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2025年3月4日火曜日

(資料)Gemini:「端唄」の旋律について

Googleの生成AI Gemini に、端唄の旋律について、西洋音楽との違いを問うてみた。
結論として、端唄では、「言葉が持つニュアンスや感情」を重視して伴奏する。ただし、旋律が「唄の節とは異なっているのも大きな特徴」とのこと。

(本ブログ関連:”端唄”)

Gemini とのQ&A
Q.「端唄」は、西洋音楽のような旋律を繰り返すというより、歌詞の言葉に沿って旋律をつけるように聞こえますが、どうでしょうか?
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A.おっしゃる通り、端唄は西洋音楽とは異なる旋律の付け方をしています。その特徴は、以下の点が挙げられます。

1. 歌詞に寄り添う旋律
端唄は、歌詞の言葉の意味や情景を大切にし、それに合わせて旋律が作られています。
● そのため、歌詞の一つ一つの言葉が持つニュアンスや感情が、旋律を通して表現されます。
西洋音楽のように、旋律の繰り返し形式美を追求するよりも、歌詞の内容を重視する傾向があります。

2. 短い曲の中に込められた情景
端唄は、短い曲の中に季節の風物や男女の恋模様などを表現します。
● 限られた時間の中で、情景や感情を豊かに表現するために、歌詞と旋律が密接に結びついています。

3. 三味線との調和
端唄は、三味線の伴奏に合わせて歌われます。
三味線の音色やリズムも、歌詞や旋律と調和し、曲全体の雰囲気を盛り上げます。
三味線の旋律が、唄の節とは異なっているのも大きな特徴です。

4. 庶民的な音楽
端唄は、江戸時代の庶民の間で流行した音楽です。
● そのため、歌詞も旋律も、庶民の生活や感情に寄り添ったものが多くなっています。

これらの特徴から、端唄は歌詞の内容を重視し言葉の意味や情景に合わせて旋律が作られていると言えます。
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2025年2月5日水曜日

端唄「玉川」のように「またくる春を 待ぞへ」

昨日(2/4)のブログに、童謡「春よ来い」を取り上げた。そういえば、似た曲名の「春よ、来い」(作詞作曲 松任谷由実)がある。歌詞に、前者は幼児語を採用しているのに対して、後者は文語・口語が混合している。ともに、おもしろい試みだ。

松任谷由実の「春よ、来い」は、男性との再会、待ち続ける歌だ。文語・口語混合の使い分けとして、文語は座りのよい遠く経過した事々を表現し、口語は自分の心情を示しているように見える。
「君に預けし 我が心は / 今でも返事を待っています」

わたしたちは、四季のサイクルの中にいて、時間が繰り返される幸運に生きている。春が再び来ることを知っている。

同じく春に、再会を期待して待つ、江戸の「端唄」がある(「江戸端唄集」(倉田喜弘編、岩波文庫)より)。

端唄「玉川」
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玉川の                                           玉川=玉川上水
水にさらせし  雪の肌                     さらせし = 晒せし
積る口説の  その内に                        口説 = くぜつ、男女のつまらぬ諍(いさか)いか?
とけし島だの  もつれがみ(髪)         とけし島だ = 島田髷(しまだまげ)の髪形がほつれ
おもひださずに  わすれずに               おもひださずに= 忘れぬから⇒思い出すことはない
またくる春を  待(まつ)ぞへ            また来る春を = また春が来るように出会う
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■ Youtube(登録:朝川玲伎)
「端唄 『玉川』 朝川玲伎」
https://www.youtube.com/watch?v=S6Qw1unbJgY


端唄「玉川」の解釈をGoogleの生成AI「Gemini」にたずねた結果を次に記す。(実はChatGPTにも問うてみたが、少々俯瞰的だった)

■ Googleの生成AIGemini」
Q.端唄「玉川」の歌詞について、解釈内容を教えてください。「玉川の水に晒せし 雪の肌 積もる口説のその内に とけし島田のもつれ髪 思い出さずに忘れずに また来る春を 待つぞえ」
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A.端唄「玉川」の歌詞の解釈内容ですね、承知いたしました。
この歌詞は、女性の切ない恋心を、玉川という川の流れになぞらえて表現しています。

歌詞の解釈
・「玉川の水に晒せし 雪の肌」: 玉川の清らかな水に晒した白い肌、つまり、恋する女性の美しい姿を表現しています。
・「積もる口説のその内に とけし島田のもつれ髪」: 積もるほどの恋の言葉を交わすうちに、島田髷(女性の髪型)が乱れるほど、二人の関係が深まったことを示しています。
・「思い出さずに忘れずに また来る春を 待つぞえ」: 恋しい人を忘れずに、思い出を胸に抱きながら、また会える春を待ちたいという、切ない心情を表しています。

ポイント
・「玉川」: 美しい川の代名詞として、清らかで美しい女性の姿を象徴しています。
・「雪の肌」: 女性の白い肌を、雪にたとえて美しく表現しています。
・「島田髷」: 女性の髪型の一つで、恋の乱れを表すシンボル*として使われています。
・「また来る春」: 恋しい人とまた会える時を待ち望む気持ちを表しています。
(*)シンボル: なぜか「символом」(ウクライナ語)と表記していた・・・不思議?

全体的な解釈
この歌詞は、美しい女性が、恋しい人との思い出を胸に、再会を待ち望む切ない心情を歌っています。玉川という清らかな川の流れに、女性の美しさや恋心を重ね合わせ、繊細な表現で恋の情景を描いています。

端唄「玉川」は、日本舞踊でもよく踊られる曲で、歌詞に込められた感情が、踊り手の表現を通してより深く伝わります。ぜひ、日本舞踊の видео もご覧になってみてください。
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2025年8月25日月曜日

端唄「縁かいな」

夏の花火大会のスケジュ―ルを探すと、夏休みの締めくくりとしてか、8月末にもあるようだ。とはいえ9月に入っても各地で予定されている。季節を問わず、日本人は花火が好きなのだ。

江戸の名物、両国「隅田川の花火大会」は、先月7月26日に開催されている。人混みを恐れたわけではないが、遠すぎて足を運ぶ余力がないのも事実。端唄で気分だけでも味わってみたい。

