。竹枝詞は、まっすぐ育つ竹に例えて、人の堅固な意志を歌った。<天と地は老いることがなく、月はいつまでも浮いているのに/ひっそりとした川と山はやっと百年が経った/・・・>という。人間がどれだけ小さい存在かを、そして宇宙時間で見れば限りなく短い人間の人生を語っており、どう生きるべきか、考えさせる歌詞だ。

▼ 歌「竹枝詞」を聴く。宇宙の無限と比べて「自省」する・・・そんな気にさせる、アウレリウスもさぞや。
            乾坤不老月長在
            寂寞江山今百年・・・

2018年7月4日水曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」「春香の部屋飾り」ほか

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(6/27)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、「春香の部屋飾り(춘향 방치레)」ほかを通してさまざまな遊びについて話を紹介した。

始めに、高麗時代の歌「礼成江(례성강)」から、唐の商人と碧瀾渡の美人人妻の苦難について次のように紹介された。
・高麗の歌に「礼成江」がある。「礼成江」は、北の黄海道を流れる川で、河口にアラビア商人も出入りした「碧瀾渡(벽란도)」があった。そこを訪れた唐の商人「賀頭綱」は、地元の美しい人妻に見とれる。彼は、女性の夫を訪ねて賭け碁をする。ついに二人は妻を賭けるが、結局、賀頭綱が勝利して美人妻を奪う。妻と別れるとき、夫が歌ったのが「礼成江」の一節であり、その後、紆余曲折を経て戻った妻が歌ったのが、その二節である。ただし歌詞は今に伝わらない。
・ところで、身分を越えた春香(춘향)と李夢龍(이몽룡)との物語パンソリ「春香歌」で、李夢龍が初めて春香の部屋に入ったとき、部屋の四方に飾られた絵の中に「商山四皓図」があるのを見た。中国の秦の時代、始皇帝の暴政を避けて商山に隠居した、髪とひげが白くなった神仙のような四老人を画材にした絵だ。

▼ 李夢龍が見た春香の部屋飾りを描写した「春香の部屋飾り」をカヤグム演奏と歌で聴く。淡々と・・・。

次に、「商山四皓図」とは別に、庶民の世界に「将棋(장기)」を打つ場面があり次のように紹介された。
・喧騒の世を離れ、山中に隠居して囲碁を打つ暮らしを理想として、「商山四皓図」がよく描かれた。一方、大衆の遊びに将棋がある。昔、夏になると東屋で将棋を指したが、今はめったに見られない。将棋見物して思わず口をはさむ者、叱られる者、菓子をもらえると思って集まる子どもたちもいたことだろう。

▼ 京畿道地域の民謡「将棋打令(장기타령)」を聴く。32駒について中国史で語る・・・

最後に、主に上流層の両班や妓生が楽しんだ「骨牌골패)」の遊びについて次のように紹介された。
・昔の遊びに「骨牌」があった。ドミノと似た牌で、1.5×2センチほどの板に、獣骨を付けて、その上には数字を表す穴を刻した32枚の板で遊ぶ。様々な遊び方があり複雑なため説明書もあった。一般の庶民より、主に上流層の両班や妓生が楽しんだという。

▼ 「骨牌打令(골패타령)」の歌を聴く。歌謡風でリズムについついのってしまいそう。

2018年7月25日水曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 酒

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(7/18)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、酒にまつわる話を紹介した。

始めに、陰陽五行説に基づく「三伏복날)」について次のように紹介された。
・7月~8月にかけて、陰陽五行説に基づく「三伏」(初伏、中伏、末伏)がある。昔、三伏に田の稲が歳を取るといい、初・中・末伏ごと稲に節ができ、三つできて稲穂になると考えた。一年で一番暑い時期、稲が育つ間、農村ではしばらく仕事を休み、涼しい郊外に出かけて体に良いものを食べた。酒を飲み、歌まであれば、それ以上の幸せもない。

▼ 長寿を願う定型詩の平時調(평시조)による「萬壽山(만수산)」を聴く。永遠に続くかのよう朗々と。

次に、パンソリ「春香歌(춘향가)」に登場する李夢龍(이몽룡)活躍について次のように紹介された。
・相手の長寿を願い、酒を勧める歌に「勧酒歌(권주가)」がある。妓生の娘の春香と、高官になった李夢龍の愛の物語パンソリ「春香歌」にも勧酒歌が登場する。李夢龍は、不正な官吏を探す任を受け、官吏たちの内情を探るため、物乞いに扮して宴会へ行く。民は食に窮し苦しむのに、彼らは馳走を前に楽しむ。李夢龍は機嫌よくなくて宴会を乱し、妓生に勧酒歌を歌わせた。妓生は、長寿を祈るではなく、彼をあざけり呪い歌ったが、李夢龍は引き下がることはなかった。

