KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(7/6)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、パンソリ「春香歌」の「赤城歌(적성가)」に関連した3曲を紹介した。
始めに、楼閣(누각)、東屋(정자)、茅亭(모정)、および「春香歌」の「広寒楼(광한루)」について次のように紹介された。
・風通しの良い、景色を鑑賞できる建物に、「楼閣」や「東屋」がある。楼閣は、高い丘や、石や土で高く積み上げた上に築いた建物で、東屋は、楼閣より小さく親しみある建物だ。ここで、上流階層が、詞や絵、音楽など風流を楽しんだ。時に、師が弟子を教える場所にも使った。今も、有名な楼閣や東屋の痕跡が残っている。似たものに、「茅亭」があり、名勝の地でもない田畑のそばに建つ素朴な建物で、誰もが仕事の合間に休める場所だ。
・パンソリ「春香歌」に、李夢龍(이몽룡)が勉強に没頭していたある日、南原地域の楼閣「広寒楼」に登って見た見事な景色を歌う場面がある。
▼ パンソリ「春香歌」で李夢龍が「広寒楼」で歌った「赤城歌」を聴く。力強くはりのある声で朗々と語る。
・この曲名にある「赤城(적성)」は、「赤城山(적성산)」の山名だ。頂上の岩が、まるで本を積み重ねたようで、本(책)の意を付して「冊如山(책여산)」とも呼ばれた。それほど高くないものの、平野地帯に位置する険しい山だ。
次に、農作業の「草取り(キムメギ、김매기)」から江原道江陵の「オドクテギ(오독떼기)」について次のように紹介された。
・広寒楼に登ると、赤城山は霧深く、花が満開している。ヤナギの枝が風に揺れる様子を見れば、自ずと歌が浮かぶ。ソンビが東屋で風流を楽しむ頃、真夏の農家は忙しく草刈りをした。この草刈り作業を、「キムメギ」と言う。秋の収穫までに三回ほど行なわねばならず、みなで作業をするため歌は欠かせない。キムメギするときの歌に、江原道地域江陵(강릉)の「オドクテギ」があり、田の草刈りの歌の意だ。
▼ キムメギのときの歌「江陵オドクテギ」を聴く。農作業の歌は、人の動きと調和を自然に聞かせてくれる。
最後に、今年も農家の人たちが暑い中、農作業をしている。そんなとき、<にわか雨の音を聞くだけでも涼しくなる>。
・キムメギは、稲の苗がある程度育った真夏に行なう。日差しの強い季節も田で作業する。地熱と湿気で、額に汗が流れ、長く歌うのは大変なため、前半を短く歌うと、残りの人々が後半をつぐ。仕事は難儀でも、歌を歌うのは、誰かが一緒にいるのを歌いながら確認し、また力をつけたはず。そんなとき、暑い中、にわか雨はとてもありがたい存在だった。
▼ 「にわか雨(소나기)」の演奏を聴く。雷鳴、雨滴、随分と音響的であり、光景が見えてくるよう。今様である。