(本ブログ関連:”端唄”)

■ 「江戸端唄集」(倉田喜弘 編、岩波文庫)
「縁かいな」
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夏の納涼(すずみ)は両国の  出舟入舟屋形船  揚(あが)る流星  星降(くだ)り  玉屋が取持つ  縁かいな

〇 流星、星降り  ともに花火の種類。  〇 玉屋  花火業者。 〇 成立  大阪から上京した徳水里朝(りちょう)が寄席で唄って、明治二十四年(一八九一)大流行。 
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昼間の熱気が収まって、川風を感じながら二人は夜空に広がる花火の競演を見守る・・・次に打ち揚がるまでのほんの束の間、言葉を交わす。群集の中でそのとき、互いの視線は、この縁を確かなものにしていく。

なお、次のYoutubeでは、上掲につづき次が唄われる。「縁かいな」には様々の場面がある。
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夏の暑さに 涼み船
簾(すだれ)下ろして 爪弾(つめび)きの
粋な二上(にあが)り 三下(さんさが)り        ← 三味線の調弦法
風が取り持つ 縁かいな
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■ Youtube(登録: 朝川玲伎)
「端唄 縁かいな 朝川玲伎」
    ー https://www.youtube.com/watch?v=R50hZs21q3w


(付記)
商人など庶民が乗る屋形船にはすだれが使われる。
「吹けよ川風」(「江戸端唄集」より)
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吹けよ川風  あげろよすだれ  中の小歌の顔見たや

〇 あげろよ  一般に「あがれよ」と唄う。 〇  小歌  端唄のような短詩型の唄。
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2026年5月6日水曜日

端唄「一(ひと)声は」、ホトトギス(時鳥)

初夏に南から来る「ホトトギス(時鳥)」の姿をはっきり目視したことがない。ベテランの方は鳴き声(さえずり)から聞き分けるが、フィールドでそういわれても聞き逃している。
(閑話) ホトトギスと対にして語られる、同じく初夏の鳥「カッコウ」の鳴き声を、以前深夜に聞いたと思ったが、Gemini に確認したところ、「アオバズク」の聞き違いでないかと指摘された・・・)

(本ブログ関連:”ホトトギス”)

ホトトギスは、夜間から夜明けにかけて「キョッキョ、キョキョキョ」(「テッペン カケタカ」や「特許許可局」)とさえずり、田植えの時期を告げる(時を告げる)鳥として「時鳥」の名を与えられたようだ(検索AI Labs)。


端唄「一(ひと)声は」
ホトトギスの時を告げる意味合いから端唄にも使われ、待つこと・別れに通じ、報われぬ恋を語る象徴にもなる。
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一声は  月が啼いたか  ほとゝぎす
いつしかしらむ  みじか夜に  まだ寝もやらぬ  手枕(たまくら)に(や)
男ごゝろは  むごらしい  女ごゝろは  左様(そう)じゃない
片時逢わねば  くよくよと  愚痴なおもひで  泣いているわいな
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唄の出だし「一声は  月が啼いたか  ほとゝぎす」について、「江戸端唄集」(倉田喜弘 編、岩波文庫))は、次のように解説している。(要約)
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滝野瓢水(江戸中期(享保〜宝暦期))の句「さてはあの月が鳴いたか時鳥(ほとどきす)」にもとづく。
 ・句意は、 ほととぎすが鳴いたと空を見れど姿がない、本当だったのか、ひょっとすると月が鳴いたのかもしれない。
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■ Youtube(登録: 0klz49)
「 一聲は(市丸)」
    ー https://www.youtube.com/watch?v=gUxknTS_r9E
    ー 解説より: 昭和13年(1938年) VICTOR RECORD 金ラベル、 端唄 唄唱 市丸



■ 東京小唄・清元・三味線教室
「一声は月」(2010年8月2日)より抜粋
    ー https://kiyuumi.com/archives/2010/08/post_246.php
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安政4年(1857)5月、江戸市村座「時鳥酒杉本(ほととぎす  さけはすぎもと)」上演の時作られた江戸端唄である。お梅  粂之介の心中を芝居にしたもので「一声は  月が啼いたか  時鳥」は「さてはあの月が啼いたか時鳥(一三子*)」の名句から採ったもの。・・・(「江戸小唄」木村菊太郎著より)
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(*)一三子: 端唄の元になった俳諧の作者(滝野瓢水)と一三子とがつながる資料をネットで見つけられない。

■ 芝恋の三味線・小唄教室
「小唄「一声は月」のご紹介。」
    ー https://rensi26.com/1178
    ー 芝居「時鳥酒杉本」の内容解説がある。

2018年8月13日月曜日

夕立とゲリラ豪雨

歳とともに行動範囲がせばまって、まるで現在地を中心に同心円の輪が小さくなるようだ。この夏、語学教室が休みのため、最小の輪から抜け出せずにいる。気分一新、昼間に、一回り大きな輪にある近隣市の駅ビルまで出かけてみた。

陽射しが強く、空は明るくて心配もない。駅ビル(商業施設)を巡るだけだから、天気を気にかける必要もないけれど。巡る店といえば書店と食べ物屋ぐらい。それでも私にとっては適度な運動になる。

書店で、「江戸端唄集」(倉田喜弘編、岩波文庫)を入手。ぱらぱらとめくっていると、(編者が端唄を独自に選んだと思われる)「端唄百番」に所収の「本郷二丁目」が目についた。「八百屋お七」を素材にしたものだ。

(本ブログ関連:”端唄”)

「本郷二丁目の  八百屋の久兵衛が  むすめの於七(おしち)とて  釜武がむこ入り  をりもをり  きらふて此の家を  にげゆけば  お寺は  駒込吉祥寺  こせうの吉三に  ほれるとせ」
-  本郷二丁目にある八百屋久兵衛の娘「お七」は、嫌な釜屋武兵衛が婿にならんとするおりもおり、嫌って家を出て、駒込の吉祥寺へ逃げ、寺小姓の吉三に惚れる・・・その後、帰宅して、吉三に会いたい一心から放火して火あぶりに処せられる。