▼ パンソリ「春香歌」から、王の勅命を受けた「(暗行)御史出頭(어사출도」を聴く。
     金樽美酒千人血
     玉盤佳肴萬姓膏
     燭淚落時民淚落
     歌聲高處怨聲高

最後に、朝鮮中期の文人「鄭澈(정철、1536~1594)」の「将進酒辞(장진주사)」について次のように紹介された。
・朝鮮中期の文人「鄭澈」は、酒好きでも知られる。酒のため会議に出られず、非難を浴びたこともある。王は、そんな彼に小さな銀杯をひとつ渡し、今後は一日に一度、酒は一杯にしておくという命令だ。すると、彼は、杯を伸ばして、容量を増やして飲んだという。鄭澈の作品に、酒好きな文人だっただけに、勧酒歌の「将進酒辞」*がある。「飲まんかな 飲まんかな 一杯また一杯」で始まる、終末を想像し、みな泣き悲しんで送っても、世を去った私に誰が酒を交わすというのか・・・という内容。
(*「朝鮮の詩ごころ」(講談社学術文庫)に紹介されているとのこと)

▼ 「将進酒辞」にもとづいた「将進酒」を聴く。ゆるりと歌い流れる。

2017年3月29日水曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」青山裏

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(3/22)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、黄真伊(ファンジニ、황진이)の詩「青山裏(청산리)」など関連した曲を紹介した。

始めに、朝鮮時代の妓生「黄真伊」が王族の「碧渓守(벽계수)」に詩を聞かせたときの話を次のように紹介された。
・朝鮮時代最高の妓生と言われた黄真伊が活発に活動していた頃、彼女に会いたいと念願する者も多く、惚れ込んだソンビも多数いた。王族の碧渓守は、彼女に誘惑されない自信があると断言した。その噂を聞き、黄真伊は、月の明るい夜を眺めている彼を訪ねて、<水が一度海に流れたら戻って来れないから、月が明るい内に休んで行ってください(この私と楽しみましょう)>と詩を謳った。その詩を聞いた碧渓守は断言も忘れ、彼女に見とれてしまう。
    青山裏碧溪水
    莫誇易移去
    一到滄海不復還
    明月滿空山
    暫休且去奈何

▼ (教科書で学ぶ)定型詩(平時調:평시조)の「青山裏」から「青山裏」を聴く。月下に冴え渡る。

次に、西道民謡「愁心歌(수심가)」と女性詩人李玉峰(イ・オクボン、이옥봉)について次のように紹介された。
・西道地域の民謡「愁心歌」の詞は、悲しみに満ちた歌の意だ。朝鮮時代、中国にも知られた女性詩人李玉峰は、両班の妾の娘のため、学者趙瑗(조원)の本妻になれず妾となる。趙瑗は、彼女の詩を好んだが、世に知られるのを喜ばなかった。そんな中、玉峰が貧しい女性に書いた詩が社会的問題となり、実家に戻して二度と会わなかった。玉峰は薄情な夫を想い詩を書いた。<最近はどう過ごされていますか>に始まり、後半によく知られる、<仮に夢の中の魂が痕跡を残すなら、あなたの家の前の砂利が半分は砂になったでしょう>という、夫を恋しく想いを描いた。
    近來安否問如何
    月到紗窓妾恨多
    若使夢魂行有跡
    門前石路半成沙

▼ 「愁心歌」を聴く。石が砂になるほどの想いに、熱烈というより諦めるような気がして・・・。

最後に、パンソリ「春香歌(춘향가)」の李夢龍とソンビの「成以性(ソン・イソン、성이성)」が紹介された。
・パンソリ「春香歌」は、春香と李夢龍(이몽룡)の愛の物語だ。李夢龍は、王の勅命を受け、浮浪者姿をして密かに地方を巡行し、身分を隠して地方官の宴で詩を謳い、民を苦しめながら裕福に暮らす地方官を批判する。春香歌の詩は、実在の学者ソンビの成以性が書いた説もある。彼の父が南原地域の長官で、李夢龍も南原の出だからだ。
    金樽美酒千人血
    玉盤佳肴万姓膏
    燭涙落時民涙落
    歌声高処怨声高

