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2016年10月5日水曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 神仙、仙女

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(9/28)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、<神仙(신선)>、<仙女(선녀)>に関連する3曲を紹介した。

(本ブログ関連:”神仙”)

始めに、「神仙」の「神人」と「真人」、その体現者「崔致遠(최치원)」と「玉寶高(옥보고)」について次のように紹介された。
・東洋では、人に生まれながら不老不死の神通力がある「神仙」の存在を信じた。荘子は、神仙を、神と人の「神人」と、真(まこと)と人の「真人」に区分した。神人は、初めから神仙となる素質を持って生まれた人であり、真人は、修行を通じて神仙となった人だ。神仙は、水中にいても死ぬことなく、燃える火中でも熱さを感じない。統一新羅時代の学者「崔致遠」や、弦楽器コムンゴの名人「玉寶高」などが神仙になったと伝わる。神仙は、細かなことに干渉せず、自然の中で囲碁や楽器演奏など風流を楽しんだ。

▼ 朝鮮時代のソンビが楽しんだ伴奏曲を管楽器(タンソとセンファン)用にした「水龍吟(수룡음)」を聴く。青秋に相応しく響く。

次に、神仙の絵に登場する「仙童(선동)」、定型詩「時調(시조)」の「辞説頭学(사설지름)時調」にある「鶴に乗って、笛を吹いて(학타고 저불고)」について次のように紹介された。
・ソンビの作品に、神仙を描いた絵があり、楽器を演奏する姿も少なくない。ソンビの楽器といわれるコムンゴもあり、(横笛)ゾッテやセンファンを奏する神仙が多く見られる。また、神仙を世話する子どもの「仙童」がよく登場する。子供らしい顔に髪を両側に結び、桃を持つことが多い。定型詩「時調」に、「辞説頭学時調」があり、「鶴に乗って、笛を吹いて」は、そんな神仙の生活を表現した曲だ。神仙中、最高の女神「西王母」が開く宴に、誰が参加するか尋ねる歌詞に、神仙を世話する仙童が仙女の名を挙げる。そんな宴に行ってみたい、ソンビの思いがこもった歌のようだ。

▼ 辞説頭学時調の「鶴に乗って、笛を吹いて」を聴く。悠悠と空を浮かぶよう、何だか楽しいタイトルだ。

最後に、時調に登場する「仙女」、ソンビ「仙君(선군)」と仙女「淑英(숙영)」の愛を描いたパンソリ「淑英娘子伝(숙영낭자전)」について次のように紹介された。
・時調は、一定の文字数と並べ方をする定型詩だ。変形した形ができると、元の形式を「平時調(평시조)」と呼ぶ。先の辞説頭学時調から、辞説時調は、平時調より文字数が多いものを指し、頭学時調は、歌の前半を高く歌うという意だ。仙女は、昔話に神仙より頻繁に登場する。神仙は年寄りが多いが、仙女は若くて美しい女性として登場する。また、朝鮮時代、ソンビの「仙君」と、仙女「淑英」の愛を描いたパンソリ「淑英娘子伝」があった。この作品は、長い間歌われなかったが、朴松熙(박송희、1927年~)が復元(再創作)したという。「淑英娘子伝」は、男女の愛を描いた説話を基盤にしたもの。

▼ 「仙君と仙女が出会う場面(선군과 선녀 만나는 대목)」の歌を聴く。

2016年11月9日水曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 菊

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(11/2)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、<菊>に関連した3曲を紹介した。

