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2013年1月29日火曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 李世焕

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(1/23)に、人物シリーズ64回目として弦楽器コムンゴ*(玄琴、거문고)の演奏者、李世焕(イ・セファン、이세환、1952年6月4日~)を紹介した。

(*)コムンゴは(日本の琴に似た)伽耶琴と同サイズだが、「伽耶琴の弦が12本で、直接、指で演奏するのに対し、コムンゴの弦は6本。それにスルテと呼ばれる、細くて短いばちを使って演奏するため、伽耶琴よりも荒々しい音を出す」。

(本ブログ関連:"コムンゴ")

まず、コムンゴ演奏の復活の解説から始まった。
・コムンゴ演奏の紹介曲「チュルガン(出鋼、출강)」は、力強くて何処か叙情的な音色があるが、チュルガンに、製錬所で純粋な金属を取り出す作業の意がある。1964年、北側の曲が始まりで、1995年に韓国に初めて伝えられた。当時、韓国国楽人たちは、北側でコムンゴ演奏はなくなったと考えられていたため、コムンゴの創作音楽は大きな話題となった。

▼李世焕と琴律楽会による「チュルガン(출강)」を聴く。描写的な要素が強いのだろう・・・大味な感じがする。

・北側では1965年、伝統楽器の改良政策が進められたが、コムンゴは改良が難しく除外された。当時の韓国でもコムンゴの音色は国楽の現代化の波から取り残されつつあった。李世焕が「チュルガン」を発表したことで、仰々しい楽器というイメージをコムンゴから払拭し、躍動的で叙情的な音楽も演奏できるという認識を与えることになる。

▼李世焕他による「霊山会相(ヨンサンフェサン、영산회상)」中の「下絃還入(ハヒョンドドゥリ、하현도드리)」を聴く。風流なんでしょうか・・・でも少し賑やかな。

次のように李世焕のプロフィールが紹介された。
・1960年代 国楽士養成所に入学。コムンゴ正音楽を学ぶ。
・その後、国立国楽院の正楽団で、コムンゴ演奏者として活動。アジェンとチョルヒョングムの演奏にも長けた。さらに、宮中音楽やソンビたちの音楽である正楽だけでなく、サンジョやシナウィ、舞踊音楽など、民俗音楽にも才能を発揮した。国楽家中で、正楽と民俗音楽の両分野に渡り活動する演奏家は稀。
・1980年代 李世焕を後援するする日本コムンゴ会が結成される。

▼李世焕他による申快童流(シン・クェドン流、신쾌동류)の「玄琴散調(サンジョ、산조)」を聴く。・・・ゆるりと聞き入る。

2012年4月14日土曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 コムンゴファクトリー

KBS WORLD放送の「国楽の世界へ」は、今週水曜日(4/11)に、人物シリーズ23回目として初めてのグループである、「2006年、20代の若いメンバーで結成されたコムンゴファクトリー(거문고 팩토리、Geomungo Factory)」を紹介した。

まず、(伝統的)弦楽器コムンゴ(거문고、「玄琴」表記あり)の復習・解説から始まった。
・伽耶琴(カヤグム、가야금)とよく似た形をしているが、
- コムンゴは弦の数が伽耶琴の半分の6本
- 胴体の厚みは伽耶琴の二倍ほどで、ずっしりとした形状
- 伽耶琴に比べ、その音色は重く低い(伽耶琴は女性らしく、コムンゴは男性的ともいわれる)
・演奏方法も、弦を指で弾くのではなく、
- 《右手》に持った匙(スルテ、술대)という短い木の棒でで叩いたり、すくったりして音を出す。
- 《左手》では弦を(胴体の上に置く16個の木の板)フレット(fret)である固定の「クェ(괘)」の上で押したり揺さぶったりしていろいろな表現をする。
・コムンゴは、テンポが速く、変化の激しい曲を演奏するのは難しいとされ、現代創作音楽では除外されることが多かった。

▼コムンゴファクトリーによる「コムンゴ&タンゴ」を聴く。むむむ、新しい楽器の登場といった方がよいような・・・これも、総合化・統合化の流れなのでしょうか。
Youtubeの「Geomungo&Tango」も参考にして。

次のようにコムンゴファクトリーのプロフィールが紹介された。
・2006年 20代の若い女性3人、男性1人でグループを結成。
・数々のバリエーションを持ったコムンゴ楽器を創作。・・・改良楽器を演奏することに対して、韓国でも賛否両論がある。

▼コムンゴファクトリーによる「自由な鳥へ(자유로운 새에게)」を聴く。演奏会の雰囲気を知りたいような、分かるような・・・。
Youtubeの「Fly to the Sky」も参考にして。

▼コムンゴファクトリーによる「ピョルクムジャ(별금자)」を聴く。月夜に星がきらめくような雰囲気で・・・。
Youtubeの「The Starry Night」も参考にして。

(Youtubeに登録のTheGeomungofactory、kindheartedgeomungoに感謝)


彼らの存在は、どれくらいの潮流というかムーブメントとなっているのでしょうか。解説の岸さんが「チャレンジ」という言葉で後押ししているのがわかります。時代を変えるのも創造するのも、結局若い人たちなんですからね。

2011年5月4日水曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 コムンゴ

今日のKBS WORLD「国楽の世界へ」は、弦楽器コムンゴ(거문고)を紹介した。同放送内容は、KBS WORLDのホームページに掲載されている。(案内役の岸さんは、中学に入って以来10年ほど津軽三味線を習ったそうだ)

[楽器]
・コムンゴは、見たところ伽耶琴と同様のサイズだが、「伽耶琴の弦が12本で、直接、指で演奏するのに対し、コムンゴの弦は6本。それにスルテ(술대)と呼ばれる、細くて短いばちを使って演奏するため、伽耶琴よりも荒々しい音を出す」という。
▼「壽延長之曲(수연장지곡)」からイ・オギュの演奏を聴く。ここでは、一音一音、弦の響きを確かめながら「弾く」。

[歴史]
・1500年ほど前、高句麗で作られた楽器で、コムンゴ(거문고)の名は、この弦楽器(고)と、飛んで来て踊った黒い鶴(검은 학)との言葉に由来するという。すなわち、「검은(학)+고」のようだ。
・「コムンゴは漢字では、黒を表す玄武の『玄』という漢字に、『琴』と書いて『玄琴(げんきん)』、韓国語読みだと현금とも表記され」るという。
・「朝鮮時代末期にさしかかると、一般庶民の間でも演奏されるように」なったという。
▼コムンゴを伴奏にして歌うコムンゴ竝唱(병창)方式で、庶民の音楽である、パンソリ「赤壁歌(적벽가)」の中からシン・クェドンによる「セタリョン(鳥打令)」を聴く。物語に富んだ感情の起伏を表現する響きを与える。

[奏法]
・「演奏するときは、この弦を指の代わりに《右手》に持ったスルテ(술대)という竹棒でたたいたり、すくったりして音を出すのが特徴」。「また《左手》では弦を(胴体の上に置く16個の木の板)フレット(fret)である“クェ(괘)”の上で押したり揺さぶったりしていろいろな表現」をするという。
▼若手のコムンゴ・ファクトリーによる、コムンゴ&タンゴ演奏を聴く。ムムム・・・。