▼ パンソリ「春香歌」から、浮浪者姿の「勅使出頭(어사 출도)」を聴く。はらわたを吐き出すよう。

2015年12月2日水曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 別れの歌

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(11/25)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、<別れの歌>に関連した3曲を紹介した。

始めに、昔は特定の木を植えて道程(距離)を示したこと、東屋(あずまや)を置いたことについて次のように紹介された。
・昔の道は、目的地までの距離を示すのに木を植えて表した。10里の地点にハリゲヤキ、5里の地点にハンノキを植えた。5里を「オリ(오리)」と発音し、ハンノキを「オリナム(오리나무.=五里木)」と言うのは、これにちなんだと言われる。ちなみに、日本の1≒4Kmは、朝鮮の10≒4Kmとなり、単位は同じ「里」だが距離に違いがある。また、ハンノキは高く、遠くから見える。村々に東屋を5里ごとに建てたことから、5里(오리)の発音を付して「五里亭(오리정)」とも呼ぶ。人を迎え、別れる場所でもあった。例えば、パンソリ「春香歌(춘향가)」で、春香(춘향)と李夢龍(이몽룡)が別れたところが五里亭だ。

▼ 「春香歌」から、「五里亭の別れ(오리정 이별대목)」の場面を聴く。どことなく物静かだが、千遍思案を重ねてのこと。

次に、「春香歌」で春香と李夢龍の五里亭での別れと、その心情について次のように紹介された。
・李夢龍は地方官の息子で、地方官の家族が都に去る日、妓生の娘春香が五里亭まで追った。当時にすれば無茶と思えるが、それだけ切ない別れだったのだろう。京畿地域の歌い手が、この場面を歌で構成した、十二の雑歌の中に「出引歌」がある。日常の惣菜の青唐辛子、作りたてのキムチを、また昔も今も高級なタコ、アワビなどの食材を用意して五里亭に向かうところから始まる。別れを前に馳走を味わう余裕はないものの、心を込めて準備したのだろう。

▼ 京畿地域の雑歌から「出引歌(출인가)」を聴く。いつまでも明るく生きることを願う、恋すればの歌だろうか。

最後に、別れの後に恋人たちが安否を気遣い託した「青い鳥(청조)」の伝説について次のように紹介された。
・別れは悲しい。旅立たねばならぬ者がいて、その後に、いつまでも待つ者がいる。手紙のやり取りもままならぬ当時、人々は飛び交う鳥を見て心を慰めた。昔、朝からカササギがさえずると喜ばしいことがあると信じられた。中国では青い鳥がその役割をした。青い鳥に、恋人の安否を問う歌がある。女性歌曲(가곡)で、伝統的音階の「ウジョ(우조)」に、「チュンゴ(중거)」という歌曲がある。

▼ 鳥に歌いかける歌「青い鳥よ(청조야)」を聴く。柔らかい詩吟のよう。安否と安堵が重なる。

・最後に、キム・ボエさんの言葉「別れがあるからこそ、また再会の喜びもあるのだと思います。」

2014年6月17日火曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 韓服

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(6/11)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズの第60回として、民族衣装、とりわけ女性の「韓服(한복)」にまつわる話を紹介した。

始めに、「春香伝」の情景から、韓服のイメージを次のように紹介された。
・昔、韓服姿で、人の丈よりも長いブランコ(그네)に乗る風習があった。「春香伝춘향전)」は、このブランコから恋が始まる。

(本ブログ関連:”春香伝”)

・ある端午の節句の朝、南原(남원)地域の官職の息子、李夢龍(이몽룡)は、ある晴れた日、広寒楼(광한루)に出かけた。ここが春香伝の舞台となる楼閣だ。華やかな花吹雪の間を、何かが行き来する。ブランコに乗る妓生の娘春香(춘향)の姿だ。雪のように舞う花びら、そして杏子の花が春香の服に触れながら落ちる。春香がまるで踊っているように見えた。二人は互いの運命を感じ、恋がここから始まる。春香伝は、今もパンソリ、小説、映画などで広く親しまれている。

