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2016年11月4日金曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 人の本分を悟らせる曲

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(10/26)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、<人の本分を悟らせる曲>に関連した3曲を紹介した。

始めに、パンソリ「春香歌(춘향가)」で、朝鮮後期、「暗行御史(암행어사)」として働く李夢龍(이몽룡)を次のように紹介された。
・パンソリ「春香歌」は、妓生の娘春香と李夢龍の愛を歌う。李夢龍は、国王直属の「暗行御史」という官吏となり、密かに地方の民情や、行政の不備を探った。暗行御史となった彼は、一番先に春香を訪ねた。南原(全羅北道の南東)の地方官は、仕事せず、むやみに宴会を開き、民を苦しめていたし、罪のない春香をいじめた。李夢龍は、貧しい姿で地方官の宴会に行き、上流の両斑をからかったが、追い出されそうになって詩を歌う。<高級な器と美味い酒は民の血と涙>という内容だ。

▼ 「春香歌」から「官吏が現れる場面(어사출도 대목)」を聴く。怨嗟吐き出すような力強さみなぎる。
            金樽美酒千人血
            玉盤佳肴万姓膏
            燭漏落時民漏落
            歌声高処怨声高

次に、ソンビの申光洙신광수、1712年~1775年)の詩唱(시창)、「關山戎馬(관산융마)」について次のように紹介された。
パンソリは、詞を漢詩文にして権威づけて歌う。朝鮮時代の学識者ソンビらは、自ら心を詩で表現した。彼らには、詩作が日常だった。役人任用試験の「科挙」でも、与えられたテーマに合わせて詩作したものだ。中には、人々に広く伝わり、今では歌として歌われているものもある。代表的な歌に、漢詩にリズムをつけた詩唱の「關山戎馬」の曲がある。ソンビの申光洙が科挙試験で作った詩で、秋のわびしい情緒のリズムが今でも親しまれている。楼閣に上って、關山の戦いが終わらないことを嘆く意の題名で、国中が騒がしく、民が安らかでない様子を表した歌だ。
・ところで、申光洙は、後日平壌で妓生の牧丹(모란)と舟遊びを楽しんだ。牧丹がこの歌を歌うと、空の雲も止まってしまったという。川の上で聞いた曲が、なんと美しかったことか。

▼ <秋の川はわびしく、魚も寒さを感じるだろうに、人は西風に当たって楼閣にいる>で始まる詩唱「關山戎馬」を聴く。余韻深く。
            秋江寂寞魚竜冷
            人在西風仲宣楼
            梅花万国聴暮笛
            桃竹残年随白鴎

最後に、科挙試験で作詩されたものを基にした「竹枝詞(죽지사)」について次のように紹介された。
・ソンビが科挙試験で作詩したのを基にした歌「竹枝詞」がある。竹枝詞は、まっすぐ育つ竹に例えて、人の堅固な意志を歌った。<天と地は老いることがなく、月はいつまでも浮いているのに/ひっそりとした川と山はやっと百年が経った/・・・>という。人間がどれだけ小さい存在かを、そして宇宙時間で見れば限りなく短い人間の人生を語っており、どう生きるべきか、考えさせる歌詞だ。

▼ 歌「竹枝詞」を聴く。宇宙の無限と比べて「自省」する・・・そんな気にさせる、アウレリウスもさぞや。
            乾坤不老月長在
            寂寞江山今百年・・・