(参考)「全羅北道 韓国伝統ソリ文化」というサイトがある。

2012年12月18日火曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 鄭大錫

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(12/12)に、人物シリーズ58回目として、弦楽器コムンゴ(弦琴、거문고)奏者であり作曲家の鄭大錫(チョン・デソク、정대석)(1950年~)を紹介した。

(本ブログ関連:"コムンゴ")

まず、弦楽器コムンゴの復習から始まった。
・ソンビ(선비、高尚博識な人士)たちが好んだといわれる弦楽器である。
・楽器の胴は、桐と栗の木を張り合わせた、長さ約1m50cmほどの琴に似た構造で、カヤグム(伽耶琴、가야금)に似る。ただし、正楽カヤグムは12本の弦を指で直接奏するのに対し、コムンゴは6本の弦を指とスルテ(술대、細く短い竹ばち)を使って奏する。そのためカヤグムより荒々しい音を出すことができる。
・胴上に取り付けた、16個の木の板のクェ(괘)というフレット(fret)の上に、絹糸をより合わせて作った6弦を張る。演奏時、弦を≪右手≫に持ったスルテで叩いたり、すくったりして音を出すのが特徴。また≪左手≫で弦をクェの上で押したり揺さぶったりしていろいろな表現をする。

▼鄭大錫の作曲、コムンゴ独奏による「無影塔(ムヨンタプ、무영탑)」第4楽章を聴く。夫を思い、妻を思った夫婦の悲劇と岩に託したその石仏師の純愛の伝説か・・・影をなくした塔。ともあれ、とても親和的で、風が通り抜けるようないい感じがする。

・ソンビたちの楽器として、世俗的な曲を奏することが避けられたため、新しく作曲しても、ソンビ風のゆっくりとした落ち着いた音楽にするようにと心がけられてきた。
ここに変革をもたらしたのが鄭大錫で、上記「無影塔」の演奏では、新しい技法を取り入れて、速いテンポで、カヤグムのように指で弦を弾(はじ)いたり、クェをスルテで叩いたり演奏している・・・とのこと。
・・・解説の岸さんの思い入れが伝わってきます。

次のように鄭大錫のプロフィールが紹介された
・1950年12月24日 ソウルに生まれる。
・国家による学費支援のある国楽高等学校でコムンゴを専攻。家庭の事情で大学進学を断念するも独学で作曲を勉強し、その後、壇国大学に進む。卒業後、KBS国楽管弦楽団に在籍し演奏活動をし、現在、ソウル大学校音楽大学国楽科 国楽器楽(琴)担当教授。

▼鄭大錫のコムンゴ独奏による「月暈(タルムリ、달무리)」第3楽章を聴く。周りをにじむようにして輪をつくる月の暈(かさ)の明かりが、滴になって地を照らす様か・・・これも新しい技法を駆使しているのだろう。
・・・楽器を身のそばに置けない音楽学生だったなんて・・・そんな時代を経たという克己の方のようだ。

▼鄭大錫のコムンゴ独奏による「水里斎(スリチェ、수리재)」第3楽章を聴く。漢江の畔、藁葺き家の趣を表現したもの・・・とのこと。流れに揺れて川面がきらめく様か。抑制が効いて涼し気さえ感じる。

(付記)
フュージョン、クロスオーバー、コラボレーション、ワールド何々・・・ではない、伝統を継承された本当の意味の新しい国楽なんでしょうね。とてもいい気分になれたのはどうしてでしょう。

2012年3月18日日曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 申快童

KBS WORLD放送の「国楽の世界へ」は、先週水曜日(3/14)に、人物シリーズ19回目として「幼い頃から風流音楽に親しんだという、(弦楽器コムンゴによる)コムンゴ散調(거문고산조)の大家、申快童(신쾌동:1910年~1977年)」を紹介した。

弦楽器コムンゴ(거문고)について、次のような紹介から始まった。
・(風流を楽しむ)ソンビたちに好まれ、長さ約1m50cm程で、細く短いバチを使い演奏する弦楽器。
・楽器胴体上に「クェ(괘)」といわれる木の板(フレット(fret))が取り付けられているのが特徴。

(参考)
イ・ソンヒが奏する「下絃還入コムンゴ」がYoutubeにある。(若き奏者は、歌手のイ・ソンヒではありません)
(Youtubeに登録のkoartny80に感謝)

▼申快童の演奏で、コムンゴによる散調の中から「チュンジュンモリ(중중모리)」を聴く。弦の一連の、高音の速い奏でから低音に締めくくられる繰り返しに、リズムだけが次第に残る。

ここで、散調(サンジョ:산조)について復習があった。
・庶民の音楽である。
・テンポが、チニャンジョ<チュンモリ<チュンジュンモリ<チャジンモリ、とアップする。
・オンモリ、クッコリ、フィモリなどの、リズムの長短(チャンダン:장단)を加えることがある。

何々流という流派の考え方から、音楽作品について次のような興味深い話が語られた。
・散調は、そのメロディーを誰が作り出したのかによって、何々流という風に作曲家の名前が入る。
・西洋音楽は、作曲家がいて著作権が発生するため、他人がそのメロディーを無断使用できない。
・日本の場合も、伝統音楽は師匠の流派をそのまま受継ぎ、その形を守ることを目標とする。
・(韓国の)国楽の場合は、師匠のメロディーを基本としつつ、自らの新しい音楽観を具現することがその師匠の名を引き立たせることになる、と考えられる。

この辺りから芸術作品に対する、個別化と総合化のとらえ方の相違が見えるような気がする。

▼申快童の演奏と歌による、コムンゴ並唱(병창:弾き語り)で「八道遊覽歌(팔도 유람가)」を聴く。風流を解して、名所図会、はたまた三十六景・・・を眺めるごとくだろうか。

▼申快童の演奏による、「農夫歌(농부가*)」を聴く。風景画のように、遠くに農夫の動きを視るような印象がする・・・どうなのだろうか。
(*)Naver百科事典より

申快童のプロフィール
・1910年 全羅北道 益山に生まれる。
・白樂俊(백낙준)からコムンゴ散調を学び高弟となる。
・1938年 朝鮮声楽研究会で弟子を教える。
・1977年 没す。

2011年10月24日月曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 並唱

KBS WORLD放送の「国楽の世界へ」は、先週水曜日(10/19)に、弾き語りの音楽である「並唱〔竝唱〕(병창)」が紹介された。

はじめに、演奏スタイルについて次の通り説明があった。
・並唱〔竝唱〕(병창): パンソリの演奏の前に発声練習を兼ねて歌う短い歌(단가)、また各地方の民謡を歌うときなどに、このスタイルがとられる。また、弦楽器の伽耶琴(가야금)とコムンゴ(거문고)を使って歌と演奏をする場合、それぞれ、カヤグムビョンチャン(伽椰琴並唱)、コムンゴビョンチャン(コムンゴ並唱)と呼ぶ。
・併奏(병주): 二つの楽器による演奏スタイルで、例えば、笙に似た笙簧(생황)」と、短い縦笛の短簫(단소)が代表で、楽器名を合わせて「笙簫併奏(생소병주)」と呼ぶ。