▼ パンソリ春香歌から「春香鞦韆(춘향 추천)」を聴く。鞦韆(ブランコ)は揺れているのか・・・随分と力が入っているような。

次に、韓服チマチョゴリ(치마 저고리)の歴史について、次のように解説された。
・チマチョゴリで知られる韓服のチマはスカート、チョゴリは上着を指す。韓服は、全て同じようなデザインに見えるが、流行に敏感だ。素材、チマの幅や、チョゴリや腕の長さ、チマとチョゴリの色合いなど多様な組合わせがある。高句麗壁画の中の民族衣装は、現在の韓服とデザインが違う。上着のチョゴリが尻を隠すほど長く、結びひもの代わりに帯のようなもので固定させていた。若干変化はあったものの、朝鮮初期まで続いたようだ。今知る韓服は朝鮮中期、後期になってから出来あがった。

▼ 界面(계면)篇數大葉(편수대엽)、「モシルル(모시를)」を聴く。女性が、細やかに紡いだ麻糸でゆっくりと織るよう。

最後に、韓服チマチョゴリのデザインの変遷について、次のように説明された。
・朝鮮中期、韓服デザインも変わる。チョゴリは短く、裾の周りはラウンド型になった。襟や袖、首や脇の部分には違う色の生地を当ててポイントを与えた。朝鮮後期になると、チョゴリは胸元よりも短くなり、袖は上着を切らないと脱げないほど幅が狭くなる。この流行を主導したのは、男性の目を引き付けようとした妓生だ。すぐに両斑(上流階級)にも広がるが、学識者(ソンビ)の李徳懋(이덕무)は、流行の批判を「青荘館全書」に残した。他方、男性の中には自分の妻にも勧めたという記録も残っている。

▼ 西道地方(平安道、黄海道)の「西道アリラン(서도아리랑)」演奏を聴く。どうしてもソ連風に聞こえてしまう。

2018年8月8日水曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 千字文

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(8/1)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、千文字で構成された漢字の手本に使われた、中国梁の時代の長詩「千字文」ほかにまつわる話を紹介した。

始めに、パンソリ「春香歌(춘향가)」で若者「李夢龍(이몽룡)」が歌った「千字文」について次のように紹介された。
・昔、音読は自ずとリズムも加わり、歌のように聞こえた。子どもも「千字文」で歌い遊んだりした。そんな千字文が、パンソリ「春香歌」で違って歌われる。「李夢龍」が、美しい「春香(춘향)」に一目ぼれする。いったん帰宅するも、彼女の顔が浮かんで読書に身が入らない。そこで、子ども時代に学んだ千字文を、好きに読み本来の意と変えて、春香と遊びたい内容にして読んだ。春香への想いを漢詩に表せるほど、実力をそなえていた。物語では、若くして科挙に合格する。

▼ パンソリ「春香歌」から「千字文後解(천자 뒤풀이)」を聴く。金演洙(김연수、1907~1974)の歌詞整理のお蔭とか。

次に、朝鮮時代中期の文人「申光洙(신광수)」の「關山戎馬(관산융마)」について次のように紹介された。
・千字文だけでなく、心のこもった詩を歌にすることもあった。詩にリズムを付けて歌う「詩唱(시창)」に「關山戎馬」がある。この曲は、朝鮮時代中期の文人「申光洙」(1712年~1775年)が、科挙試験で提出してナンバー2に合格したときの作品だ。当時の平壌で、妓生がよく歌ったといわれる。

▼ 詩唱「關山戎馬」の歌を聴く。秋の川に西から風が吹いてくる・・・、静かに長々と歌う。

最後に、長い物語を歌にした「誦書(송서)」の「三説記(삼설기)」について次のように紹介された。
・小説を歌にした曲に「誦書」があり、特に「三説記」が知られる。三人のソンビ(文人)が、冥界の王「閻魔大王」のミスで地獄に落ちてしまう話だ。自分のミスを認めた閻魔大王は、彼らに好きに生まれ変われる約束をする。すると、一人は英雄に、一人は科挙に合格して高官に、最後の一人は、素朴に生きたいと言った。良い家柄に生まれ、正しい教育を受け、孝行し、子孫も栄え、病気もせず長生きしたいと。ところが、三人目の話を聞いて、閻魔大王は激しく怒り、それが可能ならば、自分も閻魔大王を止めてそのように暮らしたいと言った。平凡が簡単でないことを教えてくれる。

▼ 誦書の「三説記」を聴く。平凡が簡単でないのか、それとも《それは欲の深い》ことなのか。

2018年5月2日水曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 パンソリにある<争い>

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(4/25)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、代表的パンソリから争いの場面についての話を紹介した。
(先々週(4/18)の回を聞き逃した・・・韓国の小学校で習うという管楽器「タンソ(短簫:단소)」を練習したことがある)