端唄」から、江戸時代に、こ粋な女性が三味を持って歌う姿を想像する。いってみれば、旦那芸の延長にある習いごとを妄想してしまうけれど確信もない。

ここで気になるのは、この端唄のタイトル「本郷二丁目」についてだ。江戸端唄のタイトルに現代風な「二丁目」といった住居区分があるなんて。そこで、Wikipediaで「丁目」について、いつから使われたか調べてみたら、アッという驚き。次のように書かれていた。

「江戸時代初期に書かれた『慶長見聞集』の『本町二丁目の滝山彌次兵衛』という用例が、また『慶長江戸図』などの地図に『○丁目』の表記があり、17世紀初頭には既に『丁目』という言葉が使われていたようである。」
-  どうやら、「丁目」は江戸初期から使われた区分だったようだ。

「本郷二丁目」といえば、行動範囲を広げることも兼ねて通う「イディッシュ語教室」の最寄り駅と同じ名なのだ。これも何かの縁、秋になり涼しくなったら、教室の帰りに、久兵衛の八百屋跡地でも探してみたい。物語だから見当違いかもしれないが。

ところで、駅ビル散策の帰り、空模様が怪しくなった。黒く重い雲がのしかかってきた。帰宅後、気象庁の正式用語ではない「ゲリラ豪雨」という言葉があるが、ここでは(こちらも正式用語ではないけど)「夕立」が通り過ぎたといった方が江戸気分に近いかもしれない。

2025年7月21日月曜日

端唄「夏の暑さ」

上方の端唄「京の四季」には、春は花(梅)、夏は夕涼み*、秋は山や寺の紅葉、そして冬は雪見(酒)が歌われている。(「江戸端唄集(端唄百番 六二)」倉田喜弘編、岩波文庫)
(*)夏の夕辺に「みそぎ(御祓)ぞ  夏はうちつれて  かはらにつどふ  夕涼み  よい よい よい よい  よいやさ」(みそぎ: 水で清める)

(本ブログ関連:”端唄”)

「京の四季」の夏に、二本の串で(まるで武士の <二本差し> のように)刺した豆腐田楽を食う楽しみもあったが、上記のごとく夕涼みを加えている。豆腐には、ひねり(湯豆腐もあれば、冷ややっこもある)と賑やかさがあって、夏にふさわしいのかもしれない。

ところで、夏の夜、清しく浴衣を着た若い女性たちがボーイフレンドとの待ち合わせ場所へ向かおうと駅に集まってくるのを見るのはよい光景だ。花火観覧だろうか、それとも盆踊りを楽しむのだろうか。浴衣姿は、辺りをパッと照らす。

せっかく端唄なので、色っぽさも欲しいところ。

■ Youtube(登録: 根岸悦子 - トピック)
「夏の暑さ」
    ー https://www.youtube.com/watch?v=d0gg2UyoQ8U
    ー 歌詞: 藤本英統「端唄俗曲選集(5)」: https://hidetofujimoto.info/custom5.html
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夏の暑さに すだれかがげて 縁(えん)のはし
そして 派手な浴衣に 薄化粧
ほんのりと 桜色 引き寄せて ン(あれ)さ
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2026年8月24日月曜日

端唄「柳やなぎ」

端唄に「柳々」がある。「江戸戯作」(神保五彌、杉浦日向子、新潮古典文学アルバム24、新潮社)の序文(エッセイ)は、杉浦日向子のこの唄についてから始まる。なにかと風通しに苦心する江戸庶民にかすり笑いをもたらした戯作の雰囲気を映すとしている。

紹介された唄のくくりに「虚言(うそ)も実(まこと)も  義理もなし」とある。戯作世界の意義を伝えるよう漢字が並んでいる。素朴に端唄の世界ではどうだったのだろうかと、以下さぐってみた。

(本ブログ関連:”端唄”)

いつもの「江戸端唄集」(倉田喜弘編、岩波文庫)と、ネットの「芝恋の三味線・小唄教室」*サイトだ。粋な世界で唄われるとき、遊里の人間模様が、男女のあいだが、しだれ柳の枝のように、風に揺れもつれあう様が浮かんでくる。
(*)同サイトの「小唄『柳 々』のご紹介」
        ー https://rensi26.com/4900
        ー 上方名優 三世中村歌右衛門の作詞で、恋仲になった祇園の芸妓の心をうたっている。
        ー 「江戸小唄」木村菊太郎著より引用とのこと。

庶民の唄として続けられたため厳密な詞があるわけでないし、あてはまる漢字表記も一定でないだろうけれど、上記の「江戸端唄集」をベースに、「小唄『柳 々』のご紹介」にある漢字表記を付記してみた。

「柳やなぎ」
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柳々で  世をおもしろふ(面白う)
う(請)けて暮らすが  命の薬
梅にしたが(従)ひ  桜になびく
その日そのひの  風しだい(次第)
うそ(嘘)もまこと(誠)も  義り(義理)もなし
はじめ(初め)は  すい(粋)に思へども
日増(ひまし)にほれて  ついぐち(愚痴)になり              ← 日増:ひま
昼寝の床の  う(憂)きおも(思)ひ
どふした  ひやうり(拍子)の  瓢たん(瓢箪)か (で)     ← ひやうり:拍子、ふとした弾みで。
あだ(仇)腹の立  月(好き)じゃへ                                ← 月:好き(本来の意味)を誤写か?
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歌い手によって微妙に違いが出てくる。

■ Youtube(登録: 0klz49)
「柳々(作榮)80rpm」(2022/11/22)
    ー https://www.youtube.com/watch?v=tJusOlxJyZQ
    ー 唄唱:作榮(NITTOレコード  琴伴奏端唄  昭和8年[1933年] )



(付記)
杉浦日向子原作のアニメ「百日紅(さるすべり)」

■ Youtube(登録: ドゥック・ヴィエット)
「百日の赤 2015(ベトナム語 字幕)」(2020/07/31)   ← 音声:日本語
    ー https://www.youtube.com/watch?v=u18zqYbOSr8