<カヤグムビョンチャン>
▼パク・グィヒ(박귀희)による「タンカ(カヤグムビョンチャン)」を聴く。あれっ、以前・・・そう、チュンモリチャンダンの紹介のとき聞いたお声だ(8/1)。のりがよいというか、おもわず聞き入ってしまう。とても健康的な感じがする。

・他の伝統音楽の分野に比べ、多少、低く見られがちだったが、近年、様々な演奏家が発展に努力を重ね、これらの活躍により、1968年、散調と共に重要無形文化財第23号に指定されている、とのこと。

(参考)「伽倻琴竝唱」:韓国伝統ソリ文化より

・最近では、洗練され、楽器についても伝統的な伽倻琴よりも、改良された「25弦伽倻琴」で並唱を行うことも多くなってきている、とのこと。
▼チャン・ソユンによる「蘭、私の姿(난초 내 모습)」(25弦伽倻琴並唱)」を聴く。詩人の号から取った歌だろうか。25弦伽倻琴の現代風演奏と、素朴な語り・・・なるほど、演奏家の子ども時代のものなんですね。

(参考)「ホナンソラン(허난설헌:許蘭雪軒)」:ko-Wikipediaより

<コムンゴビョンチャン>
▼シン・クェドンによる「セタリョン(コムンゴビョンチャン)」を聴く。このお声も、以前(5/4)、コムンゴの紹介のときに聞いている。音に飾りがなく透明感がある。伝承者が少ないのが現状だそうだが、継承されんことを・・・。

2016年11月23日水曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 撥弦(打弦)楽器「玄琴(コムンゴ)」

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(11/16)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、<撥弦(打弦)楽器「玄琴(コムンゴ、거문고)」>に関連した3曲を紹介した。

(本ブログ関連:”玄琴(コムンゴ)”

始めに、「玄琴」の由来にまつわる高句麗宰相「王山岳(왕산악)」の伝承、楽器の構造について次のように紹介された。
・撥弦(撥弦)楽器「玄琴」の由来は、高句麗時代にさかのぼるという。当時、中国から伝わったこの楽器を、高句麗では楽器だと分かるものの、奏法を知らなかった。宰相王山岳は、その楽器に手を加え、演奏できるようにした。それが、玄琴だ。玄琴は、琴の一種で、6本の弦を左手で押え、右手の「匙(スルテ、술대)」という棒ではじき演奏する。一説に、王山岳が奏する玄琴の音に、黒鶴が飛来して踊ったという。そんな伝承が玄琴にある。東洋で、鶴は平和を意味する縁起の良い動物である。
・ところで、玄琴の起源は、王山岳より以前の高句麗に、似た楽器があったという説もある。文化は、移動(遷移)し適合するようだ。

また、正楽の六拍子で構成される「還入(ドドリ、도드리)」、それに関わる学者ソンビの生き方について次のように紹介された。
・「還入」とは、ひとつのリズムが六拍子で構成される曲。適当なスピードで、余計な伴奏はせず、一拍ずつ演奏する。速く華やかな現代のリズムと比して退屈かもしれないが、長く聞けばその真価が分かる。昔の学者ソンビは、何事も、有りのままの姿に従い、そこから心の平和を見出し、世の中と融合するのが、彼らが追及した暮らしだった。「還入」には、そんな精神が感じられる。

▼ 玄琴の独奏曲でリズム(長短)を意味する「還入」を聴く。3+3拍子のようにゆるりと、たおやかに流れる。

次に、「並唱(병창)」と、玄琴並唱の創作者の「申快童(신쾌동)」(1910年~1977年)について次のように紹介された。
・並唱は、楽器演奏と歌の両方ができねばならぬため容易でない。玄琴並唱の創作者が申快童だ。今でも、彼の弟子一人以外は、玄琴並唱をきちんとできる人がいないという。玄琴は長らく学者ソンビに親しまれたが、朝鮮時代末、喜怒哀楽の感情を玄琴で奏する刺激的な音楽が登場したため、ソンビは世が乱れたと嘆いた。

▼ 玄琴を演奏しながら歌う(並唱)で「玄琴並唱、名人の並唱」を聴く。詞を追うように玄琴が響く。

最後に、玄琴の現代化について次のように紹介された。
・最近、電子玄琴とか、変わった形の棒で奏する玄琴、弦数を変えた玄琴など登場したり、親しみやすい演奏も試みられる。伝統を守ろうとする人々の一方で、伝統の枠から抜け出て新しいものを作り上げようとする人々もいる。文化は、そうした変化と発展をするようだ。

▼ グループ「コムンゴファクトリー」演奏で、「コムンゴ・アンド・タンゴ」を聴く。コムンゴとタンゴ(洒落?)ばりに今様である。

2015年9月11日金曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 梅窓

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(9/2)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、妓生の梅窓(매창、1573年~1610年)にかかわる3曲を紹介した。
(本放送は先月末までアーカイブされたが、今月から聴けなくなった)

始めに、梅窓と詩人の劉希慶(유희경, 1545年~1636年)の関係を歌った詩について次のように紹介された。
・朝夕に涼しい風も感じられ、夏が過ぎて、秋が訪ねくるようだ。今年も終わりに近づく。なぜか、懐かしい人を思い出す季節でもある。全羅北道の扶安地域に、妓生の梅窓が住んでいた。昔の恋人を愛しく思い詩を書いた。梨の花が咲く春に涙で見送った彼は、秋になっても戻ってこないという内容だ。彼とは詩人の劉希慶で、梅窓が二十歳のとき、28歳年上の彼と恋に落ちた。低い身分出身の詩人であった。梨の花がまるで雨のように降る様を指して、「梨花雨(이화우)」と言う。

▼ 頭学時調(지름시조、定型詩)の歌「梨花雨」を放送と別に、”ustreamの댕기언니”で聴く。秋風に舞う花弁・葉の如く。

次に、梅窓は、黄真伊(황진이、1506年?~1567年?)と並ぶ妓生(詩妓)だったことを次のように紹介された。
・梅窓は、黄真伊と並ぶ朝鮮時代を代表する詩妓だ。梅窓が亡くなると、人々は彼女の詩を探し、地方で身分を誇示した村役人が金を集めて詩集を作った。男女や身分の関係が厳しい時代、、妓生の詩集を出したのは驚くべきことだ。
・梅窓は、「洪吉童(홍길동)」の著者、許筠(허균、1569年~1618年)とも親しかった。彼は、梅窓を妓生としてでなく、人生や芸術を語り合える友としたようだ。梅窓に送った面白い手紙がある。梅窓がコムンゴを奏でながら歌っている姿を、通りがかったソンビが詩に表し広く知られた。詩を聞いた許筠は、梅窓へ冷やかす手紙を送った。梅窓が歌ったのは許筠を恋しいからという噂が流れ、悔しいという内容だ。梅窓がそのとき歌ったのは、「山慈姑鳥(산자고새)」という鳥の名の曲・・・だ。

