今日から旧暦二月が始まる。カレンダー(気象庁)の春は、新暦の3月~5月。一方、旧暦の春は、旧暦の1月~3月。今を春の始まりと見るか、中ごろと見るか、微妙な差はあるが。一日中、雨がぼそぼそと降ったり止んだり、ときに春雷、春を楽しむほどでもない。
とはいえ、旧暦二月になったのだから、旧暦に従って楽しんでみよう。「江戸端唄集」(倉田喜弘編、岩波文庫)に収録の「とっちりとん」には、この旧暦「二月(きさらぎ、如月)」を唄ったものがある。「端唄」を楽しむほど「通」でも「粋」でもないし、そもそも聞く機会も乏しい。ただ、文庫本をめくると、二月の「稲荷祭り」から始まり、「きつね」に対する「たぬき」の存在を笑わせるくだりもあって転載させていただく。
(本ブログ関連:”端唄”。”稲荷”、”キツネ”)
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これはきさらぎ 稲荷のまつり* 初午(はつうま)** 二の午 三の午 みゝにたへぬは たいこのね さてもこんよく うちはやす 子供は絵馬をたづさへて ちんちよや╱╲の たへまなく こわめし あぶらげ やまをなす それで稲荷は よかろふが たぬきはなんと しやうぞいの
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*稲荷のまつり: 稲の神「稲荷神」(稲=農作業)を祭る。「きつね」はその使い。
「伏見稲荷大社」の「初午大祭」: 稲荷大神が稲荷山に鎮座した日に行なう(新暦2月2日に実施)
http://inari.jp/rite/?month=2%E6%9C%88#308
**初午: 旧暦二月の最初の「午の日」(旧暦2月4日⇒新暦3月10日)
「稲荷」の起源を調べれば、神道or神道+仏教(神仏習合)の由来があり、隆盛を探れば江戸商人が話題になり、分布を見れば意外にも関東・東北に多いのだ。農業だけでなく、商業まで手広くこなす、独立性の強い、個人の庭先にも鎮守する神でもある。