2026年5月15日金曜日

(資料)三味線音楽のジャンル

ブログに、三味線音楽である「端唄」について記載する際、季節に合わせてYoutubeに代表的な音源を探してきた。粋で洒落た端唄が小唄に扱われたりして迷ったとき、その区分を「江戸端唄集」(倉田喜弘編、岩波文庫)に収録されているかどうかで素人判別してきたが・・・実際は、撥(ばち)と指(爪)弾きという奏法の違いがあるけれど、レパートリーが重なっているケースもある。

(本ブログ関連:”端唄”)

そこで、あらためて三味線(三弦)を使う主要なジャンル(<歌い物>、<語り物>)を、生成AI Gemini にたずねて、下記に一覧表にしてもらった。

三味線という楽器は、「(戦国時代)16世紀末に琉球から伝来した『三線(さんしん)』がルーツとなり、江戸時代の泰平の世に爆発的な発展を遂げ」たという。(Gemini)
私としたら、楽器や奏法の違いもあるが、もっと気になるのは「文句(歌詞)」や庶民性の方かもしれない。

三味線音楽(歌い物・語り物)の歴史一覧(Gemini)
時代ジャンル主な特徴・用途音楽的スタイル
16世紀末三味線伝来永禄〜文禄年間、堺の職人が三線を改良し、撥(ばち)で弾く形を確立初期の地歌(じうた)の原型
江戸初期地歌(じうた)京都・大阪の盲人音楽家(検校など)を中心に発展。最古のジャンル叙情的な「歌い物」。後に箏(こと)や尺八と合奏される
江戸初期浄瑠璃(義太夫節)人形浄瑠璃の伴奏として竹本義太夫が確立。物語を語る「語り物力強く、劇的な表現
江戸中期長唄(ながうた)歌舞伎の伴奏音楽として江戸で発展華やかで技巧的。踊りの伴奏としての側面が強い
江戸中期一中節・豊後節語り物」の中から、より繊細で叙情的な一派が登場後の常磐津、富本、清元へと分岐する
江戸後期端唄(はうた)長い曲(長唄など)に対し、短い歌として流行。庶民の日常を歌うテンポが良く、軽妙洒脱。お座敷遊びでも親しまれた
江戸末期清元(きよもと)豊後節から派生。高音を多用した洗練された語り粋(いき)で艶っぽい表現。歌舞伎の伴奏として人気
幕末〜明治小唄(こうた)端唄からさらに洗練され、撥を使わず指(爪)で弾く奏法が一般化短く、凝縮された粋な世界観。室内で静かに楽しむ

2026年2月19日木曜日

雨水 2026、端唄「春雨」

※ だらだらと過ごすうち、午後の体操教室を欠席してしまった。

きょうは二十四節気の「雨水(うすい)」。降る雪が雨に変わり、氷が溶けて水に変わる時期。大地が潤い、霞が立ち、草木が燃え始める。いよいよ本格的な春間近・・・気象庁の季節区分では来3月から春となる。

(本ブログ関連:”雨水”)

雨水から雨を連想する。「立春」を過ぎてこの時期に降る雨こそ「春雨」の始まり。ただし、きょうは快晴だが・・・。

そこで、「江戸端唄集」(倉田喜弘編、岩波文庫)所収の「端唄百番」にある「春雨」を聞いてみよう。「ウグイス(鶯)」(女性)と「ウメ(梅)」(男性)の関係は誰も代えられるものではない。

(本ブログ関連:”端唄”)
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はるさめに    しつぽりぬるゝ鶯の
羽かぜに匂ふ    梅が香の(や)
花にたはぶれ    しほらしや                           ← しほらしや(いじらしいことよ)

小鳥でさへも 一すじに                              ← 一途に
ねぐらさだめる気はひとつ

わたしや鶯 ぬしは梅

やがて身まゝ    気まゝになるならば              ← 身が(遊郭から)自由になったなら
サア 鶯宿梅*じやないかいな
さツさ なんでもよいわいな                        ← 今の苦労はなんでもない、細かいことはどうでもよい
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(*)鶯宿梅(おうしゅくばい): 元は、勅命で枯れた梅の木を他所から移し替えた故事(結果、他所の梅の木と鶯の関係が切り裂かれる)とは別に、本来の鶯と梅の関係になれば最高じゃないか。

■ 岩波文庫(音源)
「春雨」( 根岸登喜子 ・・・ 文庫編者の倉田氏の妻)
https://www.iwanami.co.jp/moreinfo/voice/3028310/01.mp3


次のYoutubeは、端唄の代表的な唄であり、歌手「美空ひばり」により吹き込まれたもの。登録者によれば、EP音源(制作:コロムビアレコード (SA-3051 ⓟ1959年))であるが、音質は極めて明瞭。(歌謡界のトップ、さすがに歌詞を聴きとりやすい)

■ Youtube(登録: jun-hogaku)
「[端唄] 春雨:美空 ひばり」
    ー https://www.youtube.com/watch?v=En7vY1TwIPQ

2025年4月3日木曜日

桜(花時雨、夜桜)、端唄(夜桜や)

昼過ぎまで冷たい小雨が続いた。桜が満開のこの時期、降ったりやんだりする雨を「まだら雨」と表現できるか調べたところ、辞書になく、ネットはきっぱりとそんな表現はないという。適切な言葉を探したところ、「花時雨」があった。冷たい水滴が花弁を濡らす、そんな中(ふだんは無視されがちなヒヨドリが)蜜を吸っている光景が浮かんでくる。

桜と雨は互いに打ち消し合うようで、少々さびしい気がする。

満開の桜が夜道を明るく照らす「夜桜」はどうだろう。与謝野晶子の歌に「清水(きよみず)へ  祇園をよぎる花月夜 こよひ逢ふ人みな美くしき」(「与謝野晶子歌集」与謝野晶子自選、岩波文庫 ・・・ 歌集『みだれ髪』より)がある。
今どきは照明が強く、暗い夜空を忘れたように夜桜を照らし出す。けれど、この歌が詠まれた時代(明治34年【1901年】)の夜は、もっと朧だったろう。

(本ブログ関連:”与謝野晶子”、”夜桜”)