始めに、「四君子(사군자)」のひとつの「菊」について朝鮮後期の文人李鼎輔(이정보、1693年~1766年)が作った「菊[花]よ(국화야)」の曲について次のように紹介された。
・学識と徳を備えた人を「君子」と言う。君子は、学者(ソンビ)にとって理想の姿だが、世に君子と呼ばれる人はいても、清い香りする人は多くない。そのため、梅、蘭、菊、竹を指して、「四君子」と言う。四君子の、①梅は、雪が溶ける前の春、最も先に花を咲かせる。②蘭は、深い山の中でほのかな香りを漂わせる。③竹は、四季を通して青く、まっすぐ伸びる。最後の、④菊は、霜が降りるまで咲くため、見習うべき対象とされる。
・昔の詩歌に、四君子をテーマにしたものが多い。「平時調(평시조)」という定型詩で、霜にもめげずに耐える菊の様子を歌った「菊よ」という曲がある。朝鮮後期の文人李鼎輔が作ったといわれる。彼は、普段は厳しく強直で、言うべきことは言う性格のため、何度も官職から罷免された。正しいことには、自分の意志を曲げなかった。混乱した世に染まらず、自分の意志を貫く、菊のようなソンビだった。

▼ 平時調で「菊よ」の曲を聴く。孤高に晩秋に咲く菊の花を、穏やかに歌いあげる。

次に、現代の作曲家黄秉冀(황병기、1936年5月31日~)が、徐廷柱(서정주、雅号「未堂」、1915年~2000年)の詩を基に作曲した「菊の傍らで(국화 옆에서)」について次のように紹介された。
・黄秉冀の曲「菊の傍らで」は、詩人徐廷柱が1947年に発表した詩「菊の傍らで」を基にした曲だ。<一輪の菊を咲かせるため、ホトトギスは春から鳴いていた/雷が黒雲の中で泣いていたのも、菊を咲かせるためだった/・・・>といい、菊を<姉のような花>と表現している。

▼ 徐廷柱詩、黄秉冀作曲、「菊の傍で」を歌と弦楽器のコムンゴとカヤグム演奏で聴く。現代感覚する、独白のよう歌う。

最後に、南部地域の南道の(長い民謡調の唱)雑歌「興打令(흥타령)」について次のように紹介された。
・昔のソンビは、秋に菊が咲くと、親しい人々を招いて夜に風流を楽しんだ。四方を塞いだ部屋に明かりを灯し、その前に菊鉢を置いた。すると、壁に花模様の影ができ、水墨画のように影が映ったはず。明かりの位置により影も動いた。南部地域の道雑歌「興打令」は<窓の外に菊を植えて、菊の下に酒を醸しておく>という歌で、<酒が発酵し、菊が咲くと、友が来て、月も明るい。コムンゴなど、夜通しで楽しもう>という内容で、恋しい気持を主題にしている。美しい季節の秋、一輪の菊など見つめながら友が恋しくなる頃でもある。

▼ 南道雑歌「興打令」を聴く。大衆歌謡を思い出させる、情感たっぷりに聞かせてくれる。

2017年1月11日水曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 酒

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(1月4日)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、酒に関連した3曲を紹介した。放送未聴のため英語版より抜粋した。

⇒ キム・ボエさんの解説が登録されましたので、[  ] で追記しました。

始めに、朝鮮中期の官吏「盧禛(노진、1518年~1578年)」と王宣祖(선조)にまつわる詩について次のように紹介された。
・朝鮮中期に清廉潔白な官吏だった盧禛が、高齢な母のため都を去ったとき、王宣祖は失望し詩に表わした[御製歌(어제가)]。また、盧禛の定型詞調 「平時調 万寿山(평시조 만수산)」には、王の長寿へ願いを込めた献杯に、王への心からの忠誠心を見ることができる。

▼ 平時調 「万寿山」を聴く。厳かにそして高貴に歌う。

・この「万寿山」を作詞した詩人は、慶尚道咸陽から来た盧禛に他ならない。その地には、2つの詩碑がある。ひとつは盧禛への宣祖の詩であり、もうひとつは盧禛の「万寿山」の詩である。酒は王への忠誠心を示すといわれる。

次に、若い頃に人生を楽しむことを奨める「四季歌(단가 사철가)」について次のように紹介された。
・人生は束の間である、若いときに人生を楽しめと奨めることから、短歌の「四季歌」はインスピレーションを得た。生きて飲む酒は死後の祝祭で飲むよりもっとよい。

