KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(9/21)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、<手紙>に関連する3曲を紹介した。
始めに、【柳致環(유치환、1908年~1967年)の詩と】手紙では満足しない女性の詩について次のように紹介された。
・高く澄み渡った秋空に、涼しい風まで吹くと心がそわそわする。【愛することは、愛を受けるより幸せという、柳致環の「幸せ(행복)」の詩が浮かぶ。】 誰かに手筆の文を書きたくなる季節。手紙や葉書を受け取ってくれる人がいるのも、幸せなことだろう。
・ところで歴史に、手紙でなく直接訪ねて来てと、詩に書いた女性がいる。手紙だけでは、その心が分からないという内容だ。
▼ 上記女性詩を歌った「手紙-他者に手紙を任せないで(편지-남하여 편지 전치말고)」を聴く。女性的で柔らかく今風に。
・今は、会いたい人がいれば海外でも制約がない。テレビ電話もある。昔は、手紙しかなく、どんなに遠くても誰かが直接届けた。手紙も嬉しいが、やはり直接来てくれた方が嬉しかったはず。そんな気持ちと寂しさが入り交じって、詩を作ったのだろう。
次に、パンソリ「春香歌(춘향가)」で、春香が李夢龍(이몽룡)への手紙を使いに託す話について次のように紹介された。
・行きたくても行けない人の心は、どんなに切なかったろうか。パンソリ、「春香歌」にも、そんな内容がある。獄中の春香は、李夢龍が来るのを待ち望みながら手紙を書く。それを使いに渡すと、使いは漢陽(現ソウル)に向かう。途中、官職(御史)についた李夢龍とばったり会うが、彼に気付かない。李夢龍がみすぼらしい姿をしていたからだ。春香が心配な李夢龍に対し、使いは無駄な冗談ばかり言い、李夢龍はどんなに気を苛立たせたろうか。
▼ パンソリ「春香歌」から、「御史(李夢龍)が春香の手紙を読む場面(어사또 방자 만나 춘향이 편지 읽는 대목)」を聴く。
最後に、パンソリ「沈清歌(심청가)」で、皇后になった沈淸が父を想う場面について次のように紹介された。
・パンソリ、「沈清歌」にも、手紙にまつわる悲しい場面がある。秋の月明かりが庭に満ちる「秋月満庭(추월만정)」の場だ。親孝行な娘沈清は、父の目を治すために印塘水(인당수)の海に身を投じる。彼女は生き返り皇后となったものの、故郷の父が、娘は死んだものと思い、どんなに心を痛めていることだろと心配で仕方ない。また、目が不自由で食事も心配だ。皇室にいても気が楽でない。月が明るい秋の夜、一人庭にいると渡り鳥の群れが見えた。沈清は鳥に手ぶりをして、自分の手紙を父に渡してくれと言う。でも、涙が溢れ、手紙を書き終えることができず嘆く場面だ。
▼ パンソリ「沈清歌」から「皇后の沈淸が父を想う場面(심황후 부친생각 대목)」を聴く。
・この場面は「沈清歌」中、最も悲しい場面とされる。手紙を書き終えて窓を開けると、渡り鳥は既に去っていた。そんな切ない場面が浮かぶ。