▼ 「山慈姑鳥」の演奏。

最後に、梅窓は様々な人に囲まれて人生を終えたと次のように語られた。
・梅窓はコムンゴが好きで、亡くなる時もコムンゴと一緒に埋葬して欲しいと遺言を残したという。38歳の若さで亡くなると、許筠は残念な気持ちを文に残した。梅窓は妓生だが、詩や歌、コムンゴにも優れ、人柄が良く、清い人で、自分はその才能が本当に好きだったと。妓生であったが、彼女は幸せな人だった。劉希慶のような恋人と許筠のような友がいたからだ。それに、自身の詩を詩集にしてくれる人々までいた。

▼ 愛しい気持ちを込めた詩を音楽にした「남하여 편지 伝치말고」(他の人に手紙を渡さず、あなたが運び人となって直接手紙を持ってきてください)を放送と別に、”Youtube”で聴く。聴く。歌い手の恋しい気持ちが伝わるという。今様である。

2014年11月12日水曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 改良楽器

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(11/5)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズの第79回として、改良された昔の楽器、「改良楽器(개량악기)」にまつわる話を紹介した。

始めに、伽耶琴(カヤグム、가야금)、玄琴(コムンゴ、거문고)、牙筝(アジェン、아쟁)などについて次のよう紹介された。
・時代変化と共に音楽や楽器は変わり、国楽も例外でない。昔の姿を保ちつつ改良が始まったのは、朝鮮後期からと記録される。数多くの楽器中、撥弦楽器の「伽耶琴」から改良が始まった。
・伽耶琴は十二弦、「玄琴」は六弦から成る。当たり前とされたが、最近は変わってきて、伽耶琴は十二弦よりも二十五弦が多く、玄琴も十弦まで増えた。「笛」も元々3種類だったが、今は数えきれないほど増えた。国楽を専攻者でも、その種類を把握しきれないほど改良楽器が多い。中でも、伽耶琴に似た擦弦楽器の「牙筝」は、弦の数、形も大きく変わっている。

▼ 淑明伽耶琴演奏団演奏「キサス・キサス・キサス」(1947年、キューバ)を聴く。懐かしい、蓄音機で聴くよう、今様である。

次に、伽耶琴の由来と曲調「伽椰琴散調(가야금산조)」と、楽器の改良の様々について次のように説明された。
・伽耶琴は、伽耶国の嘉実(가실)王と于勒(우륵)が作ったと記録されている。千年以上楽器の形状は変わらず継承されたが、朝鮮後期に改良され始めた。伽耶琴本体はコンパクトになり、弦の間隔も狭まった。音楽のテンポも速まり、それに合わせて改良されたのだろう。弦も細くなり、音色にも大きな変化が出た。この頃、登場した音楽の形式が「散調」だ。ゆっくり始まり次第に速くなるテンポ、リズムやメロディーの変化が激しいのが散調の特徴だ。
・さらに、金属弦から成る伽耶琴や、弦数を変えた多様な伽耶琴も登場した。最近は、二十五弦の伽耶琴が最も一般的だ。
・玄琴は大きく変わっていない。十本弦の玄琴もあるが、未だ広く演奏されていない。しかし、玄琴だけで演奏するグループ「コムンゴファクトリー」が活動を始め、玄琴の音色を色々な形で演奏を試みている。

▼ コムンゴファクトリー演奏「自由な鳥に(자유로운 새에게)」を聴く。青空に浮かぶか夕陽に漂うか羽音するよう、今様である。

・コムンゴファクトリーは、玄琴の大きさを普通の半分にしたり、チェロのように弓で演奏したりする。さらには、電子玄琴で違う音色を作ったりする。そのほか、「琵琶」やハープに似た「箜篌(くご)」などで演奏する方法も開発している。日本の笙とよく似た楽器「笙簧(センファン、생황)」のも、他の改良楽器と演奏をすることもある。

最後に、主に個人が楽器改良に対して、北朝鮮の改良楽器について次のように解説された。
・1960年代から国策で改良されたようだ。例えば、西洋にバイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバスのように、二弦の擦弦楽器の奚琴(ヘグム、해금)を4種類の楽器に改良して演奏を試みている。また、笛には、フルートやオーボエのようにキーを付けて、オクターブの切り替えなどしたようだ。

▼ 金剛山歌劇団演奏「フェヤンニルリリ(회양닐리리)」を聴く。なるほど異国西域の乾いた雰囲気のよう。今様である。

・日本で活動する歌劇団の演奏。聞き慣れた音色のようで、どこか異国的な雰囲気もする(とのこと)。

2011年9月26日月曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 風流音楽

KBS WORLD放送の「国楽の世界へ」は、先週水曜日(9/21)に、民謡から一転して、「悠々自適な生活を送っていた、風流を楽しむ学者、ソンビ(선비)たちの音楽、“風流音楽”」を紹介した。
案内役の岸さんは、日本向けに理解しやすく解説されている。感謝。

「ソンビたちは学問の合間合間に、コムンゴ(玄琴)の演奏を楽しんでいた」そうで、今の若者がギターを片手に爪弾く感じだろうか。ただし、「スーパースターK2」のチャン・ジェインのように自由なスタイルで楽しむというわけにはいかなかったようで、「(コムンゴを演奏する際に)守るべき規則、つまり心得のようなものがあった」という。つぎの通り紹介された。
その一、テンポが速く、騒がしい音楽はコムンゴでは弾かない。
その二、教養のない人や、卑しい身分の人の前では弾かない。
その三、市場などの道端では弾かない。
その四、正しい姿勢で座り、弾かなくてはならない。
その五、整った身なりでなければ弾いてはならない。

▼チョン・テソク(コムンゴ)、ファン・ギュイル(テグム)による「トドゥリ (還入:도드리)」を聴く。以前(7/10)に聴いた煌(きら)びやかな演奏と比べると、ずっと地味というか端正である。

ソンビの生活スタイルというか行動律について紹介があった。まさに士大夫といったところか。

▼イ・ドンギュによるナムチャン歌曲「羽調言楽"ピョクサチャンイ(벽사창이)"」(歌詞)を聴く。自分の狼狽振りを(他者に)歌って聞かせるわけだから、その落差にユーモアが漂う気がして・・・。

最後に、「風流」の語釈から、風流音楽の起源が語られた。

▼ホン・ジョンジン(テグム)、ムン・ジェスク(カヤグム)、キム・ジョンス(チャング)によるキム・ジュクパ伝承、民間風流の中から「ケミョン、クルゲヤンチョン」を聴く。なんだか浮き浮きしてくる・・・垣根がとれると何事も楽しくなるものですね。

ところで、ソンビが登場(誕生)した時代、その概念が体系化(成立)した時代、あるいは彼らの日々生活の実態はどんなものだったのだろう。

2017年11月1日水曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 上院寺の朝

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(10/25)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、弦楽器の系譜を通して、「上院寺の朝」ほか関連する曲を紹介した。

始めに、伝古朝鮮の代、船頭の「霍里子高(곽리자고)」が語ったことを妻の「麗玉(여옥)」が、(アッシリア起源とされる)楽器「箜篌(くご、공후)」で歌った「公無渡河歌(공무도하가)」について次のように紹介された。
・昔、「霍里子高」が川辺で舟を手入れしたとき、白髪の男が入水するのを止めようと、その妻が追ったが、結局男は水に陥る。男の妻は、楽器「箜篌」で悲しみを表し、<川を渡らないで> との内容を歌い終わると、同じ川に身を投じた。霍里子高は家に戻って妻「麗玉」にそれを語った。麗玉は家の箜篌で、その歌を奏して歌い、人々は悲しみ涙して聴いた。古朝鮮の歌「公無渡河歌」にまつわる話だ。箜篌は、古代東アジアで使われ、ハープに似て指で弦を奏でた。
(今年の第69回「正倉院展」にて、現有唯一の「箜篌」が展示される:NHK「日曜美術館」)