▼ 「短歌 四季歌」を聴く。こちらは地の声がしてたくましい。

最後に、朝鮮中期の学者「鄭澈(정철、1536年~1594年)」の「将進酒辞(장진주사)」について次のように紹介された。
・昔、旧正月の後に、薬草で作られた「屠蘇酒(도소주)」を飲み、年初に悪鬼払いして、家族全員の健康と幸せを願った。朝鮮中期の学者「鄭澈」が書いた「将進酒辞」がある。

▼ 鄭澈の辭說時調「将進酒辞」にもとづいた「将進酒(장진주)」を聴く。長々と伸びる言葉に酔う?

2013年11月5日火曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 菊花

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(10/30)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズの第29回として、菊の花(국화)について紹介した。

始めに、秋の花の菊とそれに関わる詩について、次のような紹介から始まった。
・花というと春を思い浮かべるが、秋にも春に劣らず、きれいに咲く花がある。コスモスを筆頭に、オシロイバナや野菊、そして名も知らぬ花たちが力強く花を咲かせ、散った後、目に入るのが菊の花だ。朝鮮後期、李鼎輔(イ・ジョンボ、이정보、1693年~1766年)が残した、菊の登場する次の時調(시조)がある。

「菊よ、おまえは、三月の春の風(東風)を過ぎ、/  落木寒天にひとり花を咲かせたのか、/  おそらく、霜が降りる季節に屈しないのはおまえだけだろう。」

・「落木寒天」は、木の葉が落ち、寒くわびしい冬の風景を表す。この時調は、暖かい春の風が吹いても花を咲かせず、寒い冬になるまで待って、さびしそうに、けれど力強く咲く菊の花を歌う。

▼ 平時調(평시조)の「菊よ(국화야)」を聴く。上記詩の一音一音を延ばし朗詠する。夕陽を逆光に揺れる野菊のよう。

次に、李鼎輔の仕事と彼にまつわる逸話が、次のように語られた。
・李鼎輔は、詞のように相手が王であれ、間違ったことには果敢に言上する政治家だったという。
・一方で、音楽にも造詣が深く、上記時調以外に80編を超える作品を残し、音楽家養成にも携わった。弟子に、桂纖(ケソム、계섬)がいた。彼女は、幼くして両親を亡くし奴婢となったが、李鼎輔と出会い、彼を師匠として歌を学ぶ。彼は桂纖の才を見抜き、常に傍に置き指導した。彼女は名唱として名を轟かした。李鼎輔が世を去ったとき、桂纖は実の父の死を前にしたかのようだった。その後毎日、師匠の墓前で泣きながら歌い続け、生涯かけて恩返した。その姿は、晩秋の道端に咲く野菊のようだ。

▼ 新民謡「野菊(들국화)」を聴く。なんだか、野に咲くの花の陽気で力強さを感じる。

最後に、菊を愛でる優雅な光景について、次のように語られた。
・昔から、ソンビ(博識な学者)たちは、菊を、梅、蘭、竹と共に並べ、四君子と呼ぶ。これらは、操と節義を象徴する花とされ、広く好まれ、植えられた。フンタリョン(흥타령)の歌詞に、四君子のひとつ、菊に関する次の一節がある。

「窓の外に菊を植え、菊の下で酒を醸しておいた。/ 酒が熟成し、菊の花が咲き、友人が来て、月が昇った。/ それ、コムンゴを一曲弾け、夜が明けるまで遊ぼうではないか。」

・花もきれいに咲き、さらにその香りまで漂い、友を誘って一杯傾ける光景、なかなか粋である。菊の酒をゆったりと嗜みながら、あれこれ話をする時間、これこそ、至福のひと時と言えるかもしれない。

