始めに、パンソリ「春香歌(춘향가)」で若者「李夢龍(이몽룡)」が歌った「千字文」について次のように紹介された。
・昔、音読は自ずとリズムも加わり、歌のように聞こえた。子どもも「千字文」で歌い遊んだりした。そんな千字文が、パンソリ「春香歌」で違って歌われる。「李夢龍」が、美しい「春香(춘향)」に一目ぼれする。いったん帰宅するも、彼女の顔が浮かんで読書に身が入らない。そこで、子ども時代に学んだ千字文を、好きに読み本来の意と変えて、春香と遊びたい内容にして読んだ。春香への想いを漢詩に表せるほど、実力をそなえていた。物語では、若くして科挙に合格する。
▼ パンソリ「春香歌」から「千字文後解(천자 뒤풀이)」を聴く。金演洙(김연수、1907~1974)の歌詞整理のお蔭とか。
次に、朝鮮時代中期の文人「申光洙(신광수)」の「關山戎馬(관산융마)」について次のように紹介された。
・千字文だけでなく、心のこもった詩を歌にすることもあった。詩にリズムを付けて歌う「詩唱(시창)」に「關山戎馬」がある。この曲は、朝鮮時代中期の文人「申光洙」(1712年~1775年)が、科挙試験で提出してナンバー2に合格したときの作品だ。当時の平壌で、妓生がよく歌ったといわれる。
▼ 詩唱「關山戎馬」の歌を聴く。秋の川に西から風が吹いてくる・・・、静かに長々と歌う。
最後に、長い物語を歌にした「誦書(송서)」の「三説記(삼설기)」について次のように紹介された。
・小説を歌にした曲に「誦書」があり、特に「三説記」が知られる。三人のソンビ(文人)が、冥界の王「閻魔大王」のミスで地獄に落ちてしまう話だ。自分のミスを認めた閻魔大王は、彼らに好きに生まれ変われる約束をする。すると、一人は英雄に、一人は科挙に合格して高官に、最後の一人は、素朴に生きたいと言った。良い家柄に生まれ、正しい教育を受け、孝行し、子孫も栄え、病気もせず長生きしたいと。ところが、三人目の話を聞いて、閻魔大王は激しく怒り、それが可能ならば、自分も閻魔大王を止めてそのように暮らしたいと言った。平凡が簡単でないことを教えてくれる。