▼ 箜篌とセンファンの演奏で「上院寺の朝(상원사의 아침)」を聴く。以前聴く、朝明けの光景を、今様に。

次に、箜篌と楽器「琵琶」の構造や歴史的関係について次のように紹介された。
・箜篌に幾つか種類があり、昔の絵によく登場して親しまれた。今は演奏者があまりなく、楽器だけ伝わる。その範疇に、西洋ギターに似た「琵琶」がある。琵琶の名は奏法に由来し、「琵」は外側に、「琶」は内側に奏でる意を持つ。琵琶に似た韓国琵琶は、しゃもじ様のものと指ぬきをはめて弦を奏でる。竹製撥で音を出すこともあった。1930年代まで、コムンゴ奏者が琵琶を奏でたりしたが、今はあまりいない。他国の琵琶奏法を参考に、独自の奏法を作り出す動きもある。

▼ カヤグム演奏曲である「沈香舞(침향무)」を琵琶の演奏で聴く。以前聴く、緩やかなときの流れを感じる。

最後に、1940年代の新しい楽器「鉄弦琴(철현금)」について次のように紹介された。
・楽器「鉄弦琴」は、1940年代に(ナムサダンペ綱渡り名人の)金永哲(김영철)が、西洋ギターを真似て作った。四角いギターの形状をして、床の上で演奏する。コムンゴのように撥で弦を奏でる。コムンゴやカヤグムが弦を奏でて音を出した後に弦を揺らして音程に変化を与えるのに対し、鉄弦琴は弦をこすりつけるのが特徴。鉄弦琴の歴史は短いが、伝統音楽の特徴を生かし、不思議な音色で親しまれている。

▼ 鉄弦琴演奏による「夕焼け(노을)」を聴く。夕暮の霞たなびく静けさを詩情豊に、今様に。チターを思い起こす。

2017年11月8日水曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 愛の舞踊

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(11/1)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、「愛の舞踊」ほか関連する曲を紹介した。

始めに、「都彌夫婦説話(도미부부설화)」に登場する「都彌(도미)」と婦人(아랑)について次のように紹介された。
・百済時代に、仲睦まじい都彌と美しい婦人がいた。王は、二人を試し、都彌を宮廷に閉じ込め、婦人を奪おうとしたが、婦人は王の言いなりにならなかった。怒った王は、都彌の目を抜く刑を下し、遠く船に乗せて流した。再び我が物にしようとしたが、婦人は、猶予を求めてひそかに逃れた。川辺にたどり着くも渡る船がなく、泣き崩れる婦人の所へ、どこからか現れた船に乗り逃げ延びた先に、離れていた夫の都彌がいた。二人は高句麗へ逃れ、最後まで伴に暮らした。

▼ カヤグムとフルート演奏で <悲しいが美しい愛の物語>「愛の舞踊(사랑의 춤)」を聴く。動と色彩、今様に。

次に、妓生の「黄真伊(ファンジニ、황진이)」と学者ソンビの「蘇世讓(소세양)」について次のように紹介された
・朝鮮時代、妓生の「黄真伊」は、美貌だけでなく漢詩や音楽の才があり、妓生ながら男たちに振り回されない強い意志の女性で知られる。学者ソンビの「蘇世讓」は、黄真伊に心を奪われぬ自信がある、彼女とひと月過ごして戻らねば自分は人でないと言った。黄真伊と出会い、夢のような時を過ごした後、約束通り黄真伊に別れを告げた。黄真伊は普通の女性でなく、楼閣上で酒を交わして別れの詩を歌った。それを聴いた蘇世讓は、自分は人でない、黄真伊の処に留まると言った。二人の別れを歌った詩を歌にしたものがある。

▼ 詩を元にした「送別蘇陽谷(송별 소 양곡)」の歌を聴く。月明かりの下、霜降る楼閣での別れを叙情的に、今様に。

最後に、妓生の「梅窓(매창)」と「洪吉童(홍길동)」の著者「許筠(허균)」について次のように紹介された。
・朝鮮時代、妓生の「梅窓」は、最下層出身ながら、両斑で「洪吉童」の著者「許筠」と親しくしたが、身分を越えた男女の友情は受け入れがたく誤解される。ある日、梅窓は、自分を去った地方官の石碑の前で、コムンゴを奏でた。人びとの、彼女が許筠を想っているとの噂が、彼のいる首都漢陽まで伝わった。彼は梅窓に手紙を送り、<月明かりの下でコムンゴを奏でたと聞いたが、人気のないところであれば良かったのに、自分が笑いものになってしまった> と、責めた訳でもない。噂のせいで悔しいと言い、<最近も参禅をしているのか> と尋ね、<梅窓がとても懐かしい> と言っている。

▼ 話を元にした「山うずら(산자고새)」をコムンゴ演奏で聴く。山霞するような叙情的に、今様に。

2014年4月2日水曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 金弘道

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(3/26)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズの第49回として、風俗画家の「金弘道」(キム・ホンド、김홍도、1745年~没年不詳)にまつわる話を紹介した。

    (本ブログ関連:”金弘道”)

まず、朝鮮王朝後期の風俗画家として有名な金弘道の紹介から、次のように始まった。
・金弘道の代表作「書堂(서당)」は、登場の人物をそれぞれ生き生きと描いている。書堂は塾のような所で、先生に叱られて泣く子、それを興味津々と眺める子、どこか申し訳なさそうな先生、こうした瞬間を捉えた「書堂」は、彼の作品中、最も知られている一枚だ。
・その他の作品の、「相撲(씨름)」は、組み合う二人を息を呑んで見つめる観衆、ひとり飴売りする少年などの姿を描いている。また、「舞童(무동)」は、楽器ピリ、テグム、ヘグム、プク、チャングなど奏する丸座の傍らで、長い袖をひらめかして踊る子供の姿を描いている。金弘道は、風俗画だけでなく、宮中画、仙人図、仏教画、ソンビ画、細密画など様々な作品を残した。

▼ 竹風流(대풍류)の中の「念仏打令(염불타령)」を聴く。随分とソフィスティケートされた演奏。

次に、金弘道の人物と音楽に対する造詣について、次のように説明している。
・金弘道は、1745年(朝鮮王朝の英祖(영조)の代)、ヤンバンと庶民の中間の中人身分に生まれた。7歳頃から、文人であり画家、評論家として知られた姜世晃(강세황)の元で絵を学ぶ。その後、師の推薦を受け、絵画担当の官庁、図画署(도화서)で画家として働く。実力を伸ばし、才を認められ、王の公式肖像画「御真(어진)」を任せられ、20代の若さで、当時の王「英祖(영조)」と、後年「正祖(정조)」となる王子(世子)の御真を描いた。
・金弘道は、絵だけでなく人格も高く評価された。当時の記録に、「彼は風采が美しく、心が広く、些細なことは気にもとめなかったので、人々は彼を仙人のような人だと言った」、さらに「彼を見た人たちはみな、高尚で世俗離れしていて、平凡な人とは何か違うということを、一目で見極めることができた」と記されている。
・また、1784年の作品「檀園図(단원도)」には、旅行家の鄭瀾(정란)先生、同僚画家の姜熙彦(강희언)を交えて、コムンゴで風流音楽を奏する自身を描いている。