▼ 「歌詞 勧酒歌(가사 권주가)」を聴く。揺ったりと古色を漂わせるが・・・どこか新酒の香りする。

2013年12月25日水曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 冬至

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(12/18)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズの第36回として、「冬至(동지)」にまつわる話を紹介した。

まず、冬至を題材にした黄真伊(ファンジニ、황진이)の作品の紹介から次のように始まった。
・最近、季節の変化が極端になった。韓国では、春と秋が短く、暑い夏、極寒の冬がすぐにやってくる。今年も晩秋すでに氷点下の気温となり寒さも厳しい。今月22日(日)は冬至で、一年の最も夜が長い日だ。
朝鮮時代の時調(시조)に、冬至を題材とした、妓生(기생)の黄真伊(1506年?~1567年?)の感性豊かな作品「冬月漫長夜」がある。
「冬至の長い夜を少し切り取って、布団の下にしまっておいて、恋しいあの方がいらっしゃる夜に広げたいものだ。(截取冬之夜半強 春風被裡屈幡倉 有燈無月郎來夕 曲曲鋪舒寸寸長)

▼ 平時調「冬至月(동짓달)」を聴く。楽に合わせて長々と歌う、詩吟のソフトなイメージで、管の音に似て・・・。

次に、冬至と小豆粥の関係について次のように説明された。
・小豆は、その赤い色が幽霊を追払うと考えられ、良悪につけて、小豆粥、あんこ餅などを作り厄除けした。
・冬至の小豆粥は、小豆をつぶした汁に米を入れて粥のように茹で、そこに餅米を丸めた団子の白玉(セアルシム、새알심)を入れる。冬至に、白玉を歳の数だけ食べる。小豆粥ができると、まず霊廟(사당)に供えて、冬至の祭祀を行なう。次に各部屋、甕、納屋などに一杯ずつ置き、粥が冷めたら家族でこれを頂く。また人々の出入りする玄関やドア近くで小豆粥を撒いて厄除けする風習がある。
・冬至は、陽暦の12月22日、陰暦では毎年その日が変わるため、陰暦11月初旬の場合は子冬至(애동지)、中旬の場合は中冬至(중동지)、下旬の場合は遅冬至(늦동지)と呼ぶ。子冬至に小豆粥を食べると子どもに害があるとされ、代わりにあんこ餅を食べる。中冬至では小豆粥、あんこ餅のどちらを食べても良く、遅冬至では小豆粥を必ず食べなくてはならないとされた。
・夜が最も長い冬至を過ぎれば、これから日が長くなる。

▼ パンソリ「水宮歌(수궁가)」から「果課天辺(고고천변)」を聴く。跳ねるようにリズミカルだが・・・

最後に、冬至に対する古来の考え方について次のように解説された。
・冬至は、古代西洋では、太陽が死から復活する日と考えられ、クリスマスもこうした考え方と関連があるとも言われる。さらに中国では、冬至を新年の初めと捉え、その風習が現在に伝わり、「小さな正月」とも呼ぶ。
・冬至の日が、寒いほど次の年は豊作になるという信仰から、寒く雪が降り積もる天気が好ましいとされる。冬至は、これから厳しくなる寒さに備えて、隣り同士が支えあう期間ともいえる。昔の人々にとって、寒くて厳しい季節にも、未来へ希望をもって過ごす考え方があったのだろう。

▼ 「密陽アリラン(밀양아리랑)」を聴く。ジャズ風味を効かせた演奏だが、歌詞があれば最後に冬至、師走が・・・。

2018年7月25日水曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 酒

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(7/18)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、酒にまつわる話を紹介した。

始めに、陰陽五行説に基づく「三伏(복날)」について次のように紹介された。
・7月~8月にかけて、陰陽五行説に基づく「三伏」(初伏、中伏、末伏)がある。昔、三伏に田の稲が歳を取るといい、初・中・末伏ごと稲に節ができ、三つできて稲穂になると考えた。一年で一番暑い時期、稲が育つ間、農村ではしばらく仕事を休み、涼しい郊外に出かけて体に良いものを食べた。酒を飲み、歌まであれば、それ以上の幸せもない。