始めに、パンソリ「水宮歌(수궁가)」で、動物たちが上座争いする場面について次のようの紹介された。
・日常で、争いは避けたいものの簡単でない。初めは比較的理性的でも、次第に相手の話し方や態度を問題視したりする。韓国では、最後に、歳がいくつかで勝敗を決めようとする。争いの理由は、もはや重要でなくなる。また、大勢集まると、誰が年配かで席順を決める。パンソリ「水宮歌」に、王の病を治すため、カメがウサギの肝を探しに陸地に出ると、動物らが宴会に集まり、互いに自分が年上だと争う。シカ、タヌキ、ウサギたちは、自分が年上と主張して、結局、ウサギが言い張って上座に座ったところ、トラが現れると、動物たちは歳を問いただすことなく、トラに上座を譲る。ウサギがどんなに年上に見えても、トラの前ではエサにすぎない。

▼ パンソリ「水宮歌」から、「動物たちの上座争いの場面길짐승 상좌다툼 대목)」を聴く。難しい始まり。

次に、パンソリ「春香歌(춘향가)」で、「春香(춘향)」の高官へ口答えについて次のようの紹介された。
・「春香」と「李夢龍(이몽룡)」の愛の物語、パンソリ「春香歌(伝)」に、権力者というだけで、力のない民をいじめる高官が登場する。全羅北道の町、南原に新任した高官は、春香に自分へ仕えるよう命じるが、彼女は断る。激怒した高官は、春香をむち打ち刑に処したとき、彼女は高官に口答えした。男でも耐えられぬむち打ち刑でも、口答えする姿を見て、高官は呆れて、結局、彼女を獄に入れたという。

▼ パンソリ「春香歌」から、春香が高官に口答えする「十杖歌の場面(십장가 대목)」を聴く。太鼓の撥が鞭音に聞こえる。

最後に、パンソリ「赤壁歌(적벽가)」で、「曹操」の軍が敗北する場面について次のようの紹介された。
・赤壁の戦いで、「曹操」の軍に敵軍が迫ってくると、曹操は自分の命を救うため必死に逃げた。英雄と言われる曹操が、どんなに権力者としても、必死に逃げる様は同じ人間でしかない。昔の人は、歌で愚痴をこぼし、心の慰めにしたはず・・・とのこと。

▼ パンソリ「赤壁歌」から、「赤壁火箭の場面(적벽화전 대목)」を聴く。

2015年8月27日木曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 七夕

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(8/19)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、「七夕칠석)」にかかわる3曲を紹介した。

(本ブログ関連:”七夕”)

始めに、年に一度だけ彦星(牽牛)と織姫(織女)が出会う「七夕」について次のように紹介された。
・昔、玉皇上帝の治める国に、牛飼の彦星と機織りの織姫がいた。恋に落ちて仕事を疎かにした二人に怒った玉皇上帝は、二人を天の川の両端に送り、年に一度だけ会えるようにした。いざその日も、二人は天の川にさえぎられて会えない。これを知ったカササギは、二人が会えるよう翼を連ねて架け橋(烏鵲橋)を作った。それを織姫が渡って彦星に出会う日を「七夕」という。明日(8/20)は旧暦7月7日、「七夕」だ。

▼ 演奏曲「牽牛と織女(견우직녀)」を聴く。国楽をカテゴリーにした東洋風バンド。今様である。

・七夕に雨が多い。七夕の前日や当日の雨は、彦星と織姫の喜びの涙、また当日の夜や翌日の雨は、悲しみの涙という。彦星は「わし座」のアルタイル、織姫星は「こと座」のベガにあたる。この二つは天の川を挟み東西に位置し、七夕の頃、空の中央に並ぶ。架け橋を作ったカササギは、七夕が過ぎると頭の毛が抜ける。二人が橋を踏んで渡ったから、橋を作るため石を頭で運んだからなど説がある。実際はこの頃、古い羽から新しい羽に換羽する。伝説は人々が自然を理解する方法でもあった。

次に、パンソリ「春香歌(춘향가)」から李夢龍(이몽룡)と春香(춘향)の出会いについて次のように紹介された。
・地方官の息子、李夢龍は、ある春の日、楼閣「広寒桜(광한루)」で南原地域の景色を鑑賞した。晴れた日に外出して、美しい乙女に巡り合えるのではと期待した。