夜桜のもとを、行き交う人々を美しいと表現する一瞬の見極めと、想像力は若くてたくましい。夜桜には心を浮かせる不思議な力がある。

それでは、ほんわりと端唄の夜桜へまいりましょう。

端唄
 「江戸端唄集」(倉田喜弘編、岩波文庫)の「夜桜や」
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夜桜*や 浮れ烏(がらす)**の まひまひと  花の小かげに  誰やらが居るわいな  とぼけさんすな 芽柳***が  風にもまれて ふうわりふわりと  ヲゝサそうかいな そうじゃわいな
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(*)上記文庫の補注より: 夜桜  新吉原・仲の町に植えられた桜
(**)上記文庫の補注より: 浮れ烏  ねぐらに落ち着かない鳥。転じて、遊里の中をうろつき回るならず者。 ← 遊里の夜を浮かれ歩く人で、「ならず者」というのはちときついな。
(***)上記文庫の補注より: 芽柳  「めふきやなぎ」と唄う。

■ Youtube(登録:朝川玲伎)
「夜桜」
「端唄 夜桜 朝川玲伎」
    ー https://www.youtube.com/watch?v=NP7VnxYB4oM

2025年9月16日火曜日

端唄「秋の野に出て」

早朝のラジオ番組に長年出演している女性が、午前3時半に起床して、放送局に来るとき、日の出がだんだん遅くなるのに気付いたと語っていた。夏の活気がさめ、秋の深まりとともに季節の変化をしみじみと感じるようになる。

とはいえ、まだ秋の七草を眺める遊びを知らない。せめて、むかしの人の秋に親しむ風情を味わいたいものだ。「端唄」に「秋の野に出て」(「江戸端唄集」倉田喜弘編、岩波文庫)がある。

(本ブログ関連:”端唄”)

秋の夜の野に出て、七草をながめながら露に着物の裾を濡らす。そんな女性をアザミの棘(とげ)がまといつく。棘にかけて男女の遊びをうたう*。
(*)端唄に取り上げられているが、下記の通り「小唄」としても歌われる。

「秋の野に出て」
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秋の野に出て 七草見れば    サアヤレ 露でこづま(小褄)が    みなぬれる    サァゝ よしてもくんな    鬼あざみ(薊)
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■ 瓢(ひさご)小唄教室: 小唄解説 ~木村菊太郎著より~
「秋の野に出て」(2021年8月17日)
    ー https://hisago-kouta.com/89/
「江戸時代には、初秋の七月の末頃『虫聞き』『七草見物』と称して、秋の夜を郊外に出る風流な人々があった。」とのこと。


■ Youtube(登録: ototatchinuru18)
「桃山晴衣の小唄 / 秋の野に出て Harue Momoyama」(2012/10/18)
    ー https://www.youtube.com/watch?v=v5vOSTzs438

2025年3月3日月曜日

端唄 春雨

「雛祭り」のきょう、一日雨と雪で冷える。
(追記-1)いつ降り始めたのか、午後2時に外を見ると、ぼた雪が濡れた道に降っていた。
(追記-2)午後4時前に見たら、雨に変わって雪は積もっていなかった。(同時刻、都心で雪が降っていたりした)
(追記-3)明晩~あさっての朝方、大雪の恐れがあるとのこと。

子どものころ、時代劇の映画が身近だったため、社宅の空き地でチャンバラごっこをして遊んだものだ。どんなふうに切られ、倒れるかを競い合った。だから今でも、時代劇の果たし合いのシーンを見ると、敵役がどのように討たれるのか興味が湧く。

春に小雨が降りだすと、少々濡れても平気だと月形半平太を気取って「春雨じゃ、濡れてまいろう」といったもんだ。子どもは雨に無敵である。どしゃ降りになっても遊び続けたいのだが、泥だらけで帰宅すると小言をもらうので、適当に切り上げることになるのだが。

(本ブログ関連:”春雨じゃ、濡れてまいろう”)

ところで、欧米人には傘をささない習慣があるらしい。生成AIの「ChatGPT」や「Gemini」に聞いてみると、霧雨が多いから、雨が降ってもすぐ乾燥するから、服装に違いがあるからなどさまざま回答がある。そんな欧米人も、日本旅行で来て、傘無しではすまないだろうと推測する。日本の雨はちょっと違う。

きょうの雨を、「春の雨」というか「春雨」というか。ネット上にさまざま定義があるようだが、濡れて行くにはちと寒い。鳥もどこかで雨宿りしていることだろう。

春の訪れを指す、取り合わせのよい「ウグイス」と「ウメ」を歌った、江戸の「端唄」に「春雨」がある(「江戸端唄集」(倉田喜弘編、岩波文庫)より)。端唄としては、おもう相手に飛び込んでいきたいのだろう・・・。
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はるさめに しっぽりぬるゝ鶯(うぐいす)の  羽かぜに匂う 梅が香の(や)  花にたはぶれ しほらしや  小鳥でさへも 一とすじに  ねぐらさだめる気はひとつ   わたしや鶯 ぬしは梅  やがて身まゝ  気まゝになるならば  サァ 鶯宿梅*(おうしゅくばい)じやないかいな   さっさ なんでもよいわいな
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(*)村上天皇が紀貫之の娘の家にある梅の木の移植を求めたとき、娘が鶯の宿る梅をいかにと問うた歌によるという。

■ Youtube(登録:朝川玲伎
「端唄 春雨 朝川玲伎」
    ー https://www.youtube.com/watch?v=ZImXK9vPzJ0

2025年3月21日金曜日

桜見よとて

桜(染井吉野)の開花は、あしたとか来週月曜日とか。そして、今年も満開の桜をぜひ見たい。

「江戸端唄集」(倉田喜弘編、岩波文庫)に「桜見よとて」がある。
こんな情景かな。一日の花見を口実に出かけた若旦那が、昼に、廓の遊女に逢いたいと問えば、仕事終わりの深夜ならという返答。結局どっぷりつかる・・・。
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桜見よとて  名を付(つけ)て  まづ朝桜夕桜  よひ夜桜は  間夫(まぶ)の昼桜  ヱゝどふなと首尾して  あわしゃんせ  何時(なんどき)じゃ  ひけ*すぎじゃ  たそや行灯**  ちらりほらりと  鉄棒(かなぼう)引(ひく)
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(注)上記文庫以外のネットで:
    ・「よひ夜桜」は、「よひ夜桜」となっている。
    ・間夫(まぶ)」は、「間夫(まぶ)(ひるざと)」となっている。(間夫=遊女の情夫⇒若旦那)
(*)上記文庫の補注より: ひけ(引け)、深夜の十二時頃。
(**)上記文庫の補注より: たそや(誰哉)行灯、妓楼の門口にある屋根付きの行灯。