▼ 長寿を願う定型詩の平時調(평시조)による「萬壽山(만수산)」を聴く。永遠に続くかのよう朗々と。

次に、パンソリ「春香歌(춘향가)」に登場する李夢龍(이몽룡)活躍について次のように紹介された。
・相手の長寿を願い、酒を勧める歌に「勧酒歌(권주가)」がある。妓生の娘の春香と、高官になった李夢龍の愛の物語パンソリ「春香歌」にも勧酒歌が登場する。李夢龍は、不正な官吏を探す任を受け、官吏たちの内情を探るため、物乞いに扮して宴会へ行く。民は食に窮し苦しむのに、彼らは馳走を前に楽しむ。李夢龍は機嫌よくなくて宴会を乱し、妓生に勧酒歌を歌わせた。妓生は、長寿を祈るではなく、彼をあざけり呪い歌ったが、李夢龍は引き下がることはなかった。

▼ パンソリ「春香歌」から、王の勅命を受けた「(暗行)御史出頭(어사출도」を聴く。
     金樽美酒千人血
     玉盤佳肴萬姓膏
     燭淚落時民淚落
     歌聲高處怨聲高

最後に、朝鮮中期の文人「鄭澈(정철、1536~1594)」の「将進酒辞(장진주사)」について次のように紹介された。
・朝鮮中期の文人「鄭澈」は、酒好きでも知られる。酒のため会議に出られず、非難を浴びたこともある。王は、そんな彼に小さな銀杯をひとつ渡し、今後は一日に一度、酒は一杯にしておくという命令だ。すると、彼は、杯を伸ばして、容量を増やして飲んだという。鄭澈の作品に、酒好きな文人だっただけに、勧酒歌の「将進酒辞」*がある。「飲まんかな 飲まんかな 一杯また一杯」で始まる、終末を想像し、みな泣き悲しんで送っても、世を去った私に誰が酒を交わすというのか・・・という内容。
(*「朝鮮の詩ごころ」(講談社学術文庫)に紹介されているとのこと)

▼ 「将進酒辞」にもとづいた「将進酒」を聴く。ゆるりと歌い流れる。

2017年3月29日水曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」青山裏

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(3/22)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、黄真伊(ファンジニ、황진이)の詩「青山裏(청산리)」など関連した曲を紹介した。

始めに、朝鮮時代の妓生「黄真伊」が王族の「碧渓守(벽계수)」に詩を聞かせたときの話を次のように紹介された。
・朝鮮時代最高の妓生と言われた黄真伊が活発に活動していた頃、彼女に会いたいと念願する者も多く、惚れ込んだソンビも多数いた。王族の碧渓守は、彼女に誘惑されない自信があると断言した。その噂を聞き、黄真伊は、月の明るい夜を眺めている彼を訪ねて、<水が一度海に流れたら戻って来れないから、月が明るい内に休んで行ってください(この私と楽しみましょう)>と詩を謳った。その詩を聞いた碧渓守は断言も忘れ、彼女に見とれてしまう。
    青山裏碧溪水
    莫誇易移去
    一到滄海不復還
    明月滿空山
    暫休且去奈何

▼ (教科書で学ぶ)定型詩(平時調:평시조)の「青山裏」から「青山裏」を聴く。月下に冴え渡る。

次に、西道民謡「愁心歌(수심가)」と女性詩人李玉峰(イ・オクボン、이옥봉)について次のように紹介された。
・西道地域の民謡「愁心歌」の詞は、悲しみに満ちた歌の意だ。朝鮮時代、中国にも知られた女性詩人李玉峰は、両班の妾の娘のため、学者趙瑗(조원)の本妻になれず妾となる。趙瑗は、彼女の詩を好んだが、世に知られるのを喜ばなかった。そんな中、玉峰が貧しい女性に書いた詩が社会的問題となり、実家に戻して二度と会わなかった。玉峰は薄情な夫を想い詩を書いた。<最近はどう過ごされていますか>に始まり、後半によく知られる、<仮に夢の中の魂が痕跡を残すなら、あなたの家の前の砂利が半分は砂になったでしょう>という、夫を恋しく想いを描いた。
    近來安否問如何
    月到紗窓妾恨多
    若使夢魂行有跡
    門前石路半成沙