▼ パンソリ「春香歌」から「赤城歌(적성가)」を聴く。彦星と織姫に例えて、高いトーンが地声のように歌う。

・<広寒桜も良いが、彦星と織姫の烏鵲橋の方が好きだ>から始まる。<自分は彦星になるが、織姫は誰だろう。ここでその相手と巡り合いたい>という。後に李夢龍と春香が、彦星と織姫に劣らぬ恋に落ちるのを予告する場面である。

最後に、七夕の節句に、星に向かって願い事することについて次のように紹介された。
・七夕は星に関連した節句で、この日に星に向かって願い事をした。北斗七星に向かっては家族の長寿を願った。また、子供たちは学問を、乙女は縫い物が上手になれるように祈った。

▼ 二弦の擦弦楽器の奚琴(해금:ヘグム)の演奏で、「七夕」を聴く。「たなばたさま」(1941年、作詞権藤はなよ、作曲下総皖一)・・・子ども時代を懐かしむ。

2016年7月13日水曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 赤城歌

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(7/6)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、パンソリ「春香歌」の「赤城歌(적성가)」に関連した3曲を紹介した。

始めに、楼閣(누각)、東屋(정자)、茅亭(모정)、および「春香歌」の「広寒楼(광한루)」について次のように紹介された。
・風通しの良い、景色を鑑賞できる建物に、「楼閣」や「東屋」がある。楼閣は、高い丘や、石や土で高く積み上げた上に築いた建物で、東屋は、楼閣より小さく親しみある建物だ。ここで、上流階層が、詞や絵、音楽など風流を楽しんだ。時に、師が弟子を教える場所にも使った。今も、有名な楼閣や東屋の痕跡が残っている。似たものに、「茅亭」があり、名勝の地でもない田畑のそばに建つ素朴な建物で、誰もが仕事の合間に休める場所だ。
・パンソリ「春香歌」に、李夢龍(이몽룡)が勉強に没頭していたある日、南原地域の楼閣「広寒楼」に登って見た見事な景色を歌う場面がある。

▼ パンソリ「春香歌」で李夢龍が「広寒楼」で歌った「赤城歌」を聴く。力強くはりのある声で朗々と語る。

・この曲名にある「赤城(적성)」は、「赤城山(적성산)」の山名だ。頂上の岩が、まるで本を積み重ねたようで、本(책)の意を付して「冊如山(책여산)」とも呼ばれた。それほど高くないものの、平野地帯に位置する険しい山だ。

次に、農作業の「草取り(キムメギ、김매기)」から江原道江陵の「オドクテギ(오독떼기)」について次のように紹介された。
・広寒楼に登ると、赤城山は霧深く、花が満開している。ヤナギの枝が風に揺れる様子を見れば、自ずと歌が浮かぶ。ソンビが東屋で風流を楽しむ頃、真夏の農家は忙しく草刈りをした。この草刈り作業を、「キムメギ」と言う。秋の収穫までに三回ほど行なわねばならず、みなで作業をするため歌は欠かせない。キムメギするときの歌に、江原道地域江陵(강릉)の「オドクテギ」があり、田の草刈りの歌の意だ。

▼ キムメギのときの歌「江陵オドクテギ」を聴く。農作業の歌は、人の動きと調和を自然に聞かせてくれる。

最後に、今年も農家の人たちが暑い中、農作業をしている。そんなとき、<にわか雨の音を聞くだけでも涼しくなる>。
・キムメギは、稲の苗がある程度育った真夏に行なう。日差しの強い季節も田で作業する。地熱と湿気で、額に汗が流れ、長く歌うのは大変なため、前半を短く歌うと、残りの人々が後半をつぐ。仕事は難儀でも、歌を歌うのは、誰かが一緒にいるのを歌いながら確認し、また力をつけたはず。そんなとき、暑い中、にわか雨はとてもありがたい存在だった。

▼ 「にわか雨(소나기)」の演奏を聴く。雷鳴、雨滴、随分と音響的であり、光景が見えてくるよう。今様である。

2014年2月25日火曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 橋

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(2/19)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズの第44回として、「橋(다리)」にまつわる話を紹介した。