■ 生成AI Geminiによる、端唄「桜見よとて」(上記文庫)の解釈。
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端唄「桜見よとて」の歌詞解説ですね。この唄は、桜の季節の遊郭を舞台に、遊女と客の恋模様を粋に描いたものです。以下に、歌詞の内容と背景を解説します。

歌詞の内容と解説
「桜見よとて 名を付て まづ朝桜夕桜 よひ夜桜は 間夫の昼桜」
    ・「桜見よとて」とは、桜を見ようと誘う口実で、遊女に会いに来たことを意味します。
    ・「朝桜」「夕桜」「夜桜」と、時間帯ごとの桜を挙げることで、一日中桜を楽しむ様子を表しています。
    ・「間夫の昼桜」とは、恋人(間夫)が昼間に会いに来ることを、桜に例えた表現です。
    ・つまり、桜を見に来たと言いつつ、本当は恋人に会いに来た、という心情を歌っています。
「ヱゝどふなと首尾して あわしゃんせ」
    ・「首尾して」とは、都合をつけて、という意味です。
    ・「なんとか都合をつけて会いましょう」と、遊女が答える場面です。
「何時じゃ」
    ・「いつ会えるのか」と恋人が尋ねています。
「ひけすぎじゃ」
    ・「引けすぎ」とは、夜、客との時間が終わり、遊女が自分の部屋へ引き下がる時間のことです。
    ・「夜、客との時間が終わってからなら会える」と、遊女が答えています。
「誰哉行燈 ちらりほらりと 鉄棒引」
    ・「誰哉行燈」とは、夜道を照らす行燈のことです。
    ・「鉄棒引く」とは、夜回りの警護の者が金棒を打ち鳴らしながら歩く様子です。
    ・夜も更け、ひっそりとした遊郭の情景が目に浮かびます。

唄の背景
・この唄は、江戸時代の遊郭を舞台にしています。
・昼間は他の客もいるため、遊女は恋人とゆっくり会うことができません。
そ・こで、夜、他の客が帰った後に会おうと約束する様子が唄われています。
・この唄は、男女の駆け引きを粋に表現した端唄の代表的な一曲です。
・この唄は、文政四年(1821)に三世坂東三津五郎が作詞作曲した上方小唄が元になっており、端唄、歌沢にも広まり、幾つも替唄が出来たとされています。

この解説が、唄の理解を深める一助となれば幸いです。
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■ Youtube(登録: 日本伝統芸能)
「さくら見よとて 田村葉留寿【小唄 レコード】」
    ー https://www.youtube.com/watch?v=JZLgFP2Zxms



(参考)
■ 瓢(ひさご)小唄教室(小唄解説~木村菊太郎著より~)
「桜見よとて」(2021年8月17日)
    ー https://hisago-kouta.com/115/

2024年10月23日水曜日

霜降 2024

きょう(旧暦 9/21)は、二十四節気の「霜降(そうこう)」。朝夕冷え込んで、露が霜になるころをいう。きのうよりきょうは冷えるが、例年と比べればまだ穏やかである。

(本ブログ関連:”霜降”)

寒さが増すとダラリとした気分があらたまり、心情に遠近が定まるよう。「端唄」の先に「短歌」があり、さらにその奥に「俳句」がある。「江戸端唄集」(倉田喜弘辺、岩波文庫)を片手に眺め、もう片方で「折々のうた」(大岡信、岩波新書)に掲載の短歌や俳句を見比べて気付く。端唄より短歌はズ~ッと真面目である。

旧暦九月の端唄から。紅黄葉の景色を歎美するのもよいけれど、世間で人の心は中だるみして、便りのない相手に焦がれることもなく、ちょいと軽い文(ふみ)でも送ってよと溜息をつく。もしかしたら、相手は紅葉に染まって浮名を流しているかもしれないのに・・・。

■「江戸端唄集」(倉田喜弘辺、岩波文庫)
「とっちりとん」の「十二ヶ月」の(旧暦)「九月」より
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ぬしのたよりを わしや菊月(きくづき)の 月より心は うはのそら とんとこのごろ 蘭菊(らんぎく)の おまえはわたしを 捨菊(すてぎく)や そふいふき菊と しら菊の ほかのつまをば かさねぎく まだ秋はてる ころでなし 月にばつかり うかれずと 雁(かり)にもたよりを しやしやんせ

秋はてる  秋が果てる。九月は旧暦で秋最後の月。飽きてしまう意をかける。  
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(付記)
霜降の期間を三つに分けた、七十二候は次の通り。
・初候: 始降(しも はじめて ふる) が降り始める
・次候: 時施(こさめ ときどき ほどこす) 時雨(しぐれ)がしとしと降る
・末候: 楓蔦黄(もみじ つた きなり) もみじ(つた)が黄葉する

2021年11月7日日曜日

立冬 2021

二十四節気の「立冬(りっとう)」、冬の気配を感じるころなれど、最高気温20℃に迫る日がつづく。このまま暖冬かと思いきや、気象庁の<2021~2022年冬>の予報では、4:3で寒くなりそうとのこと。まあ、先行きは分からぬが・・・。

(本ブログ関連:”立冬”)

冬になればかわいらしい唱歌があって、これまでいろいろとブログに記してきたが、今回はちょっと乙に構えて江戸気分にひたってみよう。「江戸端唄集」(倉田喜弘 編。岩波文庫)に、冬の夜に降る雪を境に男女の恋情をうたう「わがもの」がある。

(本ブログ関連:”唱歌 冬”、”端唄”)

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一九 わがもの

我ものと  思へばかろし  かさの雪  恋の重荷をかたにかけ  いもがり*ゆけば  冬の夜(よ)の  川風寒く千鳥なく  待(まつ)身につらき  置(おき)ごたつ  実にやるせが  ないわいな
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(*)いもがり: 女性の許(もと)