▼ 「愁心歌」を聴く。石が砂になるほどの想いに、熱烈というより諦めるような気がして・・・。

最後に、パンソリ「春香歌(춘향가)」の李夢龍とソンビの「成以性(ソン・イソン、성이성)」が紹介された。
・パンソリ「春香歌」は、春香と李夢龍(이몽룡)の愛の物語だ。李夢龍は、王の勅命を受け、浮浪者姿をして密かに地方を巡行し、身分を隠して地方官の宴で詩を謳い、民を苦しめながら裕福に暮らす地方官を批判する。春香歌の詩は、実在の学者ソンビの成以性が書いた説もある。彼の父が南原地域の長官で、李夢龍も南原の出だからだ。
    金樽美酒千人血
    玉盤佳肴万姓膏
    燭涙落時民涙落
    歌声高処怨声高

▼ パンソリ「春香歌」から、浮浪者姿の「勅使出頭(어사 출도)」を聴く。はらわたを吐き出すよう。

2017年10月18日水曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 友

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(10/11)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、友について、中国北宋時代の詩人蘇軾(蘇東坡)の詩「赤壁賦」ほか関連する曲を紹介した。

始めに、蘇軾の詩「赤壁賦」をもとに、短歌(단가)「赤壁賦(적벽부)」について次のように紹介された。
・中国の詩人「蘇軾」は、若くして科挙に合格、官職につく。民を大事にするも、周りから疎まれたようで、生涯を閑職や島流しの生活を送った。辛いなか、作品の時間もあった。不朽の名作「赤壁賦」も、島流しのときの作品。韓国伝統の短歌「赤壁賦」は、蘇軾の詩にリズムをつけたもので、多様な形の歌で伝わる。

▼ 「短歌、赤壁賦」を聴く。風景に在ってか、淡々と聞こえる。

・ある秋、島流しの辺鄙な地に訪ねてきた友と共に、赤壁川に船を浮かべ、馳走を用意して夜景を楽しんだ。<元豊五年(1082年)陰暦7月、既望の日> に始まる。「既望」は陰暦16日、満月は過ぎても、依然と月明るい夜をさす。<船を浮かべ、赤壁川の秋の趣きを楽しむ。涼しい風、穏やかな川面はひっそりとしている。酒を交わしながら詩を謳うと、月が昇って、こんな美しい世に悲しいことがあろうか>という内容。友を得ての感慨、大事な存在だ。

▼ 平時調(평시조)で、<友の大切さを歌った>「友人(친구가)」を聴く。淡々と聞こえる。

次に、孔子の「論語」から友とのかかわりについて次のように紹介された。
・孔子の「論語」、君子が喜ぶ三つの話から始まる。① まずは、学んで身に着けることは、なんと楽しいことか。② 次は、遠来の友と学問の話しをすること。③ 最後は、他人が自分を理解してくれなくとも憤(いきどう)らないこと。そういう人ことが真の君子であると言う。孔子のことばから、ときに辛いとき、心細く寂しいときに、自分を理解してくれる友こそ、どれほど大きな慰めになるか分かる。

▼ <全羅道地方の音楽的特徴を最も濃く感じる>という「興打令(흥타령)」を聴く。抑揚をきかせて歌う。

・「興打令」は、<窓の外に菊の花を植えて、お酒を醸しておき、花が咲いて酒も出来上がると、友と夜通しで遊んでみよう> と歌う。月明かり、コムンゴ演奏など、楽しい様子を表す。