▼ 霊山会相の中の「中霊山(중령산)」を聴く。ゆたりとして、霞湧く山中奥深く、コムンゴ、テグムの調べを楽しむよう。

・また、自画像とされる作品「布衣風流図(포의풍류도)」は、中央に琵琶を演奏しながら座る人物の着衣が、華やかな色彩の絹でなく、素朴な麻のところから、官職につかぬソンビを連想させる。周りに、刀、巻物、ひょうたん、そして楽器のセンファンが置かれている。絵の人物が奏している琵琶は、コムンゴ同様、ソンビの楽器とされた。また、センファンは、仙人が演奏する楽器として頻繁に登場する。素朴ながら知性溢れる姿は、金弘道を連想させる。

▼ 霊山会相の中の「打令(타령)」を聴く。素朴な楽器が、奏者の手にかかると味わいのある響きする。

2014年10月15日水曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 尹善道

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(10/8)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズの第75回として、朝鮮中期の文臣兼詩人の「尹善道(윤선도)」(1587年6月22日~1671年6月11日)」にまつわる話を紹介した。

始めに、尹善道が島流しの中にあって残した「漁夫四時詞(어부사시사)」について、次のように紹介された。
・尹善道は65歳で官職を退き、済州島へ向かう途中、全羅南道にある美しい風景の甫吉島(보길도)に出会い定住した。そこで風流を楽しみながら数々の傑作を残した。
・尹善道の傑作の一つに、「漁夫四時詞」がある。世俗を離れて、釣りを楽しむソンビの春、夏、秋、冬を表したものだ。

▼ 「漁夫四時詞」から歌「水国に秋が(수국에 가을이)」を聴く。秋に澄んだ海を、漁師船が軽やかに進むを眺めるよう。

次に、「漁夫四時詞」がどのように作られたのかについて、次のように解説された。
・漁夫には、魚労で生計の道をはかる漁師と、自然を楽しんで歳月を釣りする人もいて「漁夫四時詞」の中の漁夫はソンビを指す。
・漁夫を賛美する文学に、戦国時代の屈原の「漁夫辞」に遡る。高麗時代に「漁夫詞」の短歌があった。朝鮮初期、聾巖 李賢輔(농암 이현보)が高麗時代の「漁夫詞」を詩歌「漁夫詞」に改作し、後に尹善道が漢詩から韓国語で楽しめるよう「漁夫四時詞」とした。尹善道の「五友歌(오우가)」は、我が友と聞かれれば、水と石、松と竹、そして昇る月、それ以外に何があるのかと・・・。

▼ 尹善道の歌「五友歌」から「我が友は何人だろう(내 벗이 몇이냐)」を聴く。・・・う~ん、静かにソンビの諦観なのか。

最後に、尹善道とコムンゴ(거문고、「玄琴」)の関わりについて、次のような説明された。
・尹善道は70歳を過ぎて、北方の地、咸鏡道北青(북청)の辺鄙な場所に流される。そこで持ち主のない1つのコムンゴを知った彼が探し見つけた
ところ、意外にも郷里全羅南道海南の時代、同僚に貸したものだった。その音は慰めになったことだろう。
・尹善道が実際に演奏したという孤山遺琴(고산유금)は、住んでいた家に保存されているという。

▼ 演奏「コムンゴを弾きながら(거문고를 타면서)」を聴く。新酒の香りがする軽快な曲。

(付記)
流れに掉さして無理するよりも、時に滄浪之水にまま漬かってみるのも必要ではと感じる次第。

2012年10月9日火曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 ユ・ギョンファ

 KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(10/3)に、人物シリーズ48回目として鉄弦琴(チョルヒョングム、철현금)の演奏者ユ・ギョンファ(劉京和?、유경화)を紹介した。 

まずチョルヒョングムの紹介から始まった。
・韓国伝統の弦楽器は、ほとんど絹糸弦を使用するが、鉄線(ワイヤー)弦使用の打絃楽器が二つある。
 ① 西洋から入った「洋琴/楊琴(ヤングム:양금)」で、朝鮮時代後期に中国を経て伝えられたという。ヤングムは、漢字で西洋の「洋」に「琴」と書く。本体に引かれた細い鉄線弦を、竹を薄く削って作ったチェ(채)という細い撥で弦を叩いて演奏する。
 ② 1940年代、ハワイアンギターを改造して作ったといわれる、新しい楽器「チョルヒョングム」(鉄弦を張ったコムンゴ(거문고)の意)が登場する。当初、唱劇の伴奏によく使われたが、テレビ普及により唱劇は姿を消し、チョルヒョングムも自然と忘れられた。1990年代、「晚霞(ノウル、노을:Sky At Sunset)」(作曲キム・ヨンドン、チョルヒョングム演奏ユ・ギョンファ)がきっかけで話題となった。

▼ユ・ギョンファ他による「晚霞」を聴く。ビブラートの効いた、どこか古都を想わせる感傷的な音色・・・鉄弦の響きを知る。

(チョルヒョングムの紹介の続き)
・チョルヒョングムは、竿の短いギターを横に寝かせたような形をしていて、右手に持つ短く細い撥のスルテ(술대)で打弦し、左手に持つ丸い形の石のようなノンオク(농옥)で擦弦して音に変化を与える。演奏道具は少し違うが、奏法はほぼコムンゴに同じ。

次のようにユ・ギョンファのプロフィールが紹介された。
・4歳から舞踊を習い国楽にも親しむ。
・国立国楽高等学校でコムンゴを専攻。
・ソウル大学を卒業し、打楽器の演奏家として主に活動。
・1996年 チョルヒョングムに初めて出会う。現在、主にチョルヒョングムの演奏家として活躍。

▼ユ・ギョンファによる「金永哲(キム・ヨンチョル、강영철)流チョルヒョングム・サンジョ(散調)」中の「チュンジュンモリ(중중모리)」を聴く。軽快ながら、どこかアジア的なにおいがしてくる。

(プロフィール紹介の続き)
・国立国楽高等学校時代の同級生と共に、国楽と現代音楽の融和を図るアンサンブル「サンサン(상상)」を結成する。さらに、民俗信仰のクッ(굿)に興味を持ち、これらの音楽のアレンジにも積極的にチャレンジしている。またインド音楽との関係も深めている。

▼ユ・ギョンファ他による「東海岸舞楽-話題(トンヘアンムアク-ファドゥ、동해안 무악-화두)」を聴く。即興だそうだが・・・落ち着いた感じがする。

2018年1月24日水曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」玄琴(コムンゴ)、奚琴(ヘグム)

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(1/17)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、撥弦楽器「玄琴(コムンゴ、거문고)」、擦弦楽器「奚琴(ヘグム:해금)」にまつわる話を紹介した。