SPレコード「勝太郎市丸十八番集」(ビクターレコード)から:
「わがもの」 歌:市丸、三味線:才香、番号:KI-1、mat:9427、発売:1938年、区分:端唄
(参照)78Music: http://78music.jp/victor.html

ラジオ世代にとって、市丸の歌声をいつか聴いていたかもしれない。
(Youtubeに登録のkotyavideoに感謝)

(付記)
上記の端唄に出てくる「千鳥」については、よく紀貫之の和歌が参照されるが、俗謡に踏み込まない範囲で、同志社女子大の吉海直人教授(日本語日本文学科)が、掌文の<教員によるコラム>で触れられている(2017/11/16)。
https://www.dwc.doshisha.ac.jp/research/faculty_column/2017-11-16-09-40

2018年9月10日月曜日

秋の夜

9月に入り、次第に「秋」の気配が漂い始めた気がする。今日は、旧暦の8月1日とはいえ、気象庁の「時に関する用語」によれば、「秋」は新暦9月~11月までの期間ということになる。安心して、秋の気分にひたりたい。

先日、ブログに「江戸端唄集」(倉田喜弘編、岩波文庫)所収の「端唄百番」にある、六七「本郷二丁目」について、イディッシュ語教室の所在とからめて記したが、今日は、残暑の昼とくらぶれば、夜に涼しさが身に沁みることで、三三「秋の夜」をYoutubeで聞いてみよう。

(本ブログ関連:”端唄”)

次のYoutubeの「秋の夜」に(「もっと見る」をクリックすると)、この歌の解説があって、同じ「月」でも、恋人を待つ女性の気持と違って、(岩波文庫に注釈はないけれど)佐渡金山で月を見上げる罪人の作との記述がある。それが証拠に、岩波文庫版の「月見ぬ人」を、「月見る人」に替えて、金山工の心情を込めて歌っているらしい。

岩波文庫版:
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秋の夜は、長いものとは まん丸な 月見ぬ人の 心かも ふけてまてども こぬ人の 音ずるものは かねばかり かぞうるゆびも 寝つ起つ わしゃ てらされてゐるわいな
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桃山晴衣(ももやま はるえ、1939年~2008年)氏についてよく存じませぬが、端唄の気分を味わいたく聞かせていただきました。

(Youtubeに登録のototatchinuru18に感謝)

2024年9月7日土曜日

白露 2024、端唄「萩桔梗」

きょうは二十四節気の「白露(はくろ)」。用語としては、秋が深まり大気が冷え始めて露が出るころ。実際、早朝に朝露を公園で目撃することはあるが、一面露で輝いて白色になるほどまででない。

(本ブログ関連:”白露”)

気象庁の気象区分では、秋は今月から始まった(9月~11月)。昼間は夏並みの暑さが残っいるが、朝夕の水道水の冷たさに秋を実感する。やっぱり秋なんだ。

きょうの野鳥観察(探鳥会)では、集合場所となる草原(くさはら)の一本の大樹のもとへ、朝露にきらめく草を漕ぎ分けていく必要がある。こんなとき、ズボンの裾が濡れるのをいとわない。頭の中で、露が飛び跳ねているのを想像するだけで楽しいじゃないですか。

ところで、白露をさらに三つに分ける「七十二候」で見ると次の通り。
・初候: 草露白(くさのつゆ しろし)
    ー に降りた露が白く光って見える
・次候: 鶺鴒鳴(せきれい なく)
    ー 鶺鴒(セキレイ)が鳴き始める(ただし、年中鳴いている)
・末候: 玄鳥去(げんちょう さる)
    ー 玄鳥燕:ツバメ)が南へ帰り始める(3月上旬頃来て、9~10月頃に南へ渡る)


(付)萩桔梗
このところ(8/298/309/3 9/6 と続いて)、お月様の話しを巡っている。秋の露とからめて、こんなのはどうだろう。待てど暮らせど恋文の返しを、泣いて待つ身のつらさ切なさ・・・こひ(恋)はこうした  ものかいな。
「江戸端唄集」(倉田喜弘集。岩波文庫)
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二九  萩桔梗
萩桔梗(はぎ・ききょう)  なかに玉章(たまずさ)しのばせて  月は野末に  草の露  君を松虫(まつむし)  夜毎にすだく  更けゆくかねに  雁の声  こひはこうした  物かいな

萩桔梗 ~   萩や桔梗は、咲き乱れた枝葉の間に玉草(手紙のこと)を忍ばせているようだ。  〇 月は野末雁の声   月の光は、野末の草の葉に置く露までも照らしている。ところが私は、あなたを待って松虫のように夜ごと鳴いているのに、何の音沙汰もない。耳に聞こえるのは、夜更けの鐘の音と雁の声ばかりである。
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(本ブログ関連:”端唄”)

■ Youtubeに「萩桔梗お稽古参考用3」がある。(「花崎玉女地唄舞教室」より)
https://www.youtube.com/watch?v=ZJkju1wuqds&t=8s  (登録者:jiutamaibito)

2026年6月9日火曜日

あじさい、小唄「あじさいの」

梅雨によく似合う花は、「紫陽花(アジサイ)」をおいて他にないだろう。緑の葉の海原に浮かぶように咲き、花色の多様さ、梅雨のしとしと雨に静か耐える。まさに日本原産のゆかしき花である。

この時期、紫陽花にふさわしい端唄はないものかと、いつも参考にする「江戸端唄集」(倉田喜弘 編、岩波文庫)を探したがよいものが見つからない。Gemini に相談すると、小唄「あじさいの」を紹介された。

(本ブログ関連:”小唄”)← 端唄・小唄の奏法:三味線の糸を指で弾くか、撥(ばち)で弾くか。

室内で静かに楽しむ小唄の世界に、紫陽花と夏の着物姿の女性を重ねた「あじさいの」(作詞 久保田万太郎*、作曲 田村法一**)がある。紫陽花の花の色から、女性を追想する洒落た歌であり、長襦袢の衿(えり)に目をやった記憶に男ごころをくすがらせる・・・深読みか。
(*)久保田万太郎(明治22年[1889年]~昭和38年[1963年]): 大衆作家と思っていたが、演劇・俳句・小唄とマルチな文化人。
(**)田村法一: 次の「小六月探求簿」に紹介がある。