まず、江原道の旌善(チョンソン)を流れるアウラジ川と、旌善アラリの歌の紹介から次のように始まった。
・山深い旌善地域に、平昌(ピョンチャン)を源流とする松川(ソンチョン)と、三陟(サムチョク)を源流とする骨只川(コルジチョン)が交わる広い流れがある。韓国語の「交わる(어울리다)」の語源となる、アウラジ(아우라지)だ。
・旌善は松が多く、旧都漢陽(ハニャン)で使う木材を筏に組み、この川で運んだ。筏を操る船頭は、長い川下りに疲れや孤独を紛らすため、広く知られる「旌善アラリ」を歌った。畑仕事や、女性の家事にも歌われ、様々な歌詞が残っている。その一つに、愛しい人を恋偲び待つ、切ない歌がある。昔、アウラジの両岸に住む若い男女が、人知れず会っていたが、ある日、洪水で川が増水して舟が流され、会えぬ辛さを歌った歌詞が伝わっている。

▼ 「アラリキンソリ(아라리 긴소리)」を聴く。アリランの流れに沿った歌・・・どこかノンビリして。

・現在、アウラジの川辺に、歌詞の恋人を待つ女性が銅像*で再現され、その前の川に、平たい石を置いた飛び石の簡単な橋が作られている。冬に旌善を訪れる観光客のため、昔を感じられる丸太の乱雑な渡り橋だ。ただし、住人は、その脇の丈夫な現代式の橋を渡る。

    (*)銅像写真:ブログ「歳月&風景の中の話(세월&풍경속 이야기)」に感謝

次に、七夕や春香伝に伝わる橋について、次のように紹介された。
・橋は、流れを渡る他に、川向こうの住人に会う手段でもある。七夕の日(7月7日)、空に牽牛と織女が一年に一度出会う橋がかかる。二人が会えるよう、鵲(カササギ)が体を合わせて作る橋を、韓国語で烏鵲橋(オジャッキョ、오작교)という。全羅北道の南原に、春香伝の主人公、春香(チュニャン)と李夢龍(イ・モンリョン)が初めて会う広寒楼(クァンハンル)の前に、石の烏鵲橋がかかる。この橋の描写は、李夢龍が歌った赤城歌の中にも登場する。

▼ 春香歌の中の「赤城歌(적성가)」を聴く。一目惚れの舞台を歌う・・・自ら牽牛に例えるか。

最後に、北斗七星の伝説を次のように紹介された。
・あるところに、7人の息子を持つ未亡人がいた。この母は部屋を温かくしても、寒い寒いと暮らした。実は、夜に家を出て、小川を越えて、隣村の妻を亡くした男のもとを訪れた。毎日、冷水に足をつけて渡り、骨の髄まで寒さが染みた。そこで息子たちは、母に内緒で、小川に石橋をかけた。この石橋を渡り帰る母は喜び、感謝を込めて「この橋を作ってくれた人を必ず星にしてあげてください」と神に願った。7人の息子たちは、その後、夜空に輝く北斗七星になった。

▼ 「My heart is azure」を聴く。ラピスラズリの青色を想わせ・・・今様の響きする。

2012年9月11日火曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 趙相賢

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(9/5)に、人物シリーズ44回目としてパンソリ판소리)の名唱、趙相賢(チョ・サンヒョン、조상현、1939年~)を紹介した。
ところで番組ホームページにあるリンク先音源は「人物シリーズ」#39のもののようだが・・・

メディアの中での国楽の現状について紹介から始まった。
最近の韓国は、国楽を扱うテレビ番組はほとんど見当たらない。ラジオ番組も数えるほどしかなく、唯一国楽専門のラジオ局があるだけで、そこで細々と国楽の伝統を守っているのが現状である。30年ほど前には、テレビやラジオで毎日のように興甫伝(フンブジョン)や春香伝(チュニャンジョン)など伝統的なパンソリを物語とした唱劇が、連続ドラマのように何回にも分けて放送されたという。
・メディアでパンソリが華やかな時代に活躍した歌い手の一人に趙相賢がいた。

▼趙相賢によるパンソリ「春香歌(춘향가)」の中から「赤城歌(チョクソンガ(적성가)」を聴く。李夢龍(이몽룡)が南原の楼閣(広寒桜)で景色を眺めて・・・熱く熱く語る。

パンソリのよい歌い手の条件について解説された。
・昔、パンソリを体系化した学者申在孝(シン・ジェヒョ、신재효、1812年~1884年)が、よい歌い手の条件として次の4つを挙げた。
▽ 一つ目は「人物」。歌い手の見目形の意ではなく、観衆が好感を持てる顔であったり、パンソリの内容に合わせて、自由自在に表情を変えらるといった面で、人物が重要という。
▽ 二つ目は「語り」。
▽ 三つ目は「声や歌い方の美しさ」。パンソリの物語を、歌詞やメロディー、長短(リズム)で、正確に声で表現することは当然、登場人物の心情変化などをその中に込めることが重要という。
▽ 四つ目は「演技力」。パンソリは一人音楽劇であるため、演技力は無視できない重要なポイントという。
・趙相賢は、この4つの条件を全て備えた歌い手で、背が高く、がっしりとした体型で、春香歌の李夢龍役にまさにぴったりだったという。