始めに、高句麗の官吏「王山岳(왕산악)」と「黒鶴(검은학)」による「玄琴」の起源について次のように紹介された。
・高句麗の官吏「王山岳」が「玄琴」を初めて作ったといわれる。当時、中国から来た七弦琴を、楽器だが演奏法を知らなかった。王山岳がそれを改造して玄琴を作ったという。彼が作った曲を演奏すると、黒い鶴が飛来して踊った。黒い鶴を「黒鶴(검은학)」ということから、玄琴(거문고)が名付けられた。黒は、死や悪を象徴する否定的イメージがある反面、権力を意味し、また、鶴は縁起良い鳥と言われたことから、玄琴に音楽を楽しむだけでなく、神秘的力を持つ意があった。

▼ 玄琴演奏で、<王の長寿を祝う曲>「寿延長之曲(수연장지곡)」を聴く。鶴が自然なまま舞い続けるよう。

次に、朝鮮時代後期のソンビ「吳熙常(오희상)」(1763~1833)の、玄琴演奏の原則について次のように紹介された。
・王山岳が玄琴を作って以来、学者ソンビのものとして、読書に飽きたとき、来訪の友と風流を楽しむとき演奏した。朝鮮時代後期のソンビ「吳熙常」は、次の五つの状況では玄琴を演奏しないと記した(五不彈)。第一、風が強く雨多く降るとき。第二、野卑な人前。第三、市場の道端。第四、座姿が適切でないとき。第五、服をきちんと整わぬとき。大げさかも知れぬが、ソンビの姿勢といえる。中国古楽器に「古琴」がある。形や奏法は玄琴と全く違うが、修養のため演奏したという点で似ている。

▼ 「古琴」演奏と歌で <恋人との別離の悲しみを、木も岩もない山中で、鷹に追われる雉(きじ)に例えた> 韓国曲「男唱歌曲、編楽(남창가곡 편락)」を聴く。風雅な響きして・・・。

最後に、中国の擦弦楽器「胡弓」に似た「奚琴」について次のように紹介された。
・玄琴は、楽器本体にくっつけた木の上に六弦を乗せ、指で押さえながら音を出す。古琴は七弦で、本体に印をつけて弦を抑える場所を分かるようにしている。昔のソンビの記録に、琴がよく登場するが、玄琴でなく中国の古琴を指すことが多い。他に、韓国でよく演奏する中国楽器に、擦弦楽器「胡弓」があり、韓国の「奚琴」に似て親しまれている。

▼ 奚琴の演奏で、「密陽アリラン(밀양아리랑)」を聴く。こちらは、思いっきり今様で・・・。

2018年8月1日水曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」暑い夏を乗りきる

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(7/25)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、「上霊山」ほかまつわる話を紹介した。

始めに、「洪大容(홍대용)」(1731年~1783年)の小音楽会を記録した「朴趾源(박지원)」(1737年~1805年)の描写について次のように紹介された。
・朝鮮後期の哲学者で実学者の「洪大容」は、音楽を好み、コムンゴをよく奏し、中国伝来の楽器「揚琴」の奏法を開発した。小説「許生伝(허생전)」で知られる「朴趾源」は、ある夏の夜、親しくした洪大容の家の小音楽会を記録した。< 洪大容が楽器「瑟(슬)」を奏すると、金檍(김억)は琴を奏し、麯翁(국옹)が歌った。深夜、暑さが和らぐと、楽の音色はさらに清まる。左右の人々はみな静かに黙々と、まるで修練をする人が神を見たかのような姿だ > と、風流を楽しんだソンビがうかがえる。

▼ 風流音楽の代表「霊山会相(영산회상)」の「上霊山(상령산)」をコムンゴとセンファンの演奏で聴く。ゆるりと始まる。

次に、南道地域の女性たちが歌った「ドゥンドンギ打令(둥덩(당?)기타령)」について次のように紹介された。
・学者ソンビは、部屋で読書し友と政治や学問を語るのが常だったが、暑い日には板の間に座って小音楽会を開いた。彼らが風流を楽しむ間、庶民は暑さを乗り越えるにも、一日中仕事をして余裕はなかった。とはいえ、真夏にしばし仕事を忘れ、一息つく生活の知恵があった。南道地域の女性は、水入れの甕(カメ)に瓢箪(ヒサゴ)を置き、太鼓を叩くように奏して歌を楽しんだ。一人ずつ歌を歌い、心一新して労働の意欲を再び湧かせた。

▼ 「ドゥンドンギ打令」の歌を聴く。ずいぶんとソフィスティケートされて、舞台演奏だろうか。

最後に、「フィモリ雑歌(휘모리잡가)」にある、男と作男とのやりとりを歌うについて次のように紹介された。
・雨が降りそうなとき、魚の汁物や粥を食べるのも夏の楽しみのひとつ。ソウルと京畿道地方に伝わるテンポの速いフィモリ雑歌に、魚釣りに行った男の話が登場する。釣った魚を早く家に届けたいが他に誰もいない。そんなとき、近所の家の作男が通りかかる。この魚をわが家に届けて料理しておくよう頼んだが・・・。作男は色々と理屈を並べ、獲った魚を分けてくれるなら考ると、そんな使いまではやりきれないと答える、面白い内容の歌だ。

▼ フィモリ雑歌の「六・七月の曇りの日(육칠월 흐린 날)」の歌を聴く。今様ににぎやかに楽しく・・・。

2016年11月9日水曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 菊

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(11/2)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、<菊>に関連した3曲を紹介した。

始めに、「四君子(사군자)」のひとつの「菊」について朝鮮後期の文人李鼎輔(이정보、1693年~1766年)が作った「菊[花]よ(국화야)」の曲について次のように紹介された。
・学識と徳を備えた人を「君子」と言う。君子は、学者(ソンビ)にとって理想の姿だが、世に君子と呼ばれる人はいても、清い香りする人は多くない。そのため、梅、蘭、菊、竹を指して、「四君子」と言う。四君子の、①梅は、雪が溶ける前の春、最も先に花を咲かせる。②蘭は、深い山の中でほのかな香りを漂わせる。③竹は、四季を通して青く、まっすぐ伸びる。最後の、④菊は、霜が降りるまで咲くため、見習うべき対象とされる。
・昔の詩歌に、四君子をテーマにしたものが多い。「平時調(평시조)」という定型詩で、霜にもめげずに耐える菊の様子を歌った「菊よ」という曲がある。朝鮮後期の文人李鼎輔が作ったといわれる。彼は、普段は厳しく強直で、言うべきことは言う性格のため、何度も官職から罷免された。正しいことには、自分の意志を曲げなかった。混乱した世に染まらず、自分の意志を貫く、菊のようなソンビだった。

▼ 平時調で「菊よ」の曲を聴く。孤高に晩秋に咲く菊の花を、穏やかに歌いあげる。

次に、現代の作曲家黄秉冀(황병기、1936年5月31日~)が、徐廷柱(서정주、雅号「未堂」、1915年~2000年)の詩を基に作曲した「菊の傍らで(국화 옆에서)」について次のように紹介された。
・黄秉冀の曲「菊の傍らで」は、詩人徐廷柱が1947年に発表した詩「菊の傍らで」を基にした曲だ。<一輪の菊を咲かせるため、ホトトギスは春から鳴いていた/雷が黒雲の中で泣いていたのも、菊を咲かせるためだった/・・・>といい、菊を<姉のような花>と表現している。