次のサイト「小六月探求簿」で、詳しい解説をうかがった。

■ 小六月探求簿(登録: 太田 明紗日
「あじさいの」
    ー https://blog.ko6gatsu.net/the-quest-for-music/【作品探求】あじさいの/
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あじさいの 彼(か)の浅黄色                         ← 彼の:あの、浅黄色:微かに緑がかった薄青色
彼(か)の人の 紺の明石***の雨がすり****   ← 彼の人:あの女性の着物姿
その時かけていた えり*****の色                   ← えりの色:まさしくあの女性が衿にかけた浅黄色 
えゝえゝえ しょんがえ                                  ← しょんがえ:詮無い(仕方がない)昔のことよ
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(***)明石(明石縮 あかしちぢみ): 着物の生地、薄手絹織物「最高級の夏物」
(****)雨がすり(雨絣): 縦に細い不規則な直線が織り込んだ模様で、その直線が「しとしとと降る雨」につながる。
(*****)えり: 着物の下の長襦袢の衿に縫い付けて使用する半衿(はんえり)。

浅黄色 
「浅黄」は、古来「淡い黄色」だったが、現在は「やや薄目の青色」として定着している。

(参考)
■ 伝統色のいろは
浅葱色(あさぎいろ)」
    ー https://irocore.com/asagi-iro/
    ー 「『』と『』の字を混同されて『浅黄』と表記されている古実書もありますが、これは完全に誤用です。」


■ Youtube(登録: Release - Topic)
「紫陽花」演者: 田村彌笑(たむら やえみ)
    ー https://www.youtube.com/watch?v=QWyRIWz7BAs
    ー 田村彌笑は、田村流に師事、東京芸大卒の実力者とのこと

2019年3月7日木曜日

(資料)旧暦二月(きさらぎ)

今日から旧暦二月が始まる。カレンダー(気象庁)の春は、新暦の3月~5月。一方、旧暦の春は、旧暦の1月~3月。今を春の始まりと見るか、中ごろと見るか、微妙な差はあるが。一日中、雨がぼそぼそと降ったり止んだり、ときに春雷、春を楽しむほどでもない。

とはいえ、旧暦二月になったのだから、旧暦に従って楽しんでみよう。「江戸端唄集」(倉田喜弘編、岩波文庫)に収録の「とっちりとん」には、この旧暦「二月(きさらぎ、如月)」を唄ったものがある。「端唄」を楽しむほど「通」でも「粋」でもないし、そもそも聞く機会も乏しい。ただ、文庫本をめくると、二月の「稲荷祭り」から始まり、「きつね」に対する「たぬき」の存在を笑わせるくだりもあって転載させていただく。

(本ブログ関連:”端唄”。”稲荷”、”キツネ”)

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これはきさらぎ  稲荷のまつり*  初午(はつうま)**  二の午  三の午  みゝにたへぬは  たいこのね  さてもこんよく うちはやす  子供は絵馬をたづさへて  ちんちよや╱╲の  たへまなく  こわめし あぶらげ  やまをなす  それで稲荷は  よかろふが  たぬきはなんと  しやうぞいの
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*稲荷のまつり: 稲の神「稲荷神」(稲=農作業)を祭る。「きつね」はその使い。
  「伏見稲荷大社」の「初午大祭」: 稲荷大神が稲荷山に鎮座した日に行なう(新暦2月2日に実施)
    http://inari.jp/rite/?month=2%E6%9C%88#308 
**初午: 旧暦二月の最初の「午の日」(旧暦2月4日⇒新暦3月10日)

「稲荷」の起源を調べれば、神道or神道+仏教(神仏習合)の由来があり、隆盛を探れば江戸商人が話題になり、分布を見れば意外にも関東・東北に多いのだ。農業だけでなく、商業まで手広くこなす、独立性の強い、個人の庭先にも鎮守する神でもある。

2024年2月5日月曜日

雪が降ってきた (かさの雪、千鳥【チドリ】)

辺りがしんと静まった昼過ぎ、庭先を見ると雪がまばらに降っていた。
降り始めの雪は音を吸収して、町の騒音を消すようだ。あまりの静けさに我に返り、ガラス戸を開けて雪降りを確認した。

雪は地面を濡らしていた。天気予報は、降雪がつづき、積雪の警戒・注意を呼び掛けた。

以前(2021年11月7日)のブログに、「江戸端唄集」(倉田喜弘 編。岩波文庫)のなかから、「我ものと  思へばかろし  かさの雪」で始まる、冬の夜に降る雪を境に男女の恋情をうたった「わがもの」について記した。該当の部分を以下再掲する。

ところで、この歌について、上掲の文庫に注釈がある。(*印は補注)
〇 わがものと・・・かさの雪   宝井其角が元禄期に詠んだ句*(五元集)
 (*)其角の「我雪と おもへばかろし 笠の上」が改変されて上記俗謡になる。
〇 紀貫之の和歌「思ひかね妹(いも)がり行けば冬の夜の河風寒み千鳥鳴くなり」(拾遺集** 冬 224)
 (**)「勅撰集における『冬の千鳥』の早い例です。千鳥が冬の景物と認定されたのは、下って『堀河百首』で冬部に『千鳥』題が設けられた時でしょう。」
    - 「冬の『千鳥』」(吉海直人 同志社女子大学教授、2017/11/16)
         https://www.dwc.doshisha.ac.jp/research/faculty_column/2017-11-16-09-40

(本ブログ関連:”千鳥”)


■ 再掲(以下)
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一九 わがもの

我ものと  思へばかろし  かさの雪  恋の重荷をかたにかけ  いもがり*ゆけば  冬の夜(よ)の  川風寒く千鳥なく  待(まつ)身につらき  置(おき)ごたつ  実にやるせが  ないわいな
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(*)いもがり: 女性の許(もと)

SPレコード「勝太郎市丸十八番集」(ビクターレコード)から:
「わがもの」 歌:市丸、三味線:才香、番号:KI-1、mat:9427、発売:1938年、区分:端唄
(参照)78Music: http://78music.jp/victor.html

(Youtubeに登録のkotyavideoに感謝)