端唄に「柳々」がある。「江戸戯作」(神保五彌、杉浦日向子、新潮古典文学アルバム24、新潮社)の序文(エッセイ)は、杉浦日向子のこの唄についてから始まる。なにかと風通しに苦心する江戸庶民にかすり笑いをもたらした戯作の雰囲気を映すとしている。
紹介された唄のくくりに「虚言(うそ)も実(まこと)も 義理もなし」とある。戯作世界の意義を伝えるよう漢字が並んでいる。素朴に端唄の世界ではどうだったのだろうかと、以下さぐってみた。
(本ブログ関連:”端唄”)
いつもの「江戸端唄集」(倉田喜弘編、岩波文庫)と、ネットの「芝恋の三味線・小唄教室」*サイトだ。粋な世界で唄われるとき、遊里の人間模様が、男女のあいだが、しだれ柳の枝のように、風に揺れもつれあう様が浮かんでくる。
(*)同サイトの「小唄『柳 々』のご紹介」
ー https://rensi26.com/4900
ー 上方名優 三世中村歌右衛門の作詞で、恋仲になった祇園の芸妓の心をうたっている。
ー 「江戸小唄」木村菊太郎著より引用とのこと。
庶民の唄として続けられたため厳密な詞があるわけでないし、あてはまる漢字表記も一定でないだろうけれど、上記の「江戸端唄集」をベースに、「小唄『柳 々』のご紹介」にある漢字表記を付記してみた。
「柳やなぎ」
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柳々で 世をおもしろふ(面白う)
う(請)けて暮らすが 命の薬
梅にしたが(従)ひ 桜になびく
その日そのひの 風しだい(次第)
うそ(嘘)もまこと(誠)も 義り(義理)もなし
はじめ(初め)は すい(粋)に思へども
日増(ひまし)にほれて ついぐち(愚痴)になり ← 日増:ひま
昼寝の床の う(憂)きおも(思)ひ
どふした ひやうり(拍子)の 瓢たん(瓢箪)か (で) ← ひやうり:拍子、ふとした弾みで。
あだ(仇)腹の立 月(好き)じゃへ ← 月:好き(本来の意味)を誤写か?
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歌い手によって微妙に違いが出てくる。
■ Youtube(登録: 0klz49)
「柳々(作榮)80rpm」(2022/11/22)
ー https://www.youtube.com/watch?v=tJusOlxJyZQ
ー 唄唱:作榮(NITTOレコード 琴伴奏端唄 昭和8年[1933年] )
(付記)
杉浦日向子原作のアニメ「百日紅(さるすべり)」
■ Youtube(登録: ドゥック・ヴィエット)
「百日の赤 2015(ベトナム語 字幕)」(2020/07/31) ← 音声:日本語
ー https://www.youtube.com/watch?v=u18zqYbOSr8