▼ 徐廷柱詩、黄秉冀作曲、「菊の傍で」を歌と弦楽器のコムンゴとカヤグム演奏で聴く。現代感覚する、独白のよう歌う。

最後に、南部地域の南道の(長い民謡調の唱)雑歌「興打令(흥타령)」について次のように紹介された。
・昔のソンビは、秋に菊が咲くと、親しい人々を招いて夜に風流を楽しんだ。四方を塞いだ部屋に明かりを灯し、その前に菊鉢を置いた。すると、壁に花模様の影ができ、水墨画のように影が映ったはず。明かりの位置により影も動いた。南部地域の道雑歌「興打令」は<窓の外に菊を植えて、菊の下に酒を醸しておく>という歌で、<酒が発酵し、菊が咲くと、友が来て、月も明るい。コムンゴなど、夜通しで楽しもう>という内容で、恋しい気持を主題にしている。美しい季節の秋、一輪の菊など見つめながら友が恋しくなる頃でもある。

▼ 南道雑歌「興打令」を聴く。大衆歌謡を思い出させる、情感たっぷりに聞かせてくれる。

2016年10月5日水曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 神仙、仙女

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(9/28)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、<神仙(신선)>、<仙女(선녀)>に関連する3曲を紹介した。

(本ブログ関連:”神仙”)

始めに、「神仙」の「神人」と「真人」、その体現者「崔致遠(최치원)」と「玉寶高(옥보고)」について次のように紹介された。
・東洋では、人に生まれながら不老不死の神通力がある「神仙」の存在を信じた。荘子は、神仙を、神と人の「神人」と、真(まこと)と人の「真人」に区分した。神人は、初めから神仙となる素質を持って生まれた人であり、真人は、修行を通じて神仙となった人だ。神仙は、水中にいても死ぬことなく、燃える火中でも熱さを感じない。統一新羅時代の学者「崔致遠」や、弦楽器コムンゴの名人「玉寶高」などが神仙になったと伝わる。神仙は、細かなことに干渉せず、自然の中で囲碁や楽器演奏など風流を楽しんだ。

▼ 朝鮮時代のソンビが楽しんだ伴奏曲を管楽器(タンソとセンファン)用にした「水龍吟(수룡음)」を聴く。青秋に相応しく響く。

次に、神仙の絵に登場する「仙童(선동)」、定型詩「時調(시조)」の「辞説頭学(사설지름)時調」にある「鶴に乗って、笛を吹いて(학타고 저불고)」について次のように紹介された。
・ソンビの作品に、神仙を描いた絵があり、楽器を演奏する姿も少なくない。ソンビの楽器といわれるコムンゴもあり、(横笛)ゾッテやセンファンを奏する神仙が多く見られる。また、神仙を世話する子どもの「仙童」がよく登場する。子供らしい顔に髪を両側に結び、桃を持つことが多い。定型詩「時調」に、「辞説頭学時調」があり、「鶴に乗って、笛を吹いて」は、そんな神仙の生活を表現した曲だ。神仙中、最高の女神「西王母」が開く宴に、誰が参加するか尋ねる歌詞に、神仙を世話する仙童が仙女の名を挙げる。そんな宴に行ってみたい、ソンビの思いがこもった歌のようだ。

▼ 辞説頭学時調の「鶴に乗って、笛を吹いて」を聴く。悠悠と空を浮かぶよう、何だか楽しいタイトルだ。

最後に、時調に登場する「仙女」、ソンビ「仙君(선군)」と仙女「淑英(숙영)」の愛を描いたパンソリ「淑英娘子伝(숙영낭자전)」について次のように紹介された。
・時調は、一定の文字数と並べ方をする定型詩だ。変形した形ができると、元の形式を「平時調(평시조)」と呼ぶ。先の辞説頭学時調から、辞説時調は、平時調より文字数が多いものを指し、頭学時調は、歌の前半を高く歌うという意だ。仙女は、昔話に神仙より頻繁に登場する。神仙は年寄りが多いが、仙女は若くて美しい女性として登場する。また、朝鮮時代、ソンビの「仙君」と、仙女「淑英」の愛を描いたパンソリ「淑英娘子伝」があった。この作品は、長い間歌われなかったが、朴松熙(박송희、1927年~)が復元(再創作)したという。「淑英娘子伝」は、男女の愛を描いた説話を基盤にしたもの。

▼ 「仙君と仙女が出会う場面(선군과 선녀 만나는 대목)」の歌を聴く。

2013年8月27日火曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 桐の木

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(8/21)に、文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズの第20回として、「桐(오동)の木」について紹介された。

まず桐の木にまつわる、鳳凰の伝承について次のような紹介から始まった。
・韓国の花の王は牡丹、百獣の王は虎であり、鳥の王は鳳凰と言われる。鳳凰は、一度姿を現すと天下が平安、泰平の象徴となる想像上の動物だ。松の実のみ口にし、桐の木だけに止まる。そこで、身分の高いソンビは居間(사랑방)の周辺に、桐や青桐を植え、鳳凰が来るのを待った。
ところで、桐の木のせいで意外なことも起こった。桐の木にまつわる時調(시조)を紹介する。

「窓に影が見え隠れするので、恋しいあの方がいらしたのだと急いで外に出てみると、あの方はおらず、月が明るく光っている。桐の木の濡れた葉に鳳凰が来て、長い首を曲げて、羽をつくろっている影だった。夜だったからよかったものを、昼であったら誰かが見かけて恥をかくところだった」

(参考)「コ・ヒョサン ブログ(Blog)」に上記曲の紹介がある。感謝。

▼男唱歌曲、言楽(언락)時調 「碧紗窓が(벽사창이)」を聴く。ゆったりとして、(上記歌詞から)恋よりも鳳凰の幻想が主ではと思うのだが・・・女性の心情と違って、男の論理かな。

▼楽器コムンゴによる(歌曲)「掃葉山房(소엽산방)」の演奏を聴く。雨音が人の心を乱すというには、こちらも、ゆたりとして・・・どこか新しさを感じて気になれば、作曲者は黄秉冀(ファン・ビョンギ、황병기)(1936年5月31日~)で・・・現代の作曲である。

高級部材として楽器や家具に使われる桐の木の素晴らしさを次のように解説された。
・高級材として、軽くゆがみが少ないという特性が重宝される桐は、楽器や家具に広く使われた。昔、娘が生まれると、庭に桐の木を植え、その成長が早いため、娘が嫁ぐときに桐で箪笥を作って持たせたという。
桐は、楽器コムンゴやカヤグム製作の重要な部材のひとつだ。桐は寿命が長く千年を経ても、常にメロディーを奏でるという。楽器であれ、家具であれ、丁寧に加工し、丹精をこめて作り上げれば、使い手も、こうした一生物の家具や楽器に愛着を持って接することができる。そのとき、桐の木のすばらしさを実感できるのではないだろうか。

▼楽器カヤグムによる「知恵の香り(슬향)」の演奏を聴く。・・・若手演奏家による、旋律、リズムともに今様である。