イ・ソンヒの登場に驚いた作家たちには力が入っただろう。初集アルバムの作品は今も素晴らしい名曲揃いだ。それらを、力いっぱいに響かせたデビュー時と違い、時間を経るごとに更に豊かな作品になっていく。
イ・ソンヒの1集に所収の「一人になった愛(혼자된 사랑)」(1985年、作詞キム・キルソプ、作曲ソン・ジュホ)を、1990年10月に訪れたモントリオール室内楽団と協演している、次の映像を見て、いっそう洗練されていることが分かる。(それでも若々しい)この機会にソウルの世宗文化会館に立つことができた。
(本ブログ関連:”モントリオール室内楽団”)
協演当時、音楽界での自身の立場について複雑な思いがあったようだ。彼女の自伝というべき思い出語りに、次のような記憶がある。
--------------------------------------
昨年の秋(1990年10月)には、カナダのモントリオール室内管弦楽団と共演した。あの「敷居の高い」世宗文化会館大講堂で。その楽団が著名な外国のクラシックオーケストラではなかったとしたら、私一人で世宗文化会館の舞台に立つということが可能だったのだろうか? ほろ苦い。また、私が望んだことは、外国楽団でない私たちのオーケストラであった。しかしながら、伴奏はできないというのだから、私だってどうすることができようか。
--------------------------------------
風が雨を巻きあげて さらっていった街に
捨てられた傘ひとつ さびしく泣いていた
*
足もとには夕闇せまって 孤独な夜が深まれば
行く辺のないこの心 静寂(しじま)の中で明かした
しずむ 孤独だけが 切なくて
散らばる葉を集め 火をつけて
去った愛を探して さびしい心 (Oh~)
そっと寄りそいみれば それでも 暖かい、暖かい
ひとりいるより
(*以下繰り返し)
(Youtubeに登録のlys2187に感謝)