KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(11/25)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、<別れの歌>に関連した3曲を紹介した。
始めに、昔は特定の木を植えて道程(距離)を示したこと、東屋(あずまや)を置いたことについて次のように紹介された。
・昔の道は、目的地までの距離を示すのに木を植えて表した。10里の地点にハリゲヤキ、5里の地点にハンノキを植えた。5里を「オリ(오리)」と発音し、ハンノキを「オリナム(오리나무.=五里木)」と言うのは、これにちなんだと言われる。ちなみに、日本の1里≒4Kmは、朝鮮の10里≒4Kmとなり、単位は同じ「里」だが距離に違いがある。また、ハンノキは高く、遠くから見える。村々に東屋を5里ごとに建てたことから、5里(오리)の発音を付して「五里亭(오리정)」とも呼ぶ。人を迎え、別れる場所でもあった。例えば、パンソリ「春香歌(춘향가)」で、春香(춘향)と李夢龍(이몽룡)が別れたところが五里亭だ。
▼ 「春香歌」から、「五里亭の別れ(오리정 이별대목)」の場面を聴く。どことなく物静かだが、千遍思案を重ねてのこと。
次に、「春香歌」で春香と李夢龍の五里亭での別れと、その心情について次のように紹介された。
・李夢龍は地方官の息子で、地方官の家族が都に去る日、妓生の娘春香が五里亭まで追った。当時にすれば無茶と思えるが、それだけ切ない別れだったのだろう。京畿地域の歌い手が、この場面を歌で構成した、十二の雑歌の中に「出引歌」がある。日常の惣菜の青唐辛子、作りたてのキムチを、また昔も今も高級なタコ、アワビなどの食材を用意して五里亭に向かうところから始まる。別れを前に馳走を味わう余裕はないものの、心を込めて準備したのだろう。
▼ 京畿地域の雑歌から「出引歌(출인가)」を聴く。いつまでも明るく生きることを願う、恋すればの歌だろうか。
最後に、別れの後に恋人たちが安否を気遣い託した「青い鳥(청조)」の伝説について次のように紹介された。
・別れは悲しい。旅立たねばならぬ者がいて、その後に、いつまでも待つ者がいる。手紙のやり取りもままならぬ当時、人々は飛び交う鳥を見て心を慰めた。昔、朝からカササギがさえずると喜ばしいことがあると信じられた。中国では青い鳥がその役割をした。青い鳥に、恋人の安否を問う歌がある。女性歌曲(가곡)で、伝統的音階の「ウジョ(우조)」に、「チュンゴ(중거)」という歌曲がある。
▼ 鳥に歌いかける歌「青い鳥よ(청조야)」を聴く。柔らかい詩吟のよう。安否と安堵が重なる。
・最後に、キム・ボエさんの言葉「別れがあるからこそ、また再会の喜びもあるのだと思います。」