KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(9/5)に、人物シリーズ44回目としてパンソリ(판소리)の名唱、趙相賢(チョ・サンヒョン、조상현、1939年~)を紹介した。
(ところで番組ホームページにあるリンク先音源は「人物シリーズ」#39のもののようだが・・・)
メディアの中での国楽の現状について紹介から始まった。
・最近の韓国は、国楽を扱うテレビ番組はほとんど見当たらない。ラジオ番組も数えるほどしかなく、唯一国楽専門のラジオ局があるだけで、そこで細々と国楽の伝統を守っているのが現状である。30年ほど前には、テレビやラジオで毎日のように興甫伝(フンブジョン)や春香伝(チュニャンジョン)など伝統的なパンソリを物語とした唱劇が、連続ドラマのように何回にも分けて放送されたという。
・メディアでパンソリが華やかな時代に活躍した歌い手の一人に趙相賢がいた。
▼趙相賢によるパンソリ「春香歌(춘향가)」の中から「赤城歌(チョクソンガ(적성가)」を聴く。李夢龍(이몽룡)が南原の楼閣(広寒桜)で景色を眺めて・・・熱く熱く語る。
パンソリのよい歌い手の条件について解説された。
・昔、パンソリを体系化した学者申在孝(シン・ジェヒョ、신재효、1812年~1884年)が、よい歌い手の条件として次の4つを挙げた。
▽一つ目は人物。歌い手の見目形の意ではなく、観衆が好感を持てる顔であったり、パンソリの内容に合わせて、自由自在に表情を変えらるといった面で、人物が重要という。
▽二つ目は語り。
▽三つ目は声や歌い方の美しさ。パンソリの物語を、歌詞やメロディー、長短(リズム)で、正確に声で表現することは当然、登場人物の心情変化などをその中に込めることが重要という。
▽四つ目演技力。パンソリは一人音楽劇であるため、演技力は無視できない重要なポイントという。
・趙相賢は、この4つの条件を全て備えた歌い手で、背が高く、がっしりとした体型で、春香歌の李夢龍役にまさにぴったりだったという。
次のように趙相賢のプロフィールが紹介された。
・10歳から歌を習う傍ら、近くのソダン(서당:寺子屋)で漢文を学ぶ。その結果、漢文の多い難しいパンソリの歌詞を正確に、その意味を理解し、伝えるように歌うと評価されている。
▼趙相賢によるパンソリ「沈清歌(심청가)」の中から「沈清の盲いた父が慟哭する題目(심봉사 통곡하는 대목)」を聴く。失意に唸り振り絞るように歌う。
プロフィール(続き)
・その後、赤壁歌(チョクビョッカ、적벽가)、興甫歌(フンボガ、흥보가)を学ぶ。趙相賢がパンソリを学んでいた時代、全国的に普及し始めたテレビではパンソリを放送する固定番組が多かったという。
▼趙相賢による短歌(단가)「四季歌(사철가)」を聴く。 漢詩的世界、素養がなければ意はつくせそうもないのかな・・・。