次のように趙相賢のプロフィールが紹介された。
・10歳から歌を習う傍ら、近くのソダン(서당:寺子屋)で漢文を学ぶ。その結果、漢文の多い難しいパンソリの歌詞を正確に、その意味を理解し、伝えるように歌うと評価されている。

趙相賢によるパンソリ「沈清歌(심청가)」の中から「沈清の盲いた父が慟哭する題目(심봉사 통곡하는 대목)」を聴く。失意に唸り振り絞るように歌う。

プロフィール(続き)
・その後、赤壁歌(チョクビョッカ、적벽가)、興甫歌(フンボガ、흥보가)を学ぶ。趙相賢がパンソリを学んでいた時代、全国的に普及し始めたテレビではパンソリを放送する固定番組が多かったという。

趙相賢による短歌(단가)「四季歌(사철가)」を聴く。 漢詩的世界、素養がなければ意はつくせそうもないのかな・・・。

2013年6月18日火曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 端午の日

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(6/12)に、文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズの第10回として、「端午(단오)の日」について紹介された。

まず、陰陽と端午の日について次の説明から始まった。
・東洋では(古代中国から)、万物が「陰陽」の気の調和で成立し、変化すると信じられた。陰は影、陽は光の意があり、女・男、臣下・王、偶数・奇数などの関係に当てる。
・特に、同じ奇数(陽)が並ぶ月日は意味を持ち(日本では節句)、(以下旧暦)1月1日を正月の「ソルラル(설날)」、3月3日を春の始まる「三巳日(サムジッナル、삼짇날)」、5月5日を夏の始まる端午の日の「戌衣日(スリッナル、수릿날)」という。
・スリッナルのスリには「神」と「高い」の意があり、偉大なる神の太陽神を意味する。燃える陽の夏がきて、農作物がすくすく育つ希望が込められる。今年の端午の日は、6月13日(旧暦5月5日)である。

▼東海岸巫俗(シャーマニズム)音楽の中から「プノリ(푸너리)」を聴く。同じリズムを繰り返して、次第に高揚感を高めていく・・・初源の響きがして。

端午の日の行事について次のような紹介があった。
・この時期、農家は田植えをある程度終え、端午の日に豊作を祈願して様々な行事で一日を過ごす。
・各地に固有の風習が伝承されていて、江原道江陵の「江陵端午祭(강릉단오제)」が最も有名だ。端午の一月ほど前から、神に奉げる神酒を醸し準備を始める。江陵の関門の大関嶺を司る山の神と、村の守護神の城隍神(성황신)に儒教式「祭祀(제사)」を奉げる。端午の日には次の行事も行われる。
- シャーマンの「巫堂(ムーダン、무당)」による、住民の安寧と豊穣を祈願する祭儀「クッ(굿)」が行われる。
- 普段手荒く扱われた役所の奴婢による官奴仮面劇が行われる。仮面劇(タルチュム、탈춤)は、江陵以外にも、殷栗タルチュム、鳳山タルチュム、康翎タルチュム、京畿道の山台劇(サンデノリ)などがある。仮面劇のほとんどは、両班を嘲笑、風刺する内容で、この日だけは両班も見て見ぬふりをしたという。

▼鳳山地域で端午の日に歌われた「トンドルナリ、ラリラドントルリピリ」を聴く。なんとも親和力のある旋律が繰り返され・・・誘われて、口ずさんでしまう。いいなあ。

・さらに、男はシルム(相撲に例えられる)や力自慢などで、女は川に下りて菖蒲湯で髪を洗ったり、村のブランコ(クネ、그네)で遊び楽しんだ。
パンソリの春香歌に、端午の日の様子があり、クネで遊ぶ春香を両班の息子李夢龍が見初めるシーンがある。

▼「春香歌」の中から「春香がブランコに乗る題目」を聴く。・・・初恋ねえ。

岸さんの締めの言葉、「端午の時期は、初々しい初恋の始まりにぴったりの、この上なくよい季節だといえるかもしれませんね」・・・なるほどなるほど。